久々のテンプレ
そして久々の彼
麻帆良祭にて、一つの大イベントがある。
それはまほロック2003である。
これは大掛かりなライブイベントで、学園内のバンドチームが演奏するイベントだ。
しかし、まだ開催時間の数時間前であり、リハーサルするチームぐらいしか人が居なかった。
だが、そんな場所に、ある男がやって来ていた。
それはあの状助だった。
なぜ彼が、こんな場所に来て居るのだろうか。
「よー、昭夫。おめぇの演奏を見にきてやったぜ」
「おーよー状助かー! 久しいじゃあねぇか!」
「隣のクラスだっつーのに、久しい訳ねーだろ!」
状助が会いに来たのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーのスタンド使い、音岩昭夫であった。
昭夫はギターがうまくなりたいために、ジョジョPart4の音石明の能力をもらったのだ。
こんな恰好のイベントに出ないはずが無いのである。
「いつも思うんだがよぉー。おめぇの演奏はすげぇーよなあ」
「あたりめーよぉー! 一に演奏二に演奏だからなあ!」
「演奏しかねーじゃあねーかー!」
もはや完全に演奏バカとなっていた昭夫。
毎日演奏三昧と言う変人だったのだ。だが、そのおかげかとてつもない演奏技術を身につけたようだ。
と言うのも、特典元の時点で、地味にすごい技術を持っていたりするのだから当然だ。
この状助ですら、昭夫の演奏はすごいと思っているほど、昭夫はなかなかのギタリストらしい。
「いいじゃあねーか。迷惑かけねーように、練習してるんだからよおー」
「あたりめーのことだろーが! まっ、おめぇがスタンド使って悪さしてねぇならそれでいいのさ」
この昭夫、一応ギター演奏の練習に気を使っていたらしい。
しかし、それは一般常識的なことなのだ。守って当たり前だと状助は叫んでいた。
まあ、それとは別に状助は、この昭夫がスタンドを使って悪さをしていないことに、地味に感心していたのだ。
「前にも言ったはずだが、このレッチリはギターのオマケよ、オマケ」
「スタンドがオマケっつーのは、世界の転生者探してもおめぇぐれーだぜ……」
昭夫はギターがうまくなりたかったので、この特典を選んだ。それに偽りなどない。
また、転生者まみれだと言う話を聞いていたので、身を守るためにスタンド使いの特典を選んだ。
だが、所詮スタンドはギターの才能のオマケだと、昭夫は言っているのだ。
そこに状助はツッコんだ。
何せ普通ならスタンドが使いたくて、スタンド使いの特典を選ぶからだ。
それだというのにこの昭夫は、こんなクソ強いスタンド貰っておいてオマケだと言うのだから、そう言いたくなるのも頷けるというものだ。
「身を守るためのレッチリであって、それ以外はどうでもいいってこった」
「確かに電気がありゃ最強だもんなあ……」
「後電線とか通れるしな。逃げるのにも苦労しねえぜ」
昭夫のスタンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーは電気さえあれば最強クラスのスタンドである。
射程距離もかなり長く、オマケにパワーもスピードも一流だ。
そんなスタンドならば、身を守るぐらいは出来るだろうということである。
さらに、レッド・ホット・チリ・ペッパーは電線などを伝って移動することが出来る。
そこに道具や人も掴んで電線に進入すれば、それも一緒に移動出来るのである。
つまり、それを使えば本体である昭夫も、電線へ進入することが出来るということだ。
まあ、ジョジョの原作で本体が電線を移動したところは、描写されていないので出来るかどうかは不明だが。
「つーかよお、テメェのスタンドだって十分すげーじゃあねぇか、状助よおー」
「そ、そうかぁ?」
