────墓守り人の宮殿、最奥部。
過去、アスナが捕らわれていた場所で、20年前にメトゥーナトが黄金の杖とアスナを交換してきた場所。
その黄金の杖は、周囲に金色の粒子を放ち強力な結界を生成しており、未だに破壊もされずに残されていた。
「問題はねぇようだな」
そこへ、静かに入ってきた一人の男が、黄金の杖を見て安堵の表情を浮かべる。
その男こそ、アルカディアの皇帝、ライトニング。
皇帝は金色の結界へと手をつっこみ、黄金の杖へと触れて、術式を展開。
音もなく杖の内部に仕組まれた術式を変更すると、手を放して静かに笑った。
「…………だいぶ時間がかかっちまった」
黄金の杖が再び発光し、無事に起動したのを見た皇帝は、ふと天井を見上げて一人つぶやく。
脳内には過去の回想が流れ、時の流れを思い返しながら表情を厳かなものへと変えていく。
「……だが、もうすぐだ。もうすぐ終わる……」
そして、再び黄金の杖へと目を向け、決意のこもった表情をする。
まずは、この魔法世界の魔力枯渇問題を、この戦いで終結させる気なのだ。
皇帝は誰もいない静かな部屋でそれをこぼした後、この場から姿を消して次の行動に移るのだった。
…… …… ……
墓守り人の宮殿内部中央の大部屋にて、一つの戦いの決着がつきそうになっていた。
影の武装を纏った大幹部
「これで終わりだッ!! ”零距離・全開!! ラカン・インパクト”オォッッ!!」
「グオオオオオォォォォォッッッ!!??」
ラカンはデュナミスのどてっぱらに気を目いっぱい溜めた拳をぶち込み、気を大放出する大技であるラカン・インパクトを叩き込む。
流石のデュナミスも巨大な悲鳴のような声を上げながら、宮殿の床をぶち抜いてラカンとともに落下していく。
「なんという力だ…………」
「ようやく拭き残しを一つ減らせたな!」
「グッ…………」
もはや勝負がついたのは一目見ればわかる状況だった。
デュナミスはラカンの今の攻撃にて上半身と下半身が分断され、戦闘形態を維持できずに解除されていたからだ。
ラカンもデュナミスとの戦いにて手傷を負っており、頭から血を流してはいるがまだまだ元気だ。
────デュナミスはラカンに負けるなど思っていなかった。
ラカンは所詮魔法世界の住人。ただの
そう、そのはずだった。
だと言うのに、ラカンにはそれが通用せず、殴り合いをすることになった。
この時点でデュナミスは精神が焦燥に支配され、完全に押し負けていたと言えるだろう。
それでもここまで戦えたのは、悪の大幹部としての矜持があったからに他ならない。
されど、バグ中のバグであるラカンには及ばず、こうして上半身だけを地面に転がしてしまったと言う訳だ。
これでようやく20年前に残してきた残骸を一つ片づけたとラカンが言えば、デュナミスは悔しそうに歯噛みするのだった。
…… …… ……
そして、こちらは同じく宮殿の上層部。
ディオとセプテムムが激戦を繰り広げた場所だ。
「フフフ…………」
「何がおかしい?」
セプテムムは体の中心に穴をあけて液体をまき散らし、空を眺めながら笑い出した。
ディオは突如として笑い出したセプテムムに、何か妙なものを感じて問いを出す。
「もう少し、ほんの少しお前の攻撃の位置が上だったら、この私の
「なに?」
「故に、まだやれることがあるということだ」
「何をする!? ザ・ワール…………グッ!?」
何故セプテムムが笑い出したのか。
それはまだ自分が
ディオのザ・ワールドの拳は、セプテムムの核をギリギリ避けて貫いていた。
それを聞いたディオは表情を焦りに変えれば、セプテムムが再び動き出す。
これはマズイと考えたディオは咄嗟にザ・ワールドを操るも、突如として背後から生えてきた影の槍に貫かれ、意識を一瞬そっちに持ってかれてしまったのである。
「
「貴様ッ!?」
「私は”闇”のアーウェルンクス。ただ闇の魔法を使うだけの存在ではない」
「何をする気だッ!?」
さらにセプテムムは自ら所有していた
流石のディオも一手遅れたが攻撃に移るも、影の
するとセプテムムはニヤリと笑いながら両手を掲げ、語りながら魔法を行使し始めた。
闇の属性のアーウェルンクスとしての能力とは、つまり闇の魔法を行使することだけを目的としている訳ではない。
闇なのだから別の魔法も当然支配できるのだと。
ディオはさらに焦った。
このままではマズイことになるのを直感したからだ。
