ダークフォグの最終兵器、魔神兵はこの上空に一体だけではなく、複数出現。
「あのさらに巨大な鬼神兵が複数も……!」
「豪とあのガオガイガーなら問題なく倒せるネ」
「なんか別のアニメになってきやがった……!」
刹那は新たな鬼神兵の出現に少し戸惑うが、超は豪とジェネシックガオガイガーを大きく信頼しており、この程度なら問題ないと笑う。
また、その光景を見ていたカギは、まるでロボットアニメだ! となんだか変な気分を味わっていた。
「言ってる場合じゃないわよ!」
「
しかし、そんなことをしている余裕はない。
何故なら未だにダークフォグに操られたエヴァンジェリンが敵として立ちはだかっているからだ。
するとエヴァンジェリンが再び動き出したのを見て、アスナは声を張り上げてハマノツルギを握りしめて応戦。
カギもエヴァンジェリンの再始動を見て、すかさず雷神斧槍をエヴァンジェリンへと向けて突く。
「神鳴流奥義”斬魔剣”ッ!!」
「エヴァンジェリンサン……!」
「……!」
アスナとカギの攻撃を回避したエヴァンジェリンだったが、刹那の鋭い剣技が即座に襲い掛かり左の脇腹を切り裂かれた。
さらに超も科学の力で強化した力で強烈なパンチを放てば、エヴァンジェリンの腹に直撃して吹き飛ばした。
「四対一ならなんとかやれそうだぜッ!! 行くぜぇ!!」
「ハアーッ!!」
「ちぃぃっ!?」
カギはこれなら戦えると考えて元気を取り戻し、再度エヴァンジェリンへと迫る。
同時にアスナもエヴァンジェリンの背後へと回り、ハマノツルギを横なぎに振るう。
エヴァンジェリンはアスナの攻撃を回避して見せるも、カギの攻撃は回避できずに右肩を貫かれて負傷。
そこへもう一度アスナが突っ込んできてハマノツルギを斜めに振り上げれば、エヴァンジェリンの背中に大きな傷を負わせたのである。
”くっ!? この四人を相手にするのは中々厳しいぞ!?”
”ふん、どうした? 私の体と闇の魔法を使っているんだぞ? 何とかしてみろ”
”邪魔をしている癖によく言う!! ぐーっ! これならどうだアァァッ!!”
ダークフォグはこの四人の攻撃を受けて焦燥を感じ始めた。
二人だけならまだ余裕があったが、四人からの連続攻撃には流石に苦しいと感じたのだ。
が、エヴァンジェリンはこの肉体と闇の魔法があるのだから、むしろ何故押されているのかと笑う。
ただ、ダークフォグはこの肉体を完全に支配できていないので、完璧に動ける訳ではないことをエヴァンジェリンへと怒鳴ったあと、自らの漆黒の気を大放出し始めた。
「”闘魔滅砕陣”ッ!!」
その技の名をダークフォグが言い放てば、ダークフォグを中心に闇の魔法で生み出された氷のフィールドに蜘蛛の巣状のエフェクトが発生し、四人の動きを止めたのである。
本来であれば強大な”暗黒闘気”を用いて他者の自由を奪い、そのまま縛り殺す奥義だ。
ダークフォグは自身としている闇に染まった黒い気を用いて、他者を縛っているのである。
「なっ!? しまったーッ!? この技を忘れてたぜぇ!?」
「っ!? 何これっ!? 動けないっ!?」
「強烈な気の力で……、縛られているのか!?」
「ぐっ!?