しかし、そんな昭夫も状助のスタンドも十分すごいと思っていた。
何せどんなものでも修復してしまう上に、近接戦闘もこなせるからだ。
そんな便利な能力なのだから、日常生活では役に立っているはずだと、昭夫は考えていた。
また、この状助はスタンドを二つも所有している。
特典二つを全てスタンドにしたのだ。だが、その二つ目のスタンドは戦闘特化ではないので、活躍の場を見ることはあまりないのだが。
「しかもスタンド二つも選びやがって……。そーいうのってズルいと思うがな?」
「というかよぉ、神から特典もらってる時点で、すでにズルいだろ……」
「まーそうだな……。だがせっかく貰ったんだから、楽しませてもらうぜ」
それを状助に言うと、状助は特典を選んだ時点でズルいと言い出した。いや、まったくその通りなのである。
状助も特典を貰った時点で、チートだズルだと一応思っていたらしい。
その考えは昭夫にもあった様で、少しだが表情に影を見せていた。
しかし、それも一瞬であり、貰ったのなら使わせてもらうと、すぐさま元気を取り戻していた。
「ほんとおめぇは前向きだよなあ。羨ましいぜ」
「ハッ、前世も悪くは無かったが、今は最高の気分だかんな!」
「テンションたけぇな……」
それを見た状助は、この昭夫がとんでもなく前向き、ポジティブなヤツだと思ったようだ。
また、昭夫も前世を考え、前世は前世で悪くはなかったと考えていた。
だが、今はさらにすばらしい人生を歩んでいるので、気分が最高だとテンションと叫びを同時にあげていた。
そんな昭夫に状助は、ドン引きして数歩後ろへ下がっていた。
「そーいや、おめぇの仲間はどこだ? バンド組んでるんだろ?」
「はぁ? 俺がつるむ訳ねーだろ? ソロだよソロ」
状助は昭夫はバンドを組んでいると思ったようで、仲間はどこだと昭夫に聞いてみた。
しかし昭夫に仲間はおらず、ソロバンドで活動してたのである。
だから昭夫は状助に、一人でやっていると話したのだ。
また昭夫は暇つぶしに、この場所でひたすらギターを弾いていただけだった。
「マジかよグレート……」
「あったりめーだろ? 俺は一人で十分だぜ?」
それを聞いた状助は少しだけ驚いていた。
だが昭夫はそれがさも当然だと、状助に言ったのだ。
と言うのもこの昭夫、一人じゃないとテンションが上がらないようだった。
そこに状助と会話する昭夫の下へ、数名の女子たちが近づいてきた。
それは椎名桜子、柿崎美砂、釘宮円の三人だった。
この三人は、遠くで椅子に座って昭夫たを眺めている和泉亜子を含めて、でこぴんロケットと言うバンドを組んでいる。
そして、その四人は今回このライブイベントに初参加するようであった。
だからなのか、毎年イベントに参加している昭夫に、三人が話しかけてきたのだ。
それを見た状助は、やはり変な顔で驚いていたのである。
「音岩さん、こんにちわー」
「ちわー」
「こんにちわ」
「よう、おめぇら」
なんとこの昭夫、その三人と顔見知りであった。
さらにある程度親しそうな関係のようで、友人に会ったような感じだった。
そこで状助は、目を飛び出しながら口を大きく開けて、アホのような顔で驚いていた。
まさか、ここにこのような伏兵が居るとは思っていなかったのだ。
「あ、状助じゃーん。アハハー、なんか面白い顔してるしー!」
「なっ、なんでもねーよ!」
そこで状助に声を書けたのは桜子であった。
というのも、桜子も状助と小学校で同じクラスだったのだ。
久々に見たリーゼントがアホ面していることに、桜子は腹を抱えて笑っていたのである。
そんな桜子に笑われる状助は、笑われていることよりも、やはり昭夫の人気っぷりの方が気になる様子だった。
「なー椎名よぉー。昭夫って人気あんのか?」