「我が核と
「させるか!? ザ・ワールドッ!!」
ディオが咄嗟に叫んだ言葉に、セプテムムは律義に返す。
それはディオにとっても最悪の展開であった。
すぐさまディオはザ・ワールドで時間停止を試みようとしたが────。
「グッ?! ウグゥッ!?」
「すでに、もうすでに始まっているんだよ。もう遅い」
「グッ…………!」
周囲から影の槍が飛び出し、ディオの全身を貫いたのだ。
そう、セプテムムこんなに自分の行動をベラベラとしゃべったのは、すでに術が実行されていからだ。
ディオはすでに二手遅れていたのである。
「甘かったのはお前の方だ。残念だったな」
「グッグオオオオォォォッ!?」
セプテムムの体を闇が飲み込み、巨大な怪物の頭部の一部となる。
まるで十字にはりつけにされたような上半身だけを見せ、それ以外は全て闇にのまれていた。
さらにディオを貫いた影の闇が膨張し、巨大な手となってディオを圧縮する。
それをセプテムムは高い場所で眺めながら、嘲笑うかのようにしてディオをゆっくりと握りつぶしていく。
ディオはしてやられたと思いながらも、徐々に強まる圧力に耐えながら、この巨大な闇の怪物を倒す方法を考えるのであった。
…… …… ……
ここはディオがいる場所とは離れた宮殿の上層部。
ネギと小太郎が『フェイト』と戦い、今アスナが現れたところだ。
「馬鹿な……、何故…………。どうして…………」
『フェイト』は目を大きく見開いて、その先を見ていた。
それは突如として現れた、元気な姿のアスナだけではなかった。
「
──────『フェイト』がその眼で見た光景、それはこの宮殿にたたずむ栞の姉の姿だった。
「どうしてあの人が……?」
「知ってるの?」
「彼の……、フェイトさんの愛する人だと……」
ネギは忽然と現れた彼女を見て、何故ここに彼女が現れたのかと疑問に感じた。
彼女はあやかたちと同じく別の飛行船へ乗り込み、安全な場所で待機していたはずだからだ。
そこへアスナがネギに近づき、彼女のことを聞けば、以前フェイトから教えてもらったことを話した。
フェイトははっきりと、彼女との愛で自分の人生が変わったと言っていたと。
「ごめんなさい。でも、ちょっとした事故みたいなもので……」
「なっ……何が……? まさか、いつの間にか
何故かここに現れた栞の姉は、普段通りの様子を見せる。
ここに現れたのは事故と栞の姉は言葉にするが、実際はナッシュ一味の策略のせいだ。
ただ、説明するには長くなるので、あえて事故と言葉にしているに過ぎない。
されど『フェイト』はさらに動揺して焦りだし、周囲を警戒するような行動を見せた。
何故なら彼女がここに現れること自体が、ありえないことだからだ。
自分の記憶をもとに幻覚を見せられているのか、はたまた
「……あっ! 私がここにいるのは、確かに驚きますよね?」
「…………ちっ、違う……! そうじゃない……!! 何故君が……!! ────
「…………? 消えて……?」
とは言え、栞の姉は『フェイト』の言葉に、本来安全地帯で待機しているはずの自分が、ここにいることに驚いているのだと思っただけだった。
しかし、『フェイト』が驚いているのはそういうことではない。
『フェイト』にとっての彼女は、12年前のあの村の草原で、救済されて消えて行ってしまったはずだからだ。
確かによく見れば身長もその時よりも高いし、体つきも女性らしさが出ている。
それでも、たった数日の出会いだったが、彼女の顔は忘れたことはない。
なのに、まるで
栞の姉は12年前と消えたと言う言葉に、ふと反応した。
確かに、そうそれは確かに12年前、あの村で自分は死にかけて、命が消えそうになったのを覚えていたからだ。
「────大丈夫ですよ」
「…………!」
だから、栞の姉は『フェイト』へ近づき、そっと右手でフェイトの頬へと触れて、普段通りの柔らかい笑みを見せた。
そして、『フェイト』をまるで小さな子を安心させるかのように、静かに声をかけたのだ。
栞の姉に触れられた『フェイト』は、強い衝撃を受けてさらに驚きの顔を見せる。
ありえない。こんなにリアルな感触なんて、ありえない。
消えたはずの彼女が、自分の頬を優しく触れて、目の前で笑いかけている。
ただの幻想、ただの人形。そう思って戦い抜いてきたのに、彼女の手は、まるで本物のように暖かかった。
