裏魔法使いの集い、月の裏が起こした麻帆良の大騒動は麻帆良学園側の勝利で幕を下ろした。
月の裏の魔法使いたちは全て捕まり、学園側やアルカディア帝国のものたちに拘束され投獄された。
それは伍海を名乗った幹部連中も同じであり、全員特典を奪われて捕まることとなった。
召喚魔や鬼神兵も全て破壊されて消滅し、少しばかり破壊された街並み以外はいつも通りの街の姿となった。
法とカズヤも戦いでそれなりに消耗した様子であったが、最終形態となって戦った訳ではないのでまだ元気だった。
そこで直一が現れて会話したのち、法とカズヤは学生寮にある自分の部屋へと戻って行く。
されど、直一は会議に呼ばれてしまったために、渋々と最速で麻帆良学園女子中等部校舎へと足を運ぶのだった。
…… …… ……
錬も召喚魔を退治し終えて、戦いが終わったことを察した。
「終わったみたいだな……」
「そうみたいだね」
小さくため息をつきこの騒動に幕が下りたのを錬がつぶやけば、聖歌もそれに気が付いて錬の方を向いて微笑んだ。
「ありがとうございました! シャマシュ神様!」
そこで聖歌は
「……ふむ」
そんな聖歌を錬は眺めながら聖歌のシャーマンとしての力を思い返し、改めてその特典の力の強さを実感した様子だった。
「……どうだったかな? 私は足を引っ張らずに済んだかな……?」
「いや、助かった」
「それならよかった……!」
聖歌は自分のことを横でじっと見ていた錬へと振り向き、自分が錬の邪魔をしてなかったかをしおらしい態度で尋ねた。
その問いに錬は素直ではない感じで礼を言うと、聖歌は満足げな満面の笑みを見せて喜んだ。
「……! 学園側から連絡が来た」
と、そこで錬へと学園側から携帯へと連絡が来てすぐさま電話に出れば、集合を告げられる。
「集合するようだ。聖歌も一緒に来てくれ」
「言われなくても一緒に行くよ? 今日一日一緒にいるって約束だよね?」
「……ふっ、そうだな。では行こう」
「うん!」
ならばすぐに集合場所へと向かわなければと考えた錬は、戦闘に参加した聖歌にもついてくるよう話す。
だが、聖歌はキョトンとした様子で、そもそも今日は錬とずっと一緒にいると言う約束だったと言うだけ。
錬はそれを聞いて小さく笑ってならばと手を差し出すと、聖歌も元気よく返事を返してその手を取って歩き出したのだった。
…… …… ……
状助は召喚魔の姿も鬼神兵の姿も消えたのを見て、戦いが終わったことを理解した。
「やっと終わったってか」
「いやまったくだぜ」
なんと言うか、終わってくれて助かったと疲れた表情を見せる状助と、同じようにマジ勘弁って態度を見せるレッド・ホット・チリ・ペッパー。
レッド・ホット・チリ・ペッパーを遠くの避難場所で操っている昭夫も、疲れた様子でぐったりしていた。
「三郎のヤツは見つからなかったけど、まあもう大丈夫だろう」
「まっ、どこかに避難してるかもしれねぇぜ?」
「だといいんだがよぉ」
ただ状助の目的である三郎を見つけることはできなかったが、戦いが終わったのならば襲われることもないと考え安堵し、レッド・ホット・チリ・ペッパーも見つからないなら安全な場所にいるかもよ、と楽観的な予測を言う。
状助もそうならいいな、とため息を吐きながら同意。
「しっかしっ! なにも今日やるこたぁねぇだろうがよぉ……、本当にクソ迷惑だったぜ!」
「マジでクソみたいな一日だったな……。まだ全然終わらねぇけどよぉ」
また、レッド・ホット・チリ・ペッパーを操作している昭夫は、クリスマスの時期だと言うのに事件を起こしただろう連中にマジキレし、レッド・ホット・チリ・ペッパーが地団太を踏む。
状助もヒデェ日だったなぁ……まだ昼過ぎだけど、ともう一度ため息を吐く。
「まっ、俺は帰るぜぇ。じゃあな!」
「帰るってもスタンド解除するだけじゃあねえか!!」
