テンプレ36:さよ救済
テンプレ37:木乃香強化
みんな大好きエヴァちゃん
*吸血鬼の過去*
ここは麻帆良学園本校女子中等部、1-Aの教室である。原作メンバーが集う2-Aおよび3-Aとなるクラスでもある。
さて、基本的な原作での3-Aのメンバーは、1-Aに入っているのだが少しおかしなことになっているようだ。
まず、吸血鬼で初期のボスを務めていたはずの、金髪の少女で有名なエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが教室にいない。
つまり、学生として学校へ通っていないことになる。
だが、エヴァンジェリンの棲家は”原作”と変わらずあのログハウスである。
ただし、エヴァンジェリンがここにいるのは、ナギに封印されたからではない。
単純に依頼だったりするのだが、その依頼主こそがアルカディア帝国の皇帝なのだ。
そもそも、なぜそのようなことになっているのか、それは彼女の過去から説明しなくてはならない。
…… …… ……
エヴァンジェリンがアルカディアの皇帝と出会ったのは、かれこれ500年ほど前のこと。
エヴァンジェリンが吸血鬼となってしまい、100年ぐらい過ごしたある日のことだった。
突然その男は彼女の前に現れて、ほんと突然変なことを言い出した。
「おめぇ、よえーな。俺の国へ来いよ」
エヴァンジェリンは警戒したが、弱いといわれて頭にきた。
しかし彼女がなぜ警戒したのか。
それは転生者のせいでもあった。
エヴァンジェリンを狙う転生者は多数存在し、謎の好意を寄せてくるのだ。
それがエヴァンジェリンとしては、あまり気持ちのいいものではなかった。
時代が時代だけに精神をすり削るというのに、エヴァンジェリンはそれのせいで、さらに精神が追い詰められていた。
そこへ、この知らぬ男が”俺の国へ来い”なんて言えば当然警戒するだろう。
しかし、それ以外にも”弱い”などといわれれば頭にくるものだ。
100年は吸血鬼をやってきたエヴァンジェリンは、その年月の間にある程度強くなり、自信がついてきたころなのだ。
そんな時に弱いなどと、今のエヴァンジェリンにはとても許しがたいことだった。
「私が……弱いだと……? ふざけるのも……大概にするんだな……!」
「やんのかい? いいぜぇ? じゃあ、俺が勝ったら、俺の国に来てもらうぜ」
「……ならば、私が勝ったら、そのまま潔く死ね!」
すさまじい魔法合戦だったが、結果を言えば皇帝が勝った。
地力が違いすぎるのだ。
エヴァンジェリンは魔法を独学で必死に覚えただろうが皇帝はしっかりとした基礎の元、戦っているのだから当然であった。
また、皇帝の”弱い”とは、エヴァンジェリンが考えた”弱い”と少し違うのだ。
皇帝は”立場”や”精神状態”のことを言っていたのだが、エヴァンジェリンは単純に”戦闘能力”で考えたのだ。
敗北のショックを隠しきれないエヴァンジェリンは、そのままアルカディア帝国へ連れて行かれた。
だが、その帝国について最初に言われたことは、普通では考えられないことだった。
「おめぇ、アリアドネー行ってこい。しっかり魔法の基礎を習って来いや」
「はあああ!?」
アリアドネーは学業を積む意思があるのなら、死神すらも受け入れるというほどの場所だ。
エヴァンジェリンの魔法は現段階で独学のみだった。
それ以外も理由があるのだが、とりあえずアリアドネーで勉学に励め、というものだった。
皇帝がアルカディア帝国の封書とともに、エヴァンジェリンをアリアドネーに送り、たまに連絡をよこせ、程度に注意したあと、さっさと帰って行ったのだ。
流石のエヴァンジェリンも、これはひどいと思った。
完全にアリアドネーに丸投げである。
最初はしぶしぶと魔法の勉学に励むエヴァンジェリンであったが、周りとの空気がめっぽう合わなかったのだ。
なぜならエヴァンジェリンは吸血鬼であり、周りから疎まれる存在だったからだ。
だが、エヴァンジェリンはそのほうがよいと思っていた。
しかし、エヴァンジェリンが真面目に勉学に励む姿を見て周りの彼女への評価が変わってきたのだった。
エヴァンジェリンは基本的に好戦的ではない。
襲ってくる相手に対して仕方なく戦うことがあっても、自ら暴れようとするような性格ではなかった。
そのため、アリアドネーでも特に問題を起こすことは無かったのだ。