「えー!? 知らないのー!?」
「だから何がだっつーのよー!!」
状助はライブに参加するだろう桜子に、昭夫は人気があるのかを質問したのだ。
あの昭夫が女子に囲まれている姿を、まったく想像できなかったからだ。
だが、その質問に桜子は、そんなことも知らないのかと言う表情で状助に質問し返したのだ。
質問で質問が返される悲しい時代だった。
そんな質問返されて、状助はそれでは意味がわからんと、少し不機嫌そうに叫んでいた。
「音岩君は2年前のライブで、一気に人気を博したんだよー!」
「うそだろ承太郎!」
「昔から思ってるんだけどさー、それ誰ぇー?」
なんとあの昭夫、2年前に参加したライブで、一瞬にして人気となったようだ。
それを聞いた状助は、おなじみの言葉を発していた。
また桜子も昔からずっとそれを聞いていたのだが、その承太郎とか言う存在が誰なのか、未だにわからないようだった。
いや、わかる方がおかしいのだが。
「んなことよりよおー、グレートすぎるぜ。昭夫のやつがそんなことになっていたとは……」
「状助は昭夫と友達っぽいのに、そんなことも知らなかったのー?」
「こういう場所に来んのは、はじめてなもんでよぉー」
状助はこのライブへやってくるのが初めてだった。
そのためか、昭夫の人気っぷりに気がつかなかったらしい。
そんな状助に対して桜子は、昭夫の友人だと言うのにそれも知らぬとは、と半分あきれていた。
「そっかー。そーにゃら仕方ないねー」
「そういうこと……よ……? ……よよ……よ……?」
「ん? 状助どうしたの?」
桜子はその状助の言い訳に、まあそれならそんなもんか、と思った。
そして状助はそういうことだと言った後、なにやら挙動が不審になっていた。
それをおかしいと思った桜子は、状助に何があったのかを聞いていた。
というか、今日の状助は常におかしいとしか言いようがないのだが。
「……グレート……。マジかよ……」
「んー? ああ、あの二人かー」
状助が見ていた方向には、亜子が座っていた。しかし桜子は二人と言った。
つまり、そこにもう一人、いつの間にかやって来ていたことになる。
それは一体誰だろうか。あの銀髪なのだろうか。
否、違った。そうではなかった。だが、それでも状助が驚くに値する人物だったのである。
「さっ、三郎ぅぅぅ!?」
「えっ? あれっ!? 状助君?! なぜここに……!!?」
なんと、なんとそこに居たのは、あの三郎だったのだ。
一体どういうことなのか、まったくわからない状助は、三郎を呼び叫んでいた。
また、三郎も状助がこの場に居ることに驚き、焦りを見せていたのだ。
「おめぇーよぉ、一体どういうことだコラァ!」
「やや、状助君こそどうしたんだよ」
まさかこのような場所で巡り合うとは、両者とも予想外だった。
どちらも驚き戸惑っていおり、どういうことなのかと聞き出していたのだ。
「俺は音岩昭夫に会いに来ただけだぜ」
「え!? でも今椎名さんと会話してたよね」
「それは成り行きっつーかよお」
先に現状を話したのは状助だった。
状助は特に隠すことが無いので、昭夫に会いに来たと言ったのだ。
しかし、今会話していたの相手は昭夫ではなく、桜子だったのである。
それを三郎が状助に指摘すると、状助は成り行きだとごまかしていた。
また、三郎はそれを見て、あることを思ったようだ。
「というかさ、前から思ってたんだけど、状助君って地味に周りに女の子多いよね」
「うっ、うるせーぜ! 好きでそうなってる訳じゃあねーんだぜ!?」
「まあまあ、誰もが羨む光景だよ、それは」
それは状助の周りに女子がやや多いということだった。
男子校に通いながらも、状助には小学校の腐れ縁と呼べる女子が三人もいるのだ。
そう三郎に言われても仕方の無い状況だったのである。
