理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

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テンプレ105:やはり魔改造されてた茶々丸

テンプレが久々すぎてわすれてしまっていた……
そして一切活躍が無い茶々丸を差し置いて活躍する妹機……


七十九話 過去から

 何とかネギたちは超のアジトへ入ることに成功した。

しかし、そこへビフォアが直接やってきて、地上から脅しをかけてきたのだ。

 

 そのためネギとアスナはビフォアの要求にこたえることにした。

そして、超のアジトを出るために、エレベーターで地上へと移動し、地上へと出てきたのだ。

 

 

 地上に出てすぐに目に付いたのは巨大なロボだった。

全長10メートルを超えるだろう巨大ロボが、そこに脅すかのように立ち尽くしていたのだ。

その足元にはビフォアが立っており、ネギとアスナを静かに眺めていたのである。

 

 

「やってきたと思えば、二人だけではないか……?」

 

「……ビフォアさん、僕はあなたと話し合いに来ました」

 

 

 ビフォアは全員出てくるように言ったと思ったが、出てきたのがネギとアスナの二人だけだったことに、若干不満を感じていた。

その不満により表情がとても鋭く、目つきが悪くなっていた。

 

 そんなビフォアにネギは臆すことなく、強気で話し合いを持ちかけたのだ。

アスナもネギの横で、ビフォアを睨みつけながら隙を見せずに立っていた。

 

 

「話し合い? 話す余地があるのかね?」

 

「……僕だけがあなたの要求にこたえます。だからそれ以外の人たちには手を出さないでください」

 

 

 ネギはビフォアの言葉を気にせず、自分の言いたいことを言っていた。

もはや交渉や話し合いではなく、一方的な要求を突きつけているだけだった。

 

 ビフォアはそんなネギにさらに不満を感じるが、それならそれでよいと考え始めていた。

 

 

「……お前の態度が気に入らんが、まあいいだろう。お前さえ来れば他の連中はそっとしておいてやる」

 

「……本当ですか……?」

 

 

 あのネギの生徒たちはネギを見捨てることは出来ない、その上ネギがあの生徒を引っ張る役目を持っている。

だからネギさえこっちにくれば、おのずと他の生徒も捕まえられると、ビフォアは考えたのである。

 

 そんなビフォアの考えを知らぬネギは、一方的な要求を呑んだビフォアを見て、微妙ならが喜んでいた。

ただ、その横のアスナは、何かビフォアがたくらんでいることを考え、さらに目つきを鋭くさせていたのだ。

 

 

「ならば私についてきてもらおう」

 

「……わかりました」

 

 

 ビフォアはネギの要求をこたえ、ならばついて来いとネギへ言い渡した。

ネギもそれを了承し、ビフォアについていく姿勢を見せたのだ。

 

 アスナも同じくネギについていくことにし、ネギの後ろを歩いてついていった。

 

 

「アスナさん、僕だけで十分です。今からでも遅くはないので、ここに残ってください」

 

「もうここまで来たんだから、最後まで行くしかないじゃない」

 

 

 しかしネギはついて来るアスナに、待っていてほしいと言い聞かせていた。

自分だけで十分、アスナにはやはりついてきてほしくないと言う気持ちが強いのだ。

 

 それでもアスナも自分の意見を曲げることをしなかった。

ここまで来たのなら、先に行くのも同じだと思っていたのだ。

 

 

「で、でも、これから何があるかわかりませんし……」

 

「その何かがあった時、アンタだけで何とか出来るの?」

 

 

 ネギはアスナのことが心配で、ついてきてほしくなかった。

この先何が起こるかわからない上に、罠があるかもしれないからだ。

そんな心配そうに見上げるネギが、アスナも心配だった。

 

 確かにネギは魔法使いで、ある程度の魔法が使える。

それでもこの状況をネギ一人で抜け出せるかは、微妙だったからである。

 

 

「私はこれでも、まだまだネギ先生より強いと考えてるんだけど……?」

 

「……そうですね。ただ、本当に危なくなったら、すぐ逃げてください」

 

 

 さらに言えば、アスナは自分がネギより強いと思っていた。

いや、事実そうだろう。今のアスナはネギより数段強い。

それにネギだけでは出来ないことも、二人居れば出来る可能性がある。

そう考えてアスナは、ネギについてきたのである。

 

 そこでネギも、アスナへ何かあれば逃げるよう進言していた。

自分など置いていって、一人で逃げてかまわないと言うことだったのだ。

 

