五等分の花嫁・あなたと共に過ごした記憶 作:angelika
ピンポンパンポン
「はい、授業終わり。皆今日の授業の内容を忘れんようにちゃんと復習してこいよ。特にお前だ天使。ちゃんとジャンプ主人公の気持ちをわかってくれよ。以上、解散」
やっと終わった。だるい、頭痛い、授業の情報量多すぎて爆発しそう。つかこの先生なんでジャンプで授業してるんだよ、まともな内容はなかっただろうが。
なんでこの主人公は常に女の子を事故って破廉恥な体勢になるの;
なんでこの主人公は変なものを食ったら進化するの;
なんでこの主人公はいつまで果てのない海へ冒険するの;
わかんねよ、面白いけどわかんねよ。ていうかジャンプをこの作品に持ちこんな!ここはマガジンだぞ!(多分よく詳しくないけど)。
「アンくんこの後予定ある」
「一花、まあ、図書館によるつもりだけどね」
「え!見た目はクタクタなのにまだ勉強するの?!」
「いや、違うんだ。図書館に寄ってちょっと休むつもりだ」
「図書館で休みって、ちょっと図書委員に失礼かな。図書館はみんなと勉強するところだよ。それに直接に返ってダメなの?」
「頭がやられて歩けない、ふらふらする。一花、膝枕して」
「えええ!前にアンくんがみんなの前では嫌って言わなかった?」
「覚えてないもん」
「。。。車にいる時からですけど、アンくんってもしかして、疲れると甘やかしを欲するタイプ?」
「知らない」
「。。。心配だな」
「一花って!なにごと」
「四葉」
「天使さんどうしたんですか。魂魄が抜けたようになりましたよ」
「ちょっと疲れたようで。四葉、手に持っているのはなに」
「これですか。さっき三玖とバッタリあってね、くれたんです。なんか暗い顔してたけど。抹茶ソウダと書いている」
「なんか変な飲み物だけど、まあ良いとして。それアンくんにくれないかな」
「もちろん構いませんよ」
「ほら、アンくんお茶よ。これ飲んで元気になって」
ゴクゴク ゴクゴク
。。。
。。。
。。。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
美味しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいほどではないが、復活!
「やっぱり頭を使った後は糖分で補給するのは一番だな」
「大袈裟な叫びだったけど、元気になってなによりよ。帰れそう」
「まだふらふらするけど、しばらくしたら帰れそうかな」
「それはよかったじゃ私は帰るね」
「お、四葉は?」
「私は部活ですね」
そうか部活か。
説明しよう。部活とは放課後の活動であり、生徒たちは己の所属にしている部によってそれぞれの青春を謳歌する。これも日本の独特の文化の一部である。学界によれば日本はこの制度のおかげで学生の素質は他国よりも高い。高いけど世界大会はほぼ辿り着けない、これはおかしな現象である。
「天使さんやっぱり休み?」
「ちょっくら散歩しに行って、後で帰るわ。じゃな、四葉に一花」
「「じゃな」ね」
私はその場を去った。
「へええい」
「あれ銀八先生、どうしたんですか、教室に戻って?」
「いや、さっき糖分のチャージ音が聞こえたんだけど」
「先生、耳大丈夫ですか」
一花と四葉が離れたあと、あることが頭をよぎった。今朝の太郎のあの問題、結局正解は何だったんだろう。毛利元就と戦ったのって、秀吉じゃなかったっけ? 他に誰かいたのかな。。。
戦国時代は、確か応仁の乱から始まって、尾張の織田信長が台頭して、やがて京の都で将軍を人質に取り、四方の大名たちに戦いを挑んでいった。でもその後、明智光秀が本能寺の変を起こして……そういえば、その後すぐに秀吉が光秀を討ったんだっけ?うーん、そのあと何があったか、詳しくはあまり覚えていないな。応仁の乱から始まり、大阪夏の陣で終結するんだよな。その間には、有名な武将たちがたくさんいたけど――厳島の戦いには、秀吉じゃなくて。。。誰が戦ったんだ?
「陶晴賢」
ん?
