超とエリックはアジトへと戻り、ネギたちが飛ばされた時間帯を調べていた。
ネギたちはビフォアの罠により、カシオペアの機能でどこか別の時間帯へ飛ばされてしまったのだ。
過去か未来か、数時間か数日か、それを超は必死に計算していたのである。
「タブンネギ坊主たちは、過去ではなく未来に飛ばされたと思うネ」
「どうしてそう思うのだね?」
超はまず、ネギが飛ばされたのは過去ではなく未来だと考えた。
その理由は一体何なのか、エリックは超へと難しい顔をしながらたずねたのである。
そこで超は、ゆっくりとエリックへ自分の考えを話し出したのだ。
「まず、ネギ坊主たちはそう遠い時間帯へ移動できないネ。カシオペアは世界樹の魔力で稼動しているネ。たとえ魔力溜りで稼動したとしても、1~2週間の転移が限度ネ」
カシオペアは魔力を使って稼動するタイムマシンである。
基本的には今の時期に世界樹から放出される膨大な魔力で運用するものだ。
また、数時間単位ならば、魔力を多く持つ人間ならば転移することも出来る。
ただ、開発者の超は魔力を運用する力がないので、世界樹の魔力に頼らざるを得ないのだ。
そして、その性質上最大運用さえしなければ、数週間が限度だと超は測定したのだ。
まあ、最大で運用した場合、100年単位の移動が可能なのだが。
それほど遠くへ飛ばす意味も、必要性もないと超は考えたのである。
「最大で稼動すれば100年単位の移動も出来るヨ。それはビフォアが100年後の未来から、この時代に来たことで証明されているネ。ただ、100年後に飛ばしてしまうと、この新聞の記事の出来事は発生しなくなるネ」
そこで超が取り出したのは、未来でネギがオコジョになると言う見出しの新聞だった。
この新聞は麻帆良祭の数週間後の出来事だった。
つまり、100年も未来に飛べばこの出来事が発生しなくなると、超は考えたのだ。
さらに、この新聞が発行された時間帯こそが、ネギが飛ばされた時間のヒントとなっていたのだ。
「ネギ坊主はタブンだが2週間後ほどに飛ばされたと思うネ。その数日後にこの新聞が発行されていることから、飛ばされた後につかまったと考えられるヨ」
「確かにそれなら合点がいくな。もしも過去に飛ばされたのなら、1週間前ほどにネギ少年が二人も居ることになってしまうし、そうなれば我々も気がつかないはずがないからな」
「そーいうことネ」
ネギは新聞どおりにつかまったのならば、2週間後ぐらいに飛ばされたと考えるのが妥当だと、超は考察した。
エリックも過去にネギが飛ばされたのなら、気がつかないはずがないと考え、それはありえないことだと断定したのだ。
ならばその時間帯を考えて迎えに行けばよいと、二人はうなずいていたのである。
「ネギ坊主には何かあればこのアジトへ来るように言てあるネ。だから何か無い限りは、このアジトへ来ているはずヨ」
「場所さえわかっていれば、後は時間だけを考えて迎えに行くだけだな。ならばまずは1週間後に飛んで見るとしよう!」
時間帯がある程度絞れていても、ネギの現在地がわからなければ探さなければならない。
まあ、最悪ネギが新聞どおりつかまる日に行き、そこでネギを回収すると言う手もあるだろう。
ただ、それは最後の手段として取っておきたいと、超もエリックも考えていたのだ。
だからこそ超は、ネギに何かあったときは自分のアジトへ行くよう、指示したのである。
「人数が多いからデロリアンは使えそうにない。だからあっちの方を使うとしよう」
「ドクも別のマシンを用意していたのカ……」
「こんなこともあろうかと! と言う言葉がある! 今それを使う場面だと言うことだな!」
だが時間跳躍された人数が多かった。
ネギを含めて10人ほど、その未来へ飛ばされてしまっていた。
それ故迎えに行くのには、二人乗りの車であるデロリアンでは狭すぎると、エリックは考えたのだ。
そこでエリックは、なんとそれ以外のタイムマシンを用意していたと超へ話した。
超もエリックが新たなタイムマシンを用意していたことに驚き、やってくれると思っていたのである。
「では参ろうか! ネギ少年たちを迎えに!」
