ONE PIECE ~あったかもしれない、二人の旅路~ 作:袖野 霧亜
平穏そのもののその村にある山の中で、二人の少年少女が船出の準備をしていた。
目的は、海賊になるため。
「ルフィ、食料の準備は大丈夫? よく食べるんだからちゃんと船に積んでおいてね」
「あぁ、山からもいっぱい持ってきたから大丈夫だ」
一仕事終え、トレードマークを被りなおす男、モンキー・D・ルフィ。
元気そうに「あー、疲れた疲れたー」とおおよそ疲れた様子もなく朗らかに笑う。
十七歳になってようやく海に出られるようになり、明らかに興奮している。
「それよりもウタ! 楽しみだな! 船出にいい天気だ!」
「そうだね、これ以上にない日かも」
髪を後頭部で蝶のように結っている少女、ウタ。
麗しい見た目にルフィよりも少し小柄ではあるものの、どことは言わないが女性らしく丸みを帯びた身体つきをしている。いわゆる、無欠の美少女といってもいい。
「さてと、じゃあルフィ、行くよ! ダダン達にも挨拶しないといけないんだから!」
「あ、おい! 荷物持ってけよ!」
「私の分もお願いねー! あ、ついでにどっちが早く着けるか競争!」
「あ! おい待てー! ウター!」
山の中に作られた二人で住むには大きすぎる家からウタは飛び出し、走り去っていく。
その後を追いかけるように扉から出られないほどの量が入った荷物を担いで、出入り口を破壊してルフィは追いかける。
「アハハ! 遅いよー、ルフィー!」
「クッソー! ズリィぞウタぁ!」
「海賊なんだもん! ズルもなんでもするに決まってるでしょー!」
何年もその山に住み、何度も駆け回った山の中を楽しそうに走り抜ける二人。
もはや目を閉じていても走り回れるよう程にもなり、木々の間をすり抜けるウタ。あちこちに荷物をぶつけ、フラフラになりながら走り抜けるルフィ。
ウタがわざと差が出来ないよう、後ろを向きながらルフィの様子を見つつ、彼を煽るようにしている。
それが、彼女達のいつもの日常。
「つーいた! いっちばーん!」
「ぶへーっ! くっそー……」
フーシャ村の隅のあたりに飛び出す。
山から出るとしばらく平原が広がり、そこを走り抜けた二人はじんわりと額から汗を流している。
ぐいっと自分の汗をぬぐうウタと、もはやそれどころじゃないルフィ。
「あ、ルフィ! ウタも! まだそんなところにいたの?」
声をかけてきたのは小さい頃から二人を姉のように見守ってきた、酒場の店主をしているマキノだった。
「マキノさん! ルフィが走るの遅くて遅れちゃいました!」
「おい待てウタ! お前が荷物全部持たせるからだろ!」
「言ったでしょ、海賊なんだから何でもするって」
「あんなズルがあったんだ、無効だろ!」
「出た! 負け惜しみ~」
悔しがるルフィとは対照的に満足げに満面の笑みを浮かべ、顔の近くで指をワキワキと動かすウタ。
そんな二人を相変わらずね、と言わんばかりに楽しそうに、それでいて寂しそうに微笑むマキノ。
「ほら、皆が待ってるんだから早くしなさい。ダダンさんなんてなかなか二人が来ないからカンカンよ?」
「はーい! ほらルフィ、行くよ!」
「待てって、ウター!」
港がある場所まで駆けっこが始まり、そんな二人の背中をマキノは優しく見守る。
小さい頃から見守ってきた身としては、二人の旅たちを嬉しくは思うが、やはり慣れることじゃなかった。
目の端から流れてしまった滴をぬぐい、二人の姿を見失わないよう追いかける。
こんな日々が、もうなくなるかもしれないと思ったかもしれない。