カギはこの技を知っていた。”ミストバーン”の十八番である、この闘魔滅砕陣のことを。
故に、その技があるのを失念していたことを今更後悔し、技にはまったことに焦り叫んでいるのだ。
アスナも刹那も超ですらも、体の自由を奪われたことに焦燥し、戦慄の声を漏らす。
また、超はカシオペアの巻き戻しで命中した攻撃をなかったことにできるが、カシオペアが起動できない程に動きを奪われ、それすら不可能となっていた。
「このままお前たち全員、ひねり潰してれるわーッ!!」
「チクショー!! 汚ねーぞッ!!」
「頭のアレがしゃべってるの!? ぐううっ!?」
「なんという力……!?」
「まさかこのような手があるなんてネ……!」
ダークフォグはエヴァンジェリンを操り右腕を強く握り締めれば、闘魔滅砕陣に掛かった四人をさらに強く束縛し、その身をねじ切るほどに縛り上げる。
アスナはエヴァンジェリンの声が変わったのを聞き、エヴァンジェリンの額にある黒い物体がしゃべっていることに気が付く。
されど、四人は全員完全に動きを縛られ、歯を食いしばることしかできなかった。
「アスナッ! ハマノツルギを突き刺すんだッ!! それで解除できるはずだぜッ!!!」
「そうしたいけど……、指一本動かない……! ぐう……っ! ううううう…………っ!!」
だが、これを抜け出す方法は存在する。
カギは気で作り出されたこの蜘蛛の巣のようなフィールドを、ハマノツルギで破壊しろとアスナへ叫んで必死に伝える。
とは言え、アスナも完全に闘魔滅砕陣に捕らわれており、身動き一つできない状態。
言われて必死に腕を動かそうと力を籠めるアスナだったが、指すらも動かない程に拘束されてしまっていたのだ。
「そうはさせるかぁッ! まずはお前からだッ!! ”闘魔傀儡掌”ッ!!」
「ううっ!? あああっ!?!?」
それもそのはず、ダークフォグはこの術を解くことが可能なアスナを、最も警戒して攻撃している。
故に、さらにアスナを束縛するためにダークフォグはエヴァンジェリンの右手をアスナへ向け、気の糸をアスナへ放つ。
これこそ”ミストバーン”の得意技である、強靭な暗黒闘気の力を用いて相手を束縛して意のままに操る術、闘魔傀儡掌。
肉体を限界まで締め上げてねじ切るようなことすらも可能な技だ。
その技でアスナをさらに強く拘束し、ねじ切れるほどの力を込めたのである。
強烈な気の束縛により肉体を限界まで締め上げられ、流石のアスナも苦痛の悲鳴を叫ぶ。
「アスナーッ!?」
「アスナさん!?」
「明日菜サン!!」
強烈な束縛とねじ切らんばかりの締め上げられたアスナを見た三人は、たまらず名を叫んだ。
「これでとどめだっ!! 死ねぇぃッ!!!」
「ぐうっ!? うううああああぁぁぁぁぁッ!!!?」
そこへダークフォグは闘魔傀儡掌の束縛をさらに強くし、アスナの体を滅茶苦茶にねじ切ろうと力を籠める。
もはや滅茶苦茶に体を縛られ弓のように反られ、アスナは大声で叫びをあげて苦しみに悶えていた。
”アスナッ!!”
