五等分の花嫁・あなたと共に過ごした記憶   作:angelika

11 / 21
第十一話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が名は天使アンジェ。苗字をひらがなで書くと「あまつかい」となる。この苗字と名前には特に意味はない。仮に何かしらの繋がりがあったとしても、大したことではない。今年で〇〇歳、学生をしている。

得意科目は理科全般。数学や物理、化学に関しても苦手な内容はあるが、赤点を取ったことは一度もない。

苦手な科目は文系。どこが苦手かと言えば、ほぼ全部だ。ただ、一定の情報さえあれば文章の読解はできる。でもテストを返されるときには、たいてい赤点スレスレである。

 趣味は日本――といっても、この言い方ではあまりにも漠然としている。短く言えば、日本の文化、経済、政治、社会、歴史、教育、地理、民族、食、礼儀作法、都道府県などなど、あらゆる側面を調べること。調べる価値は山のように高く、海のように深い。時が進むごとに新しいものが生まれる。ゆえに日本についての探究は、この命が尽きるまで終わらないだろう。

 日本以外の趣味があるとすれば、少しだけ古典の読書。昔の人が書いた本を読むこと。もちろん、すでに現代語訳などで解読されたものだ。おすすめは、ダンテ・アリギエーリの『神曲』、ルイージ・ピランデルロの『私は一人、誰でもない、百人』、ジョン・ミルトンの『失楽園』、チャールズ・ディケンズの『オリバー・ツイスト』。それから、春秋戦国時代、大秦帝国、三国演義と三国志、魯迅の『阿Q正伝』、夏目漱石の『吾輩は猫である』と『こころ』。最近は『コンビニ人間』を読んでいる。

一番のお気に入りは『神曲』、『三国志』、そして『吾輩は猫である』。

 もちろん漫画も読む。日本語で。読むジャンルは主にラブコメで、お気に入りのキャラクターは「負けヒロイン」。その負けっぷりが、なんとも言えず味わい深い。実はもう一つ読んでいるジャンルがあるけど、それはちょっと言いづらいので内緒にしておく。

 ヴァイオリンもたしなんでいる。ストレス発散にはこれ以上ないほど素晴らしい方法だと思っている。

 あとは料理と掃除も好き。

 そういえば、まだ朝ごはんを食べていなかったね。せっかくだから、私の朝食を紹介しよう。火は使わなくていい。トースターで焼くだけで十分。ほら、七分もあればできる。そしてここが重要だ。ジャム?そんなものはいらない。捨ててしまえ!

代わりにこれを塗るのだ。てぅってぅるううううう……ヌーテーラ!これさえあれば、何でも美味しくなる!

 

 「さあ、大上がりよ!」

 

「おお、これ美味しい!やりますね、アンくん!」

 

「チョコレートの味だけど、美味しい!」

 

「ザクザクしたトーストとチョコレート、最高!」

 

「天使くん、もう一枚ください!」

 

「はいはい、いっぱい作りますよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

「なんであんたが他人の家で朝ごはん作ってんのよおおおおおおおおおおおお!」

 

――またぶっ飛ばされました。

 

「天使さん!しっかり!」

 

「天使くん!そんな!もう一つ作れるって言ってたじゃないですか!」

 

「なに悲しい雰囲気出してんのよ!こっちの身にもなって!こいつとこいつ、勝手に家に入ってきたのよ!」

 

「私が許可した」

 

「あんたになんの権利があるのよ!」

 

 説明しよう。この朝、歯を磨いていたとき、突然太郎から電話がかかってきた。「一緒にあいつんち行かないか」って。だけど今日はそんな予定なかったはず。だって、いつも家で勉強したいって言ってるやつが、そんな誘いすると思う?

 

 話を進めていくうちにわかった。こいつの目的は別にあった。でも、私にはあそこでどうしても話したい人がいた。だからついていった。その結果がこれだ。

 

 太郎は正座して、無断で蝶々の部屋に侵入したことを猛反省している。

 

「俺が悪かった。ただ、生徒手帳を一刻も早く返してほしかったんだ」

 

 それが太郎の目的。ちなみに、私の目的はこちら。

 

「二乃、昨日言ってた物、ここに置いておくね」

 

 一花には、あの時のことをちゃんと言わないと。変に気を遣わせないように。

 このあと太郎は蝶々につれられて、自分の部屋に閉じ込められた。

 リビングには私たち五人人だけ。一花と二人きりになれればよかったけど、まあ、いいか。

 

「いち…」

 

「あの、天使くん。なんで彼は、生徒手帳のためにここまでするんですか?」

 

「え!?あ、ああ…その…」

 

 言えない。あの手帳の中に、太郎が気になる女の子とのツーショット写真が入っているなんて。誰にも言うなって言われたし、それが彼との信頼の証でもある。簡単には口にできない。

 

「もしかして、好きな人の写真が入ってたりして」

 

「好きな人!?」

 

「#%^+%%*+^%^!?、。。?!^_^んcっxvb!?」

 

「どうしたんですか、天使くん!変な声出して!」

 

「いや、その…」

 

「あっ、もしかして図星だったんですね!」

 

 こいつ…普段はマイペースなアホっ子なのに、こういうときだけ鋭い。

 

「それより、みんなまだお腹すいてるでしょ。トースト、いっぱい作るからそこに座ってて」

 

「はい!いただきます!」

 

 五月さん、一番乗り!

