ライブが無いウマ娘世界で、なんとかライブを根付かせたい転生者のお話   作:貯金缶

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JRAと南関東のカレンダーが当たりました。やったぜ!
ついでに有馬記念はシャフリヤールが来てくれると、さらに嬉しいです。


勝負服の作成(足回り)

 とある日、ファル子と一緒に俺は、サーカスに来ていた。なかなか有名な劇団らしく、大体GⅢ位だろうか、そこそこの人達で賑わっていた。あらかじめ買っておいたチケットを受付に手渡し、サーカスといえば、これだという感じの特徴的なテントの中に入った。

 

 テントの中は薄暗く幻想的な雰囲気が漂い、指定席に座ると、暫くしてサーカスのショーが始まった。きらびやかな衣装を身に付けたウマ娘達が、ただの人間ではできないような動きを披露し、観客の視線を釘付けにしていた。

 

 隣に座っているファル子もなかなか楽しめているようで、耳がせわしなく動いていた。撮影が禁止でいなければ、ファル子の宣伝用のブログとかに載せることが出来ただろうが、仕方がない。今日も可愛いファル子の横顔を俺の頭の中にだけ残るように記憶しておく。

 

 そのまま続けてサーカスのショーを観覧していると、ふと俺の脳内に稲妻のような天啓が走った。ちょっと待てよ。これだけ激しく動いても破れず、華麗な飾りつけも外れない素材ならば、ファル子のウマドル衣装の胴体部分に採用できるのではないだろうか。そうと分かれば、善は急げだ。今すぐ、サーカスの関係者に素材とか誰が作っているのかとかを聞いてみよう。

 

 喜びのあまりに立ち上がろうとした俺だったが、ファル子の綺麗な艶めかしい手に引っ張られ、座席に座りなおした。手を握っているファル子の方に顔を向けると、ファル子の笑顔が見えた。ただちょっとだけ不満そうな感情が隠れた笑顔だった。ファル子の尻尾が俺の体に巻き付いた。そうだよな。まずは今を楽しんでから、後の事は考えようと思いつつ、俺は微笑み返した。

 


 

 トレセン学園の隅に隔離されたトレーナー室で、気分紛れの音楽を聴きながら、椅子に腰かけた俺は顎に手をかけて考えていた。さて、これから年末に掛けてGⅠの朝日杯フューチュリティステークスの準備をしなければならない。ファル子は既にステップレースである京王杯に勝利しているので、出走は確実にできる。そのため、無駄なことを考えずにただひとつの目標に向かって進めばいい。

 

 先日に行ったサーカスは成功だったが、結論からすると、ウマドル衣装の素材とその服を作ってくれる人は見つかった。しかしながら、ウマドル衣装の完成は、クラシック三連戦には、まったく間に合わないということが分かった。そりゃそうだよな。これまで扱ったことが無いであろう競技服を作ってくれと言って、一年未満で出来るはずがない。ということはだ。

 

 俺は座っていた椅子から立ち上がり、近くの冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出し、氷をこれでもかと沢山入れたコップにお茶を注いだ。その中身を一気に飲み干し、あまりの冷たさに頭を掻きむしった。そして、観念したかのように考えを纏めなおした。

 

 やはり、クラシック三冠までにプロトタイプのウマドル衣装を誰が作るかというと、ここにいる俺しかいない…いや、手伝ってもらえそうな所には協力をお願いしてみよう。それでも、間に合うだろうか。

 

 いや、俺を始めとした人達に出来るのだろうかと悩む暇があったら、手を動かそう。少なくとも、何かしら進むはずだろうから。まずは、頭、腕ときたので、一番面積が多く手間がかかるであろう胴体は後回しにして、脚部を作ろう。ひとまずは、通常の競技用の蹄鉄をつけたシューズに飾りつけをする方向で行こう。

 


 

俺の目の前の練習場でファル子が走っている。コーナーを回りきり、ストレートへ入った。そろそろスパートをかけるタイミングだ。

 

1.2.3、ここ!

 

ファル子が力を入れた筋肉の動きが目に見えた。ああっ、またか…。

 

控えめに表現して、夏祭りの花火が花咲く音が響いた。その瞬間、ファル子の頬ずりしたい位艶めかしい太ももより低い部分の下半身が露わになった。深い嘆息共に俺は天を仰いだ。

 

やはり、またなのか。俺の力不足だろう。ファル子のパワーに足回りの衣装が耐えることが出来なかった。あんなに思いを込めて作ったのに、少なくとも素材は問題無いはずだが、まだ俺には何かが足りないのだろうか。

 

ウマ娘の特徴的な耳を折り曲げ、悲しそうな表情をしたファル子が、天を仰いでいた俺に近寄ってくる。

 

「また破けっちゃったね」

 

「まぁ、何事も練習、練習!本番の朝日杯までに間に合えばいいからさ。あと一着あるから、これなら大丈夫だよ」

 

そう言って俺はファル子を慰めていたが、困ったことに最後の衣装は適当に作ってみたプロトタイプのものしかない。

 

ファル子の体温の温かさが残る先ほど破けた足回りの衣装を受け取り、最後の衣装をファル子に手渡した。ファル子は手慣れた感じで足回りの衣装を身に着け、練習場を走り始めた。

 

俺の目の前の練習場でファル子が順調に走っている。コーナーを回りきり、ストレートへ入った。先ほどと同じように、そろそろスパートをかけるタイミングだ。

 

1.2.3、ここ!

 

ファル子が力を入れた筋肉の動きが目に見えた。ファル子の足が光ったような錯覚が頭をよぎった瞬間、綺麗な破裂音が俺の耳に響いた。目の前のファル子は、これまでとは考えられない程に急加速した。

 

どうか成功してくれという俺たちの願いが届いたのか、なぜか衣装は破けなかった。何が原因なのか分からなかったが、適度な力加減というか思いの強さで衣装を作ったほうがいいのかという馬鹿馬鹿しい考えが頭をよぎった。

 

何度かスパートを繰り返し、成功を確信して、よほど嬉しかったのだろう。ファル子は、マイクを持っているかのように踊りつつ、今度のライブで披露する歌の練習をしている。その様子を見ている俺は、いつもながらファル子は可愛いなと思って現実逃避をしていたが、今回の結果を考えた現実を受け止めることにした。

 

どうしよう。先ほどの懸念が本当の事だったとしたら大変なことになるぞ。胴体部分のウマドル衣装は、ファル子のお母さんとかファンを始めとした色々な関係者の人達に手伝ってもらっている。みんな一生懸命に思いを込めて作っているはずだ。

 

もしかして、今回みたいに失敗したらファル子はGⅠの大舞台でクロスアウッ!してしまうのではないかと戦々恐々している俺だった。

 




急いで書いたので、あとで修正します。
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