ダークフォグに操られているエヴァンジェリンの精神も、アスナがこのままではねじ切られて死んでしまうと心の中で叫んだ。
──────そんな時。
「がっ!? 何ッ!?」
突如としてエヴァンジェリンの体を雷の投擲が貫き、吹き飛ばしたのだ。
「なっ、なんだ!? 何が起きた!?」
エヴァンジェリンを操るダークフォグは自らの技の中心からはじかれ、闘魔傀儡掌を解除してしまう。
突然の闘魔滅砕陣の外からの攻撃を受けたダークフォグは、驚きの声を叫んだ。
「──────”千の雷”ッ!!!」
そして、四人から離れた場所へと飛ばされたエヴァンジェリンへと、千の雷が降り注いだのである。
「なっ!? 馬鹿なっ!? ぬうッ!?」
エヴァンジェリンの肉体は千の雷に焼かれダメージを受けるが、内部のダークフォグは痛みを感じることもなく無傷だ。
されど、そのダメージと意識が別の方向に向いたせいで、闘魔滅砕陣の縛りが緩くなってしまった。
「ッ! 今なら……! ハアァッ!!」
「ぐうっ!? しまったっ!?」
その瞬間に束縛が弱くなったのを感じたアスナは、カギが言っていたように氷フィールドに展開されている蜘蛛の巣のような気の力場へと、渾身の力を込めてハマノツルギを突き刺せば、ハマノツルギの力によって闘魔滅砕陣は砕かれ消滅。
ダークフォグは闘魔滅砕陣が消えたことに焦り、声を上げて慌てた様子を見せた。
「なっ!? なんだ!? 誰だ!?」
「あの人は!?」
「ム……、動けるネ」
カギは突然の外部からの攻撃を見て、一体誰がやったのかを気にして周囲を探せば、そこに一人の赤毛で白いローブを纏った男が浮いていた。
刹那はその人物を見てそれが誰なのかを理解して驚いていたが、超は束縛が解かれたことを気にして手や指を動かしていた。
「はぁ……はぁ…………、────あ」
アスナは強烈な束縛のダメージで息を荒くしながらもその人の方を見れば、驚いた後に笑みを見せたのだ。
「なっ!? なんで!? なんでここにいんだよ!?」
そして、カギもその人物を見れば、滅茶苦茶驚き戸惑い、疑問を叫んだ。
「親父ぃッ!?」
「久しぶりだなぁ、我が息子よ!」
何故なら、その人物こそネギとカギの父親であり、魔法世界のオスティアにいるはずの
カギはたまらずナギを叫んで呼べば、ナギはいつもの調子の軽い感じで、息子たるカギへと挨拶したのであった。
…… …… ……
木乃香は白烏・覇光を操りながら、未だに召喚魔や鬼神兵を倒していた。
特に鬼神兵は近くにいたものはほぼ倒しきっており、もう少しで全滅させられるというところまで来ていた。
「あと数体……!」
鬼神兵の残りの数を見ながら、木乃香は召喚魔を翼型の扇として展開している両腕で召喚魔を倒しながら、その鬼神兵の方へと迫る。
「もうちょっとや!! ”鬼火”ッ!!」
再び木乃香は鬼火を放ち、一撃で鬼神兵を沈める。
もう少し、もう少しで全部倒せる、そう気持ちが先走る木乃香は別の鬼神兵へと目標を定めたが。
「ん……、アカンかもなぁ……、もしかして張り切りすぎたんかな?」
しかし、木乃香はここまでの戦いで多くの巫力を消費してしまっており、結構厳しい状況だった。
木乃香は自分の巫力の残量を感じて、使いすぎたことを察して持つかどうかを悩み始めた。
「……流石にウチの巫力の量で鬼火の連発はアカンかったみたいやね」
というのも、木乃香は覇王のように鬼火を連発するほどの巫力はない。
それでも鬼神兵を倒すために鬼火を何度も使ったので、このような巫力不足にまで追い込まれてしまっていたのだ。
まあつまり、覇王から
「せやけど、まだ残ーとる……! ここでやめるワケにはいかへんッ!!」
だが、それでも戦いをやめることはしないと、全力で鬼神兵へと向かう木乃香。
せめて、せめて終わるのであれば周囲の鬼神兵を全滅させてからだと、狙いを定めた鬼神兵へと迫っていく。
────そんな時、目の前にいた鬼神兵が紙屑のようにバラバラに切り刻まれたのだ。
それだけではない。周囲にいた残りの鬼神兵すらも、無惨に切り刻まれて麻帆良の大地に転がったのである。
そして、近くからよく聞いた声が聞こえてきた。
「そう、ちゃんと巫力の配分を考えて戦うべきだったね」