だが、状助はそれをあまりよく思っていない。
というのも状助、元々が関わりたくない系転生者だからだ。
だから三郎に、好きでそういう状況になったわけではないと、少し声を張り上げて話したのだ。
そこで三郎は、それは誰もが羨むことだと、状助をなだめていたのだ。
「むしろよぉ、おめぇが何でここに居んだぁ!!?」
「え? いや? ハハ」
しかし、状助が次に三郎へと質問すると、三郎は笑ってごまかそうとしていた。
それを見た状助は、何か隠していると感じ、ごまかすことは許さんと言ったのだ。
「ごまかそうったってそうはいかねーぞ!」
「うーん。……俺は亜子さんに会いに来たんだよ」
「は、はあ? どういうことだコラァ!?」
三郎が亜子に会いに来たというのは状助も見てわかっていた。
だが、それだけなのかと考えるのも普通のことだ。
状助はそこでさらに、どういうことなのかを三郎へと質問したのだ。
その質問に三郎は、少しだけだが複雑な表情をして、正直にそのことを話し出したのだ。
「状助君にも覇王君にもずっと黙ってたけど、亜子さんは僕の彼女なんだ」
「……? …………んんん? 待て待て、何かおかしいぞ、何かおかしい……」
「いや、おかしいとか言われても……」
すると三郎からは、とんでもない答えが返ってきたのだ。
いや、最初に三郎と亜子が会話している場面を見て、状助はある程度察していた。
だが、本人からそれを聞くとなると、少し印象が変わると言うものだ。
それを聞いた状助は微妙に混乱したのか、わけがわからないことを言葉に出し始めていた。
「明らかにスタンド攻撃を受けている……!」
「いやいや、俺はスタンド使いじゃないし」
状助はさらに混乱し、スタンド攻撃だなんだと言い始めていた。
その状助の混乱ぶりを目の当たりにした三郎も、少し引きながらスタンドは持っていないと状助にツッコんでいた。
そして状助はとりあえず復活したようで、叫びならどういうことだと三郎に問い詰めたのだ。
「一体どういうことだよそれはよおおお!?」
「と言うか状助君さ、なんでそんなに驚いている訳?」
三郎はその状助の慌てぶりに、意味がわからなかった。
どうしてそこまで驚くのかがまったく理解できないのだ。
そりゃ彼女がいるのを隠していたことを、暴露したのだから驚かれるのはわかる。
とは言えだ、そこまで驚くほどのことなのだろうかと、三郎は考えたのだ。
さらにあの覇王だって、見た感じ木乃香と付き合っているように見えるような状況なのだ。
それほど状助が驚く必要性を、三郎は感じていなかったのだ。
「あ、あぁ……。ここでは言いづらいことだからよ、後で話すぜ」
「また状助君の前世の記憶のことかな?」
「まあ、そんなもんだぜ」
状助が驚いていたのは、理由がある。
何せ状助は三郎と違い”原作知識”を持つ転生者だからだ。
それゆえに、和泉亜子が”原作キャラ”ということがわかるのである。
と言っても、原作キャラと言う枠組みで見てる訳ではないが。
だからこそ、気がつけばそんな亜子と仲良くなってる三郎に、状助は驚いていたのである。
それでもって状助は、どうして驚いているのかをここでは言えないので、後で話すと三郎へと言ったのだ。
また、三郎もそれを察したのか、いつものアレかと納得した様子だった。
「三郎さん、何してはるん?」
「あ、亜子さん。紹介するね。彼は俺の友人の東状助君だよ」
その様子を見ていた亜子が、三郎へと近寄り話しかけていた。
三郎はそこで自分の友人である状助を、亜子へと紹介したのである。
そこで状助は紹介すんのかよと思いながら、慌てた様子を見せていた。
「ど、どうもっス、俺、東状助といいまス」
「あれ? どこかでお会いしませんでした?」