「またいっちばーん!」
「おせぇぞ! ウタぁ!」
「わ、ダダン! 今日も元気そうだね!」
「元気そうじゃねぇ、元気そのものだバカたれ! せっかく見送りに来てやったってのに、いったいどれだけ準備に時間かけてんだい!」
「ゴメンってば!」
「ったく。アンタってヤツは……手のかかる子供だよ」
「ゴメンね、お義母さん?」
「止めな、おめーの親代わりは赤髪だろ」
まぁね。と軽く会話をしていると、ようやく追いついてきたルフィがウタに突っかかる。
さらにその後でマキノも追いつき、村の皆との話をほどほどに切り上げる。
「じゃあ、行くよ」
「待っててね皆! すぐに私たちの名前をこの村にまで轟かせて見せるからね!」
「はっ、早く行っちまいな!」
ダダンが憎まれ口を叩くと、ルフィとウタはお互いの顔を見合わせ、にや~と悪い笑みを浮かべる。
「「ダダン!」」
「な、なんだい二人して」
「俺たち、山賊っていうの、すっげー嫌いだけどよ!」
「急にディスってくんじゃねぇよ! 最後に俺への当てつけのつもりか!」
怒鳴り散らすダダンに、今度は、本当に嬉しそうに、
「「それでも、ダダンたちのことは大好きだ(よ)‼」」
「――――っ!」
そう言った。
「う、うぐぉ……! バカ言ってねぇでさっさと行っちまえ! チクショー!」
ハンカチを片手に洪水の勢いで流れ出る涙を拭うダダンを満足げに見た二人は、マキノにも別れの言葉を言い、用意されていた船に乗り込んだ。
「「じゃあ、行ってくる!!」」
行ってらっしゃい! 元気でな! そんな言葉に押され、ゆっくりと船は進んでいく。
……はずだったが。
「……来たね」
「おう、アイツだな」
ルフィたちの進行方向の海面が不自然に膨らんだと思うと、すぐそのあとに何かが飛び出してきた。
それは、海に住む『海獣』と呼ばれる大きな体を持った化け物だった。
瞳を龍のように細くなり、明らかに臨戦態勢を取っていた。
「出たな、近海の主! 昔の俺と思うなよ?」
「コイツだね、父親の、シャンクスの腕を食ったヤツって」
そんな化け物が出たのにも関わらず、極めて落ち着いた様子の二人。
村人たちが逃げろ! と慌てているが、そんな中で、ウタは歌い始めた。
「~~~♪」
村人たちの声すらかき消してしまうような澄んだ歌声は、村人たちの心を落ち着かせる。
そして、何故か海獣は戦意を失い、睡魔に襲われていた。
「ははっ、やっぱウタの歌声っていいな! 好きだ!」
「――は⁉ ば、バカなこと言ってないで早くあの化け物ぶっ飛ばしてよ!」
いきなり好きと言われ動揺したのか、歌うのを止め、顔を真っ赤にさせてわたわたするウタを横目に、ルフィは
「『ゴムゴムの』ぉ!」
そして、勢いの付いた腕はおおよそ届くはずのないほど遠くにあったはずの海獣の顔面にまで腕を
「『
殴り飛ばした。
「にっしっし! いっちょ上がり!」
「ホント、いい能力よね、『ゴムゴムの実』って」
「だろ、気に入ってんだ!」
おおよそ身の危険が迫った後とは思えないような暢気な会話。
それほどまでに力を身に着けた二人が目指すのは。
「仲間は十人くらいは欲しいな」
「そうね、仲間集めもやっていかないとね」
「おう! 俺は、海賊王になるため!」
「私は、世界で一番の歌姫になるために!」
お互いのなりたいもののために、二人は海に出る。
俺ガイルの二次創作の先輩がルウタが読みたいー! 自分で書いたやつじゃなくて他の人が書いたのが読みたいー! と駄々こねてたので書きました。
のんびり更新していくのでよろしくお願いします。