不肖、ワタクシ千歳鷲介があなたに語るのは、たとえばこんなメルヘン-
これは以前、にじふぁんに投稿していたものです。
え-と、まー、どーでもいいことなんですけどー。
七夕って知ってますよね?
そう、年に一回彦星様と織姫様が出会うってやつです。
実はこれ元々は中国の節句らしくて日本には奈良時代に伝わったらしいですが、今のように短冊に願い事を書いて竹に飾るってことが広がったのはどうやら江戸時代のようです。
街中でもよく店頭とかに置かれていますよね。
それを見ると今年も七夕が来たんだなーって実感させられます。
でも、何も願い事を書くってことだけが七夕ではないと思うんですよ。
こう星空を見てひと時の安らぎを感じることも七夕の楽しみ方じゃないんでしょうか。
ね、ほら、見てください?
どーです。綺麗でしょ、この満天の星空。
もう手を伸ばせば届きそうなほどでしょ。
ええ、さすがです。
柳原から少し離れたところにある星空が綺麗に見えることで有名な八木山。
素晴らしい。
街中では見ることのできないようなかわいらしい光を放っている星もここなら見ることもできます。
光の大きさや色はそれぞれ異なりますけど、それが集まることによってすばらしい芸術作品を作り出しています。
いやあ、星空って本当にいいものですね。
あっ、でもそれよりも綺麗なものっていったら俺のすぐ隣にいるんですよ。
えっ? 何かって?
そういや、紹介がまだでしたね。
では、そちらの方に視線を移してみましょうか。
「うわー、綺麗・・・・・・」
そう、綺麗と言ったらもちろん俺のバイト先の『アレキサンダー』の専属トレーナー兼彼女の玉泉日和子(たまいずみひよこ)さんです!
いやー、いつもバイト先や学校で見ている制服姿とは違い、今日は私服姿なんでいつもとは違う印象を与えてくれます。
もちろんいい意味で、ですが。
それに、最近何かと忙しかったもので・・・・・・。
だから、あまりこんなふうに二人きりになれなかったことも関係しているのでしょうか。
今日の俺には日和子さんがいつもより数段輝いて見えます。
「どうしたんですか鷲介さん? こっちをじっと見て」
彼女はこちらの視線に気が付いて、俺の顔を不思議そうに覗き込んできました。
「いえ、別に特にってわけじゃないですけど・・・・・・。今日も綺麗だなーと思いまして。 日和子さんが」
「!? い、いきなり何を言い出すんですか! 鷲介さん、馬鹿じゃないですか!」
日和子さんは恥ずかしさのせいか顔をそむけて向こうの方に行ってしまいました。
あはは、照れちゃって。 かわいいなーもう。
「って、ちょ、待って! 置いて行かないで!」
「鷲介さん、馬鹿じゃないですか!」
「二回も言われた!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「本当に綺麗ですね鷲介さん」
「ええ、全くです」
本当に綺麗です、ってか綺麗すぎます。 星空もですがあなたも。
先ほどよりも夜がだいぶ更けてきて、さらにいっそう星の輝きが目立つようになりました。
そして、それを見つめる日和子さんも微かな光に照らされて神秘的な雰囲気を漂わせています。
あぁ、もう少しここにいたいなー。
しかし、時間も時間なだけにそろそろ帰らないといけません。
日和子さんの親御さんが心配されますからね。
かといって、このままで帰るつもりもありません。
実は今日はこのワタクシ千歳鷲介、日和子さんのためにあるものを買ってきたのです!
これをプレゼントするためにここに連れてきたといっても過言ではありません。
聞いた話、七夕というのは台湾ではどうやらバレンタインデーのように男女がプレゼントを交換する日のようです。
今回はそれを真似てみました。
あっ、最初に言っておきますがダイヤの指輪なんて高価なものではありませんよ。
まだ結婚できるような状態ではありませんし、何より金銭的な面で・・・・・・。
で、でも、これはこれで愛しの彼女のために頑張りましたよ!
ええ、本当です!
「鷲介さん」
ふいに日和子さんが私を呼ぶ声が聞こえてきました。
「はい。 なんでしょうか」
「こんないいものを見させていただけてうれしいです。 本当にありがとうございます」
にっこりと微笑んで心底嬉しそうに話す日和子さん。
や、ヤバすぎです。 あまりにもかわいすぎます。
俺の理性のライフエナジーがかなり削られてしまいました。
恐るべき日和子さん!