「大丈夫。私はここにいますよ……」
「────あぁ……っ」
栞の姉はそこでさらに、『フェイト』へと抱き着く。
前にデートした時のように、あの時のようにフェイトを安心させようと、そっと両手を背中へ回した。
その彼女の行動に『フェイト』は、何故か暖かい気持ちを感じていた。
懐かしい12年前のことを思い出しながら。初めて会った時に倒れそうになった自分を支えてくれた、この手を思い返しながら。
「…………あら? フェイトさん?」
すると、『フェイト』は栞の姉の胸に吸い込まれるように消えていき、完全に姿がなくなったのである。
栞の姉は、今抱き留めた『フェイト』がいなくなってることに驚き、自分の手をまじまじと見たあと、周囲を見渡していた。
「消えた……?」
「どないなっとんのや…………!?」
また、その光景を離れた場所から見ていたネギたちも、何が起こったのかわからずに驚くばかりだった。
「姉さん! 急に飛び出して何を!?」
「あっ、ごめんなさい! 今、ここにフェイトさんがいたから……」
「えっ? どこに……?」
「本当にいたの。今、ここに」
そこへ姉を追ってきた栞が現れて、突然飛び出していった姉を叱るように声を出す。
ただ、栞の姉は単純にここにフェイトの姿を見て、顔を合わせようと思っただけにすぎなかった。
とは言え、ここは危険地帯であり、夏美のアーティファクトで姿を消して移動中だった。
行動が軽率だったことは間違いないと思い、素直に謝ったのである。
しかし、すでにフェイトの姿はない。
一体何の話をしているのかわからない栞は、頭に????を浮かべて疑問に感じるだけ。
されど、栞の姉はそのフェイトに触れており、間違いなくここにいたのだと力説する。
「確かに先ほどまで、ここに彼がいました」
「意味わからへんけどな」
「一体何があったんでしょう……?」
栞の姉の説明を補足するように、ネギも『フェイト』がここにいたと話せば、その横で小太郎も、わからんと疲れた表情を見せる。
その言葉に栞は、姉が嘘をついていないことを理解し、逆にどうしてそうなったのかと言う疑問が増えた。
「うーん。どう言ったらいいのかな……。説明が難しくって……」
「何か知ってるんですか?」
「そうなんだけど……、全部わかった訳じゃないし……」
話を横で聞いていたアスナは、その問いの答えにどう答えたらよいかと、腕を組んで考えていた。
ネギは何か知ってそうなアスナへと話しかけると、なんとなく程度の認識しかないと、悩む様子を見せる。
「でも一言でいえば……、────この人のせいじゃない!?」
「なにぃっ!? ウグッ!?」
そんなアスナは、次の瞬間背後へと振り向き、その勢いのままにハマノツルギを真横に振り払えば、地面から出てきた男へとヒット。
あえて峰の部分で男をぶん殴ったアスナは、そのままハマノツルギをぶん回して男を吹き飛ばす。
「ば……バレていたのか…………!?」
「別に? 勘が当たっただけよ?」
「勘……!? チィ……! 腹立たしいが、ここは一旦退却するしかないなッ!!」
この突然現れた男こそ、D・4・Cの能力を貰った転生者だ。
男はひっそりと隙を伺い、再びアスナを”隣の世界”へ連れ込もうと画策していた。
それがバレて攻撃されたことに男が驚けば、アスナは勘で運良く当てただけで、むしろそれが当たってよかったと笑う。
まあ、自分を狙ってくるのは最初からわかっていたので、いつ襲ってきても大丈夫なように、常に周囲を警戒してはいたが。
自分の画策が阻止されたことに舌打ちをした男は、このままでは囲まれると考え、逃げることを選ぶ。
「逃がすわけないでしょ?」
「グガッ!?」
だが、アスナは当然男を逃がす気などない。
咸卦の気で強化された身体能力を駆使したアスナは、瞬時に男の前へと移動して蹴り上げて空中へと飛ばしたのだ。
アスナとしても、ここで逃して再び狙われ続けるのも危険だと考えていたので、逃がす訳にもいかない。その点に関しては必死だ。
「なにぃッ!? マズイ!? 空中では挟まることが……!?」
「手品のタネていうのはね、バレちゃあおしまいなのよ!」
「ギニャアァッッ!?」
この状況に男も大いに驚き焦るがすでに遅い。
アスナはすでに男が”
そして、空中で何度も高速でハマノツルギの峰を使って男をぶん殴り続ける。
男もD・4・Cにて防御するも間に合わず、最後は首の裏へと叩き込まれて気を失い、そのまま地面に転がったのであった。