 

「そん時はアンタも一緒に逃げるのよ。当たり前でしょ?」

 

「……はい!」

 

 

 

 しかし、アスナはそんなことを許すような人ではなかった。

どちらも危機に直面したのなら、一緒に逃げればよいとアスナはネギへ強く言い聞かせた。

 

 なぜならアスナはネギの助けになるために、ネギについてきたのだ。

ならば逃げる時も同じでなければ意味がないと、アスナは思っていたのである。

 

 だからアスナは自分がネギについていき、何かあれば首根っこを掴んででも逃げ出そうと考えたのだ。

そのアスナの強い意志を宿す瞳を見たネギは、そこでしっかりと肯定の返事を発していたのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 ネギとアスナはビフォアにつれられ、やってきたのはとある一室だった。

ある程度広い部屋で、奥には大きめの机と椅子が置かれていた。

 

 それを見たネギとアスナは、この部屋に何か思い当たるようなものを感じていたのである。

 

 

「ようこそ、我が根城へ」

 

「ここって女子中等部の学園長室じゃない!?」

 

「ほ、本当だ……!」

 

 

 そう、ビフォアが二人を招待したのは、なんと麻帆良女子中等部の学園長室だったのである。

 

 それがわかったネギとアスナは、驚いて周りを見渡していた。

確かに見た目こそ悪趣味に改装されてしまっては居るが、見取りは明らかに学園長室そのものだったのだ。

 

 このビフォア、なんと学園長室を改造し、自分の部屋にしていたのだ。

 

 

「何、代表としての椅子がまだないのでね、仮で座っているだけだ」

 

 

 この場所が学園長室だとわかり驚く二人を見たビフォアは、しれっと麻帆良代表のまともな席がないと話し出した。

そしてこの場所はただの仮の席で、本来の席ではないと語ったのだ。

 

 そこでビフォアはあの近右衛門が座っていた学園長の席に座り、余裕の態度を見せていたのである。

そのビフォアの話を聞いた後、あの巨大ロボが放置されていることを、ネギは気になったようだ。

 

 

「ところで、あのロボは置いたままでしたが、みんなには何もしてませんよね……?」

 

「ああ、約束は守っているよ。あのロボは監視としておいているだけだ」

 

 

 だからそれをビフォアへ質問すると、ビフォアは態度を変えずに答えた。

あの巨大ロボをあの場へ置いてきたのは監視のためで、何もしないと話したのだ。

 

 それが本当かどうかはわからないが、今のネギはその言葉を信用するほか無かったようだ。

 

 

「で、そちらの要求は何かしら?」

 

「お嬢さん、目上の人間にはもっと丁寧な言葉を使うべきだと思うが?」

 

「……」

 

 

 また、アスナはビフォアが今だ要求をしてこないことが気になり、それを聞いたのだ。

 

 だが、ビフォアはナマイキなアスナの態度が気に入らなかったようで、丁寧ながらかなり苛立ちを感じる声で、それを窘めていた。

 

 ビフォアに窘められたアスナは怒りを感じ、キッと睨んで黙ってしまう。

それを見たビフォアもとても不快そうに感じたが、この状況でアスナたちがどうも出来ないことをわかって居るので、あえてそれに関しては何も言わなかった。

 

 ただ、それ以外の、アスナが出した質問にビフォアは面倒くさそうに答えたのである。

 

 

「何、ネギ・スプリングフィールドにはオコジョになって刑務所へ行ってもらうだけだ」

 

「……やっぱり、そうなってしまうんですね……」

 

 

 そのアスナの謝罪を聞いて満足したビフォアは、その要求を話し出した。

それはやはり、ネギをオコジョにして刑務所へ突っ込むというものだった。

 

 ネギはそれが当然かと感じ、反論すらしようとしなかった。

それでもこのままオコジョにされる気など、ネギにはない。

どうにかして逃げるなりなんなりしなければと、思考をめぐらせていたのだ。

 

 

「……何でアンタはオコジョにならないワケ……!?」

 

「私はここの新代表。オコジョになってどうする?」

 

「……」

 

 

 しかし、アスナはそれに納得していなかった。

こんなヤツとは口も利きたくないが、そのことに関しては感情的になってビフォアへと質問したのだ。

何せビフォアも元魔法先生、本来ならオコジョになるはずの存在だからだ。

 

