理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

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天下一武道会開催


五十一話 まほら武道会の始まり

 

 

 ――――まほら武道会。

龍宮神社で行われる予定の格闘大会だ。

 

 そこに麻帆良中からすさまじい強者が集まってきていた。

本来ならば衰退してしまったこの大会だが、それを買収して開催するものが居た。

 

 そのものの名はビフォア・タナン。

”原作”ならば超鈴音が開いたはずの大会だが、ここではこの男ビフォアが主催者となっていた。

そしてその開会式に、原作の超と似たようなことを宣言していた。

 

 また、司会役は朝倉和美ではないようだ。

一応和美はこの大会の司会にスカウトされたが、あの銀髪の一件で少し臆病となっており、それを断っていたのだ。

 

 そもそも知らないおっさんからそんな依頼をされても、受ける人など居ないだろう。

だからグラサンをした逆毛の男が司会をするようだった。

 

 そんな中、超は認識阻害を使いながら、こっそりとその開会式に紛れ、ビフォアという男を睨みつけていたのである。

 

 しかし、超は魔法が使えない。

ではどうやって認識阻害を使っているのだろうか。それは科学の力である。

 

 光学迷彩などを使い、周囲の人間をごまかしているのだ。

さらに、マフィアっぽい全身黒ずくめに変装し、正体もばれないように徹底していた。

 

 

「あの男が犯人に間違えなさそうネ……。この大会を開いて一体何をするつもりなのカ……」

 

「画像や映像の記録が残らないと言ったが、さて本当なのかどうか。検証してみんことにはわからんなー」

 

 

 もう一人、超の隣でその男を見ているものが居た。

エリックである。

 

 エリックはビフォアの映像が記録できないという言葉を半信半疑に受け止め、検証することにしたのだ。

ただ、そのビフォアという男の目的がいまいちはっきりしない。

この大会を復活させて何をしようというのだろうか。エリックはその辺りも疑問を覚えた。

 

 

「しかし、その前にあの男の目的は何なのか。この大会は何を意味するのかがわからん」

 

「確かにそうネ……。一体この大会を復活させて何をしようというのカ……」

 

 

 超もエリックも疑問に思ったが、まったく答えが出なかった。

とは言え、ビフォアが言った裏の世界という言葉や、詠唱禁止で少しだがピンと来るものがあったようだ。

 

 なぜなら魔法使いは魔法を隠すため、魔法に関する言葉を絶対に口にしないからだ。

そこである仮定がエリックの脳裏に浮かんだのだ。

 

 

「――――――まさかあの男、魔法を一般人にバラそうと言うのではあるまいな!?」

 

「そんナ?! 魔法を一般人にバラすだト!?」

 

 

 エリックのその言葉に超は驚いた。

何せこの時代はまだ魔法が一般人に知れていないのだ。

 

 遠い未来においては魔法はすでに一般人にも知れ渡り、ある程度普及している。

だが、この時代は隠蔽されており、魔法をバラせばオコジョにされてしまうのだ。

 

 さすればなぜ、オコジョにされるようなことを、あの男はしようとしているのか。

そこに新たな疑問が浮かんだのだ。

 

 

「イヤ、待つネ。この時代で魔法をバラせば、オコジョにされるはずヨ。どんなメリットがあって魔法をバラそうとしているネ?」

 

「そこまではわからん。オコジョになるのが目的ではないだろうが、あの男はオコジョにならない自信でもあるのだろうか?」

 

 

 オコジョに好んでなるやつなどいない。

つまりビフォアはオコジョにならない自信があるのだろう。

それか、別の目的があるかのどちらかだとエリックは考えた。

 

 しかし、現時点で魔法を一般人にバラしても、ビフォアにメリットがある気がしないのだ。

だから超もエリックも、今の仮定が正しいと考えられなかった。

 

 そこでエリックは一般人の幅を世界に広げて見た。

するとどうだろうか。規模が大きくなったことで、別の目線から物事を見ることが出来るようになったのだ。

 

 

「一般人を世界規模と仮定しよう。すると魔法をバラしたこの麻帆良全体が責任を負うことになるかもしれんぞ!」

 

「ま、まさかあの男の目的は、この麻帆良の魔法使い全てをオコジョにすることなのカ!?」

 

 