考え込んでいると、背後から女の子の声が聞こえた。振り返ると、中野三女だった。なんだかちょっと怒ってる……? 私、何か悪いこと言ったかな。
「豊臣秀吉と戦ったのは毛利元就じゃなくて、その孫の毛利輝元だよ。覚えて」
「お……お、おう。教えてくれてありがとう。勉強になったよ。」
勢いよく言い切った三玖。歴史にはかなりこだわりがあるらしい。
「正確に言えば、戦ったのは“織田家と毛利家”ね。ただし、明確な記録は少ないけど、最も信憑性が高いのは、当時、織田信長が将軍・足利義昭を追放したこと。それによって義昭は西本願寺に助けを求め、信長を討つよう働きかけたの。信長に敗北はありえないように思えるけど、相手は仏教界の頂点。しかも本願寺が一言声を上げれば、一国の民が奮い立つのも不思議じゃない。実際、その通りになった。この戦いで、西本願寺は織田信長を追い詰め、信長包囲網が完成した。その中には毛利氏も加わっていたという説もあるけど……私は少し疑問がある。というのも、当時、毛利家と織田家はむしろ友好的な関係だった。でも、何らかの理由でその関係が壊れた。そして毛利家が本願寺側についたとされている。ただそれもおかしいとおもう。だって、毛利家が敵対していた尼子氏って、将軍家とかなり深い関係があったから……。」
。。。
。。。
。。。
。。。
止まった。早口で戦国時代の歴史を語っていた中野三女は、突然沈黙した。
私がショックを受けたのと同じように、彼女も自分の行動に驚いたようだった。顔を赤く染め、その場を足早に去っていった。
「誰にも言わないで。じゃあね。」
頭が真っ白になった。。。今の、本当に中野姉妹の一人か?五人それぞれ個性は違っていても、全員そろって勉強に対する興味は薄い。。。はず。なのに、これは完全に異例だ。これは、なんというか。。。そう、オタクだ。いや、ちょっと違うな。オタクってのは、アニメとかゲームの分野の話だし。。。じゃあ、何だっけ。。。ん?
歩きながら考えているうちに、ふと気がつくと図書室の前に立っていた。
「ここで調べてみるか。。。ちょうど、俺も戦国時代に興味あるし。」
そう思い、私は図書室に入り、歴史関係の棚へと向かった。戦国時代に関する書籍を探してみたのだが――妙なことに、戦国関係の本が見つからない。どうなってんだ?そうやって探している途中、思いがけない宝物を掘り当てた――。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
これは!私の大好きなあの西洋古典書!あの偉大なる彼の地の言語の生まれ父と呼ばれた!あの偉大なる偉人の著者だ!名付けて三世界の旅人!略して三旅(嘘です、そんな略ありません)!あの恋愛ストーカー詩人と並べる偉大なるお方!それが日本版にいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!脳が震えるうううううううううう!
おっと失敬。私としたことがついつい興奮してしまって。失礼しました。
読みたい!読みたいですが!今は用事が。ここで読んだら半端者になっちゃう!どうしよう!
「あのすみません、図書室で静かにしてもらいませんか。今は。。。」
「はい、すみませんお騒げしまいまして。。。」
あ、太郎だ。
「確保!」
「いやあああああああああああああ!」
「とったぞもう逃さねぞ!観念しろ!ほら前のテストきっちり説明してもらう」
「いやああああ!無理矢理されちゃうううううう!」
さっき騒がしい言った人が猪突的に我をメチャクチャされました。
シクシク(冗談)
しばらくして図書委員さんに注意された。
ええええ、この度わたくしの誤解をお招き発言に。。。本当に。。。お騒げしてすみませんでした。
「たく、お前ってやつ。なんでもっと優しくやらないかね?」
「さっき誤解を招く発言に謝ったような」
「語彙の少なささだ。気にしないで」
「きにするは!だらか赤点なんだよ!」
「すみません。そんなことより太郎、お前なんでこんなに歴史な本を山みたいに詰まっているのだ」
「。。。それは。。。いろいろあってな。。。」
なに!?なにそのラヴレターを受け取ったけど誤解だって顔は!めっちゃウケるだけど!
「実は三玖ことなんですが」
。。。太郎の言葉によると中野三女は戦国武将に興味があって、そして私もあの思い出せなかった単語をしった。いわば彼女は歴女である。
だからそんなに戦国の経緯を詳しかったか。なんか中野血統にしてわ意外だな。つうか。
「この恋文みたいな伝い方めっちゃおもろいわ」
「文度の低い人がそう言うか」
「すまんすまん、しかしこれは好機ではないか」
「俺もそう思う。このチャンスを使ってあいつに近づく、それから敵陣に入れば残りのものを一望打尽にする」
「ほほ、太郎よ、おぬしやっと猛略というものを学んだの」
「いえいえ、それほどでは」
私は悪巧みを仕掛けるように微笑んでいた。
「そうだアン、これ見て」
太郎は一枚の紙を出した。
これは五姉妹のテスト結果か。
「昨日はこいつらの自宅でテストを配って実力を測ろうと思ったが、結果見事に見事に100点が!」
はい?!いや。。。だって。
「全員合わせたらな」
びっくりしたわい!