 そんなアスナの言葉に、ビフォアはやはりイラついた表情で、自分はこの麻帆良の代表で、オコジョになる訳がないと語っていたのである。

 

 その答えを聞いたアスナは、本気で頭にきたようだった。

どの口がそれを言うかと、ムカついていたのである。

 

 

「……アスナさん、あまり怒らないで……」

 

「……わ、わかってるけど……」

 

 

 そんな怒気を放つアスナへ、ネギは落ち着くようにとなだめていた。

ここで怒って暴れては、あのビフォアの思う壺だからだ。

 

 当然アスナもそのことを理解していがので、怒りを感じながらも、必死にその感情を抑えていたのである。

 

 それでも理解していても、頭にくることは頭にくるのだ。

アスナはネギにそう言われても、ビフォアを睨みつけることを止めなかった。

 

 

「そして、そこの君、明日菜と言ったね?」

 

「……ええ……」

 

 

 そんな怒りを必死に抑えながらも、今だ睨んでいるアスナへ、ビフォアが突然話しかけ始めていた。

 

 そこでアスナはビフォアに話しかけられ、ぶっきらぼうに返事を返していたのだ。

 

 さらに、なぜ自分に話しかけてきたのか、よくわからなかった様子で疑問に感じるアスナへ、ビフォアは驚くべきことを口にし始めたのだ。

 

 

「私は君の正体を知っている。つまり、その意味がわかるかね?」

 

「……!」

 

「アスナさんの……、正体?」

 

 

 ビフォアはアスナの正体を知っていると、アスナへと話し出した。

それはどういうことなのか、アスナ自身がよくわかっていることだ。

 

 だからアスナはそのビフォアの言葉に、目を見開き驚嘆の表情をしていたのだ。

そのアスナの横で、ネギはアスナの正体と言われて、どういうことなのか疑問に感じていたのだ。

 

 

「まだ君は知らないだろうが、そこの彼女は”魔法世界のお姫様”なのだよ。もっとも、本人も覚えているかはわからんがね」

 

「え……!?」

 

 

 さらにビフォアはアスナが魔法世界のお姫様であると、ネギへと教えていた。

その表情は嘲笑が混じったもので、明らかにアスナを挑発するようなものだったのである。

 

 だが、やはりネギはアスナがお姫様だと言われても、ピンとこなかったようで首を傾げるばかりだった。

 

 

「アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア……。またの名を黄昏の姫御子だったかな?」

 

「……アンタ!」

 

 

 ビフォアはついに、まるで全てを見透かしたかのような態度で、アスナの本当の名を言ったのだ。

それを聞いたアスナは、額から汗を流しながらも、ビフォアを射殺すほどに睨みつけていた。

 

 自分の正体を知っている時点で、危険だと判断したからである。

 

 

「その話、本当なんですか……!?」

 

「…………」

 

 

 そこでネギがアスナへ、ビフォアが言っていることが真実なのかを質問したのだ。

あのビフォアが話すことなので、はっきり言えば信じがたいと考えていたからだ。

 

 だが、アスナはその質問に答えず、焦りと怒りの混じった表情のまま、ビフォアをただ睨むだけだった。

その普段焦りを見せないアスナが何かに焦っている姿を見て、ネギはまさか本当のことなのかと感じ始めていたのである。

 

 

「君は魔法世界の重鎮、欲している連中が居るのだろう? そいつらに渡してもよいと思ってね」

 

「なんですって!!?」

 

 

 ビフォアはさらに、アスナを取引の材料に使うことを宣言したのだ。

アスナを探す連中とは、たぶん二十年前の大戦で暗躍していたと言われる組織のことだろう。

 

 あの組織が今だ活動していることをアスナは知っていたので、そのビフォアの言葉は聞き捨てなら無いものだったのだ。

だからアスナは大きく叫び、ハマノツルギを呼び出して構えたのだった。

 

 

「おや、記憶が封印されていない? まあ、そんなことは些細な問題だ」

 

「そんなことしたら、どうなるかわかってるんでしょ!?」

 

 

 そのアスナの態度を見たビフォアは、アスナが記憶を封印されていないことに気がついたようだった。

いや、アスナがまほら武道会で戦っている姿を見た時から、その予感はしていたのだ。

 

 されど、それは些細なことだと切り捨て、ビフォアは愉快そうに笑いを溢していた。

冷静にしていたアスナが怒りに燃える姿を見て、心底楽しいと感じているのだ。

 