「これがドクの新しいタイムマシンカ……。確かにこれなら何とか全員乗れそうネ」
エリックはそのタイムマシンが保管してある場所へと移動すると、それを見た超がこれなら安心だと感じていた。
それはやはりと言うか、蒸気機関車を改造したタイムマシンだったのである。
とても棘棘しい追加パーツに、本体に連結した巨大なブースターが特徴的なタイムマシンであった。
また、デロリアンが保有するすべての機能を兼ね備えており、性能はデロリアン以上のものだったのだ。
そして二人はそれに乗り込み、エリックはタイムマシンの操作を始めたのである。
「さて、発進するとしよう! 超よ、シートベルトを忘れるな!」
「わかってるヨ!」
エリックが発進の合図を出すと、突如タイムマシンを乗せた床が上昇を始めたのだ。
そこで天井が開くと、そこはあの噴水公園の噴水があった場所だったである。
そう、このアジトは噴水公園の地下深くに存在したのだ。
加えてなんと噴水が四つに別れ、そこからタイムマシンが姿を現し太陽に照らされていた。
さらにタイムマシンの前方には、カタパルトらしきレールが出現し、その上をタイムマシンが加速して走り始めたのだ。
汽笛と共に二両目のブースターが噴射すると、車輪が下部へ収納され、ホバー用のスラスターから火が吹き上がった。
そのまま上空へと上昇し、どんどん加速していったタイムマシンは、光の中に飲み込まれ時間転移して行ったのである。
…… …… ……
ネギたちは夕映の水の転移魔法により、一瞬にして噴水公園へと転移してきた。
夕映の賭けは成功したらしく、噴水にはまだ水がはっていたのだ。
それを確認したネギは安心出来ると思ったが、そうも行かなかったようだ。
なんとそこには麻帆良の魔法使いらしき職員が、あたりを見回しながら歩いていたのである。
ただ、その職員らしき人物は、ネギたちが知っている人間ではなく、誰も知らない人物だったのだ。
「君がネギ・スプリングフィールドだな。我々は本国から派遣されたものだ。君にも麻帆良の魔法使いとして、責任を取ってもらう」
「な、なんで……!?」
その職員らしき屈強の男が二人、ネギの近くへやってきて説明を始めた。
二人が言うには自分たちは本国、メガロメセンブリアから派遣された魔法使いで、何かの責任を取らされるというものだった。
だがネギには、何の責任かがわからなかったので、ただ驚くばかりであった。
「この麻帆良は世界に魔法をバラしてしまった。だから他の魔法使いたちは本国へと連れ戻され、今頃全員オコジョになっているはずだ」
「そ、そんな!? まさか学園長も!?」
「当然だ。彼はこの麻帆良学園の責任者で、関東魔法協会の理事でもあるのだからな」
さらに職員が言うには麻帆良がどういうわけか、世界に魔法をバラしてしまったと言うのだ。
そしてその責任を追及され、ここに居たすべての魔法使いは本国でオコジョにされてしまったらしい。
それにはあの学園長も含まれており、今の麻帆良はネギが知る魔法使いは誰もいないようだった。
「あの、つまり高畑先生も……?」
「そのとおりだ。この麻帆良に居た魔法使いは、全員オコジョの刑にされている。だからこそ我々が変わりにやってきているのだ」
「な、なんでこんなことに……」
そこでアスナは、まさかあのタカミチもつかまってしまったのではと考え、職員に恐る恐る質問してみた。
するとアスナが考えたとおり、他の魔法使いと同じようにつかまってオコジョにされてしまったと言われたのだ。
それにはネギもアスナもショックだった。まさかあのタカミチまでもがオコジョにされるなど、考えても見なかったからだ。
つまり、この職員二人は、オコジョになった魔法使いの変わりとして、本国から麻帆良へ送られてきたのである。
ただ、こんな変貌した麻帆良など、もはや守る価値すらないだろう。
いや、それでも麻帆良で活動しなければならない理由があった。
それは世界樹である。
この世界樹の確保のため、本国から麻帆良へと魔法使いを送り、警備させていたのである。
また、ビフォアもこの世界樹には手を出さず、逆に本国と提携を組んで世界樹を守っていたのだ。