「元々赤点候補だけ勉強をするつもりだったが、まさか。。。」
「まさか全員平均にいたならなかったとはおもいもしませんでしたか」
太郎は絶望と驚きを隠せないまま私の答えに頷く。
「まあ、ほらあいつらもあいつらに頑張りがたがあるんじゃないか」
「どこがだよ!」
「まあ、そんなに叫ぶな血圧が上がる。冗談はそっちに置いて、これだけの情報を集めて今後は楽になるかもしれないな」
「あ、テストの問い合わせを見ればこいつらは一つも被っていない。ということは」
この度、太郎と私は中野三女と接触した。その結果、彼女が戦国武将好きであるという、非常に有利な情報を得た。もう一つ注目すべき点は、五姉妹のテスト結果が一つとして被っていなかったということ。つまり、もしそれぞれの得意分野を補い合えば、合計で100点になる可能性がある。。。理屈の上では、だが。だが「協力」という言葉は、彼女たちにはあまりに遠いものに思える。少なくとも、勉強に関しては。今までの様子を見る限り、「一緒に学ぶ」より「一緒にサボる」の方がはるかに多かった。それを改善するのはかなり難しい。しかも、この難問に立ち向かう家庭教師はよりにもよって太郎だ。
私の知る限り、こいつは人間関係が致命的に下手である。それは蛆虫でも分かるレベルだ。正直、この辺りはかなり心配だ。彼は今、いろんなものを背負いすぎている。勉強に、借金。さらに、妹・らいはの笑顔を守るため、体を壊す勢いで無理をしている。もし、五人が協力できれば救いになるだろう――でも、私には関係ない。
これは太郎に与えられた任務だ。私が口を出すべきことではない。
。。。
「ん?なんだ私の顔になんかついてるのか」
「。。。いや、なんでも」
「そっか。じゃ私はこれで、また明日」
「あ、また明日」
。。。
。。。
チラ
。。。
。。。
チラ
。。。
。。。
「やっぱなにか話したいことがあるんだろ」
「。。。別に。。。」
「いや、ツンツンしないで言ってみ。ツッコまないから」
「なんでツッコむ前提なんだ。。。まあ、言いたいことがあるのは間違いはない。ただ今はやめとく」
「勿体ぶるな。。。そこまで話したくないならいいけどでは失礼します」
たく、太郎ったら。
頑張れよ。
私は太郎と別れたあと、廊下を歩いている途中で、ふと窓の外に目を向けた。グラウンドでは、まだ部活動をしている人たちの姿が見えた。
こんなに遅い時間になっても、まだ運動しているなんてすごいな。私のいた場所には部活動なんてなかった。そもそも、そういう概念そのものが存在していなかった。でも、体育の授業ではみんなと一緒にバレーボールをしていたことがある。バレー、つまりボールを使う方のやつだ。ダンスじゃない。ここ、間違えてはいけない。
あれ? 体育館にいるのは四葉じゃないか。
気になって、私はそのまま彼女のところに向かった。
「あれ? 天使さんじゃないですか。まだ帰ってなかったんですか」
「ちょうど帰るところだったけど、バレーしてる人が見えたからな。見に来たんだ。もう終わったのか」
「はい、さっき終わったところです。今は片付け中です」
「一人でか?」
「はい、みんなの分も私がやってまして」
「大丈夫か。それって、いじめとかじゃないよな?」
「違いますよ、そんなことはありません。日本では、先輩のあと片付けは後輩がやるものなんです」
「そうなのか」
確かに、日本では後輩が先輩に敬意を払う文化があることは知っている。でもこういう場面を見ると、めんどくさがりな上司の代わりに部下が後始末をしているようにしか見えない。まあ、本人が納得してやっているなら、口を出すことでもないか。
。。。
。。。
。。。
あ、やっぱ手伝うわ。
「ちょっと!天使さん!」
「二人で片付けるのが早いだろ。はいよう終わって家で飯を食っていこう」
「出た!青春ラブコメあるある展開!あ!もしかしてこれから私と天使さんがあんなことやこんなことされちゃうかも!」
「なにってあんなことやこんなことって、はしたないことはしないからね!」
「しないですか!」
「したいの!」
望んでるのか!こんな展開!