 しかしアスナはそのビフォアに、とうとうハマノツルギを向けていた。

自分があの連中に捕まれば、どうなるかなど簡単に予想がつくからだ。

 

 その予想通りになってはならない。

そうなれば、またみんなに迷惑をかけると、アスナはそう考えたのだ。

 

 

「わかっているとも。だが、この麻帆良さえなんとも無ければ、どうでもよいのさ」

 

「こ……この……!」

 

 

 それでもビフォアは余裕の態度で、さらにアスナを挑発していた。

アスナがその連中に捕まれば、どうなってしまうかも全て知っていると面白おかしく言葉にしていたのだ。

 

 このビフォアにとって、支配下にある麻帆良さえあれば他はどうでもよいのである。

さらに麻帆良は暗黒街となって、ほとんど滅んだも当然だ。

 

 これ以上何かあっても、別になんてことないのである。

そんなふざけた態度のビフォアに、アスナはついにキレて攻撃を仕掛けたのだった。

 

 

「あたらんよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()のだからなぁ!」

 

「クッ!?」

 

「アスナさん!?」

 

 

 アスナはそこで咸卦法の能力上昇を使い、瞬間的にビフォアの右側へ移動すれば、そのままビフォアの頭を目掛け、ハマノツルギを横に振ったのだ。

 

 あの覇王が勝てなかった相手だとしても、ここで引くわけには行かないと思ったからだ。

ここで捕まってしまえば、さらなる危険が起こることを理解しているからだ。

 

 だが、哀しいかな、その攻撃をビフォアは椅子に座りながら回避して見せた。単純に頭を下げただけで回避したのである。

まるで、小さい子供のおふざけのパンチを避けるように、ゆっくりと、簡単に避けて見せたのだ。

 

 そこでビフォアは一言アスナへ残し、拳をアスナへ打ち込む。

この程度の攻撃などアスナには何てこと無いはずなのだが、なぜかアスナはそれを避けれず、なんとそれを腹部に食らってしまったのだ。

 

 さらに命中した箇所が鳩尾だったようで、アスナは肺にたまった空気を吐き出し、気を失ってしまったようだった。

いや、それだけではなく、拳がアスナに命中した時、スタンガンを浴びせたような電気ショックが発生したのだ。

そのせいで、アスナは簡単に気を失ってしまったのである。

 

 そして、アスナがこうも簡単にやられる光景を、ネギはただ見ていることしかできなかった。

まさかアスナがこうもあっけなく負けるなど、ネギも思ってなかったのだ。

 

 そこでアスナはふらりと倒れ、完全に動かなくなったのを見たビフォアは、外に待機しているだろう衛兵へと声をかけたのだ。

 

 

「衛兵、こいつらを連れて行け!」

 

「ハッ!」

 

 

 ビフォアはアスナを衛兵に渡し、さらにネギも衛兵二人に両腕を掴まれてしまったのだ。

しかしネギは、自分のこと以上にアスナが気を失っていることの方が気になって仕方がなかった。

 

 

「ま、待ってください! アスナさんが!」

 

「いいから来い!!」

 

「アスナさん! アスナさーん!!」

 

 

 ネギは気を失ったアスナを起こそうと、必死に呼びかけていた。

だが、アスナは動く気配すら見せず、捕まったネギと共に学園長室から連れ出されてしまったのだ。

 

 それでもネギはアスナの名を叫び、どうにか起きてもらおうと叫び続けたのであった。

 

 

…… …… ……

 

 

 アスナとネギが出て行った後、残った生徒たちは二人の安否を気遣っていた。

そして、いざとなればこのアジトから出て、二人を追う考えを示していたのだ。

 

 

「二人とも、大丈夫やろか……」

 

「わかりません……。ですがきっと大丈夫でしょう」

 

 

 そう会話しながら、ネギとアスナの無事を祈る刹那と木乃香。

木乃香は二人だけで大丈夫なのかと、不安の色を隠せずに居た。

 

 また、刹那も不安を振り切るように、大丈夫だと木乃香へと話していた。

そんな刹那だったが、実際はその大丈夫と言う言葉は、自分に言い聞かせているものでもあったのだ。

 

 さらに、他のメンバーも不安とプレッシャーを感じ、誰もが静かにしていた。

だが、そこでロボ少女が、空気を読まない発言を始めたのである。

 

 