その理由はカシオペアが世界樹の魔力で動くからである。
ここで世界樹を破壊されてしまえば、未来においてタイムパラドックスが生じ、ビフォアは世界樹を利用してこの時代へ来れなくなってしまうからだ。
だからこそビフォアも、世界樹だけはなんとしてでも守りきる姿勢を見せてたのだ。
「ネギ・スプリングフィールド。君にも本国へ来てもらう。そしてオコジョになってもらう」
「待ってください! どうしてそうなったのかはわかりませんが、僕は今つかまる訳には行かないんです!」
「駄目だ! おとなしくつかまりなさい!」
屈強の職員二人は、ネギを囲い捕まえようとし始めていた。
だがネギは、ここでつかまる訳には行かないと考えた。
なぜならあと少しで超が言っていたアジトへ着きそうだったからだ。
そこへ行けば何かわかるかもしれないし、もしかしたら超が居るかもしれないと、ネギは考えていたのだ。
しかし、その職員はネギを捕まえるべく、行動を開始したのだ。
「抵抗するなら眠らせてでも連れ帰る!」
「説得は無理そうですね……」
職員は抵抗をしようとするネギを見て、攻撃態勢に移行していた。
また、ネギも二人の職員を説得しようと思っていたが、今の態度で無理そうだと考えたようだ。
「ネギ先生、ここは私たちに任せてアジトの入り口を探してください!」
「そうよ。この二人ぐらい、私たちが抑えるわ!」
「せ、刹那さんにアスナさん!?」
そこでネギの前に刹那とアスナが立ちはだかり、二人の職員を牽制していた。
そしてネギへ超のアジトの入り口を探すよう指示し、二人は職員と戦い始めたのだ。
ネギは突然横から出てきたアスナと刹那に驚きながらも、ならば自分のすべきことをしようと行動を開始したのである。
「チィ、君たちも一緒に連れて来いと命令されている。さあ来て貰うぞ!」
「そー簡単につかまるもんですか……!」
また、アスナたちも捕獲対象に入っているらしく、ならばそちらを先にと職員が動き出した。
アスナもそれを聞いて、簡単には捕まらないと、ハマノツルギを握りしめ、職員へと攻撃を仕掛けた。
「わかりました、二人とも気をつけて」
「この程度の相手なら、問題ありません」
「舐めるな小娘ども!」
ネギはアスナと刹那にその職員たちを任せ、他の生徒の下へと移動していった。
刹那もこの程度の相手なら問題ないとし、もう片方の職員と対峙していたのだ。
だが、刹那の今の言葉に職員は怒りをあらわにし、叩き潰そうと刹那へと襲い掛かった。
「みなさん、超さんのアジトの入り口を一緒に探してください」
「OK! 任せて!」
「わかったアル!」
そこでネギは他の生徒たちと共に、超のアジトの入り口を探し始めた。
ハルナも古菲もネギの言葉に、元気よく返事をして一緒に探してくれたのだ。
また、それ以外の生徒も噴水公園を見回り、何かを見つけようと必死になっていた。
「建物らしきものは見当たらないでござるな……」
「ネギ先生、入り口らしきものは見当たりません」
楓もすばやい移動であらゆる場所を見て回っているが、特に建物らしきものは見つけられなかった。
夕映も空洞のような入り口になりそうな場所を探したが、そう言ったものも存在しなかった。
「噴水にも何もあらへんなー……」
「水の中にも何もありませんねえ……」
木乃香は噴水の周りを調べたようだが、特に変わったものはなく、怪しい場所が存在しなかったようだ。
さよは幽霊なので水に濡れることが無いので、噴水の水の中を調べていたようだ。
されど噴水の池の中を調べたようだったが、やはり何も無かったようである。
「何かヒントになるようなものがあれば……」
「つーか肝心な入り口を教えておかないとか、超も案外バカだったってことか!?」
のどかはそこで、何か手がかりさえあればと考え、辺りを見渡していた。
そんな中、千雨はこんな不毛なことをしているのに腹が立ったのか、肝心な部分を教えなかった超へ文句を言っていた。
しかし、ネギはその千雨の言葉で何かを思い出したのか、胸ポケットから一枚の紙を取り出したのだ。
「そういえばこの手紙、全部見てませんでした……」
「その手紙は?」
それは超がネギへ渡した手紙だった。
