ウマ娘 VS モンハン in 異世界   作:大中小太郎

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モンスターVSスタンピード(後編)

 

 

『『ッッッッッ!!』』

 

300体のサハギンが雪崩れ込み、咆哮を上げたモンスターが前進する。

 

緒戦はガランゴルムの岩石投げからだった。

豪腕を地面に突き刺したガランゴルムが、その腕を振り上げると、土砂混じりの岩塊が放られる。

都合良く岩石があったわけではない。

ガランゴルムの分泌する体肥液が土砂をまとめ上げ、一塊にしたのだ。

 

『ッ!?』

 

土塊はサハギンの一頭に命中、勢いを失わず、後続を巻き込んで転がる。

水中生物であるサハギンには投擲武器への備えがない。ただ突き進むだけだった。

しかし、サハギンたちは数が多い。

ガランゴルムたちの岩石投げでは、到底その数を削りきれない。

ガランゴルムはまだしも、他のモンスターたちは囲まれる。

そこから先は、木偶の坊が多勢に無勢で蹂躙されるのみ――

 

――そんなはずが、なかった。

 

『ッッッ!!』

 

蛮顎竜アンジャナフが、突撃する。

 

巨体に相応の長いストロークで坂道を駆け下り、サハギン群の先頭へ到達すると、頭を低くして、振り上げる。

頭突き上げ、とでも呼ぼうか。

蛮顎の呼び名に違わぬ強靱な顎で、それに続く全身で、十匹近いサハギンを宙へ叩き上げる。

岩に波が衝突して飛沫に変わるような光景だった。

 

『――ッ!?』

 

周辺のサハギンが思わず脚を止めて、太陽を隠すアンジャナフの頭部を見上げた。

アンジャナフ――執拗なる暴れん坊、巨体で獰猛で火を噴く、実に竜らしい竜。

その猛進の犠牲が、サハギン十匹で済むはずもない。

 

『ッッッッッ!!』

 

踊り狂うように、顎を振り上げながら、アンジャナフが進む。

頭部を振り上げる度に、片手では数え切れないサハギンが吹き飛ばされる。

一歩ごとに踏み潰される、振られた尻尾で骨肉を砕かれる。

仕上げとばかりに――アンジャナフが旋回。

横に振り回された尾が、棘を生やす先端で、十匹ほどのサハギンを引き裂きながら弾き飛ばす。

飛ばされたサハギンは横側の一団に投石のごとく落下、被害を拡大させた。

 

『――――ッッッ!!』

 

咆哮を上げるアンジャナフ。

その背部に格納されていた、翼のような皮膜が二枚、扇状に展開する。

鼻部にも似た拡張が起きて、アンジャナフの姿を、より白亜紀の恐竜めいたものに一変させた。

目の届く位置にいたサハギンが、思わず足を止め、手にした銛を震わせる。

……踵を返して逃げる猶予は、与えられなかった。

 

多勢に無勢? 愚かなり。

多勢ではなく烏合の衆、無勢ではなく一騎当千、鎧袖一触とはこういうことを言う。

魔法などおまじない、火や雷などおまけ、銀の剣など物語のオモチャ。

デカくて、強くて、早くて、槍でも銃でも止まらない――そういう化け物が猛進してくること。

人それを、モンスターと呼ぶ。

 

『ッッッ!!』

 

アオアシラの突進が、サハギンたちを飛散させる。

ロアルドロスの群が行進して、同様の被害を、より広い横幅でもたらしていく。

ヨツミワドウの巨体がサハギンの銛ごと骨肉を砕き、ドスフロギィの群が食い荒らす。

 

『ッッッッッ!!』

 

岩を投げていたガランゴルムも突進、坂上から跳躍して、手足を打ち付けながら着地した。

命中したサハギンは踏み潰され、直撃を免れたサハギンも衝撃で宙を舞う。

他のガランゴルムも同様に、圧倒的なパワーの差を見せつけた。

 