 そう考えればつじつまが合う。

あのネギがオコジョにされるという未来にも当てはまるのだ。

さらにビフォアのみがそれを掻い潜る方法を持っているとすれば、自分以外の魔法使いはこの麻帆良からいなくなるのだ。

 

 そして、この大会を買収したということは、想像以上に資産を持っている可能性があった。

エリックはそれを考えると、最悪の事態を想定した。

 

 

「ワシの予想ではあの男はこの麻帆良を、金で買収するつもりだ! やつは未来の知識でこの時代のさまざまな博打で儲けた可能性がある!」

 

「この時代のあらゆる賭け事の結果が書いてある年鑑か何かを使ったのカ!?」

 

「かもしれんぞ! なんてことだ! このままでは麻帆良はやつの手に渡ってしまう!!」

 

 

 そしてエリックは改変された、未来のデータを思い出していた。

この麻帆良を地獄へと変え、悪魔の化身として有名となった男の名を思いだしたのだ。

 

 そして、そのデータが詰まった小型末端を取り出し、それを見たのだ。

するとやはり改変された未来で、その男がこの数週間後に麻帆良の代表となり、治安悪化を引き起こしていたのだ。

 

 

「ああ、なんてことだ!はじめに気付くべきだった! まさか我々が追っていた男は改変された麻帆良の代表とは!」

 

「そ、それは最悪ヨ! なんとしてでも阻止しないとネギ坊主だけではなく、麻帆良も崩壊してしまうネ!」

 

「そうだとも! しかし時間がもう残り少ない。早めに手を打たねばならんぞ!」

 

 

 もう残り時間が少なく、タイムリミットが迫ってきていた。

エリックはその前に何とかしなければならないと考えてたのだ。

だが、そこで超は、それならもう一度過去に戻れば、時間を多く使えると考えたようだ。

 

 

「それならもう一度二年前に戻て、あいつを捕まえればいいネ!」

 

「それは駄目だ!! 過去のワシらに出会う方が危険だ!」

 

 

 しかしその作戦はエリックによって却下された。

なぜなら過去の自分たちに出会う危険があるからだ。

 

 そうなれば最悪、時空連続体が破壊されかねないのである。

さらに、エリックにはもう一つ、その作戦が行えない理由を超へと話した。

 

 

「それにワシらのアジトもその理由で使うことが出来ん! だから過去に戻るという選択はない!」

 

「そ、そうね……。うかつだたヨ」

 

 

 過去に戻っても、今所有しているアジトが使えないというのは戦略的に厳しい。

というのも、過去の自分たちがアジトに出入りしている。

 

 そういう訳で、過去の自分たちに最も出会いやすいアジトを、使う訳にはいかないのである。

だから、とりあえず現状維持で行動するしかなかったようだ。

 

 

「今はとりあえずヤツの目的を見定め、今出来ることをするしかないだろう」

 

「それしかないカ……」

 

 

 とりあえず超とエリックはビフォアの監視とこの大会の流れを知るために、まほら武道会を見学することにしたようだ。

そこでエリックはありとあらゆる機材を使い、本当にこの大会がカメラなどの媒体に映らないかを検証するための準備をしに戻った。

 

 そこで超は再びビフォアを睨み、必ず野望を阻止してやると心に誓っていたのだ。

そんな二人が話し合っている中、その近くで二人の少年が会話をしていた。

なにやらこの大会に出場するか否かでもめているようだった。

 

 

「おいネギ、この大会で強敵をぎょーさん倒して、つよーなるチャンスやで?」

 

「コタロー君、僕は戦いは得意じゃないんだ、あまりこういうのは……」

 

 

 その少年二人はネギと小太郎だった。

ネギは小太郎に連れられてこの龍宮神社へやってきていたのだ。

小太郎はこの大会で、強敵と戦えば強くなれるかもしれないと考えたようだ。

 

 逆に誘われたネギは、戦うことがあまり好きではなかった。

絶対に戦わなければならない場面以外、極力戦いたくは無いのだ。

 

 ちなみにネギはここへ来る前、のどかとしっかりデートをしてキスまでされていた。

だがネギは世界樹の魔力で暴走することなく、しっかりとのどかをエスコート出来たようだった。

 

 またデート後で、さらに意識がある中での”初めてのキス”をされたネギは、そのことを少し考えていた。

そんな思考中のネギを小太郎は必死に説得し、この武道会に引っ張り込んで参加を促していたのである。

 

 