「その人がアスナさんを隠した人ですか!?」
「そうよ。その犯人よ」
ネギは地面に転がった男を見て、この人が先ほどアスナが消えた原因なのかと驚きながら言えば、アスナはYESとはっきり答えた。
────そうだ。
アスナの予想した通り、このD・4・Cの能力を貰った転生者の男こそ、『フェイト』をこの世界に招いた張本人。
あの『フェイト』は原作のルートにもっとも近い存在のフェイトであり、過去に栞の姉を失い、ネギが闇の魔法を会得して何度も戦った世界線のフェイトだった。
だから栞の姉に抱擁されたことで”挟まれ”、元の世界へと帰って行ったのだ。
とは言え、この『フェイト』を探すのには男も大変苦労した。
そうでなければ、完全なる世界の一員として働いておらず、敵対させることができなかった。
”隣の世界”を何度も行き来して、ようやく見つかったのが、先ほどの『フェイト』なのだ。
ただ、苦労して探し出して連れてきた割には、その役目自体は雑なものであった。
誰かと敵対すればよいし、裏切った
「どうしますか?」
「この男はなんでもいいから”
「そうですか……」
ならばこの男は敵だと判断したネギは、束縛すべきかどうか悩んでアスナに質問する。
アスナは男の能力は”挟まれる”ことで発動するのを知っているので、束縛で体を包んだ時点で消えると考え、あえて何もしないことを選んだ。
ネギもアスナの説明に納得し、そうすることにしたのである。
「ところで、みんなどうしてこんなところに?」
「色々ありまして……」
と、気が付けば本来ならば安全地帯に避難していたはずの仲間たちが、その場に現れる。
アスナはここにいるはずがないと考えてそれを栞に聞けば、栞もどう説明するべきかと悩むしぐさを見せた。
「あの人たちは?」
「私たちを助けてくれた恩人だよ!」
また、ネギは仲間たちの中に見知らぬ男性が二人いるのを発見し、それをこぼすと、まき絵がその言葉に答えてくれた。
その人物たちとはササジマとライダーのことだ。
「自己紹介をさせてくれ。俺の名前はヴィガ・ササジマ。こっちは相棒のアキレウスだ。よろしくな!」
「紹介に上がったライダー・アキレウスだ。よろしく!」
「生徒を……、仲間たちを助けてくれて、ありがとうございます!」
自分のことを話題に出されたのを察したササジマは、その場で自ら名乗り出た。
転生者であり皇帝の盟友であるササジマと、特典で召喚したサーヴァント、ライダー・アキレウスだ。
ネギもそれを聞いて、お辞儀しながら礼を述べる。
まあ、サーヴァントと言うものを説明されているので、マジであのアキレウス!? と言う気持ちもあったりするが。
「私たちはいいんちょのアーティファクトで、
「えっ!? そんな能力のアーティファクトだったの!?」
「そのとおりですわ」
そして、自分たちが今何を目標にしているのかを、まき絵がネギたちへと説明すると、アスナが大きく反応した。
総督府にてハルナがネギたちに仮契約を命じたことを知ったアスナは、ネギの仮契約の相手があやかだったことも当然知っていた。
しかし、仮契約で得たアーティファクトの効果だけは知らなかった。
と言うのも、あやかも先ほど起動したのが初めてであり、能力は知っていたけどどういうものなのかは知らなかったのだから、当然他人が知る由もない。
「ちょっといいんちょ! 危ないことしないで!」
「それは……、そうですが……。ネギ先生たちのために、私たちも何かできることはないかと思いまして……」
「村上のアーティファクトなら敵に見つからないし、やれるとこまでやろうって話になったんだよ」
「そう…………」
ただ、アスナはそれ以上に、あやかが危険に首を突っ込んできたことに対して、少し怒った様子を見せた。
それは単純にあやかのことを心配してのことだ。
あやかもそれはわかっているので、若干申し訳なさそうな素振りを見せながらも、それでも自分たちも何かしたかったと言葉にする。
そこへ援護として和美が現れ作戦の概要を補足すると、アスナは納得した様子で一言だけ返事を返す。
「…………今更になるんだけど、空を見て」
「空……? なっ!? あれは麻帆良!? でもなんで!?」
「どないなっとんのや!?」
また、アスナはそこで、D・4・Cの男を宙に浮かべてボコった時に気が付いたことを、ふと言葉にする。