人間でも一対一なら勝てるサハギンが、モンスターと白兵戦になって勝てる要素などなかった。

それでもサハギンは果敢に飛びかかり、モンスターたちの巨体に乗って銛を突き落とす。

一部のサハギンは敢闘を見せ、外殻がない部位に傷を残す。

蟻のように集るサハギンと、幾度も弾き飛ばす巨獣たち。

 

巨体の衝突音、骨砕く音、悲鳴と咆哮――正に阿鼻叫喚である。

 

タマとオグリたちは、ベースキャンプの防壁上から、そのような光景を見ていた。

 

「モンスターが圧倒してますが、サハギンの数がまだ増えています。とてもじゃないですが勝敗が読めません」

 

アイリスが戦況予測に関して投了する。

恐らく、この魔大陸の誰にも、それは不可能だった。

そもそもこの魔大陸自体が、『出入りする海流によって世界が異なる』という特異地帯なのだ。

その異なる世界の生き物である『モンスター』と『魔物』、その勝敗など占えない。

 

「それでも、二つの世界に通暁しているのが、お前ら若手の強みなんだ。このキャンプ地の危険だけでも予想を立てろ」

 

教官ハンターが難題を命じる。

タマとオグリには、状況を静観するしかない。ウマ娘の脚が出る幕ではなかった。

そしてアイリスとリコリスは、顔を見合わせると頷きあう。

 

「リコリスさん、サハギンという魔物の攻撃手段は!?」

「銛で突き刺す以外だと、口から酸性の毒液を吐くことね。あのモンスターの外殻なら平気でしょうけど、スタンピード中のモンスターは死兵よ。ともすれば最後の一匹まで戦い続けるくらいに。それに、アーマードクラブにはモンスターも手を焼くと思う」

「だとすれば……」

 

アイリスが顎に手を沿えて思考する。

 

「モンスターが撃退に成功したなら、こちらから刺激しない限り縄張りに戻るでしょう。逆にモンスターが撃退に成功せず、数で磨り潰される展開になった場合、スタンピードの猛威がこのキャンプ地に及ぶ可能性があります」

「サハギンは『略奪』を行う程度の頭がある。漁村や港町がその対象だけど、このキャンプ地も『お宝がある』と見なされるかもしれないわね」

「であれば、このキャンプがサハギンに囲まれた場合も、諸共にモンスターの攻撃対象とされるかもしれません」

 

アイリスとリコリスの会話を聞いて、教官ハンターが指揮を執る。

 

「バリスタ準備! 近付いてきたものにのみ対処する!」

 

あの合戦がこちらに飛び火してきたときに備え、ハンターたちがキャンプ内を走る。

 

「アイリスとリコリスは引き続き戦況を注視しろ」

「はい!」「ええ」

「アイルー部隊、キャンプが囲まれたときに備え退路の確保! 地下脱出路からサブキャンプまでの経路を索敵! サブキャンプの部隊に状況を伝えて対応させろ!」

「「「ニャーッ!!」」」

「タマモクロス、オグリキャップは矢弾などの運搬を頼む!」

「おう!」「分かった!」

 

タマとオグリも指示を受けて、バリスタに使うらしい矢が入った木箱を、防壁上まで運搬する役目を担う。

ウマ娘には向いた役目であり、タマとオグリにバリスタを扱う技術がないが故の割り振りだった。

 

「なんやなんや! 朝から妖怪大戦争やないか!」

「これがゲームなら、イベントというやつなのか?」

「分からん! どっちにせよすることせなあかん!」

 

タマとオグリは指示された場所から、バリスタの矢が入った木箱をどっさり手に取る。

近くで見ていたハンターが唖然とするくらいの量だ。

 

「なあオグリ、素朴な疑問なんやけど……」

「なんだ?」

「ウチら……『ゲームオーバー』になったら、どうなるんやろな?」

 

これまで言葉にしなかったことだ。

いわゆる『ゲームからログアウトできなくなった状態』の自分たち。

そのHPがゼロになったら? この体はどうなる?

モンスターハンターというゲームのシステム上、『三乙』まではクエスト失敗にならず、なっても生きて帰還できる。

しかしそれは、『このような状況』になったタマたちにも、ちゃんと当てはまるのか?