「そんなんでええんか!? あの悪魔のおっさんにボコられて、さらにあのメガネのおっさんにまで負けて、悔しくないんか!?」

 

「…………確かに悔しかった。でもそれ以上に自分で生徒を、千鶴さんを守りきれなかったことのほうがもっと悔しいんだ」

 

「ならもっと強くならんとあかんやろ? これはそのチャンスの一つやで!」

 

 

 小太郎はヘルマンと戦った時のことを思い出し、それを叫んでいた。

本気のヘルマンにただ殴られるだけで、まったく攻撃できずに終わったあの戦い。

 

 そして、その後に現れたメガネの男と、それが操る機械天使も強敵だった。

どちらの戦いにおいても、まったく優勢にもならず叩きのめされただけだったのだ。

 

 小太郎はその戦いがとても悔しかったのである。

それをネギに聞けばやはりネギも悔しかったようだ。

 

 だが、ネギが悔しいのは敗北以上に、自分の生徒である千鶴を守りきれなかったことだった。

あの場で覇王が現れなければ、どうなっていたかわからなかったからだ。

それならもっと強くなるために戦えと、小太郎はネギに言い聞かせていた。

 

 

「……コタロー君の言うとおりかもしれない。僕も…………、この大会に出てみるよ」

 

「その意気や! 男ならガッツを見せなあかんわ!」

 

 

 ネギは強くなるため、また強者と戦うために大会の参加を決意した。

それを聞いた小太郎は、それでこそ男だとネギを励ましながら喜ぶ。

 

 そこでそのネギの言葉を聞いていたタカミチが、ネギの近くへとやってきたのだ。

 

 

「おや? ネギ君たちも出るなら、僕も出てみようかな?」

 

「た、タカミチさん!?」

 

 

 なんとタカミチがネギの参加を聞いて、この大会に参加すると言い出したのだ。ネギはある程度タカミチの強さを知っているので、その言葉に驚いていた。

 

 

「今のネギ君がどれほどなのか、少し試してみたくなってね」

 

「僕はそこまで強くなろうとはしていないので、そう言われても……」

 

「何言っとるんや! こういう時こそ望むところやと言う場面やろが!」

 

 

 タカミチはネギがどれほど成長したかを確認したくて、それで参加を決めたようだ。

 

 だが肝心のネギは昔から特に強くなる気などなかったため、さほど戦闘技術を磨いてはこなかった。

ある程度の攻撃魔法は覚えさせてもらったが、それ以上は覚えていないのだ。

 

 しかし、そんな事情も知らず、小太郎はここは熱い展開で好敵手宣言する場面だと叫んでいた。

さらにそこへ一人の少女がやって来た。アスナである。

 

 

「高畑先生も出るのね…………。なら、私も出てみようかしら?」

 

「あ、アスナさんまで!?」

 

 

 アスナはタカミチが出るから、自分も参加してみようと言ってきた。

ただ、タカミチに惚れている訳ではない。つまり、好きな相手が出場するから自分も参加したいということではないのだ。

 

 ということは、どういう意図があって参加するのだろうか。

それはまだ、アスナ本人にしか知りえないことだろう。

 

 そこでアスナも参加すると聞いたネギは、さらに驚いていた。

ネギはアスナがアーティファクトを確実に使いこなし、高い技術を身につけていることを、ある程度見てきたからだ。

 

 さらに3-Aの中でも、一際戦闘力が高い古菲や忍者の楓、はたまたスナイパーの真名も参加するようだ。

 

 

「なんかすごいことになってきちゃったぞ!?」

 

「むしろ燃える展開やろが! どれほどの相手か知らへんが、わくわくしてきたで!」

 

 

 そこでネギは大丈夫かどうか考え始めていた。

ネギは、その三人の実力をいまだ知らないので、実際はなんとも言えないのだが。

 

 されど、小太郎はむしろ逆に燃え上がっていた。

強敵が増えれば増えるほど、戦い甲斐があると思っているわけだからだ。

 

 しかし、そこにもう二人、少女がやってきた。

どちらも京都出身の少女だ。それは刹那と木乃香であった。

二人とも並んでネギの方へとやってきたのである。

 

 

「あれ? アスナさんも参加するのですか? 私もちょうど参加しようと思ったところです」

 

「ほー、アスナも参加するんか? なら今からウチとは敵同士やな!」

 