「みなさまは出て行ったお二人に何かあれば、助けに行こうとお考えのようですが、はっきり言って今、みなさまに出来ることはございません」

 

 

 それはなんと、ここに居る面子では、もうどうにもならないと言うことだった。

この現状は完全に詰みで、何をやっても意味がないと、ロボ少女は無表情で話したのだ。

 

 

「どういうことですか!?」

 

「そんなことないはずです!!」

 

 

 そのロボ少女の言葉に、夕映とのどかが勢いよく飛びついた。

ネギやアスナを助けに行くこと事態、無意味なことではないと思っているからだ。

 

 されどロボ少女は助けに行く前から、すでにどうしようもない状況に陥っていると、淡々と語りだしてたのである。

 

 

「いえ、もう、みなさまが何をしようと、この状況を覆すことは不可能です」

 

「そんなことあらへん! きっと何とか出来るはずや!」

 

「そ、そうです! 何か手があるはずです……!」

 

 

 この事態を収束させることは、もう出来ない。

たとえネギとアスナが戻ってきたとしても、助けたとしても不可能だと、ロボ少女は断言していた。

 

 しかし、そんなことは無い、何かきっと逆転する方法があるはずだと、木乃香と刹那がロボ少女へ叫ぶ。

そんな二人の叫びにも反応せず、ロボ少女は冷淡に悲しい事実のみを口にしたのだ。

 

 

「不可能です。みなさまだけでは、元の時間帯に戻れません」

 

「そ、そんな!」

 

 

 どうあがいても、ここに居る面子だけで元の時間には戻れない。

あのカシオペアも機能させることが出来ないのだから、それは当然のことだった。

 

 この現状を何とかするには、どの道もう一度麻帆良祭三日目へ戻る必要があるが、戻ることが出来ないのだから、この状況を覆すことが出来ないのである。

 

 そして誰もがそのロボ少女の言葉に、衝撃を受けながらも何か無いかと考え始めていた。

と、そこでその誰もが考えているところに、ロボ少女は希望の言葉を口にしたのだ。

 

 

「……ですが、超ならそれが出来ます」

 

「超さん……?」

 

 

 そう、超ならばそれが可能であると、ロボ少女はポツリとこぼしていた。

超ならばと言われたのを耳にした夕映は、その名を呼び返していた。

 

 しかし、ここにはもう超が居ないので、誰もが何を言っているのか理解できなかったようである。

 

 

「でも超はもうここには居ないんじゃないアルか?」

 

「はい。もうここには居ません」

 

 

 居ない超に何が出来るのかと、古菲は疑問を打ち明けていた。

ロボ少女も、それが現実だとはっきり言葉にし、やはり超が居ないことには変わりないとしていたのだ。

 

 

「それじゃどういうことなんですか!?」

 

「居なくなってしまったのは、この時間軸の超です。過去の超はまだ存在します」

 

 

 そこで夕映は、それならどうして超なら何とか出来るのだと、ロボ少女へ叫んでいた。

ロボ少女は夕映の叫びにも動じずに、静かにその理由を話し始めたのだ。

 

 というか、最初からそれを言うべきである。

その理由とは、この時間軸の超はすでに居なくなってしまったが、過去の超がまだ健在であるとしたのだ。

 

 

「ふむ、つまり過去の、自分たちが本来居るはずの麻帆良祭三日目の超殿ならば、何か出来るということでござるな?」

 

「はい、そのとおりです」

 

 

 楓はその言葉に、何かピンと来たようだ。

過去の超が何をするかわからないが、とにかく過去に居る超ならば自分たちを助けにこれるのではと、考え付いたようだった。

 

 ロボ少女もその楓の答えに、その考えで間違えないと言っていた。

つまり、過去の超がこの時間軸へやってきて、助けに来るということだったのだ。

 

 

「超が助けに来てくれるアルか!」

 

「必ず来ます。だからこそ、私をここへ残したはずですので……」

 

 

 古菲は超が助けに来てくれると聞き、喜んでいた。

古菲と超は仲がよく、武術の鍛錬も一緒にやっていた仲だからだ。

 

 そして、その古菲の言葉に、必ず来るとロボ少女は強い気持ちをこめて断言した。

それは超がロボ少女を置いていったのは、絶対にここへ戻ってくると言うことに他ならないからである。

 

 

「……なら超さんが来るのを待つしかありませんね……」

 

「そーやな……」

 