なんとネギは、その手紙を最後まで見てなかったのである。
この噴水公園にアジトがあるところまでは見たが、どうやってアジトへ入るかは見てなかったのだ。
なんという失策か。ここでボケてくれるネギに、千雨はあきれかえっていた。
そのネギの横に居たのどかは、その手紙が気になったようで、ネギへそれを聞いたようである。
「超さんが僕にくれた手紙です。これにこの場所が記されていました」
「それなら早く続きを見ようよ!」
「抜けてたのはネギ先生の方だったのかよ……」
とりあえず、ネギは手紙の続きを見ることにした。
ハルナもそこへやって来て、興味津々にその手紙を眺め始めたのだ。
その傍ら千雨は、一瞬だけ馬鹿にした超に心の中で謝りつつも、ネギを少しアホなヤツだと思っていたのである。
そしてネギが手紙を開くと、超の姿の立体映像が現れ、アジトへの入り方を説明し始めたのだ。
「時計の足元、と言ってますね」
「立体映像とは無駄に凝った手紙でござるなあ」
「超も面白いことをするアル」
立体映像の超がアジトの入り口を呼び出すスイッチは、時計の柱の足元にあることを説明していた。
それをマジマジと眺める楓と古菲は、ものめずらしいと感じていた。
まあ、何か不思議な立体映像が手紙から出るのだから、興味が出ないはずがないだろう。
「あっ! 超さんが言っていたのはこれではないでしょうか」
「この時計の柱に蓋がありますね」
「おっ、ホンマや!」
夕映は早速時計の柱の下のほうを見ると、そこには蓋らしきものが存在した。のどかや木乃香もそれを確認すると、夕映はその蓋を開けたのである。
「中にはスイッチらしきものがあるよ!」
「とりあえず押してみましょう」
するとその中から赤いボタンが出てきたのだ。
それはまさしく何かのスイッチだろうとハルナは察し、夕映がそのスイッチを押したのである。
ようやく超のアジトへの手がかりを見つけたネギたちの横で、アスナと刹那はいまだ職員二人と戦っていたのだ。
「小娘が! 小ざかしいぞ!」
「クッ、なかなか手ごわい……」
刹那は刀で職員を攻撃し、それを職員が魔法障壁で防いでいた。
また、職員も魔法の射手で応戦し、それを刹那が切り落とすの繰り返しだった。
この職員は麻帆良の警備もかねてやってきており、なかなかの実力者のようであった。
だからか刹那も、この職員を相手に手を焼いている様子を見せていた。
「おとなしくつかまれ!」
「嫌よ! と言うかネギ先生! まだ見つからないの!?」
同じくアスナも別の職員と戦闘していたが、アスナには刹那よりも余裕が感じられた。
何せ魔法が効かないアスナには、職員が放つすべての魔法がまったく脅威になりえないからだ。
まさに、魔法はなんら私に危機を与えることは出来ない、と言う状況なのである。
そんなアスナも流石に痺れをきらせたのか、ネギに急ぐよう叫んでいたのだ。
「も、もうすぐです!」
「スイッチを押したら地面が開いた!」
ネギもすでに超のアジトへの入り口を見つけており、もうすぐわかるとアスナへ伝えていた。
そしてスイッチが入った直後、時計近くのベンチと灰皿の地面が浮き上がり、横へ移動したのである。
その様子を見ていたハルナは、そのロマン溢れる光景に目を輝かせていたのだ。
「なら、寝てもらおうかしら!」
「何を……!?」
また、アスナはネギの今の言葉で、今戦ってる職員をさっさと倒す必要があると感じたようだ。
そこでアスナはすぐさま職員の背後を取り、そのままハマノツルギを後頭部へと振り下ろしたのだ。
「ハッ!」
「グッ……!」
その一撃で職員は気を失ったようで、完全に動かなくなっていた。
だが、まだ戦いは終わっていない。
刹那と別の職員が、戦っているからだ。
だからアスナは、すぐさま別の職員と戦う刹那の方へ顔を向け、刹那が大丈夫かどうか確認したのだ。
「刹那さん、そっちは!?」
「大丈夫です、こちらも終わりました」
しかし、刹那もすでに職員を気絶させており、戦いが終わっていたのである。
アスナと刹那はそこで右手と右手でハイタッチし、勝利を祝っていた。