さらに言えば、エヴァンジェリンは誰もが思うような美少女と呼べる存在である。
彼女が吸血鬼であろうとも、問題を起こさずひたすら勉学を励んでいれば、恐れられていた理由も無くなっていくというものだ。
極悪な吸血鬼だなんだと噂されても近くで彼女の素行を見ていれば、最終的には気にするほどのことでもなくなるのだ。
何故かいつの間にか人気者と化していたエヴァンジェリンは、どうしてこうなったと嘆いていた。
しかし、なぜエヴァンジェリンが脱走や逃亡をしなかったかというと、単純にどこへ逃げても追っ手に追われる日々に戻るだけだからだ。
だから脱走するよりも、この場にとどまり安全に暮らしたほうがよいと考えたのだ。
いつの頃からかエヴァンジェリンは、いつのまにか魔法の技術を身につけることを楽しむようになった。
”原作”でもエヴァンジェリンは魔法の開発に余念が無かった。
”闇の魔法”を10年かけて開発したり、多くの魔法の技術を習得するほどであった。
それは、戦闘だけではなく研究者肌の吸血鬼ということでもあった。
エヴァンジェリンはこのアリアドネーでの生活に、不満を感じなくなっていったのだ。
さらにいつの間にか、多くの友人を囲うようになっていた。
そしてエヴァンジェリンは、元々高い能力を持っていた。
生きるために培われた戦闘技術と、高い吸血鬼の能力だ。
その能力を生かし騎士団へと入り、功績を残していった。
しかし、ここでエヴァンジェリンはとても歯がゆい思いをした。
自分は吸血鬼でありどれほどの攻撃を受けようとも、簡単に再生し戦闘続行できる力があった。
だが、周りの仲間たちは違う。
自分以外のものたちは怪我をすれば治療が必要になり、死にかけることもあった。
また、エヴァンジェリンは吸血鬼であり、回復系をまったく得意としていなかった。
だから、傷つく仲間の前に立ち、盾となって戦うしかできなかったのだ。
彼女はそれが、許せなくなっていった。
エヴァンジェリンは怪我して倒れていく仲間を、どうにかしたいと考え始めていた。
そこで考えたのは、怪我が治らないならば、仲間が自分のように再生しないなら、そうさせればよいと言うものだった。
誰もが自分と同じとは行かないものの、ある程度の傷を自動的に治療する魔法を研究したのだ。
されど、エヴァンジェリンはそこで高い壁に衝突することになる。
エヴァンジェリンは真祖の吸血鬼であり、回復系の魔法は非常に苦手だったのだ。
何せエヴァンジェリンは闇の魔力が強い上に、自己再生能力がベラボーに高い吸血鬼。
試そうとしても勝手に傷が塞がってしまうし、魔法属性の影響で回復魔法を習得するのも難易度がアホみたいに高かったからだ。
それでも仲間のため、友人のためと、諦めずに協力者を集って研究に明け暮れた。
寝ずに研究室に引きこもることもザラだった。
研究が暗礁に乗り上げて頭を悩ませることなんてしょっちゅうだった。
そんなエベレストを無酸素単独登頂するぐらいの努力と苦労の末に完成させたのが”リジェネート”の治癒魔法だった。
術を発動し魔法との契約執行中ならば、自動的に魔力を使用し傷を癒してくれるという画期的な治癒魔法であった。
それは治療魔法の革命と言えるものだった。
エヴァンジェリンは、その治癒魔法をアリアドネーに献上すると教授となった。
研究チームも栄誉を称えられ、勲章を授与された上に独立部門として扱われるようになった。
そして、治癒魔法や能力上昇系の魔法を研究しながらも、騎士団で勇敢に立ち向かうエヴァンジェリンがいた。
さらに、魔法を研究し、多くの魔法を開発していったエヴァンジェリンは、教授として教える側に回ることになることも多くなった。
また、魔法世界の住人は、基本的に長寿だったりするため、エヴァンジェリンとともに時間をすごせるものが多かった。
そんな感じで100年ほどアリアドネーで過ごした後、アルカディア帝国に戻っていった。
アルカディア帝国へと戻ったエヴァンジェリンは、皇帝と喧嘩したり、魔法を共同で開発したりもした。
”闇の魔法”もその一つとなった。
”原作”だと10年かけたが、こちらでは1年ぐらいで完成させた。
共同だったこともあるが、アリアドネーで魔法を学習し、研究していたのも大きかった。
だが、この”闇の魔法”はすさまじいものだったが、エヴァンジェリンは”欠陥魔法”と切り捨てた。
彼女の考え方はもうすでに、研究者のそれだった。