そこで三郎がそう言うのなら、当然自らも名乗らねばならないと思った状助は、とりあえず自己紹介をしたのである。
しかしこの状助、やはり関わりたくない系転生者。
ある程度吹っ切れているものの、自分の記憶にある存在たる亜子に、恐縮していたのだ。
そして最近状助は、そんな中途半端な原作知識なんていらなかったと思い始めていた。
また、亜子は状助を覚えていたようだ。
あの数ヶ月前のあやかのリゾート島で、リーゼントが居るのを見かけたからだ。
加えてアスナと会話している状助を見ていた亜子は、あの時のリーゼントだとわかったようである。
「え? 知り合いだった?」
「んんー? どこか、どこだ……!?」
「ほら、数ヶ月前のリゾートの島の時です」
三郎は亜子が状助を知っていたことに、少し驚いていた。
まさかどこかで会っていたなど、思いもよらなかったのだ。
だが肝心の状助は、どこで会ったかを必死に思い出していた。
それを見た亜子は、あの島で見かけたと、状助へと話したのだ。
「あ、ああ! ……すんまセン、覚えてないッス……」
「そ、そうですか……」
しかし状助、まったく記憶に無かったらしい。
なんと失礼なやつなのだろうか。まあ、実際会話した訳ではないので、その程度なのだろう。
そこで亜子も自分はやはり地味なんだなと思い、少し暗くなっていた。
だが、あの時は水着で背中の傷が少し見えていたので、逆に覚えていなくて助かったとも考えたようだ。
また、三郎は島と聞いて、はてどこだろうと考えたようである。
「島……?」
「あ、三郎さんは知らんのやった……」
亜子はその島へ、三郎を呼んではいなかった。
というのも、やはり男子を女子の集まりで誘うのは、抵抗があったのである。
だから少し申し訳なさそうに、三郎にそのことを説明していた。
「数ヶ月前のことやけど、ウチのクラスの子が、リゾート島に誘ってくれはったんや」
「ふむふむ。で、なんで状助君がそこに出てくるんだい……!?」
「あー、そいつは俺が説明するぜ」
しかし、そこで状助が居るのはどういうことなのか。
三郎はそのことを亜子へと質問したのだ。そりゃ女子のクラスの誘いに、男子たる状助が出てくるのはおかしいからである。
そこで、その三郎の質問に状助は自ら答えたのだった。
元々その旅行の計画をしたのがあの雪広あやかだった。
また、自分を誘ってきたのはアスナだったのだと、状助は三郎に話したのである。
それを聞いた三郎は合点がいったようで、頷きながら納得していた。
「なるほど、確かに状助君なら誘われる訳だ」
「いや、俺も随分断ったんだぜぇー?」
「まあ女子が多い場所だとねえ……」
三郎は、状助があやかやアスナと、小学生からの付き合いなのを知っていた。
だから誘われてもおかしくないと考えたのだ。
とは言え、状助はそこで何度も断ったと言っていた。
それを聞いた三郎も、女子だらけの中に入っていくのは抵抗があると感じたのだ。
そこで亜子は、呼ばれていたのが三郎の友人なら、その三郎も誘えばよかったと思い少しだけ後悔していた。
「それならウチも三郎さんを誘えばよかったんかな」
「別に気にしないよ。というか俺もそういう場所じゃ、キンチョーしちゃって駄目だよ」
「俺もかなーり居辛かったしよぉー……」
それを聞いた三郎は、特に気にする様子を見せていなかった。
さらに、そんな女子だらけの場所に行ったら、ガチガチになって動けないと三郎は語っていた。
また状助も、結構肩身が狭い思いをしたと、あの時の心境を三郎に話していた。
「まあ、よくわかったよ」
「おう」
とりあえず三郎は、今の状助の説明で大体把握できたようだ。
そこで亜子が、状助が覚えていないのなら、改めて自己紹介をしようと考え、状助へと話しかけていた。
「そや、なら改めて自己紹介せな。ウチ、和泉亜子です」