で、戦いも終わったし、とレッド・ホット・チリ・ペッパーは帰ると言いながら姿を消した。
帰るって言うが、別に本体である昭夫は動いてないので、ただ単にスタンドを解除しただけじゃん、と状助は叫んでつっこむ。
「三郎のヤツはどこにいんのかわからねぇが……、とりあえずヒデェ状況なところをなおしながら帰るかぁ……」
レッド・ホット・チリ・ペッパーも消えたし三郎が見つからなかったのだけは心残りだが、状助も自分の寮へと帰ることにした。
ついでに街での戦闘だから破壊されてる場所もあるはずだと考え、そこをクレイジー・ダイヤモンドで治していこうと思った。
「状助!」
「お? アスナじゃあねぇか、どうしたぁ?」
「無事かなって思って顔を見に来たのよ」
「別に何ともないからよぉ」
「よかった……!」
と、そこで状助を見つけたアスナが近寄ってきて、名前を叫んできた。
状助は何かあったのかと思って寄ってきたアスナへ聞くと、単純に心配だったと言ってきた。
ふぅ、と息を整えているアスナへと状助は無事を伝えれば、アスナはほっとした様子で胸をなでおろしていた。
「そっちは大丈夫だったか? 怪我してんならなおすけどよぉ」
「大丈夫……かな? でもお願いしてもいい?」
「ほらよ」
「うん、ありがと」
逆に状助がアスナがどうなのか尋ねると、アスナはとりあえず大きな怪我はないと言うが、念のために状助になおしてもらおうと考えお願いする。
確かに見た目怪我らしい怪我はないのだが、強力な束縛で締め上げられたダメージがあるはずだと思ったアスナは、素直になおしてもらうことにしたのだ。
状助もアスナがそういうのなら、とクレイジー・ダイヤモンドの拳で軽く触れてやれば、アスナもなんだか体が軽くなったと感じて、微笑んでお礼した。
「いやー、なんか無事に解決したみてぇでよかったぜ」
「そうね……、でも事後処理とかこれからだから、もう少し大変が続くかも」
「この時期に事後処理とか最悪だなぁ……」
「そうよねぇ……」
そこで状助は大きな混乱もなく事件が終わったことを言い出すと、アスナはこれから事件の処理とかやることになる訳だし、と完全に事件が終わってないと言い出した。
状助はクリスマスの時期にそれやんのか、と考えてヒデェなぁ、と感想を言えば、アスナも同じ気持ちだと言ってため息を吐いた。
「……なあ、これからどこかに呼び出されるとかぁねえよなぁ?」
「大丈夫よ、それはパパがやってくれるって」
ということは、つまり俺もその処理と言うか何かあるんじゃないか? と状助が察してアスナに話すと、それはないとアスナは言う。
何故ならメトゥーナトが、そういうことを全部引き受けてくれたからだった。
「来史渡のおっさん帰ってきたってのか?」
「さっき急いで帰ってきてくれたみたい」
「マジかよ、ありがてぇなぁ」
メトゥーナトが帰ってきたのを知った状助は、遅くても今日の夜じゃなかったか? と疑問に思ってそれを言う。
状助もメトゥーナトが昨日からいないことはアスナから聞いていたので知っていたのだ。
アスナも今しがた帰ってきて助けてくれたと言うと、状助は両手を合わせてありがたがったのだった。
「それにもうすでにパパには一応報告しておいたから、それなら大丈夫だって」
「そりゃありがたいぜぇ」
また、アスナはメトゥーナトが後始末を引き受けると言った際に、この事件の顛末や相手にした敵が言っていたことを報告しておいた。
だから大丈夫だよと笑顔で言うアスナの言葉に、状助はもう一度ありがたがって両手を合わせてアスナを拝んだ。
「多分後日話を聞きに来るとは思うけど、そんぐらいじゃないかしら?」
「それはよかったぜ。今日はなんかもう疲れちまったしよぉ……」
「そうよね……。私も疲れちゃったわ……」