 

 それならロボ少女の言葉を信じ、待つしかないと刹那は思ったようだ。

また、木乃香も同じ気持ちだったようで、不安ながらもそれを祈って待つことにしたようだ。

それでも不安は消えることは無く、誰もが表情を暗くしていたのである。

 

 

「本当に来るのかよ……」

 

「こないとどうにもならないんでしょ? だったら来ると思ってた方がいいと思うけどなー?」

 

「うるせー! 私はお前みたいに気楽じゃねーんだ!」

 

 

 当然千雨も超が来るかなどわからないため、半信半疑になっていた。

そんなところで結構のんきに構えているハルナが居たのである。

 

 随分のんきなハルナに、千雨は怒りを覚えたのか怒鳴り声を上げていたのだ。

 

 

「えー? 私ってそんなにノーテンキに見える!?」

 

「私からも見えるです……」

 

「ハルナはこの状況、何気に楽しんでるよね……」

 

 

 そう怒鳴られたハルナは、自分がそう見えるのかを夕映やのどかに尋ねたのだ。

自分だってこの状況に不安を感じないわけがないと、自分では思っていたからである。

 

 そのはずなのだが、夕映にものどかにも、ハルナは結構気楽にしていて、この状況を結構楽しんでいるように見えたのだった。

 

 

「というか燃えるじゃん! 未来に飛ばされた私たちを救いに過去からやって来るとかさあ!!」

 

「だー! どこのB級映画だ!! 私はそんな未来なもんは願い下げだ!!」

 

 

 そう二人に言われたハルナだったが、実際この状況を楽しんでいた。

こんなSFめいた基地に入れ、さらに過去から助っ人がやってくると言うではないか。

これに興奮できず、何に興奮するんだと言わんばかりに、ハルナは気分を高調させていたのだ。

 

 その横でやはり千雨は、そのハルナの言葉に反応し、怒りを爆発させる。

とは言え、そうしている間に何か変化があったようで、ロボ少女は画面を見ながら小さな声で一言こぼした。

 

 

「……来ました」

 

「え!?」

 

 

 ロボ少女はそう言うと、すぐさま別の部屋へと移動していった。

その謎の行動に誰もが疑問を感じたが、ロボ少女が眺めていた画面を見て、どういうことなのかを理解したようだ。

 

 なんと画面に映し出されていたのは、空を飛行する謎の機関車だったのである。

 

 

…… …… ……

 

 

 超とエリックは、ネギたちが飛ばされたであろう一週間後に、一度タイムスリップを行った。

だが、そこにはまだネギたちはおらず、もう少し後の時間だと確信したのだ。

 

 そして、ようやく二週間後の時間帯に飛んできた二人だった。

しかし、エリックは本当にこの時間帯にネギたちが居るか、少し疑問を感じていたのだ。

 

 

「一週間後には居なかったが、本当に二週間後に居るんだろうな?!」

 

「絶対に居るはずヨ! ネギ坊主が捕まるのが、この時間軸の近くのはずだからネ!」

 

 

 心配するエリックをよそに、超は自信満々でこの二週間後の麻帆良にネギたちが居ると豪語していた。

あの未来の新聞記事にて、ネギがつかまるのがこの時間の近くであり、必ずこの時間軸に居ると超は睨んでいたからだ。

 

 そこで二人が上空から地上を見ると、なんと巨大ロボが立ちはだかっていたのだった。

 

 

「おわ!? 超よ! 巨大ロボが立っているぞ! どうするつもりだ!?」

 

「ビフォアと言う男、私のアジトを発見したのカ……」

 

 

 その巨大ロボを見てエリックは驚き、どうやって地上に降りるかを考えていた。

このタイムマシンたる改造機関車は、まったく武装を積んでいないからだ。

時間旅行用に開発した最新のタイムマシンであるが、戦闘を考慮していないのだ。

 

超も巨大ロボを見下ろしながら、ビフォアに自分のアジトの位置がバレたと考えていた。

だからもはや、この場所に長く居るのは危険だと思っていたのである。

 

 

「さて、そろそろ気がついて出てくるころではないかナ?」

 

「あのロボの娘のことか!」

 

 

 そこで超が期待していたのは、あのロボ少女のことだった。

ロボ少女はビフォアに敗北した未来の超が、アジトに残したものだ。

 