私はお互い無駄話を交わすものの気づいたら日が暮れちゃった。
「思ったより遅かったな」
「はは、二人でやると結構遅いね」
「それは四葉が少女漫画展開をするでしょう」
「やぁぁ、最近そういうのはまっていましてですね。天使さんも漫画を読むですか?」
「もちろんよ」
「どの種類の漫画を読んでるのですか?」
「勝利努力友情の漫画です」
「ジャンプですか」
「熱い漢の戦い」
「やっぱ男の子はこういうの好きですね」
「あと少女漫画とか」
「あ!意外!天使さんってこういうの読むんだ」
「乙女たちが青春を満喫するとか、かるたにボットするとか」
「いいですね、私も好きですそういうの」
「百合漫画とか」
「えええへへええ!でもそれはそれでいいかも。。。ってなんてもの読んでるですか!」
「いいのよ百合は禁断の愛なんだよ。こういうのが味がでるんだよ!」
「はい!わかります!。。。わかるようなわからないような。。。なにこの胸の中にある曖昧な感じ」
「やおい漫画も捨て難いな」
「ブウウウウウウウウ!」
「ちなみに百合と同じ感じで」
「そんな感じで読んでるですか」
「あと棚の上にとっておきの宝がある、欲しいか?」
「とっておき。。。因みに内容は?」
「あんずるな、人生の良い経験だ」
「不安ですけど」
私たち読んでる漫画の情報を提供し楽しく感想を交換した。
こういうのいいですね。自分の好みのもの相手に引かれずちゃんとおけ取ってくれる人とは、仲間感ありますね。
「そういえば四葉、英語の宿題そのあとどうなったんだ」
。。。答えがない。
「まあ、そんなに気にする必要はないよ、ほら私だって。。。」
ガンーーーー
「自分で言って勝手に落ち込んだ!すごい!」
「すごくないわい、別に全部間違えてない」
「おおお」
「十問一正解です」
「ゼロに近い!」
「一を舐めんじゃないぞ!一だぞ!ナンバーワンだぞ!」
「あれとはこれとは別の話です!現実に戻って!」
やべ、これも太郎にバレたらどんなことを言われるか。
「やっぱ天使さんは私とお揃いだね」
「言い返す言葉もない」
「ははは、なんか安心した」
ん? なんだ、いつものハイテンションが消えてるな。どうした? 疲れたのか?大丈夫、大丈夫。あんたのアパートはもうすぐそこだよ。ほら、家に帰って、腹いっぱい食べて、ぐっすり寝なさい。
「ねぇ、天使さん。。。成績が悪い人って、このままでいいのかな。もしかして。。。逃げちゃっても、いいのかな。だって、頑張っても良くならないし……諦めてもいいのかな」
。。。
。。。
「。。。成績なんざ、大したもんでもねぇよ。見ろ、この私だって英語は下手くそだ。でも、痛くも痒くもねぇ。気にするだけ、損だよ」
「でも! 点数がこんなに低かったら、先生にも迷惑かかるし。。。友達にもバカだって思われるし。。。引かれちゃうし。。。何より、一花や二乃、三玖、五月。。。そして、上杉さんにも。。。」
。。。
。。。
今まで見たことのない四葉の表情だった。あのいつも笑ってる子が、こんな顔をするなんて。目には涙がにじんで、声も震えている。心のどこかが、ぎゅっと締めつけられる気がした。
私は無言でカバンの中をごそごそと探り、ある紙を取り出して差し出した。
「四葉、これを見ろ」
「え? ……これ、テスト?」
「そ。数学のな」
「……え? 自慢ですか?落ち込んでる 女の子に。。。」
彼女が点数を見た瞬間、目を丸くした。
「……うそ。四十六点……赤点ギリギリ……」
私の顔を見上げる。
「勘違いすんなよ。私は別に数学が苦手なんて、一ことも言ってねぇぞ。でも、ここで大事なのは点数じゃない」
私はまっすぐ四葉を見た。
「中野四葉。問う。これを見て、どう思う?」
彼女はしばらく黙ったままだった。でもその表情は、答えを探しているようだった。なぜこんな点数だったのか。何を伝えたいのか。それを、真剣に考えている。
「これはな、私が初めて太郎と一緒に勉強した時の結果だ」
「えぇぇぇ!? じゃあ……上杉さんと勉強したらバカになるってこと!?」
「違うわ! てか、お前は最初から点が低いだろ!」
「そ、そうでしたーっ!」
なにドヤ顔してんだよ……!