でも、このタイミングでしょうね。
例のものを渡すのは。
俺はグッと熱く拳を固めました。
「日和子さん」
「何ですか?」
「実は渡したいものがあるんです」
「えっ?」
俺はポケットに手を持っていき、用意していたものを取り出しました。
そして、彼女に手渡します。
「あ、ありがとうございます。 えーと、その・・・・・・開けてみてもいいですか?」
「ええ、もちろん」
そう言って日和子さんは包みのふたをしているシールを外し、中身を確認しました。
「あっ・・・・・・」
日和子さんは心底驚いた顔をしていました。
ふふふっ、サプライズ成功ですね。
それは前回のデートの時、欲しそうに眺めていたヘアピンでした。
星をモチーフにしその上に少しラメがのったもので、失礼ながらこういうところはやっぱり女の子なんだなーって思いました。
いやだってね、いつも日和子さんシンプル・イズ・ザ・ベストってところがあるんですよ。
そう思ったって仕方ないでしょ?
まぁ、だからこそ時折見せる年相応のかわいらしさに胸がときめいてしまうんですけどね。
「どうでしたか?プレゼント」
「ええ・・・・・・とてもうれしいです」
顔を少し赤らめながらはにかむ日和子さん。
正直可愛いです。
「今つけてもいいですか?」
「ぜひとも!」
彼女は私の許可をもらうと体を背けてトイレのほうへ向かって行きました。
楽しみですねー。
あなたもそうですよね?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「鷲介さん」
ぼんやりと星を眺めていると待ちに待っていた人から声がかけられました。
ついに感動の御対面ですね。
俺は期待に胸を膨らませながら振り返りました。
「どすか?」
彼女は恥ずかしそうに俯きながら尋ねてきました。
そんなもの買ったときから答えは決まっていましたが、俺はそんな日和子さんを見て彼女は抱きしめたいという衝動に駆られました。
「ほ、ほ、ほほほ・・・・・・」
「ほ?」
「惚れ直すにも程がある!」
「えええっ!」
俺は彼女を引き寄せて強く抱きしめました。
「すごく似合ってます」
「ほ、本当ですか?」
いつも凛々しさがにじみ出ている日和子さんですが、胸の中にいる彼女はヘアピンの影響もあり乙女な雰囲気が出ていました。
なんともいえないかわいさです。
マーベラス。 素晴らしい。
「えへへ、嬉しいです」
安心したように表情がフニャッと緩んでいる彼女もなかなかです。
「あっ・・・・・・でも私、鷲介さんにあげるもの何もないです」
途端にシュンとなる日和子さん。
そんな彼女を見かねて俺は優しく声をかけます。
「いいんですよ、日和子さん。 俺が好きでやったことですし。 それに俺は日和子さんがいてくれるだけで満足ですし」
「ダメです。 それでは私の気がおさまりません」
キッパリとそう口にする日和子さん。
やっぱり真面目というか、なんというか。
でも、そんなところが彼女のいいところなんですよねー。
「えーと、どうしようかな・・・・・・そうだ!」
悩んでいた日和子さんでいたが何か思いついたようで、俺から少し距離をとりました。
そして、周りを気にするように目を忙しそうに動かして、また顔を俺に向けました。
その瞳は何やら強い決意に満ちあふれたものでした。
「鷲介さん。目を閉じてくれませんか?」
「目、ですか?」
「はい」
「? 分かりました」
言われたとおりに目を閉じました。
彼女は何をするつもりなのでしょうか。
チュッ―
「へっ?」
「今日のお礼です」
そういうと彼女は逃げるように離れて行ってしまいました。
・・・・・・今のはキスですよね。
って、えぇ!! 嘘!?あの日和子さんが!? 自分から!?
あのものすごく恥ずかしがり屋さんの日和子さんが自分からキスなんて!!
俺は高まった気持ちを落ち着かせるために夜空を見上げました。
暗闇の中で、星たちはまるで祝福しているかのように光り輝いています。
きっと彦星様と織姫様も温かい眼差しを向けてくれていることでしょう。
いえ、そう願いたいところです。
俺はフッと髪を上に吹き上げました。
さて、落ち着いてきたようなので彼女を追いかけるとしますか。
そんなことを考えていると、楽しそうな声が聞こえてきました。
「鷲介さん何してるんですかー。 馬鹿じゃないですかー?」
「二度あることは三度ある!!」
それではまた。
機会があれば。
どうでしたか?
楽しんでいただけたのなら幸いです。
今回は以前書いていた俺つば小説の一つをあげました。
俺つばは大好きなので、また機会があれば書きたいですね(笑)
好きなキャラはもちろん鷲介です。