それでも何もないってことはないだろうが、今すぐではないはずだとアスナは言うと、時期を考えたらそれがありがたいと状助は喜んだ。
さらに突発的な戦闘で疲れたと状助はこぼして肩を落とし、その姿を見たアスナも自分も、と愚痴るように気持ちを吐き出した。
「おめぇが疲れるっつーんなら、よっぽどのことだったんだなぁ」
「そりゃよっぽどよ? 麻帆良全体が召喚魔に囲まれてたんだし」
「マジで言葉にするととんでもねぇことしてくれたよなぁ……」
「ほんとにね……」
あのアスナが疲れたと言い出すレベルかよこの事件……と状助が言うと、アスナが何が起こったかを軽く言葉に出せば、状助もそりゃ確かにヤベーことになったんだな、と実感した様子だ。
自分が言ったけど勘弁してほしかったと言う様子で、がっくし肩を下げるアスナだった。
「うおっ!? なんだこりゃ!? 滅茶苦茶焼けただれてるぜこのあたり!?」
「何かの上位魔法でも使われたんじゃない?」
「マジかよぉ……。いやでもあの野郎も千の雷使ってきやがったし、誰かがやらかしやがったんだろうがよ……」
そんな二人はとりあえず会話しながら歩いていると、急に街が何かで焼かれて溶けたような状態が眼に入ってきた。
滅茶苦茶になった街に状助は驚きまくりだが、アスナは冷静に攻撃魔法か何かでこうなったのではないかと語る。
状助としては誰がそんなことすんだ? と考えたが、敵のアイツも千の雷をブッパしてきそうだったのを思い出し、まあそう言う事もあるかぁ、と納得。
「とりあえず俺のスタンドでなおせるところ全部なおしておくかぁ」
「律義ねぇ……」
「こんぐらいしか俺にできることはねぇからよ」
「……そんなことないと思うけど」
ならまあ、なおせるんならなおしておくか、と状助はクレイジー・ダイヤモンドで周囲をなおしていく。
なんというか、別にそこまでしなくても大丈夫じゃない? とアスナは思うのだが、状助はなおすぐらいしか取り柄がないと言い出した。
アスナとしてはそれはないと思い小さく声に出すが、状助はそうは思ってなかったようである。
「まっ、昼過ぎに全部片付いたのはよかったぜ。これからクリスマス・イブだしよ」
「そうね。本当にそれだけはよかったわ」
状助は焼けた建物をスタンドでなおしながら、この事件がさっさと片付いたことを喜んだ。
何せ今日はクリスマスで夜はイブとなるからだ。こんな事件でクリスマスが潰れなくてよかったと思うのも当然である。
その意見はアスナも同じであり、その意見に賛同して笑っていた。
そのあと状助はゆっくりと進みながら街をスタンドでなおし続け、だいぶ街並みが元の姿へと戻って行った。
アスナもそれを眺めてちょっとした会話をしながら、すごいなぁと内心思いつつ、状助に合わせて歩きその姿を見守る。
「じゃ、私はあっちだから、またね!」
「おう、気を付けて帰れよな!」
「そっちもね!」
だいぶ街もなおってきたところで、アスナは女子寮に帰るのために状助と別れることにした。
状助も男子寮と女子寮じゃ位置が全然違うので、別れの言葉を笑って伝えれば、アスナも笑い返して手を振って去って行く。
そのアスナの去っていく背中を眺め終えた後に状助は、もう少し建物をなおしながら男子寮へと帰っていくのだった。
…… …… ……
ネギも召喚魔や鬼神兵が消え、戦闘音がなくなったのを聞いて、戦いが終わったことを悟った。
「終わったみたいだね」
「マジで雑魚しか来んかったな……」
なんとか女子寮を守り切ったと言う様子で安堵しながら終わりを告げるネギに対して、小太郎は出てきた敵が弱い奴だけだったことにがっくしと言う態度を見せる。
「いやいや! 強敵が来たら困ったからそれでいいよ……!!」
「何言ーとんのや! 強敵と戦わんと強ーなれへんやろがっ!!」
「それはわかるけど……。こっちも守護しながら戦ってるんだし、みんなを危険にさらせないよ」