でも、さっき泣いてたお前よりは、こっちの四葉の方が、やっぱしっくりくるな。
「違うんだ、四葉。よく聞け」
私は、少し間を置いて、続けた。
彼女の表情が、少しずつ、いつもの四葉に戻っていくのがわかった。
これはな、私が日本に来て初めて国語のテストを受けた時の話だ。当時の私は、自信満々で言っていたんだ。「私、日本人より日本語うまいんだぜ!」ってな。そして結果は。。。零点だった。
もちろん数学とか理科はほぼ満点だったけどな。ただ、自慢げに言った後の結果だったから、正直かなり恥ずかしかった。
そのときだ、太郎と出会ったのは。
彼は理系が得意な留学生がいるって聞いて、息を切らせながら走ってきて、開口一番にこう言ったんだ。「あんただろ、理系全般で100点取った留学生って!」って。
最初は「なにこいつ」と思ったさ。顔をじろじろ見てくるから、「なに見てんだこのやろう」って、つい口に出た。でも、彼は真顔で「お願いします、勉強を教えてください」って言ってきたんだ。
上杉風太郎といえば、学園中でも有名な変わり者。でも、まさかあんな形で出会うとは思わなかった。
私は困ったよ。国語で零点取った私が、他人に勉強を教えるなんて…おこがましいって思った。だから断った。でも、彼が返してきた言葉が――
「まぁ、そうでしょうね。こんな日本語でコミュニケーションもまともに取れない奴に、教えることなんてないか。あーあ、残念だな。数学はできるのに、言葉を交わせないなんて。日本語喋るの嫌いなんだろうな」
。。。完全に挑発だった。でも、ムカついたんだよ。
「おい!私のこと、蛆虫で根性なしで臆病な主人公の二番手って言いたいのかよ!」
「いや、そこまでは言ってない」
でも、私には聞き逃せなかった。私を蛆虫って言ってもいい、根性なしって言ってもいい。でも――日本語を侮辱するのは許さない。
気づけば私は、彼に勉強を教えていた。そしてその代わり、彼から文系科目を教わった。その結果、数日後のテストで私は文系で平均以上の点数を取った。
「これはその“代償”さ。人間はな、何でもできるわけじゃない。完璧じゃないからこそ、必要なときに必要なものを、乗り越えればいい」
「でも私…天使さんみたいにうまくできないよ」
「四葉、お前はスポーツが好きなんだろ?だったら、今はそれだけでいいじゃないか」
「。。。いいの?それで」
「ああ、いいさ。私が理系の中で“数学と相対するもの”を見つけたように、お前もスポーツの中で、自分の何かを見つければいいさ。もしかしたら、練習の合間に英単語を覚えちゃったりしてな」
。。。
まだ四葉の表情は不安げだった。言葉が喉でつかえてるような顔。
私は静かに言った。
「漫画のセリフを借りるなら、こうだ。
人間が恐れるものは、この世に二つある。――死と、恥。
死を乗り越えるのは、バカのすること。
でもな、恥を乗り越える奴を、俺は笑わねぇ。むしろ、そういう奴が好きだ」
私のこの、大好きなサムライ漫画のセリフに、四葉がようやく笑った。
「ははっ、それ知ってる!ジャンプのやつだよね!」
「ああ、私に“サムライとはなにか”を教えてくれた漫画だ」
「なんか…安心した」
「それはよかった」
「。。。でも長々話してたけど、正直、一つも意味わかんなかったよ」
「はぁ!?お前なあ!」
「でも、気持ちは伝わったよ。天使さんが言いたいこと、ここにある」
そう言って四葉は、自分の胸を指差した。
なんか。。。照れるな。
「天使さん、ありがとう!あ、あとおすすめの漫画、明日貸してね!約束だよ!」
「おう、四葉が読む漫画、楽しみにしてるぞ!」
。。。行っちゃった。
さて、あとは――
皆さま、この度は私と太郎の出会いを長々と語ってしまい、申し訳ありませんでした。え?なぜって?決まってるでしょ。
文系が苦手すぎて、本題から完全に逸れてました!
。。。
。。。
。。。
――今、ちゃんと謝ったので再開します!
せーの!
漫画友達、できちゃった。