ライブが無いウマ娘世界で、なんとかライブを根付かせたい転生者のお話 作:貯金缶
なんとなく唄いたい転生者とスマートファルコン 出会い編
目の前にある中央と地方両方のトレーナー試験の合否結果通知を何度見ても結果は変わらなかった。つまりは俺の夢は破れた。ウマ娘のいる世界に生まれ変わったのに、トレーナーになれなかった。
そんな現実から逃避するよりも、これからの将来についてを考えなければならない。これまでは、トレーナーになるための勉強ばかりしていたけれど、どこかの会社に就職するとか何かしらの指針を決めるべきだ。
だけれども頭の中ではそう思っていたけど、トレーナーになれなかった俺の頭は放心していた。放心状態で数時間立ち続けて、腹が減ったことに気づいた。とりあえずは、ご飯を食べよう。
レトルトの煮込みハンバーグをおかずにしたご飯を食べながらに思う。給料よりも余暇に使える時間が確保できる職業にしようと決めた。なんとなく、俺自身がトレーナーになれない欲求が満たされないのであれば、外にでて歌でも弾き語りみたいにしてみたいと思った。なんだか、自分の中のスピリット?を外に出したい気分だった。
副業可能で、しかも定時で帰れる会社に中途入社で就職した。二ヶ月が経つころに、給料が貯まったのでギターを買った。今すぐ歌を唄ってみたかったが、流石にいきなり駅前広場とかで唄うのは、ちょっと怖かった。まずは、人通りが少ない河川敷とかで練習をすることにした。一ヶ月が経った。簡単な曲くらい演奏できるギターの腕前になった。
幾日か夕日を背に受けながら、河川敷で機嫌よく唄いつつギターを演奏していると影が差した。俺が後ろを振り返ると栗毛のツインテールで制服を着たウマ娘がにっこりと笑いながら、自分の両頬に人差し指を添えて、左右に頭を振っていた。ついでに、尻尾も機嫌よく左右に振られていた。
「何か用ですか?」
「ここ数日、帰り道で楽しそうなお歌が聞こえていたから、毎日ちょっとずつ貴方に近寄ってみたけど、バレちゃった☆」
「しっかりと人に聴かせるのは初めてだけど、一曲聴いてみるかい?」
「もちろん、OK!それに何度も聴いていたから、ファル子も一緒に唄うね。ファル子、唄うの大好き!」
そうして、俺のギターの伴奏の下、二人で一緒にありきたりな歌をお遊戯会のように唄った。ふとして、彼女の名前が知りたくなった。
「一期一会という訳ではないけれど、君の名前は?」
「スマートファルコンです!ファル子って呼んでね!」
「スマートファルコンか、良い名前を親御さんから貰ったな」
俺は何の感慨もなく彼女の名前を誉めた。聞いたことのある名前だったけど、前世の知識は捨てようと思っていたので、違和感なくすんなりと彼女の名前が頭に染み込んだ。
「そうでしょ、ファル子も嬉しい」
スマートファルコンが両手で握りこぶしを作り、顎に当てながら嬉しそうに跳び跳ねて喜んだ。彼女の背後にある夕日と合わさって、とても美しかったし、元気が分け与えられた気がした。これがスマートファルコンとの初めての出会いだった。
「ところで、ファル子。もう暗くなってきたけど、大丈夫?」
「うわーん!お母さんに怒られる!」
ファル子は家に帰るためにウマ娘の速度で慌ただしく走って去って行った。
見切り発車なのです。どうしましょうか?
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(特に「ドワーフが少女のために生活用品とか作る話」とかいかかでしょうか?)