 一週間前に飛んだ超とエリックは、そのロボ少女から情報を提供してもらったのである。

そういう訳で、ロボ少女は超が必ず来ることを知っていたのだ。

 

 

「そうネ! しかし、あの子だけではあのロボは完全に破壊できないヨ……!」

 

「ではどうする!?」

 

 

 しかし、あのロボ少女では巨大ロボを破壊することは不可能だと超は判断していた。

ロボ少女とて多くの武装をつめる訳ではないので、火力不足なのである。

ならばどうするか、エリックは超に焦りながら聞いていた。

 

 

「破壊せずとも、一時的に動けなくなってもらうだけでいいネ!」

 

「それもそうか! とっうおお!? あのロボが攻撃を仕掛けてきたぞ!!」

 

 

 そんな中、超は焦ることなくエリックの質問に答えていた。

破壊できないならば、動けなくすればよいという、単純な答えだった。

 

 エリックは単純なことだったと納得し、頷いたその直後、眼下の巨大ロボが攻撃を仕掛けてきたのである。

 

 

「何か無いのカ!?」

 

「あいにく武装と言うものは装備しておらんのでな! 回避するので精一杯だ!」

 

 

 巨大ロボは手に持つ実弾のライフルで攻撃を仕掛けてきていた。

狙いは正確とは言えないが、大型のライフルでの攻撃であり、命中すればひとたまりのないものだった。

 

 それを何とかエリックはかわしているが、ほとんどギリギリで危険な状況には変わりなかったのである。

 

 

「やっと出てきたネ!」

 

「おお、ロボ娘!」

 

 

 するとネギたちが入ったエレベーターの場所の、反対側にあるベンチが倒れ、その地面が突如開いた。

そしてそこから射出されるかのように、高速で地上に飛び出したものがいた。

それこそあのロボ少女だったのである。

 

 ロボ少女は武装するのに多少時間がかかったようだったが、それを完了してアジトから飛び出してきたのだ。

 

 ロボ少女は完全武装のようで右腕にライフル、背中にバックパックを搭載し、そこにはバズーカやミサイルランチャーといった武装がマウントされていた。

 

 

「少しの時間だけでいいから、あのロボの動きを止めるネ!」

 

「了解しました、超」

 

 

 超はロボ少女に巨大ロボの動きを止めることを命じると、ロボ少女は淡々と了解と言った。

すると暴風をまとったかのような速度で、ロボ少女は巨大ロボへ飛行して接近したのである。

 

 そのロボ少女動きを確認した巨大ロボは、今度はそちらに照準を合わせたようだった。

 

 

「体の大きさが、勝敗を分かつ絶対条件ではないことを、教えましょう」

 

 

 ロボ少女は巨大ロボの銃撃をすばやくかわし、けん制しつつ同じくライフルを構えていた。

そして引き金を引き、ライフルから火花が散らされたのである。

 

 そのライフルは熱線銃であり、灼熱の弾丸を放つものだった。

ただ、威力不足なのか、巨大ロボの装甲の一部を溶かす程度で、貫通させることが出来なかった。

 

 巨大ロボもやられてばかりではなく、巨大な腕を振り回してロボ少女をたたき落とそうと暴れだした。

しかし、ロボ少女はその腕を掻い潜り、何度もライフルを巨大ロボへ向けて放っていたのだ。

 

 

「あのロボ娘、小さい割りに随分強いではないか!」

 

「当たりまえヨ! ハカセと獅子帝サンが頑張てくれたからネ!」

 

 

 ロボ少女の健等ぶりにエリックは賞賛の言葉を発していた。

あの小さな体で、巨大ロボの攻撃をいなし、逆に圧倒してるからである。

 

 だが、超はそれを当然だとしたり顔で言っていた。

それは葉加瀬だけではなく、あの転生者である獅子帝豪も開発に関わっていたからだった。

 

 豪はガオガイガーの科学技術を特典に選んだ転生者だ。

その技術を普段にロボ少女につぎ込んだのである。いや、それだけではなく茶々丸にも同じ技術が使われているのだ。

 

 ロボ少女の飛行能力はウルテクエンジンだったり、所持しているライフルがメリティングガンを元に作られていたりするのだ。

 

 そんなロボ少女だが、茶々丸と違う点がある。

それはGストーンを使っていないことだ。

 

 茶々丸にはGストーンを使っているのだが、このロボ少女にはそれを心臓部に使っていない。

また、超AIもさほど教育されていないため、どの道Gストーンが組み込まれていても、最大の力を発揮することは出来なかっただろう。

 

