理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

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八十話 二週間ぶり

 超は自分のアジトへと戻り、クラスメイトの安否を確認していた。

エリックも同様に、誰もが無事かを見ていたのだ。

 

 

「みんな、大丈夫だたカ?」

 

「超! 本当に来たアル!」

 

 

 超の登場に誰もが驚きながらも安堵の表情をしていた。

また、古菲は超の姿を見れたことを喜び、超へと近寄っていた。

超も古菲の無事な姿に、安心した様子を見せていた。

 

 

「ふむ、みんな無事みたいでなによりヨ……。ところでネギ坊主と銀河サンハ?」

 

「そ、それが、二人とも出て行ったです……」

 

 

 とりあえず誰もが無事だったことに安堵した超だったが、ここに来て大きな問題に直面したのである。

なんとネギとアスナがこの場に居なかったのだ。

 

 これはどういうことなのか、超は焦りを感じ疑問に思った。

そこで夕映が、二人の安否を気にかけたような表情で、その超の質問に答えていた。

 

 

「ネギ坊主と銀河サンが出てっタ……!?」

 

「はい……。あのビフォアと言う男に脅されて、出て行ってしまったです……」

 

 

 ネギとアスナはみんなを助けるために、ビフォアの脅しに屈してしまった。

夕映はビフォアと言う男に脅され、ネギとアスナがそれに応える形で、出て行ってしまったことを説明したのである。

 

 その情報を得た超とエリックは、一足遅かったと感じて腕を組んで悩み始めてしまっていた。

 

 

「もう少し早く来れば、こんなことにはならなかったカ……」

 

「なんということだ! これではすぐさま元の時間軸に戻れないじゃないか!」

 

 

 もう少し早く到着していれば、そう悔やむ超とエリック。

しかし、過ぎたことはどうしようもない。ここで悔やんでいても仕方が無い。

 

 だから二人はすぐさま次にどうすればいいかを考え、そのための作戦を練り始めたのだ。

 

 

「とりあえずネギ坊主と銀河サンを救出しに行くネ」

 

「女子中等部に入っていくところは見てましたが……」

 

「現在その場所に居るかどうかはわからないでござるな……」

 

 

 ネギとアスナの行き先はモニターに映っており、それが女子中等部の校舎というのは、わかっていたようだ。

 

 しかし、今もそこにネギとアスナがその場所に居るかはわからないのである。

カモフラージュとして、女子中等部へ入った可能性もあるからだ。

 

 だから夕映も楓も、ネギの本当の居場所がわからずに悩んでいるのである。

 

 

「ネギ坊主の居場所なら、ある程度特定できるヨ」

 

「え!?」

 

「どうしてです!?」

 

 

 そんなところに、超はネギの居場所がわかると言ったのだ。

その言葉に誰もが驚き、どうしてなのかと叫んでいた。

 

 すさまじいみんなの叫び声に、流石の超も耳に手を置き、かなりうるさそうな様子を見せる。

そこで超は、叫びがやんだ後、その理由を静かに語り始めたのだ。

 

 

「ネギ坊主に渡した手紙、アレに発信機がついてるネ。その場所を探ればネギ坊主の場所がわかるて寸法ヨ!」

 

「あの手紙にそんなものが……」

 

 

 超はこんなこともあろうかと、あの手紙に発信機を仕掛けておいたのだ。

これの近くにネギが居るのなら、そこへ行けばよいということだった。

 

 それを聞いた刹那は、超の用意周到さに驚き、言葉をこぼしていた。

また、刹那以外のクラスメイトも驚き、エリックも腕を組み頷きながら関心していた。

 

 

「とりあえず、ここから出よう。ビフォアに見つかっているのなら危険な上に、地上のロボも完全に倒してはおらんしな!」

 

「そうネ。みんな、地上に出て私たちが乗て来たタイムマシンに乗り込むネ!」

 

 

 エリックはこの場にとどまっていると危険なので、みんなを地上に着陸させたタイムマシンへ乗せることにした。

ビフォアにアジトがバレて居るなら、さらに攻撃を仕掛けてくる可能性があるからだ。

 

 加えて地上で倒した巨大ロボも完全に破壊した訳ではないので、安全とは言い切れないのである。

そして、先に超が地上に出て安全を確認した後、みんなをエレベーターで分担に乗せ、地上へとあげていったのだ。

 

 

「タイムマシンに乗るのかよ……。じゅうたんみたいなヤツだとこの人数は乗れねーだろ……」

 

「チューリップ型でもないので安心してほしい。まあ、見た目はタイムマシンに見えんだろうがな」

 

 

 そんな時に、やはり千雨がグチっていた。

千雨は青い猫型か狸かわからないロボットのタイムマシンを想像したのか、アレでは全員乗れないだろうと考えていたのである。

 