その行動に言葉は無かったが、二人ともとてもすがすがしい表情をしていたのである。
「すげー! 開いた地面からエレベーターが出てきたー!」
「なんだよそれ……。魔法の次はSFかよ……」
「これが超さんのアジトの入り口……」
また、二人の戦闘が終了した直後、先ほど開いた場所からエレベーターがせりあがってきたのだ。
さらにエレベーターが地表へ到着すると、自動的に柵状の扉が開き、ネギたちを歓迎していた。
そのSFめいた光景に、ハルナはとても興奮して叫んでいたのである。
そんなテンションを上げるハルナの横で、千雨は逆にドン引きし、魔法の次にSFを見たことに困惑を隠せないでいたのだ。
そしてようやく見つかった超のアジトの入り口に、ネギは安堵の表情を見せていた。
だが、そのエレベーターはあまり大きくなかったので、ここにいる全員が乗ることが出来そうに無かったのだ。
「全員は入れるんでしょうか……」
「ちょっと無理そうアルネ」
「無理せず少しずつ入ればいいんじゃないかな」
だから夕映も全員入れるか疑問に感じ、古菲も無理だと判断していた。
そこでアスナは何度か分けて下りていけばよいと、みんなに話したのである。
「ならば戦闘出来ない人から、先に入るでござる」
「それがええな」
そして、先に行くなら戦う力の無いものが良いと、楓は提案していたのだ。
この荒廃した麻帆良は、何が襲ってくるかわからない。
つまり、戦えるものが先に言ってしまえば、残った戦えないものが襲われる可能性があるからだ。
木乃香もそれがよいと感じ、その意見に賛成していた。
「なら私が先だ!」
「それなら私も!」
「二人とも、入り口でせめぎ会ってないで早く入って!」
そこで戦えない人間筆頭の千雨が、我先にとエレベーターへと入ろうとしていた。
そこで同じく戦えない人間のハルナも同時にエレベーターの入り口へ入ったため、二人が入り口に引っかかってしまっていたのだ。
そんな間抜けな光景に、アスナも少し怒った表情で、仲良く入れと叫んだのである。
「とりあえずパルと千雨ちゃんが優先ね。後誰が行く?」
「なら私も行くです」
「それなら私も……」
ハルナと千雨は当然先に行くとして、次に行くなら誰がよいかと、アスナは今居るメンバーを見て考えた。
そこで名乗りを上げたのが夕映とのどかだった。
二人とも守りを重点とした魔法を使うことが出来る。
しかし、攻撃魔法は覚えておらず、戦闘それ自体は出来ないからだ。
「それがいいでしょう」
「じゃあとりあえず、ゆえちゃんと本屋ちゃん追加で」
「僕も先に行きます」
刹那も二人を先に行かせることに賛成し、アスナは夕映とのどかをエレベーターへと乗せていた。
そして、もう一人入ると名乗ったものがいた。それはまさしくネギだったのだ。
「そうでござるな。超のアジトだったとしても、中で何があるかわからないでござるからな」
「確かに……」
ネギが先に行くと言った意味を、楓はすぐさま察していた。
このエレベーターの下が超のアジトだとされているが、本当にそうなのかは入らないとわからない。
また、超のアジトだったとしても、中がどうなっているか、何が起こるかがわからなかった。
だから最後に戦闘出来るネギが、付き添うことにしたのである。
アスナも楓のその説明に、顎に指を当てて納得した様子を見せていた。
「それならさよに偵察してもらえばええんやないかな?」
「任せてください!」
「さよちゃんは幽霊だから、浮いてるものね」
そこで木乃香が、まずさよにそのエレベーターの下りた先を偵察させることを提案したのだ。
さよは幽霊であり、壁も通り抜けることが出来る。
それに幽霊なので物理攻撃はまず効果が無い。
だから偵察にはもっていこいの人材だと、木乃香は考えたのだ。
さらにさよもやる気を見せており、グッとガッツポーズを見せてていた。
その木乃香の提案に、アスナもさよなら浮けるし問題なさそうだと考えたようである。
「ならさよ、頼んだえ!」
「では行ってきますね!」
そして木乃香がさよへ偵察を頼むと、さよは気前よくエレベーターの床を通り過ぎ、その下へともぐっていった。
さよはリュージとの戦いで、ただ見ていることしか出来なかったのが少しだけ許せなかったのだ。