 

「分からない。試す気もない」

「せやな!」

 

タマとオグリは栓のない話を止めて、キャンプ防衛のために走る。

状況がどうあれ、ウマ娘が走るなら、目指すは勝利あるのみだ。

 

 

 

 

仲間たちが防衛のために動く中で、アイリスは望遠鏡から目を離さない。

多少の顰蹙(ひんしゅく)を買おうとも、調査員としてこの現象を見逃せない。

そういうものだと分かっているハンターたちも、アイリスの観察と記録を邪魔しなかった。

 

「見る限り、モンスターにとってサハギンはものの数じゃない。

 問題はアーマードクラブ、パワーとスピードはモンスターに劣らないわ」

 

リコリスがアイリスの隣に立ち、いつでも弓を引けるようにしながら語る。

サハギンたちが戦車のように連れてきた、真っ赤な巨大カニについてだ。

 

「ダイミョウサザミに近い? いや、骨格からしてカニとも異なる。どちらかというと蜘蛛に近い。 ハサミと外殻を持った巨大な海の蜘蛛が、カニと誤解されたもの?」

 

アイリスが独白する。

アーマードクラブが、ハサミを開いて、サソリのように突撃する。

直進する動きは、やはりアシタカグモなどが昆虫を狩る動きに似ている。

 

「アオアシラと、激突します!」

 

最初に激突したのはアオアシラだった。

立ち上がり威嚇するアオアシラに、アーマードクラブのハサミが左右同時に突き込まれる。

うち一本はアオアシラの振るった腕に弾かれたが、もう一本が片腕を捉えた。

アオアシラの強靱な腕は、折れも切られもしなかったが、引き抜けない。

熊と蟹の取っ組み合いが発生――アオアシラの爪に、アーマードクラブの甲殻は耐えている。

次の瞬間、もう片方のハサミがアオアシラの片足を挟む。

すると――

 

「持ち上げた!?」

 

アオアシラの巨体が、アーマードクラブに、高く持ち上げられた。

そして、叩き落とす。

下にいたサハギンが巻き添えになったが、アオアシラは明確なダメージを受けた。

 

『ッッッ!?』

 

追撃を掛けようとしたアーマードクラブが――ヨツミワドウの突進に弾かれた。

ヨツミワドウの重量に対しては、巨体といえどもカニでは軽すぎたらしい。

物理の必定として軽い方が押し負けて、アーマードクラブが後退する。

 

「ヨツミワドウがアオアシラを助けた!? 普段は縄張り争いで相撲を取っているのに! 偶然!? それともこの場に限り味方と認識している!? これは生態学上、極めて貴重な」

「調査員! うるさいぞ!!」

 

興奮して記録を取るアイリスに、近くのハンターが苦情を送った。

アイリスは耳に入れず、モンスターと魔物の合戦に目を凝らす。

 

――魔物とモンスター、強いのはどちらか。

 

魔物を狩ってきた冒険者たちが、モンスターには圧倒されることから、不等式を錯覚する者もいる。

しかし『冒険者がモンスターに苦戦しているから、魔物がモンスターより弱い』は誤りだ。

冒険者の武器と魔法は対魔物用、別種の生き物であるモンスターは専門外である。

同様にハンターはモンスター専門、魔物を相手には『物理縛り』となる。

狩人と冒険者は異業種であるから、物差しにはならない。

 

――では、モンスターと魔物の正面衝突だったら?

 

結論、フィジカル勝負である。

魔法を操るような魔物や、古龍のようなものは、ここにはいない。

よって、純然たる肉体と生態により、原始的な闘争に、勝敗は委ねられる。

 

『ッッッッッ!!』

 

ガランゴルムが、アーマードクラブと激突する。

 

アーマードクラブの鋏前脚は、水中でも素早い。

海水の抵抗力を受けてなお早いということは、それだけパワーがあるということ。

その動きはシャコなどが貝を砕くときのパンチにも似ていた。

 

ガランゴルムの豪腕が――それと正面からぶつかる。

 

「足を止めて殴り合い!?」

 