「お、おう。さっきも言ったが俺、東状助でス、よろしく……」
その亜子の自己紹介を受けて、状助もそれを返していた。
しかしまあ、やはり状助は元々関わりたくない系転生者。
その自己紹介で妙に緊張していたのである。
これだからヘタレ、チキン、人畜無害などとアスナ辺りから思われるのである。
また三郎は、亜子がここで何をしていたかを思い出し、少し申し訳なさそうに亜子へと話しかけた。
「そうだ、今バンドのリハーサルなんだよね?」
「一応そのはずやけど……」
「昭夫の野郎!!?」
三郎は今はバンドのリハーサルで、少し邪魔をしてしまったかと思ったのだ。
だがそこで、亜子は少し離れた場所をチラリと見た。
そして状助もそれを追って見ると、昭夫の演奏に他の三人が聞き入っていたのである。
というか、いつの間にか桜子も昭夫の方に行っていたようだ。
それを見た状助は、昭夫にアイツ何してんだと思ったようで驚きの叫びを上げていたのである。
「じゃあ、後でまた来るよ。状助君とも話したいしね」
「うん、また後でな」
また、三郎もリハーサルの邪魔をしたくないので、そこから立ち去ることにした。
さらに言えば、先ほどの状助の話を、少し聞いてみたいとも思ったのだ。
だから状助と麻帆良祭を適当に練り歩こうと思ったようである。
そして、三郎は亜子へ後で来ると言い、手を振ってわかれの挨拶を言っていた。
そこで亜子も、同じく手を振り挨拶をしていたのだ。
「状助君、ライブが始まるまで少しフラつこうよ」
「お、おう。そうだなあ。つーか覇王のヤツどこ行ったんだ!?」
昭夫をドつく状助へと三郎は話しかけ、ライブ開催まで少し歩こうと提案していた。状助もそれを快く了解したのだ。
だがそこで状助は、覇王がどこに居るかを考えたようだった。
「覇王君は今当番じゃないのかな?」
「そ、そうだったぜ……。アイツ暇ねぇなあ」
「そう考えると、このかさんも可愛そうに」
そこで三郎はその会場を出ながら、覇王は今学際の当番をしているはずだと、状助へと教えていた。
それを聞いた状助は思い出したようで、覇王に暇が無いことを嘆いていたのだ。
また、三郎もそれを考えると、覇王と一緒に麻帆良祭を回りたいだろう木乃香を、少し不憫に思ったのである。
「なーに、明日があるってもんだぜ」
「そうだね、明日があるもんね」
だが、この麻帆良祭は三日ある。
つまり、まだ明日もあるということだ。
それを状助が言うと、三郎もそれなら大丈夫だろうと、考えたようである。
「ま、待て……明日って……。いやな予感がするぜ……」
しかし、状助はここで三日目の麻帆良祭を”原作知識”で思い出し、頭を抱え始めたのだ。
なにせ三日目こそが最も重要なイベントがあるからだ。
当然状助はそれを考え、悩んでいるのだった。
そこで突然頭を抱える状助を見た三郎は、また病気が始まったと思い、少しあきれていたのである。
「またそれかい?」
「生まれついての呪いってやつだぜ……、気にするこたーねぇ!」
「そ、そうかい? まあ、それならいいけど……」
その三郎の言葉を聞いた状助は、”原作知識”を生まれついての呪いと称した。
まったくこの知識のおかげで、妙に心配性となっている自分が、最近本気で嫌になっていたらしい。
また、その状助の言葉を聞いた三郎は、微妙な表情で厨二病なんじゃないかと考えていたのである。
そして状助はとりあえず、麻帆良を歩きながら三郎に、先ほどのことを話していた。
三郎はそれを聞いて、特に気にする様子を見せていなかった。
というか、全てどうでもよいと思っていたのである。
そのしれっとした態度に状助は驚いていたが、三郎はそれを気にしすぎだと言って窘めていたのだった。
昭夫って結構モテてるかもしれない……
うそだろ承太郎!