「はっ? えっ!? 刹那さんはわかるんだけど、このかも出場する気なの!?」

 

 

 刹那はこの大会の主催者が放った”詠唱禁止”の言葉に疑問を感じ、参加してみようと思ったようだ。

本来なら一般人の前で使わない単語だからである。

また、木乃香は自分の力試しのために参加しようと決めたのだ。

 

 そして、アスナは刹那が参加するのはわかるが、木乃香が参加するというのは意外だった。だから少し驚いていたのだ。

しかし、アスナよりもその横に居たネギの方が驚いていた。

 

 

「ええ!? このかさんも参加するんですか!? だ、大丈夫なんです!?」

 

「この姉ちゃん大丈夫なんか? めっちゃ弱そうやけど?」

 

 

 ネギは木乃香が大会に参加することを心配していた。

普段からふわふわしてやさしい彼女が、戦えるのだろうかと考えたのだ。

 

 が、京都での木乃香の活躍を考えれば、特に問題は無いはずだ。

いやはやネギは、普段の木乃香の態度を見て、物事を考えているようだ。

 

 その隣に居た小太郎も、このやわらかい物腰の木乃香があまり強そうに見えなかったのである。

だが、木乃香は問題ない、やれると、はっきりと口にしていた。

 

 

「大丈夫やよ! ウチやてちゃんとやれるってところを、はおに見せなあかんのやから!」

 

「へえ、木乃香が参加するのか。どれ、本選に進めるか楽しみだね」

 

 

 すると木乃香と刹那の後ろから少年の声が聞こえたのだ。それこそ木乃香の師匠であるあの覇王であった。

覇王は木乃香が本選へと駒を進められるかどうかを考えているようだった。

 

 何せこの大会はそこそこの強豪が参加するようなので、本選へ進めるか気がかりのようだったのだ。

 

 その覇王の声を聞いて、木乃香と刹那は振り向いた。

そして木乃香は覇王を、見ていっそう笑顔が眩しくなる。

 

 そこで小太郎は覇王を見て驚き、少し恐縮していた。

さっきまでの威勢はどこへやら、完全におとなしくなっていたのだ。

 

 まあ、京都でリョウメンスクナを鬼火を使って一撃で倒した光景を見てしまったのだ。

あれが完全にトラウマになっているのである。

 

 

「あ、はお!」

 

「覇王さん、こんばんわ」

 

「は、覇王さん! どうもお久しぶりです」

 

 

 とりあえず木乃香と刹那とネギは覇王へ挨拶していた。

木乃香は笑顔で元気に手を振り、覇王へと近づいていった。

 

 また、刹那は小さく覇王にお辞儀していた。

その刹那の横のネギも、丁寧にお辞儀していたのだった。

 

 

「あ、覇王さん。覇王さんは参加しないの?」

 

「僕が参加したら優勝しかないじゃないか。それじゃ面白くないだろ?」

 

 

 そこでアスナは覇王に大会に参加するかを質問した。

されど、覇王は参加しないと言ったのだ。というのも、覇王はこの大会に出れば優勝以外の結果を疑っていないのである。

 

 そもそも体術もそこそここなし、さらに一般人が見えないO.S(オーバーソウル)を操れるので、どんなルールであれ、本気で挑めるからである。

 

 

「あ、そう。やけに自信があるのね」

 

「当たり前だろ? こんなちっちぇえ大会で敗北したら、それこそ末代までの恥さ」

 

「はおー。ウチが参加するのにハードルあげへんでほしいんやけど」

 

 

 もはやこの大会にアウトオブ眼中の覇王。

確かにシャーマンキングでのシャーマンファイトのトーナメントを考えれば、この大会での敗北はまさに恥の一言だろう。

そう覇王が考えてしまっても仕方の無いことだった。

 

  そんな覇王を見てアスナは、どんだけ自信があるのかと思いながら、ため息をついていた。

また、今の覇王の言葉に木乃香がハードルをぐーんとあげられたと感じ、覇王に文句を言っていた。

 

 

「ああ、僕が敗北したらという話だよ。木乃香にはちょうどいいんじゃないか?」

 

「そかー、そないなら安心して参加できそーやな」

 

「このか、勝ち残って本選で当たっても手加減しないからね?」

 

「このちゃんも本気で参加するんですね……」

 

 