発展性はあっても汎用性がない、”闇の魔法”を自分専用でしかない、誰も使えない欠陥魔法としてしまったのだ。
だからこそ、エヴァンジェリンは誰もがある程度平等に使える新たな魔法を開発に取り組むことにしたのだ。
それで、開発した新魔法をエヴァンジェリンがアリアドネーに献上したら、その功績が称えられ名誉教授にまでなってしまったのだった。
そして300年間は友人の死を見送りつつ、新たな友人と魔法研究をしたり新魔法の開発に着手したりと、研究漬けの日々をすごしていた。
その後エヴァンジェリンは引きこもりすぎて世間知らずだったので、それはヤバイと感じて旅に出ることにし世界をいろいろ回ったのだ。
魔法世界ではアリアドネーで有名人になったので、賞金もあるようでない状態だった。だが、追っ手や転生者は必ず居るもので、エヴァンジェリンは開発した、”自分の事の部分の記憶を封印して忘れさせる”魔法を使って、適当にあしらっていった。
途中、日本で合気柔術を学んだり、日本の風景が気に入ったりと、退屈しない日々を過ごした。
そしてエヴァンジェリンは、紅き翼の連中となんだかんだで知り合いとなったりと、基本的に大きく”原作”と差はないようだ。
魔法世界で紅き翼と出会い、魔法世界で有名だったせいかジャック・ラカンに目を付けられ賭けをした戦闘を行ったり、アルビレオに変態的な衣装を着せられそうになった。
しかし、紅き翼のリーダー、ナギを追いかけたりはしなかった。
エヴァンジェリンは日本の各地を転々としながら、地味に溜めた金で作成した魔法球内で魔法を開発したりと、こそこそと生きていた。
と、突如そこにエヴァンジェリン宛に、皇帝からの依頼があった。
その内容がまたとても適当でひどく『”物語”が始まるから、とりあえず麻帆良に行ってクレヨン』というものだった。
意味がわからず頭にきたが、まあ恩もある程度あるし、近くにいるので行ってやるか程度に考えた。
麻帆良でもエヴァンジェリンの名は有名だ。
悪しき名ならば、”闇の福音”が代表なのだが、良き名ならば”金の教授”が代表だった。
アリアドネーにて名誉教授まで上り詰め、治癒師としても高い評価を得ているエヴァンジェリン。
麻帆良の学園長、近衛近右衛門はそんなエヴァンジェリンを心から歓迎し、彼女はログハウスに住むことにしたのだ。
さて、そのエヴァンジェリンが今行っている仕事は、魔法生徒への魔法の指導と学園の夜の警備である。
魔法生徒へ自分の開発した魔法を教えつつ、暇なときはさらに魔法を研究し夜は警備員として戦う毎日を送っているのだった。
――― ――― ――― ――― ―――
*シャーマン少女と幽霊少女*
ここは麻帆良学園本校女子中等部、1年A組の教室。この室内の一角に、幽霊がなぜか在籍している。
その名は相坂さよ。
幽霊だからか色素が薄く、色白で長く伸ばした髪も水色をしている。
制服も古く、かざりっけの無い紺色のセーラー服を着ており、かれこれ60年ほど、この場所で自縛霊として生活している。
そんな幽霊の彼女だが基本的におとなしく、決して人を驚かそうなどとは考えない。
むしろ、幽霊だというのに、友人がほしいと望んでいるほどだ。
しかし彼女は幽霊としても存在感が薄く、退魔師や魔族のハーフですらほとんど気づかない存在であった。
”原作”では退治されそうになったところを、ネギに助けられ友人を作ることになる。
だがこの世界では、彼女を見ることができるシャーマンが、すでにこのクラスに存在した。
…… …… ……
関西呪術協会の長の娘、近衛木乃香。
木乃香は陰陽師の名門、赤蔵家のものである覇王と、その祖父の陽明の弟子として陰陽道を学び、さらにシャーマンとしての適正があったため、その力も伸ばしていた。
木乃香はこの教室に来て、微弱ながら幽霊の存在を感じ取り、その幽霊に話しかけたのだ。
「もしもしー、そちらさんはもしかしなくても、幽霊ですかえー?」
「……まさか、声をかけられてる?」
相坂さよは話しかけられたことに驚いたが、ずっと気がついてもらえなかったことで、気のせいだろうと勘違いしてしまい、それをスルーしてしまう。
「そ、そんなはず、ないですよねー」
「聞こえてへんのかなー、もしもーし」
クラスの人々は誰もいない場所に話をする木乃香に驚いていた。しかし、木乃香はそんなことなど気にすることなく、幽霊のさよへと声をかけているのだ。