一発では終わらない。

ガランゴルムが両腕を振るい、アーマードクラブが左右の鋏を突く。

そのたびに、破城槌が正面衝突するような轟音が、戦場に轟いた。

周囲に風圧すら巻き起こし、サハギンたちが身を引いていく。

 

変化は――ハサミが腕を噛んだ瞬間に訪れた。

アーマードクラブが、ガランゴルムに飛びかかる。

ハサミを腕や足に噛ませて、他の脚でも絡み付く。

すると口から『泡』を大量に吐き出し、ガランゴルムの顔面に至近距離で浴びせかけた。

 

「泡っ!?」

「あのカニは強力な酸の泡を吐くの! およそ生き物なら大抵は溶かせるようなのをね!」

 

ガランゴルムはアーマードクラブともみ合いになり、サハギンを巻き込んで地面を何度か転がる。

それでもアーマードクラブは、ハサミと脚でがっちりと食いつき、ガランゴルムを逃がさない。

泡を浴びたガランゴルムの顔面部は、酸によって白煙を立てていた。

 

「あの距離の取っ組み合いになると、ガランゴルムの豪腕が活かせない……っ!」

 

アイリスはそう見立てたが、内心それでは決まらないだろうと思っていた。

モンスター側がサハギンを撃退してくれた方がマシなので、少し贔屓目になっている。

それでも、アイリスの予想は、ただの期待では終わらない。

 

『ッッッッッ!!』

 

ガランゴルムは、右の豪腕を地面に突き立てた。

体肥液が土中に染み渡り、独自の反応を起こして変質を招く。

 

――引き抜かれた右腕は、灼熱の溶岩に覆われていた。

 

「熱でカニを焼くつもり?」

「いえ、あの動きは――」

 

ガランゴルムは、その腕を再び地面に叩き付ける。

すると――爆発。

その衝撃を利用して、ガランゴルムの体が空高く舞い上がる。

体にしがみつくアーマードクラブごと、サハギンたちが唖然として見上げる高さまで。

アーマードクラブの重さで体が傾いたせいか、ぐるぐると横回転しながら。

上昇が頂点に達したとき、ガランゴルムはアーマードクラブを掴み直して下に向け、回転しながら落下する。

その出来事を、人間の技に当てはめるとすれば――

 

錐揉み回転脳天杭打ち(スクリューパイルドライバー)ぁ!?」

 

――墜落する。

地面へ抉り込むように、墜落と同時に踏み潰した。

落下衝撃に巨獣の重量を上乗せされ、アーマードクラブの甲殻が割れ、脚が数本折れた。

泡を吹いて体液を零すアーマードクラブの上から……ガランゴルムがゆっくり立ち上がる。

 

『――ッッッッッ!!』

 

自らの勝利を物語るように、灼熱の豪腕を地面に突いて、咆哮を上げた。

 

「これはすごい! 爆発を利用したハイジャンプは以前から確認されていましたが、組み合った敵ごと舞い上がって、落下と全体重で押し潰した! 甲殻類の硬さと軽さを肌で感じ取るなり、最適な必殺技をその場で編み出した!! 流石は無垢なる巨影! 王域三公は伊達じゃない!!」

「それ必要か!? その実況は学術的に必要なのか!?」

 

防壁の縁を拳で連打するアイリスに、バリスタを構えたハンターが問いかける。

 

「ウォーハンマーを操るドワーフの戦士でも、一撃では仕留められないのに……」

 

リコリスが、ガランゴルムの勝利に目を丸くしている。

ガランゴルムというより、モンスターという生き物の強靱さに対してだ。

 

「そちらの世界のハンターは……あんなのと戦ってるの?」

 

他を見れば、アンジャナフの足下では、炎で焼かれて動かなくなったアーマードクラブがいる。

別の場所では、ロアルドロスの群に左右の脚を食い千切られた、無惨なカニの骸がある。

ドスフロギィの毒液に塗れて動かなくなるものもいれば、アオアシラに目を食いちぎられて逃げるカニも見て取れた。

 

サハギンスタンピードのうち、モンスターに対抗できそうな戦力であるアーマードクラブは、ほぼ全滅。残るサハギンが闘志を失わなくても、モンスターの優勢に見える。

しかし――

 

「……水を差すようで済まないが、海を見てみろ」

 

教官ハンターが〈灰色の浜〉を見て、冷や汗を掻いていた。

 

海は広大である。

少なくともこの魔大陸よりは広い。

そこに大量発生したサハギンが、たった300体で終わるとは限らない。

 

「か……海岸線から、更に多数のサハギン! 総数……()()()()()()()()!!