それは宮殿上空に浮かぶ麻帆良の地形のことだった。
ネギと小太郎もアスナから言われて初めて気が付いたのか、かなり驚いた表情を見せた。
「…………しかしまあ、異常はそれだけじゃないみたいだがな?」
「ん? あぁ? なっ、なんだありゃぁ……!?」
そんな会話をしている最中だが、ライダーが遠くを眺めれば、何やら巨大な黒い怪物が出現したのを目撃したのだ。
ササジマもライダーの声を聴いてそちらを見て、驚きの顔を見せていた。
「あれって一体…………!?」
「何よあれ……!?」
ネギたちもそれを視界に捉えて驚く。
そして、その怪物のいる場所こそが、あやかのアーティファクトが示す場所だった。
…… …… ……
また、巨大な怪物が出現した一角の手前で、
巨大な怪物はすでに完成されており、総督府でデュナミスが操っていたものに近い姿だが、その巨大さは倍もあった。
「なんだ? デケェバケモンが現れやがったじゃんかよ!」
「どうやら躁影術と傀儡術の中間のような魔法のようです」
「召喚術の類じゃないって訳ですか」
突如として出現した怪物に、驚くよりも興奮するバーサーカー。
久々にでかい獲物と対峙できて、それを退治できると考えたからだ。
そこへ現在のアーチャー・ロビンフッドのマスターであるナビスは、その怪物の正体を分析。
怪物は召喚された存在ではなく、影や闇を編み上げて生み出された傀儡人形のような存在だと説明する。
ロビンもあれが召喚された魔物や魔族でないことを知り、なるほどと納得した様子を見せた。
「我がマスターは、どうやらこの先のようだ」
「倒さないと行けそうにねぇなこりゃ」
「いやー、またしても大波乱って訳ね。まっ、やりますがね」
また、ランサー・カルナのマスターがいるとされる場所は、怪物の先だった。
巨大な怪物が障害となってしまっているがために、無視していくことは不可能。
ならば、倒す必要があるとバーサーカーは鉞を力強く握りしめ、ロビンもため息を交えながらもやる気を見せていた。
「待て……!」
「おん? アンタは一体?」
「私はディオ。キティ……エヴァンジェリンの兄だ」
「ほお? プロフェッサーゴールデンのブラザーねぇ」
そこへやってきたのはディオ。
生成され始めた時の怪物に握りつぶされかけたが、何とか抜け出して肉体をさせてこの場所に現れた。
急に出てきた金髪の男に、バーサーカーは問いを出せば、ディオは簡潔に自己紹介を行う。
バーサーカーもあのゴールデンな幼女の兄と言われ、なるほどなぁ、と腕を組んで納得しながらも、完全には信用せずにディオを見る。
「ヤツを高火力の技で破壊するのはやめた方がいい」
「どういう事でしょう?」
「ヤツが作り出した魔素の怪物の内部には、
「なるほど……」
ディオが彼らに待ったをかけたのには理由があった。
あの怪物の体内には、触媒の一つとなった
むやみに高火力の技をぶち込んで倒せば、あやまって最後の鍵を破壊しかねないと、忠告したかったからだ。
それを聞いたナビスは、手を顎に当てて納得し、彼らサーヴァントの宝具でゴリ押すことが不可能だと理解した。
「つまり、ちまちま削って倒すしかねぇって訳だ」
「しかし、それしか手がないのであれば、実行するのみ」
一撃必殺の宝具が使用禁止と言う状況を理解したバーサーカーとランサーは、面倒だとは思っても倒せないとは思っていない。
外側から削ぎ落すように攻撃し、最後の鍵を奪えばよいと判断した。
「んじゃ、火力が低いオレは、いつも通りやらせてもらいますよっと!」
また、ロビンは今ここにいる三騎の中で、一番火力が低いことを自認している。
そのため、特に気にせず怪物へと近寄り、腕のクロスボウで矢を放って攻撃を開始したのである。
「アーチャーに続きましょう」
「行くぞオラァッ!!」
「道を阻むのであれば、悪いが、消えてもらう……!」
ロビンが攻撃したのを合図に、ナビスも怪物へと魔法を放って攻撃を開始。
同時にバーサーカーとランサーも怪物へと接近し、各々が握る武器を使い、外側から怪物を叩き壊していく。
「この俺を出し抜いていい気になった貴様の顔を、ゲドゲドの絶望した顔に変えてくれるッ!! ザ・ワールドッ!!」
そして、ディオも彼らに続いて攻撃を行う。
あの時してやられた恨みを倍にするかのように、スタンドを使いぶん殴りながら、さらに魔法で怪物を削るのだった。