「はお!」
木乃香は声の方を向けばそこには覇王が立っており、にこやかに木乃香へダメ出しをしていた。
自分のように膨大な巫力がある訳ではないのだから、もう少し抑えるなりしなければならなかったと。
されど、木乃香もそれはわかっており、むしろ覇王が自分の前に現れたことに喜び、笑顔を咲かせていた。
「ホンマすごいわ! 剣だけであの巨大なもんをバラバラにできるやなんて!」
「別にこの程度のことは刹那でもできるから、そう珍しいことじゃないけどね」
「せっちゃんもやっぱりすごいんやなあ」
また、覇王が鬼神兵を
が、覇王としてはこの程度など赤子の手をひねるようなものであり、刹那ですら可能なことなので、自慢できるようなものではないと語る。
これを刹那もできると聞いた木乃香は、改めて親友の刹那の実力がいかに高いかを思い知らされたのであった。
「さて、これで鬼神兵はあらかた片付いたかな? 今から僕と一緒に来てくれないか?」
「わかったえ!」
また、残りの鬼神兵は全部覇王が切り刻んだので、全て沈黙して全滅。
と言うのも、覇王はまだキルを名乗った敵の本体を、罠にかけるために行動している。
そして、罠にはまった時のとどめとして、
木乃香も覇王に手を伸ばされれば、微笑んでその手を掴んで二人は移動していくのだった。
…… …… ……
フェイトも未だに召喚魔を倒しつつ、月の裏の魔法使いを石化して”牢獄”へ封じる作業を行っていた。
「剣は彼女たちを守護しながら戦ってくれているみたいだね。本当にありがたい」
そこでフェイトはここ旧世界では戦えない従者たちや愛する人を、守護してくれている唯一戦える従者であるランスローのこと剣に感謝していた。
最初は敵対こそしたものの、そのあとはずっと自分の従者として忠誠を誓い、戦い抜いてくれてくれた男。
なんだかんだ言って彼の存在は大きく、今ここにいられるのも彼のおかげかもしれないとさえフェイトは思った。
「魔法使いどももだいぶ捕まえたし、鬼神兵も召喚魔もだいぶ減ってきているようだ……。そろそろ決着が近いか……?」
また、周囲の敵もかなり減ってきていることに気が付いたフェイトは、戦いの終わりが見えてきたことを察する。
「……ん? アレは……、なるほど……、戦いは終わったと思ってもいいみたいだ」
そんな時、ふとフェイトは空を見れば、超高速で飛翔する人影が見えた。
フェイトは見覚えがあるその姿を見て、この数時間足らずの大決戦は終了を遂げたと静かにこぼすのだった。
…… …… ……
ここは三郎たちが避難している寮の建物。
その外からでかい音が聞こえてきたので、三郎らは外に出て様子を見ることに。
他にも
「デカい音がしたと思って出てきてみれば、なんかすごいことになっちゃってるぞ!?」
「うへー、アニメみたいだねぇ」
「初兄もお姉も呑気しすぎ!!」
すると寮の周囲に鬼神兵が複数体落ちてきており、こっちの寮を見ていたのだ。
外で召喚魔やらと戦っていた初風は、わざとらしい驚き方をしながら余裕を見せ、何事かと思って出てきた二葉もなんか現実を見てないようなコメントを言い出した。
二葉につられて外に出てきた四華はそんな二人の態度に、なんでそんな風にしてられるのかとつっこみ叫ぶ。
「兄貴!? 大丈夫なのか!?」
「この程度の相手なら問題ないと思うけど……、それが複数かぁって思っただけさ」
「初兄、アレを余裕ってどうなってんの?」
三郎は兄たる初風へとこの現状をどうするのかと問うが、初風は別にって顔で面倒とだけ言う。
初風の威風堂々とした態度に、四華もマジで!? という顔を見せた。
「とりあえず倒していくしかない感じかー。魔力はまだまだ余ってるからいいけどねぇ」
ふう、と初風が小さく息を吐くと、銀の杖を握りなおして動き出した。
「”千の雷”ッ!」
だが、その時、千の雷が鬼神兵へと降り注ぎ、その一体を消し飛ばしたのである。
「おや? 誰の魔法だろうか? 増援はありがたいけどねぇ」
初風は一体誰がこんな上位の大呪文を使えるものが一体誰だろうかと考えて、周囲を眺めて魔法を放ったものを探しながら、それでも追加の助っ人に感謝していた。
「久々じゃのう。初風」