 まあ、その点に関して言えば、姉の茶々丸も現在学習中の身であり、Gストーンを100%使うことは出来ないのだが。

 

「”全弾発射”!」

 

 

 ロボ少女は背中のバックパックにありったけ搭載した武装から、ミサイルやロケットを発射。

ただ発射したわけではない。

全ての武装から、ほぼ全ての弾を打ち出したのである。

 

 その攻撃は巨大ロボへと豪雨のように降り注ぎ、その全てが巨大ロボへと命中したようである。

 

 そして、今の雨あられなミサイルを巨大ロボは左腕で防御したのか、その部分の装甲が全て破壊され、左腕の機能を低下させたのだった。

加えてミサイルの爆発により煙が巻き起こり、視界を悪くさせたのである。

 

 しかし、巨大ロボには多種多様のセンサーが搭載されている。

その程度の煙では視界をふさぐことは出来ない。

 

 また、それはロボ少女も同じことだった。

そこでロボ少女は左腕に装備された篭手から、一本のエメラルド色に輝く刃を持つナイフを取り出したのだ。

 

 

「”ウィルナイフ”!」

 

 

 それはあのウィルナイフだった。

所有者の意思で切れ味が変化する、宝石のように輝く刃。

それをたくみに操り、巨大ロボの右胸の装甲を切り裂いたのだ。

 

 まさに紙切れのように切り裂かれた装甲からは、内部の機械を目視できるようになっていた。

ロボ少女は、さらなる追撃を食らわせるべく、そのまま右腕を真っ直ぐその傷へと向けたのだ。

 

 

「”ヒートロッド”!」

 

 

 今度は一本のワイヤーが、右手首の下から飛んだのである。

そのワイヤーの先端にはフックがついており、それが巨大ロボの胸の傷へと吸い込まれていった。

 

 そして、フックが内部に引っかかる音がしたのを聞いたロボ少女は、高圧電流をワイヤーを通してそこに流したのである。

すると巨大ロボはその電撃を内部に受け、機能を停止させたのだった。

 

 

「すごいではないか!」

 

「これで一時的にあのロボは動けないはずネ」

 

 

 そのロボ少女の戦いぶりを見たエリックは、度肝を抜かして喜んでいた。

あんな小さなロボが、巨大ロボを圧倒し、倒したのである。

 

 すさまじい戦いぶりだったが、超はそれでも巨大ロボの動きは一時的にしか止められないと言っていた。

 

 完全に機能を破壊するまでには、ロボ少女の武装では不可能だったのである。

だが、一時的とはいえ機能を停止させたことで、超とエリックは安全にアジトのある噴水公園へと降り立つことが出来たのだった。

 

 

「一週間ぶりです、過去の超」

 

「私たちは数分ぶりなんだけどネ。そしてお疲れサンネ」

 

「よくやってくれた! 感謝するぞ!」

 

 

 ロボ少女は弾切れの武装を全てパージし、超の下へと駆けつけ、超へと丁寧にお辞儀し、挨拶を交わしたのである。

そこでロボ少女は一週間ぶりだと、超へと言っていた。

 

 しかし、超はロボ少女に会った後、すぐさまこの時間帯に飛んできたので、ものの数分しか立っていないと話したのだ。

 

 また、エリックはロボ少女の活躍に感動しており、ロボ少女のその手を握り、ブンブンと振り回しながら感謝していたのである。

そうオーバーに振舞われるロボ少女だったが、やはり淡白な反応しか示していなかった。

 

 

「みなさまがお待ちです。とりあえずアジトへ移動しましょう」

 

「この時間で合ていたようネ。さあ、みんなを連れて元の時間へ戻るヨ!」

 

「そうするとしよう!」

 

 

 ロボ少女はその挨拶が終わった後、時間転移してきた人たちがアジトに居ることを超へと伝えたのだ。

こうして超とエリックは、ようやくネギたちが飛ばされた時間に降り立ち、その面子を助けることが出来ると考えたのである。

 

 やっとこの闇に染まった麻帆良から、ネギたちを救出出来ると意気込み、アジトへと歩く超とエリックだったが、二人はネギとアスナがその場に居ないことを知らなかった。

 

 それを知ることになるのは、アジトへついてすぐのことだったのである。

 

 




ビフォアが選んだ特典は、本当の意味でチートである
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