「ぐ……。そー言われりゃ、確かにネギの言う通りやもしれへんな……」
小太郎の言い草にネギは、そんなことがあった方が困ったとはっきりつっこめば、小太郎はもっと強敵と殴り合って強くなりたかった! と強く発言。
ネギも小太郎の意見は多少なりとてわからなくはないと言うが、こっちは守護しながらの戦いだからそういうのはなくていいと告げる。
それに対して小太郎も、守護しながらでの強敵との戦いは確かによくないと思ったようで、反省した様子を見せていた。
「のどかさんもありがとうございました」
「いえ! 私だってネギ先生に助けられてましたし、むしろありがとうございます!」
「よー戦い抜いたわ! 根性あるで!」
また、ネギは同じく防衛してくれていたのどかへとにこやかに礼を言う。
するとのどかもちょっと照れ臭そうにワタワタしながらも、戦いの最中はネギが最果ての光壁の分離した盾で守ってくれていたことを語って礼を述べていた。
そんな風に謙遜するのどかだったが、小太郎としては随分と印象を良くしたようで、防衛でずっと戦えたことを褒めたのだった。
「とりあえず僕は学園へと報告しに行くから、コタロー君はそのまま部屋に戻って大丈夫だよ」
「そうか? 俺も行った方がええんちゃうか?」
「一応連絡来たのは僕だけだし、何かあれば連絡来るんじゃないかな?」
「そーか? ならそうさせてもらうわ」
と、ネギはそこで小太郎へと休んでいいよと言うと、小太郎は自分も報告に行った方がよくないか? と聞き返す。
が、連絡が来たのは自分だし必要ならばあとで呼ばれるんじゃないかな? とネギが言うと、小太郎もそれなら、と夏美たちの部屋へと帰ることにした。
「のどかさんも疲れたでしょうから、ゆっくり休んでください」
「はっ、はい! わかりました……! お言葉に甘えさせていただきます!」
「では、僕はとりあえず説明をしてきますね」
次にネギはのどかへとねぎらいの言葉をかけると、のどかもネギの言葉にありがたみを感じて微笑みながら、その言葉に従うことにした。
そしてネギはのどかたちと別れて、近くで戦っていた教え子たちにも礼をいいながら集合場所へと向かって行った。
『こちらは麻帆良学園イベント実行委員会の者じゃ。君たちのおかげで麻帆良学園側は防衛に成功し、見事勝利をつかみ取ることができた。我々一同感謝と礼を言わせていただく、まことにありがとう。また、最も早く避難が完了したグループには最高の景品が授与されることになっておる。楽しみに待っていてほしいのう』
その時ちょうどイベントの終了のアナウンスと勝利宣言がジョゼフの巨大な立体映像から発せられ、誰もがイベントの終わりを理解。
数時間で終了したイベントに勝利したことで、誰もが歓喜に満ちた声を上げて喜んでいた。
「ふぅ、大変だったなあ……。でも、何とかみんなを守れてよかった」
ネギもそれを聞いて小さく息を吐いて安堵し、自然と笑みをこぼす。
「ネギ! そっちは大丈夫だったか!?」
「大丈夫だったよ! 兄さんこそ無事だったの?」
「いやまあちょいとヤベー事態にはなったんだが、無事っちゃ無事だ」
「そのヤバい事態ってのが気になるけど、とりあえず無事でよかったよ」
するとそこへカギが空から降りてきて、ネギや守護していた女子寮の状況を慌てて問えば、ネギは素直に問題ないと答えて逆に質問を返す。
カギもエヴァンジェリンが敵に操られていたことをヤベー事態として話しながら、まあ何とかなったと答えておく。
ただ、カギのヤベー事態って何!? とネギは少し驚き気になったが、まあカギが元気そうだったので大丈夫だったのだろうと考えてカギの無事を喜んだ。
「んでよ、お前に会いたいってやつが来ててな」
「会いに? 誰だろう?」
で、カギは親指を上に向けてもう一人来てるんだ、と言い出した。