 アーマードクラブも多数確認!」

 

望遠鏡で確認したアイリスの叫びは、ハンターたちを驚愕させた。

彼らハンターが普段戦うモンスターは、強大ではあるが一体か二体で済むことが多い。

それが四桁と聞いたら、もはや人間同士の戦争を思わせる。

アイリスも同様に、静かな津波の如く浜を侵食するサハギンの大群に、息を呑んでいた。

 

「そちらの世界の冒険者は、あんなのと戦ってるんですか……?」

「流石に、これほどの規模は前代未聞よ……」

 

リコリスは歯噛みしながら、弓に矢を番える。

モンスターたちはもちろん、このベースキャンプが無事に済む見通しが、一気に暗くなってきた。

 

――まるで戦争、まるで自然災害。

モンスターにせよ魔物にせよ、それは自然界の生き物たちだ。

それが、古代人の大戦争のように、大規模な衝突を演じている。

原始的な猛獣や巨獣たちが行う、原初的な闘争が、まるで天災めいた規模で。

気候や地殻運動ではない――生き物たちによる大災害だった。

 

町に住む時間が長すぎて、人類は忘れがちだ。

この地上は――等しく野生の世界、弱肉強食がデフォルトルール。

町や国といった『人間の巣』がそれを免れているだけで、ベースはそういうものなのだ。

モンスターパニック映画で、人外の猛威に悲鳴を上げて逃げ惑う人間たち――我らが生きる環境は本来ああいうもの。

 

人よ驕るなかれ、地上の覇者は、舞台の主役は、我々ではない。

千の魔物、蹴散らす巨獣、その激突の中において、人など端役もいいところ。

 

なぜならこの世界は――モンスターが生きている世界なのだから。

 

 

 

 

================

――〈渓流森林〉サブキャンプ――

================

 

〈灰色の浜〉から大量の魔物が上陸した。

この報せは、ガルクに乗ったアイルーの伝令により、最寄りのキャンプ地に届けられた。

 

スタンピードは、ハンターたちにとってほぼ未知の事態だ。

しかし冒険者が知る限りを伝えたことで状況を把握、自分たちの窮地を理解する。

 

「救援部隊を編成! 調査員と重要物資は東側の拠点に避難する!」

「このキャンプ地のハンターは多くありません。戦力の振り分けはどうしますか?」

「……救援部隊は最小限! 他は調査員と物資の護衛に割く!」

 

現状、ハンターたちの大方針は『魔大陸の調査』だ。

主役はむしろ調査員や研究員、採取したサンプルや記録であり、ハンターはその護衛である。

よって数はそちらに回す。ベースキャンプ救援に多くは割けない。

 

「せめて腕利きを救援に回す。ベースキャンプの退路を作り、あちらの戦力と合流して間に合わせる他にない!」

 

難しい選択をしたハンターに、他の人員も頷いた。

 

――そんな話を、一人の少女が耳にしていた。

獣人族の一種と思しき、縦長の耳と長い尾を持つ、見慣れない出で立ちの少女だった。

 

「その話、ちょっと詳しく聞かせてもらえる?」

 

声を掛けられたハンターは、その子に普通の獣人とは異なる気配を感じた。

 

「少なくとも、とびっきり足の速いハンターなら、手を貸してあげられるけど?」

 

 




ご一読いただきありがとうございました。

ザンギエフの魂が降りてきたガランゴルム、
ライバル愛を見せるアオアシラとヨツミワドウでした。

なお、リコリスとアイリスは、本当に理子と葵のそっくりさんで、
現実世界の理子と葵とは何の関係もありません。
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