 

「それより天使さん、上杉さんの…」

 

「そうだ!一花、さっきテーブルに置いてたものって何?」

 

 話題を手帳からそらさなきゃ。

 

「あ、あれね。二乃はピアスを開けるつもりよ」

 

「急だな。ていうか、あいつの性格ならもう開けてると思ってたわ」

 

「アンくん、わかってないな。二乃はああ見えて結構ピュアなんだよ」

 

「そんな感じは…ないこともないけど」

 

「アンジェ、心当たりあるみたい」

 

「えっ!?あるの?」

 

 どう言えばいいのか…。見たことがあるかもしれないけど、はっきり覚えてない。確か、花火大会の時…。

 

「ね、ね!教えてよ!天使さん!」

 

 この子、しつこいな…。お前のせいで思い出せなくなったじゃないか。

 あ、まだ続いてる。こうなったら奥の手だ!

 

「四葉、あの漫画どうだった?」

 

 お、動揺した。

 

「えっと…その…あ、あれね…」

 

「何の漫画?」

 

「三玖!」

 

 三女が食いついた!よし、そのまま押しつけて、私はそっと…。

 

「ね、四葉、どんな内容の漫画?」

 

「いや、三玖にはまだ早いっていうか…」

 

「私は四葉より姉なのに?」

 

「そうだった!」

 

 アホでよかった。

 

「あの、一花!」

 

「。。。なに?」

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

「。。。なんだっけ」

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

「ははははははははははは!」

 

 笑った!?え!?笑った!?今ので!?

 

「なんで笑っているの!?」

 

「だってアンくんが。。。」

 

 私なにか面白いこと言ったか、お腹をおさるほどで!?真剣に考えているのにコヤツは。。。

 

「もしかして、揶揄っている」

 

「そんなことないよ、ただアンくんがあの時以来ずっと私にいたいことあって必死で、でも肝心な時。。。ははははははは!」

 

 あったってるが、ムカつく!

 

「あのな。。。ん」

 

 強い言い方をするつもりだったが、一花の微笑ましい笑顔を見て、なんかどうでもよくなった。今まで私は一体なにを伝いがったんだろ。別にいいだろ厨二くらい。いや、よく考えれば私あの時なんのためにあんならしくない行いをしたのだ。自分がカッコいいだと示す為?むしろ格好悪いね。いや、ダサい。丸ごとな。

 

「でも私は。。。」

 

 コイツのためじゃないか。

 

「大好き」

 

 可愛くて、美人で、微笑ましくて。

 

「私もだ、好き」

 

 中野一花を笑顔のままでいたい。

 

「「「え」」」

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

「「え」」

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

 。。。

 

「いや!言葉の文でね!」

 

「言葉の文!」

 

「そう!でもそうでもない」

 

「どっちなんですか!」

 

 やっべええええええええ、うっかりとんでもない具体性のないセリフ吐いちゃったよ!

 

「告白ですか!こんな突然に天使さんが!あのねとら。。。んんんん!」

 

 四葉の口を手で塞いだ。

 

「おっとそれ以上言わせないよ!」

 

「あのねみんな!私はそういう意味で言ったわけじゃ!」

 

「あんたらなにやってんの」

 

 馬鹿騒ぎに紛れていつの間にか蝶々が寝室からでた。上を向くと太郎が満足しそうにそこで眺めていた。

 

「一花、これ返すわ」

 

「もういいの」

 

「よく考えたら焦る必要はなかったわ、お預けね。すくなくとも、花嫁衣裳を着るまでにあけられればいいわ。それよりもあんたらなに遊んでるの」

 

「いや、これは。。。」

 

「天使さんがえる。。。んんん!」

 

「よしよし、ステーイ、ステーイ、ステーイ」

 

 いい子、いい子、そこで黙ってて、頼むから。

 

「まあ、いいわ。みんな見て見て、この写真」

 

「わあ、懐かしい、これいつの?」

 

「確か京都に行った時の」

 

「五人そろって可愛い」

 

 小さい頃の写真家。

 

「私も見たい!」

 

 こいつ力強、さすが運動部活する人が違う。

 

「済んだのか?」

 

「いや」

 

「なにやってんだお前」

 

「そっちこそどうなんだ」

 

「ああ、無事に取り戻された。ちょっと見られたけどな」

 

「え、それ大丈夫やつなの」

 

「大丈夫、半分しか見てないから」

 

「あ、悪ガキの方か」

 

「悪かったな悪ガキな方で。しかしよかったのか、ほっといて」

 

「いいのよ、なんか考え続けると馬鹿らしくなっちゃってな。それに彼女たちがこんなでいられて何よりだな」

 

 私の言葉を否定しない太郎が頷いた。

 

「アンくんも来て、ほら可愛いのよ」

 

「ちょっと一花」

 

「いいじゃない、お姉ちゃんだから」

 

 いわいうる姉の特権か、暴君!でも写真アルバムは見させてもらう。五つ子は幼体時一体どんな姿と習性を。。。

 この時は私はとんでもない事実を知ってしまいました。この写真で写っている彼女たちのひとりがまさか太郎が生徒手帳に隠せられた写真の娘と同じであること。結論にいたって一花、蝶々、三女、四葉、五月さん。この五人の中に太郎の初恋の人がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。