 覇王はこの大会なら木乃香の戦力としてはちょうどよいと言った。

そして覇王から、先ほどの言葉が誤解だったことを知り、絶対に参加することを決意していた。

 

 また、アスナも木乃香が本選へ進んで自分と戦う場合、手を抜かずに本気を出すと宣言していた。

実際アスナは、木乃香がそうやすやすと負けるはずがないと思っているのだ。

 

 だがそこで、最もやばいと思っていたのが刹那だった。

刹那は木乃香と当たった場合、絶対に戦うことが出来ないと考えたのだ。

大切な友人であり護衛対象でもある木乃香に、武器を向けるなど出来るはずが無いと思っていたのである。

 

 

「とーぜん本気やよ! ウチの成長をはおに見てもらわなあかんのやから!」

 

「ふふふ……。木乃香がどれほどのシャーマンになったか、師として大いに期待しておくとしよう」

 

「期待しといてな!」

 

 

 覇王は木乃香の成長をとても期待している。

それは弟子としての成長という意味が大きい。

ほんの少しだが、自分と並んで歩けるようになることも楽しみにしているのだ。

 

 また、木乃香も覇王の横を共に歩めるようになるため、必死にシャーマンとして技量を磨いてきた。

覇王から貰った大切な媒介を使い、新型O.S(オーバーソウル)の開発なども頑張ってきたのだ。

 

 だからこそ、木乃香は覇王にその成果を見てほしいのである。

そして、その木乃香たちを遠くから見るものが居た。

 

 

「あの覇王は出場しないようだな」

 

「そのようですな」

 

 

 錬とその持霊、馬孫である。

この錬もシャーマンとしての技量を磨くためにこの大会に参加するようだ。

 

 そこで覇王の大会不参加を聞いて、錬は喜び半分残念さ半分と微妙な気分となっていた。

なにせあの覇王と戦えば無事ではすまないからだ。

 

 とは言えだ、覇王と戦えることは、成長にもつながる。

だから覇王が不参加なのを少しだけ残念に思っているのだ。

 

 

「覇王が参加しないのは少し残念だが、あの覇王の弟子とやらが参加するらしい……」

 

「あの少女でございますか。見た目だけではまるで実力がわかりませぬが……」

 

 

 が、錬の目星が覇王の弟子の木乃香へと移った。

錬は覇王の弟子ならばある程度出来ると考えた。

 

 そこで錬はあの覇王の弟子が”原作キャラ”の木乃香だとわかったようだ。

この錬は微妙ながら原作知識を持ち、メインキャラぐらいならわかるのである。

 

 ただ、そんなことは錬にとっては些細なことだ。

なぜならそんなこと以上に、シャーマンとして実力を伸ばすことが大切だからだ。

 

 そして、あの木乃香が覇王の弟子ならば、シャーマンとしても優秀だということだろう。

そう錬は考えると、木乃香と当たった時の事を考え、唇が片側につりあがっていた。

とても楽しみだと感じたのだ。

 

 

「馬孫、見た目で判断するとはらしくないぞ?」

 

「いえ、雰囲気でしょうか。とても戦うようには見えぬものでして……」

 

「確かにそうだな。だがあの女は覇王の弟子だ。間違えなくシャーマンとしては強者なはずだ」

 

 

 木乃香は見た目どおりとても優しく柔らかい物腰の少女である。

そのため馬孫には、どうしても強そうには見えなかった。

 

 だが、錬は見た目にだまされてはならないことを知っている。

 

 と言うのも、そう言った柔らかく掴みどころのない態度こそ、”シャーマンキングの葉”そのものだからだ。

錬が見た目や雰囲気に騙されてはならないというのは、そういう部分も含まれているのである。

 

 それに、あの覇王の弟はどうしようもなく弱かった。

本来ならば覇王の弟子のようになってほしかった、その弟、陽。

 

 錬はそれをとても残念に思ったいた。

されど、その覇王の弟子が目の前に居る。そして戦うチャンスがやってきた。

だからそのことに、とても喜びを感じていたのだ。

 

 

「楽しみだ、あの覇王の弟子と戦える時が……」

 

 

 いまだ予選すら始まってはいないというのに、すでに木乃香と戦う気で居る錬。

むしろ予選など無いに等しいとまで感じて居るのだ。

 

 そして、いよいよ予選が始まろうとしていた。

さて、ここで生き残るのは一体誰だろうか。

 

 




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