もっと木乃香の役に立ちたいと考えるさよは、こういう時にこそ動かないといけないと思い、行動に移ったのである。
「幽霊だから壁も関係ないんですね」
「便利でござるな」
偵察に行ったさよを待つ間、刹那は幽霊は通り抜けれるのだったと改めて考えていた。
実体が存在しないというのは、確かに不便かもしれないが、ここぞと言うときは役に立つものだと感じていたのである。
また、楓もその特性を便利そうだと思っていた。
楓は忍者なので、そういう特技がうらやましいのである。
そこでさよを待つこと数分。
さよがなかなか戻ってこないことにことに、居る全員が若干不安を感じ始めたころ、ようやくさよが戻ってきたのだ。
「戻りましたー」
「おかえり、さよー!」
幽霊ゆえにエレベーターの床から、通り抜けるようにしてさよが現れた。
木乃香はさよを笑顔でお出迎えして、さよと手をつなぐ素振りを見せ居ていた。
だが、エレベーターで待機していた面子は、その光景に少し驚きあわてていたのだ。
それ以外のメンバーも、その光景に若干引きつった表情を見せていた。
まあ、突然幽霊が床から現れるのだから、驚かない方がおかしいだろう。
「とりあえず、危なそうなものはありませんでした」
「ほーかー。なら下りても大丈夫そうやな」
「なら、下に下りましょうか」
そこでさよはアジト内部の状態を、早速みんなに知らせたのだ。
その報告は安全そうだというもので、エレベーターを下ろしても問題ないとのことだった。
木乃香も夕映も問題ないと感じたようで、下へ行くことを決行したのだ。
「では先に行ってます」
「はいなー。また後でなー!」
「次は残りの人全員かな?」
ネギが先に行くと宣言し、そのエレベーターの扉を閉じて下へと降りていったのだ。
木乃香もそこで手を振り、下りていくエレベーターを送り出していた。
そしてアスナは残ったメンバーを見渡し、次で全員下に行けるだろうかと、少し考えていたのだ。
「一応無事、下についたようですね」
「みたいでござるな」
そこでエレベーターが下りた場所から音が聞こえたようで、刹那は無事に下に着いたことに安堵していた。
楓もその音に気がついたようで、下に行ったメンバーの安否を気にしていたのだ。
その直後にエレベーターが再び上昇してきたようで、エレベーターが上昇する音が聞こえ始めたのである。
「おっ、上がってきたアルか?」
「特に異常はなさそうね……」
古菲は上がってくるエレベーターを音で感じたのか、エレベーターの出す音に耳を澄ましていた。
その横でアスナも、エレベーターが上ってくる音を聞き、異常が無いかを格に強いていたのだ。
そしてエレベーターが再び地表へと現れ、自動的に扉が開いたのである。
「じゃあ私たちも行きましょうか」
「少しきゅーくつやなあ……」
「さっきの面子、小さい子が多かったから余裕そうに見えたのね……」
残りのメンバーもそそくさとエレベーターへ乗り、下りるだけとなっていた。
だが、先ほどよりも窮屈そうであり、木乃香がそれに苦言した。
まあ、先に下りたメンバーはネギを筆頭に夕映やのどかと、背が低い人ばかりだったので、少し余裕があるように見えてしまったのだ。
だから今回は、少し狭い感じとなってしまったようである。
「とりあえず重量オーバーはなさそうアル」
「それを聞くと図書館島を思い出すでござるよ……」
「じゃあ、下りましょう」
しかし、狭くとも重量オーバーにはなってないようで、特に異常はなさそうだった。
古菲もそのことを少し気にかけていたらしく、重量オーバーにならなくてよかったと考えていたようだ。
そこで、古菲のその言葉に、楓は数ヶ月前の図書館島の地下での出来事を思い出していたのだ。
あの時は重量オーバーで、エレベーターが動かなくなったからだ。
実際は魔法の本を持ち出せないためのトラップだったが、楓もあの時のことは、少し苦い思い出となっていたようだ。
そこで刹那がエレベーターの降下のボタンを押すと、エレベーターは音を立てて下がり始めたのだった。
魔法先生たちは、すでにオコジョにされてしまっているようです