それに対してネギは一体誰が? という様子で首をかしげて上を向く。
「よう、もう一人の息子!」
「えっ?」
その時、突如として声が聞こえてきた。それは昔、焦がれに焦がれた人の声だった。
それこそ父親のナギの声であり、ナギがすっとカギの横に降りてきたのである。
ネギは突然現れたナギを見て、何故ここに!? という様子で数秒間硬直。
「と、父さん!?」
「おう! 久々だなぁ! 全然会いに来れなくて悪かったな!」
「いっ、いえ! 忙しいのは知ってますし、連絡はよくしてくれてますから!!」
「そう言ってくれるとありがてぇ!」
フリーズから復活したネギは、どうなってんの!? と言う感じの大声を出せば、ナギは普通に笑顔で挨拶してきた。
なんというか、色々とやることが多すぎて顔を見せに来れなかったことを、ナギは少し気にしていた様子だった。
ただ、それはネギも理解しているし連絡自体はよくしているので、そこは気にしていないと言い、ナギはその言葉によかったと笑顔を見せた。
「だけどな、来たのは俺一人だけじゃねぇぜ?」
しかし、ナギはそこで自分だけが来た訳ではないと言い出した。
で、ナギが親指で後ろを刺したのをネギとカギが見れば、そこには長い金髪を靡かせた白い衣装の女性が立っていたのである。
「うむ……、とてつもない事態に巻き込まれてしまっていたようで、大変であったろう」
「あっ……、か、母さん!?」
「お袋まで!?」
女性はネギとカギの母のアリカだった。アリカもナギと共にこの麻帆良へやってきていた。
そもそも、こんな事件がなければ普通に麻帆良に来て、二人に挨拶する予定だっただけなのだ。
その姿を見たネギとカギは驚きの声を上げた。
父親だけでなく母親も同時に姿を見せたからだ。
いや、普通に考えれば両親揃ってやってくるだろ、と思うところだが、どちらも長年姿を見せなかったせいである。
「メトのヤツが慌ててやがったから何がどうしたと思ったが、まさかこんな事態になってるとはなぁ……」
「無事に済んで何よりよのう……」
「まぁ、メトが出りゃ簡単に片付くような事態だったけどな」
で、二人はメトゥーナトが慌てているのを見て、一緒にやってきたという訳だった。
ナギはメトゥーナトと共に戦い、その間にアリカはこっそり避難していたのだ。
まあ、アリカとて王家の魔力を使えるので、戦えないと言うこともないのだが。
いやはや、なんでこんなことになってんだよ、とナギが愚痴っぽく言うと、アリカも麻帆良が滅茶苦茶にならなくてよかったと安心した様子を見せる。
とは言え、ナギからすればメトゥーナトがここへ到着した時点で、勝負は決まっていたと肩をすくめた。
あのメトゥーナトであればこの程度の騒動など、余裕で治めることが可能なのをナギは知っているからである。
「久しぶりじゃな、息子たちよ。このような事態が起こった後で聞くのも何なのだが、息災であったか?」
「はい! 元気にやってました!」
「まあまあだなあ。ケンコーには自信はあるけどよー」
そこで改めて息子二人へと向き合い言葉を交わすアリカ。
その言葉に、こんな事件のあとではあるが特に気にせず笑顔で答えるネギと、対して少し疲れたと言う態度で答えるカギだった。
「あっ、そういえば学園側の会議に出るよう言われてるんでした!」
「あー……、そのことだが、とりあえずはお前は免除してくれるようメトのヤツが計らってくれるみてぇだ」
「えっ!? なんでですか!?」
ただ、ネギは会議に集合するよう連絡が来ており、そちらに向かわねばと移動しようとすると、ナギが必要ないと告げる。
ネギとしては突然集合の必要がなくなったことに驚き、どうしてそんなことまで? と疑問を口に出した。
「久々の親子の再会なのだからと、気を回してくれたようじゃ」