「おお!? 先生じゃないですか。一体どういう風の吹き回しで?」
と、そこへスイっと初風の前へと降り立ったのは、古風なしゃべり方をする一人の少年であった。
少年は軽快な様子で初風へと挨拶すると、初風はその少年を先生と呼び、少年がここへ出てきたことに少し驚いてその疑問を投げた。
「ん……? 先生!? んん!?」
四華は初風が先生と呼んだ少年を見て、なんで!? と言う顔を見せて驚愕。
何故なら、初風が先生と呼んだ少年こそ、紅き翼の古参の一人でありナギの師匠でもある”ゼクト”だったからだ。
この四華は”原作知識のある転生者”なので、それが一目でわかってしまい、何故ゼクトが生きてこの麻帆良にいるのかまったくわからず、理解が追い付かなかったのである。
「もう隠居する必要はないと言われとったが、どうにも隠居生活に慣れすぎて外に出るのが億劫になっていての。それでこの騒動が起こったんで、重い腰を上げることにしたのじゃ」
「なるほどー、そのような事情があったのですねぇ」
少年、ゼクトは10年前、ナギに倒されて死んだはずだった。いや、間違いなく一度死んだ。
その後肉体はアルカディア帝国へと運ばれ、皇帝の完全蘇生魔法によって息を吹き返した。
で、生き返ったゼクトはアルカディアの皇帝から麻帆良で隠居してくれと言われ、生き返らせてくれたのだからと頼みを聞いて、今に至る。
そして、10年の月日が流れて魔法世界の問題も
ただ、10年間麻帆良で隠居していたので、今更何かするのもと思っていた矢先にこの事件が起こったので、外に出て戦うことを選んだのだ。
また、初風がゼクトの弟子になったのは、たまたまだった。
初風は魔法使いの特典を選んだ転生者ではあったが、家に杖がなかったために魔法を鍛えることができなかった。
杖がないので魔法を使う練習すらできなかった初風は、特典を得てから5年が経っても魔法が使えないでいた。
そんな時に初風はふらりと麻帆良の一角にある、廃墟のような見た目の家へと足を踏み入れた。ちょっとした興味本位だったが、そこにゼクトが住んでいたのだ。
そこでゼクトと出会った初風は、頭を下げて弟子にしてくれと頼んだ。
初風も”原作知識のある転生者”であり、一目でその少年がゼクトであることを理解し、魔法を知るにはもうこれしか手はないと思ったからだ。
それにゼクトは
師匠として申し分ないと感じたのも事実だ。
頼まれたゼクトとしても隠居と言う暇な状態であり「暇つぶしにもいいか」と思って、初風を弟子に迎えて魔法を教えたと言う経緯があった。
「とりあえず、ここを守護すればいいのじゃな?」
「はい! お願いします先生!」
ゼクトは初風がこの建物を守っていることを察し、この場所を守りつつ鬼神兵やらを倒せばよいのかと聞けば、初風は元気な声でYESと答えて頼んだ。
「兄貴にも師匠みたいな人がいたんだなぁ……」
「どうしたのよっちゃん?」
「んー……、ちょっと待って…………、今すごい混乱してるから……」
「なんで?」
三郎はあれだけ強い兄に先生と呼ぶ人がいたことを知り、なるほどと思った。
先生がいたからあれほどの強い魔法使いになったのだと、理解したのである。
が、四華は初風が”死んだはずの原作キャラ”の弟子になっていたことに戸惑い、頭を抱えて苦しんでいた。
”原作知識のない”二葉は、ただただ四華が頭を抱えている理由がわからず、困惑するだけであった。
…… …… ……
突如として現れたナギは、エヴァンジェリンが闇の魔法で作り出した氷フィールドの上へと、ふわりと着地してカギたちの方を見た。
「ナギ!」
「危なかったなあアスナ! でもまっ、思ったよりは元気そうじゃねぇか!」
「助かったわ! ありがとう! そっちも元気みたいでよかった!」
そこでアスナはナギの登場に嬉しそうに名を呼べば、ナギも今しがたアスナが危なかったのを見ていたので、あの状態からこのぐらいでかい声がでるなら大丈夫だろうと微笑んでいた。
また、アスナは自分の危機的状況を救ってくれたことに感謝し、魔法世界で生活しているはずのナギが元気な姿を見せたことにも喜んだ。
”なにぃ!? 馬鹿なっ!? 何故
”さぁ? 何故だろうな? 私にもわからん”
”ふっ! ふざけるなぁーッ!!!”