そしてやはり、自分に話しかけているのだろうか、そう考えてさよは木乃香に返事をした。
「……もしかして、私が見えるんですか?」
「おー、やっと返事しとくれたー。気がついてくれへんのかとおもったわー」
必死に声をかけて正解だったと木乃香は思い、笑顔を見せた。
さよは幽霊としてまったく存在感のない自分を見て、声をかけてくれた木乃香に、涙目ながら笑顔で自己紹介をした。
「私、相坂さよって言います。かれこれ60年ほど、自縛霊をやってます!」
「ウチは近衛このかともーしますえ。60年も幽霊やっとるなんて、大変やなあー」
誰もいないはずの場所に話しかけている木乃香に、クラスメイトは驚き、流石におかしいと考え始めていた。
と、そこで声をかけたのが、ルームメイトとなったアスナだった。
「このか、何か見えるの?」
「アスナー、ここに幽霊がおるんやよ」
「ふーん……」
アスナは木乃香がすでにシャーマンであることを知っていたので、何か見えたか、居たかぐらい察することができた。
なぜそのことを知っていたかというと、木乃香の父親と友人である、アスナの親代わりのメトゥーナトから教えられていたのである。
木乃香の幽霊が居る発言を聞いて、クラスメイトは大声を上げて騒ぎ出した。
「今、幽霊って言わなかった……!?」
「マジ!?」
「うっそ? この教室いわくつき!?」
ガヤガヤと騒ぎ出したクラスメイトを放置し、どうして成仏できないのか、木乃香はさよに質問していた。
「どないして成仏せーへんの?」
「それが私にもさっぱり……」
なぜ成仏できないか、さよにもよくわからなかったようだ。
また、自縛霊とは本来前世にてやり残したことなどが心残りとなり、それが思念となって縛られた霊である。
最終的にはその思念が強くなりすぎて暴走し、自分の本来の姿すらも忘れてしまうものなのだ。
しかし、このさよは自縛霊と自らを称したが、それほど強い思念が存在しないようだった。
木乃香はその答えを聞くととても不思議に思ったが、それなら質問の仕方を変えて、今何がしたいかをさよに聞いてみた。
「さよちゃん、今やりたいことってなんかあるんかえ?」
「やりたいこと……。うーん、そうですね~」
さよは指を顎に当てながら、何がしたいのかを考えた。
そして答えが出たようで、頭から豆電球をだしながら、そうだという表情ではっきりと答えた。
「私、友達がほしいんです!」
「友達かー、それって幽霊の? それともクラスの?」
「クラスの友達です!」
さよは60年間、この教室付近に縛られながらも存在感が薄かった。
だから、誰にも気付かれなかったのだ。
そのため、幽霊というのもあるが、友人がいなかったのだ。
木乃香はそれを実現するために、協力をすると申し出た。
「よし、友達作るんなら、ウチが手伝ーたる! むしろ今から、ウチがさよちゃんの友達や!」
「私なんかの友達になってくれるんですか? すごく、うれしいですー! ……でも、どうやって友達を作るんですか?」
さよは幽霊で、誰にも見えない存在である。
だからどうやって、見えない自分がクラスの友人になれるのか、まったく見当がつかなかったのだ。
そこで木乃香は、そのやり方をざっくりと説明した。
「ウチはシャーマンや。シャーマンはあの世とこの世を結ぶものなんや。ししょーが言ーとったえー、成仏できへん幽霊の供養もシャーマンの仕事の一つやって!」
シャーマンはあの世とこの世を結ぶもの。成仏できない幽霊の悩みを聞き、それに答えて成仏させるのもシャーマンの仕事なのだ。
「だから憑依合体して、さよがいい幽霊ーってことをクラスのみんなに教えるんよ」
「シャーマン? 憑依合体!? 一体どうすればよいのでしょう!?」
「難しーことはせへんよ。ウチがさよちゃんを、ヒトダマモードにするだけや」
「人魂モード? ……よくわからないけど、お願いします!」
そしてヒトダマモードとは、等身大の幽霊から人魂のような姿へと変えることである。
そこで木乃香は一通り説明を終えると、幽霊のさよを手のひらで優しくなでた。
するとさよはヒトダマモードへと変化したのだ。
さらに、木乃香はヒトダマモードのさよを手のひらに乗せ、胸部付近へもって行き、こう発言した。
「憑依合体!!」
すると、さよの魂は木乃香の体に吸い込まれ一体化したのだ。そして、木乃香に大きな変化が現れた。