「そうだったんですね。あとでお礼をしないと……」
「メトのことだから気にしてねぇだろうがな」
その疑問にはアリカが静かに答えれば、ネギは納得した様子を見せながら感謝。
そんなネギの言葉に、ナギは礼なんて不要だと言うだろうな、と苦笑しながら言っていた。
「つーと俺も免除されたってことか!? やったー! 会議に出たら寝ちまうからよー!」
「兄さんはもっと緊張感を持った方がいいと思う……」
「うっせー! 緊張感なんて持ってても木の実が食えなくなるだけだぜ!」
「時々兄さんが何を言ってるかわからないよ……」
で、ネギがそれなら俺もだな! とカギが喜び飛び跳ねだした。
が、歓喜でテンション上げるカギへとネギは、会議で寝ると言う部分に少しつっこむが、カギは緊張感なんていらねぇと言い出した。
しかもなんだかよくわからん例えだったので、ネギにはまったくわからず頭を悩ませるだけだった。
「……ふふ」
「なんでお袋まで笑うんだよ!? 酷くねえか!?」
「そうではない。主らが仲よさそうで安心したのでな」
そんな兄弟のやり取りを見ていたアリカは、ふと笑いをこぼした。
カギは自分が笑われたと思ったのかアリカへと文句を言うが、アリカとしてはカギを笑ったのではなく、兄弟仲が良好な部分を好ましく思って笑っただけであった。
「なあ? 俺らって仲いいか?」
「えっ? 喧嘩とかそんなにしないし、そうなんじゃない?」
「そういや確かに喧嘩はそんなにしたことねぇなぁ……」
アリカに兄弟の仲が良いと言われたカギは、そう言うことなんかまったく意識したことがなかったので、ネギへとどうなん? と尋ねた。
ネギもカギから急にそれを言われて困惑するが、喧嘩とか滅多にしないことを思い出して肯定しておく。
兄弟喧嘩と言う単語にカギも、ふと過去を思い出して喧嘩はしねぇな、と相槌を打った。
「なんだよお前ら、全然仲いいんじゃん」
「マジで!? 俺、昔随分とネギにひでーこと思ってたけど!?」
「そうなの!? ……いやまあ、僕も兄さんに対して随分と失礼なこと思ってたし……」
ナギも二人の会話を聞いて嬉しそうに二人の仲のことを言えば、カギはウェールズの田舎に住んでた時のことを考え、ネギをかなりこき下ろしていたことを思い出し、それを声を大きくして言い出した。
元々カギはかなり踏み台転生者めいた思想をしていた時期があり、ネギを踏み台にしてハーレム作るぜぇ! と意気込んでいたことがあった。
今はもうそんなことなどやる気はないが、その時はネギのことをだいぶ酷い扱いにしてやろうと思考していたので、仲がいいと言われたカギは困惑しているのだ。
ネギもまた、今の兄であるカギのことは悪く思っていないが、同じようにウェールズの田舎にいた時はもう少し落ち着てほしいとか、なんかまたやらかしてるとか、村の人やお姉ちゃんに迷惑かけないでほしいとか思っていたので、わりと兄に対して失礼だったかもしれない、と今思った。
いや、普通に考えてそう思うのは当然であり正しいことなので、誰も責めることはできまい。
「なんだかんだ言ってこいつらいい兄弟じゃねぇか。かなり元気みてぇだしよかったな?」
「そうじゃな。本当によかった……」
兄弟どちらとも色々と思うことはあったようだが、今はこんな感じでやってる様子に、ナギもアリカも安心して微笑んでいた。
「ま、とりあえず今年はのんびりできるようになったんで、少しの間こっちで暮らすからそこんとこよろしくな!」
「うむ、世話になる」
「はい! こちらこそよろしくおねがいします!」
「いや世話になんの俺たちだと思うが……」
そして、ナギは旧世界の日本の年末年始は麻帆良にいると元気よく伝え、アリカも改まって二人へと頭を下げた。
ネギも両親の挨拶に礼儀よくお辞儀をして返事を返し、カギは逆だろとつっこみを入れて呆れていたのだった。