ダークフォグはナギ・スプリングフィールドが突如として現れたことに、大きく混乱した。
本来ならば”まだいないはずの人間”だからだ。”まだ
故に、こんなはずがないと声を荒げる。
が、そんなダークフォグに対して冷たい言葉を投げるエヴァンジェリン。
エヴァンジェリンとてその全てを知っている訳ではないが、新オスティアでの式典にて皇帝が連れてきたのは知っているので、
でもまあ、何故か復活したことだけしか知らされていないので、知らんと言っている訳だ。
そんなエヴァンジェリンの態度に、怒りを燃やすダークフォグだが、何がどうしてそうなっているのか理解できずに、精神世界で頭を抱えていた。
「ありゃ、確かエヴァンジェリンじゃねぇか? どうなってんだ?」
「額の真っ黒いだせぇのに操られちまってんだよ! ムカつくよなぁ、ああいうの!」
「ほほーう、なるほどな……」
で、とりあえずアスナがピンチだと思って魔法をぶち込んでやったが、その相手がエヴァンジェリンだったことに少し驚き疑問を口に出すナギ。
その疑問にカギが怒りを見せながら簡潔に説明すれば、ナギもエヴァンジェリンの現状を理解して納得。
「…………あぁん? おい待てコラ、……もしかしてそれって俺への当てつけってやつか?」
「なんで不機嫌になってんだよ!?」
だが、操られていると言う部分に滅茶苦茶引っ掛かりを覚えたナギは、急にイラッとした様子を見せ始めた。
何故なら
これもしかして自分への皮肉かよ、と腹を立てたナギを見たカギは、何故イライラし出したのかがわからず困惑した。
「まっ、だがもう大丈夫だろ」
「何言ってんだよ親父!?」
「なんつったってこの俺が来てるわけだし、それにもう一人、とびっきりのやつが来てるからな!」
「はあ?」
が、その後ナギはニヤリと笑って楽観的なことを言い出した。
カギは突然ナギが変なことを言い出したので、たまらず理解不能と叫べば、ナギは俺が来たんだから大丈夫だろと言い、さらには別で心強い味方がいると語るではないか。
されど、カギにはそれもわからないので、何言ってんだこいつ? みたいな態度を見せるだけであった。
「うお!? なんだ!? 一瞬にして空の召喚魔が消え去りやがった!?」
「これは剣術での攻撃……!?」
「だから言っただろ? とびっきりのやつが来てるって」
だが、カギが疑問に思ったその瞬間、上空を飛び回っていた大量の召喚魔が一瞬にして消滅したのである。
カギはその光景に驚き、刹那は今の攻撃が剣でのものだと見抜いた。
ナギはそんな彼らにほら見ろ、と笑って言うだけだった。
「随分と暴れてくれたようだな」
「っ!?」
すると、その声がエヴァンジェリンの背後から聞こえてきたかと思えば、黄金の剣がエヴァンジェリンの胴体を貫いていたのだ。
”ぐうおおおおおおおおっ!? 何故私に痛みが走るッ!? どうなっている!?”
”
”ぐああああっ!? 意味がわからんぞっ!? ぐうううおおおおっ!?”
”アーティファクトの剣だよ。そういう効果なのさ”
”ああああああっ!!!???”