「あれ? これってこのかさんの体……!?」
憑依合体とは幽霊を自らの体へと取り込み、幽霊が持つ技術などを憑依者が体を使わせて再現するものである。
この場合、さよに木乃香が体を貸し、クラスに自己アピールさせようというものであった。
「みんなー、今ウチの体に、さっきの幽霊がおるんや。すごくかわいくていい子やから、ウチの体を貸して紹介するえー!」
その元気いっぱいな発言に、クラスメイトの大半は木乃香に注目していた。
そして木乃香はさよに体を受け渡し、自己紹介させた。さよIN木乃香は精一杯のアピールをするべく、笑顔でそれを答えた。
「わ、私は相坂さよって言います!60年ぐらいこの教室で幽霊やってます、よろしくお願いします!」
クラスメイトはさらに騒ぎ出していた。
本当に幽霊がいるのか、実はドッキリではないか。
いろんな予測が立てられたが、明らかに木乃香の口調が別人なのだ。
また、この1-Aのクラスはそういうものに敏感であり、お人よしが多かった。
だから、なんだかんだ言って、さよIN木乃香を受け入れたのだ。
そして、さよIN木乃香はクラスからの質問攻めに多少困りながらも、とても楽しいひと時を過ごすことができた。
さらにさよが、とてもいい人(幽霊)ということがクラスに伝わり、それなら友人になろうというクラスメイトが多数存在したのだ。
さよはそれにとても感動し、嬉し涙を流すのだった……。
そして、なんだかんだで人気者となったさよは、木乃香に感謝していた。
クラスのみんなに自分のことを知ってもらえて、さらに友人にまでなってもらったからだ。
そして、成仏する時になったのだが。
「これで満足して成仏できるんやないかな」
「はい、でも私、成仏しません」
なんとさよは強い意志で成仏を拒んだのだ。
どういう訳なのか、木乃香は驚いて理由を聞いた。
「さよちゃん、どないして成仏せへんの? 未練はもう、ないはずやろ?」
「私はこのかさんと一緒にいたいです!」
「それって、ウチの持霊になりたいってことなんかな?」
「持霊とかよくわかりませんが、それでもかまいません!」
持霊とは、シャーマンが友好を深めた霊を自らのパートナーにすることである。
憑依合体や、
しかし、なぜさよは突然木乃香と一緒にいたいなどと言い出したのか。
木乃香は不思議に思ったが、すぐにその答えが聞けた。
「このかさんは幽霊の私と友達になってくれました。さらに自分の体を使って、私に友達を作らせてくれました……。だから、このかさんに何か恩を返したいんです!」
なんてやさしい幽霊娘なのだろうか。
木乃香はそれを聞くと、まぶしい笑顔を見せその返答を述べた。
「ホンマにかー!? すんごくうれしーわー! 自分の力で持霊を得て、初めてシャーマンとして一人前やって、ししょーが言っとった。ウチはさよちゃんなら、大歓迎やえー!」
「ありがとうございます!私、これからも幽霊としてがんばります!」
「さよちゃん、これからもよろしゅーなー」
さよは木乃香の持霊となった。
そんな木乃香は覇王から教わった超・占事略決の力を使い、さよを自縛霊から精霊へと召し上げた。
さよは自縛霊としてあまり遠くへ行けずにいたのだが、学習机の精霊となり自由の身となったのだ。
そしてさよは、木乃香とともに女子寮へとついていったのだが、そこでとても驚いた。
なぜなら木乃香の部屋の前には、二体の鬼が居たのだから。
その鬼たちは何なのか、流石にさよは木乃香に説明を求めた。
「あ、あのー」
「ん? あー、前鬼と後鬼やな?この子たちはウチの味方や、ぜんぜん大丈夫やえー」
「あ、そうなんですか! 前鬼さん、後鬼さん、不束者ですがよろしくお願いします!」
さよは鬼たちが木乃香の味方だと聞くと、まるで嫁に来たかのように、深々と頭を下げて挨拶をしていた。
鬼たちもそれにあわせ、ペコリと頭を下げる。
そしてさよは、木乃香の部屋に入って行った。
しかし、今日の木乃香の行動力を垣間見た、ルームメイトであるアスナは、木乃香へ一言つぶやいたのであった。
「このか、アグレッシブすぎ……」
…… …… ……
持霊名:相坂さよ
人間霊(霊力:150)→学習机の精霊(霊力:17000)
媒介:今のところなし
魔法世界には骨とか悪魔っぽいのがいっぱい
吸血鬼の幼女なんて、恐ろしくもなんとも無いぜ
実は憑依合体がやりたかった
シャーマンキングといえばまず憑依合体でしょう