 この状況でそんなことを考えられるなら、十分余裕があると言えよう。

あれほど叫んでいた割りに、結構千雨ものんきにしていたのだった。

 

 それを聞いたエリックは、黄色い兄より優秀な妹のタイムマシンでもないので安心してくれと、冗談まじりで千雨へと話した。

 

 こうしてエリックが最後にエレベーターに乗り込み、全員を安全に地上へと移動させたのである。そして地上に出て、エリックからタイムマシンだと言われたものは、なんと改造された機関車だった。

 

 

「機関車じゃねーかっ!?」

 

「カッコイイだろう!!」

 

 

 千雨はエリックのタイムマシンを見て、突如そう叫んでいた。

いや、叫ばない訳がないだろう。何せタイムマシンと聞かされていたのが、改造機関車だったのである。

 

 機関車と言えば定刻通りに到着する巨大ロボや、顔が正面にある喋るやつが普通だ。

だからなのか、何故機関車をタイムマシンにしたか、千雨はよくわからなかったのである。

 

 そんな叫ぶ千雨の横で、ギャキィとポージングをとり、得意顔をするエリックが居たのである。

 

 

「さあ、乗りたまえ。この人数じゃ少し狭いかもしれんが、我慢してくれ」

 

「確かに狭いアル……」

 

「術で子供になった方がいいでござるか?」

 

 

 大人数を乗せるために、この機関車型タイムマシンを選んだのだが、やはりこの人数では狭かった。

押せ押せで奥に詰め込まれ、あまり動けないのである。

 

 そこで背が高い楓はそれなら術で子供の姿になった方が良いかとさえ思ったようだ。

 

 

「私は幽霊なので全然平気です!」

 

「さよはえーなあ」

 

「こう見ると幽霊も案外悪くないのかもしれませんね……」

 

 

 そんな窮屈なタイムマシンの中、さよはいたって平然としながらリラックスしていた。

幽霊であるさよには、物質的に窮屈な場所などは存在しないのだ。

それでもさよは、窮屈な場所で間違えて他人に憑依しないよう、余裕の表情をした後に位牌の中に入っていた。

 

 それを見ていた木乃香は幽霊のさよを、少しだけ羨ましいと思い、刹那もエレベーターでの壁抜けなどや今のを見て、幽霊って結構便利なのかもしれないと考えていたのだった。

 

 そして全員がなんとかタイムマシンへ乗り込み、窮屈そうにして居る中、ロボ少女だけは外で待機していた。

そこでロボ少女はタイムマシンへ乗り込もうともせず、再び完全武装をしてその前に立っていたのだった。

 

 

「超。私は囮として派手に暴れます」

 

「一緒に来ないのカ!?」

 

「はい。私は”未来”に存在しています。一緒には行けません」

 

 

 ロボ少女は超とエリックの安全のために、囮として敵をひきつける役をかって出た。

超はそんなロボ少女に、来ないのかと寂しげに叫んでいた。

自分たちの娘たるロボ少女を、置いて行きたくはないのだ。

 

 だが、ロボ少女は自分が未来に存在することを理解していた。

だからこそ、過去から来た超やエリックと共に、行くことは出来ないと話したのだ。

 

 

「超よ、ワシらが未来を変えれば彼女も安全になる。だからここはあのロボ娘の言う通りにさせてやろうじゃないか」

 

「……わかたヨ。だが無理はするなヨ?」

 

「はい。超もドク・ブレインもどうかご無事で……」

 

 

 エリックは未来を元に戻せば麻帆良は平和となり、このロボ少女も戦う必要が無くなると考えた。

故にあえて、ロボ少女の言うとおりに行動させ、自分たちは無事に過去へ戻る必要があると思ったのだ。

 

 また超も、そのことを理解していた。

ただ、やはりある程度情が移ってしまったようで、残していきたくなかったのだ。

 

 そしてロボ少女は最後に超とエリックへと挨拶し、丁寧に頭を下げた後、瞬間的に加速して麻帆良の上空へと消えて行った。

 

 そのロボ少女が飛んだ先で、大規模な爆発音が発生し、黒い影がそちらへ飛んでいくのが見えたのである。

 

 

「さあ行こう、超。我々にはやるべきことがある!」

 

「……そうネ。この麻帆良を元に戻し、あの子に再会するネ」

 

 

 エリックと超はビフォアの計画を阻止すると言う決意を胸に秘めて、タイムマシンへと乗り込んだ。

みんな狭そうにしていたが、それでも満員電車ほどではなさそうであった。

 

 エリックはすぐさま運転席へ座ると、タイムマシンを操縦し、宙に浮かして飛行させたのだ。

 

 