黄金の剣が突き刺さったエヴァンジェリンの肉体に傷はなく、しかしダークフォグは苦痛を感じて叫び声をあげた。
ダークフォグは依り代にした肉体からの痛みなどは感じないはずだと言うのに、何故か自分に痛みが走り混乱したのだ。
されど、エヴァンジェリンはその正体を知っており、そういう力を使われているんだろと言ってやるが、ダークフォグは理解が追い付かずに痛みで苦しみ叫ぶだけだ。
理解力が低いな、と思いながらエヴァンジェリンは、だからそういう効果のあるアーティファクトがあるんだよ、と冷めた様子で言ってやる。
しかし、ダークフォグはもはやエヴァンジェリンの声を聞いておらず、苦痛に苦しみ悶えて泣き叫ぶだけで精いっぱいだ。
そうだ、皇帝から与えられしメトゥーナトのアーティファクト、宇宙割つ剣は見えざるもの触れざるものすらも斬ることが可能だ。
その能力を用いて斬る対象を選び、本来ならば物理攻撃が通じないダークフォグをも斬り裂いて、痛みを与えていると言う訳だ。
「パパ! 帰ってきてくれたのね!!」
「来史渡さん!?」
「ありゃあんときの仮面の奴!」
「ム……。明日菜サンの親代わりの人カ」
エヴァンジェリンの後ろから黄金の剣をその幼き体に突き立てている仮面の男。
それを見たアスナは、メトゥーナトが帰還したことを知って笑顔を見せて大きな声を出した。
刹那もカギもメトゥーナトの登場に驚いた様子を見せ、超は落ち着いた様子で先ほどのナギの言葉の意味を理解した様子であった。
カギも超もメトゥーナトのことは学園祭で見知っており、ある程度顔見知りだったのですぐにわかったのだ。
「ふむ? まだ耐えるか? ならもう少し痛めつけるとしようか」
ただ、メトゥーナトは四人の声を気にしている暇はなく、エヴァンジェリンの内部に蠢く黒い気、ダークフォグを警戒していた。
それに今の一刺しでダークフォグがエヴァンジェリンから出てこないのを見たメトゥーナトは、ならばと一瞬にして数百の斬撃を食らわせてやったのだ。
しかも痛みが残るような、痛みが強くなるような斬り方をし、苦痛を増幅させてやっている。早く出てこいと催促していると言う訳。
”があああああっ!? やっ、やめろおぉぉぉっ!?”
”やめてほしいなら出て行けばいいだろう?”
”ぐう!? だがっ!!”
本来エヴァンジェリンの肉体すらも斬り裂かれるような鋭い百を超えた斬撃が、肉体を素通りして内部のダークフォグのみを切り刻む。
他者の肉体内にいるダークフォグは痛みを感じないが故に苦痛に慣れておらず、耐えかねて絶叫し続けるが、うるさくてたまらないエヴァンジェリンはなら出てけと告げてやる。
それでもようやく手に入った最高の肉体を手放したくないダークフォグは、痛みとエヴァンジェリンの肉体との二択に揺れて迷いが生じる。
”出て行かなければ苦しみが長引くだけだぞ?”
”うううううううっ!!”
そこへ出て行かない限りこうやって無限に切り刻まれ続けるぞ、とエヴァンジェリンが脅せば、ダークフォグは大きく唸り声をあげたあとに決断を下した。
「逃げるか」
逃げた。単純に空を飛んで逃走を図ったのだ。
されど、メトゥーナトは逃がす訳もなく、瞬時に追い付いて何百回と切り刻む。
”ギイイヤアアァァァァァッ!!?? なっ、ならばぁぁっ!!!”
追い付かれて何度も切り刻まれたダークフォグは、逃げれないと悟れば次の行動に移った。
もうこれしかない、という追い詰められた心情で、最後の手段を取ったのである。
「ぐおおおおっ!! ならばお前の体を頂くぞッ!!」
「それでいい。まあ、できるならの話だがな」
それはエヴァンジェリンの肉体から抜け出し、メトゥーナトの肉体を奪うと言うことだった。
が、そうしてくることなどメトゥーナトとて予想しており、涼しい顔でやっと出てきたかと思うだけだ。
「”光の剣”」
「ぎょあああ!? ありえん!? こんなことがあっていいはずがないっ!?」
「それはこちらの台詞だ」
そしてメトゥーナトは剣から強烈な斬撃を飛ばしてダークフォグの気の体をぶった切れば、ダークフォグは物理攻撃が通じない自分にダメージを与えてくることに恐れ慄き再び混乱したのである。
ただ、こんなことがあっていいはずがない、とはメトゥーナトの台詞だ。
麻帆良でこれ程の規模の破壊活動まがいなことを行うなど、あってはならないのだから当然だ。
で、何度かダークフォグ本体を切り刻んだのちに、すっと懐から瓶を取り出すメトゥーナト。
「どれ、とりあえず封じてしまおうか」
「させるものかぁーっ!!」
「”封印”ッ」
「うううおおおおおおああああああぁぁぁぁぁ────ッ!!」
その瓶は強力な封印効果が付与さた小型のダイオラマ魔法球”牢獄”であり、ダークフォグは封じられる前にメトゥーナトの肉体を乗っ取ろうと迫るも、その瞬間に瓶の中へと叫び声と共に引きずり込まれてしまったのだった。
「終わりだ」
「みてぇだな」
メトゥーナトはダークフォグが瓶の中に消えたのを見て、これで騒動も一段落するだろうとほっとした様子を見せる。
そこへナギも近寄ってきて、瓶の方をまじまじと見ながら、いやーなんか危なそうだなって思った騒動が思いのほか早く片付いてよかった、と笑う。
「すまない……、助かった」
「お前としたことが迂闊だったな」
「ああ、今回のことは深く反省するよ」
「コッチハ滅茶苦茶焦ッタカラヨー、まじデ反省シロヨナー御主人」
「うるさいぞ何度も言われなくてもわかってるさ!!」
やっとのことでダークフォグの支配から解放されたエヴァンジェリンは、メトゥーナトに礼を述べると、メトゥーナトも気にしていないと言う顔をしつつ、油断したな、と言ってやる。
いやはや、こういったパターンもあるのだな、と思ったエヴァンジェリンは本気で自分の失態を嘆き、次は絶対にないようにすると誓うが、寄ってきたチャチャゼロにもはっきりそう言われてしまい、ちょっと癪だったのが大声で叫ぶエヴァンジェリンだった。
…… …… ……
で、肝心の巨大なキューブ状の物体はと言うと、守備が消えたのを見た豪が動いており、すでにジェネシックガオガイガーで宇宙へと持って来ていたのだ。
「ここなら破壊しても地上への影響はないッ!! ”ガジェットツール”ッ!!」
麻帆良の上空で破壊すれば破片が落下して街を壊しかねないが、大気圏外であれば粉々にしておけば大気圏で燃え尽きると考え、ここで破壊することを選んだ。
豪はジェネシックガオガイガーのガジェットツール、尻尾の部分の三節を分離させてジェネシックガオガイガーの両手に纏わせ漆黒の手へと変え、構え始めた。
「ヘル・アンド・ヘブンッ!!」
次にジェネシックガオガイガーの両腕を大の字に広げれば、右手に破壊のエネルギーを、左手に防御のエネルギーを纏わせる。
「ゲル・ギム・ガン・ゴー・グフォ……、ウィータッ!!」
そして、その呪文を豪が唱えながら、ジェネシックガオガイガーの両腕を胸の前で合わせれば、強烈な衝撃と共に力場が発生しキューブ状の物体を拘束。
「ウオオオオオオォォォッ!!」
そのままジェネシックガオガイガーがキューブ状の物体へと両手を突き出したまま突撃すれば、両腕がキューブ状の物体に突き刺さり、そのまま粉々に粉砕したのである。
「これで騒動もだいぶ納まるはずだ。麻帆良へ戻ろう!」
粉々になったキューブ状の物体は吹き飛ばされて宇宙空間へと四散。
大体の破片は地球へと降り注ぎ、火の弾となって燃え尽きて消えていっていく。
それを見た豪は、麻帆良に再び平和が戻ったはずだと考え、地球の麻帆良へと進路をとって飛び去ったのだった。