「まずはネギ坊主と銀河サンを助けるネ。ネギ坊主は麻帆良の地下に居るみたいヨ。そして今のところ動きがまたくないネ」

 

「それはビフォアに捕まってしまったのかもしれんな……」

 

 

 麻帆良の地下で動きが無い。超は手紙につけた発信機の位置を見てそう言った。

エリックはその超の言葉を聞いて、もしやネギたちは捕まってしまったのではと考えたのだ。

 

 だとすれば急がなければならないと考え、エリックはネギが居ると思われる方向へと、タイムマシンを加速させたのだった。

 

 

…… …… ……

 

 

 ネギとアスナはビフォアにより地下牢へ幽閉されてしまっていた。

それは教会の地下深くに存在する、魔法使い用の牢獄だった。

 

 幽閉されたネギは何とか脱出を試みるも、その分厚い扉を壊すことはおろか、魔法すら使うことも出来なかった。

当然ネギの持ち物は没収され、杖代わりに使っていた腕輪すら持っていないのである。

 

 また、アスナも鎖でがんじがらめに縛られていた。

まほら武道会でのアスナの活躍を知っていたビフォアは、普通に拘束しただけでは破られると思ったのだ。

だからアスナはしっかりと縛られ、手足を一ミリも動かせないほどに、まったく身動きが出来ない状態だったのである。

 

 

「ん……」

 

 

 アスナは目を覚ますと、まず手足が動かないことに気がついた。

そして、この場所が牢屋らしき部屋だということも、理解したようだった。

 

 

「私はあの男に一撃で負けて……、気を失って……」

 

 

 手足を必死で動かそうとしつつ、アスナは自分がどうなったのかを考えていた。

そこでビフォアと言う男に、たった一撃で敗北して気を失ったところで記憶が無くなっていたことに気がついた。

 

 つまり、ビフォアにやられた後に、ここへつれて来られて閉じ込められたということだった。

 

 

「まさか……、ネギも私と同じように……?!」

 

 

 また、アスナはネギも捕まったのではないかと考えた。

自分が気を失ってしまったなら、ネギの性格ならば見捨てることは無いと思ったのだ。

 

 それで一緒にネギも捕まり、同じように幽閉されてしまったと考えたのである。

だからこそ、何とかここを脱出したいとアスナは考え、手足の鎖を引きちぎろうと力を入れたのだった。

 

 

「クッ……、随分と縛られてる……。全然動かない……!」

 

 

 両手両足ともに、かなりの数の鎖で縛られていた。

また、両手は左右に大きく開いた状態で、気と魔力を合成できそうになかった。

 

 それが出来なければ咸卦法は練れない。

つまり、この鎖を断ち切る力は、今のアスナにはなかったのだ。

 

 何度も何度も力を入れて鎖を引っ張っても、まったくびくともせずにただ時間だけが過ぎていった。

アスナも何度も全身に力を入れたのか、疲れてきてしまって額に汗をかき、息を上げていたのだった。

 

 

「……あの男、強かった……。やっぱり、私が勝てる相手じゃなかった……」

 

 

 そしてアスナは動けない自分を、とても不甲斐ないと感じていた。

ビフォアに一撃で敗北し、捕まってしまったことが悔しかったのだ。

だからなのか、小さくつぶやくように、アスナは独り言をもらしていた。

 

 確かにロボ少女の説明では、あの覇王がビフォアとに負けた言っていた。

いや、覇王の攻撃を無傷で済ませたと言った方が正しいだろう。

 

 覇王の攻撃が通じないほどに、あのビフォアが強いのだろうとアスナは考えた。

 

 

「……待って……、何か……、何か変だった気がする……」

 

 

 違う、そうではない。

覇王の攻撃が無傷で済ませるのなら、覇王を倒せるはずだ。

 

 それでも覇王はビフォアとの直接戦闘では負けていないと、あのロボ少女は言っていた。

 

 何か謎がある、何か大きな仕掛けがある。

あのビフォアはそれをやってのける何か、特殊な力があるのかもしれない。アスナはそう考えた。

 

 

「あの時の攻撃、なんで避けられなかった? 変よ、おかしいわ……」

 

 

 それだけではない。アスナは、ビフォアの攻撃が避けられなかったことに疑問を感じた。

あの何の変哲もない、ただのパンチ。確かに電撃を纏ったパンチだったが、それ以外は普通のパンチだった。

 

 自分ならば、普段の自分ならばあの程度回避できたはずだと、アスナは思った。

それなのに、それがまるで吸い込まれるかのように、あたることが確定したかのように命中した。

しかも、それは鳩尾という急所だった。

 

 おかしい、何かおかしい、アスナはそれについてもおかしいと考えた。

何と言うか、例えるならば銃を向けた相手が突然動かなくなり、その銃弾が額に命中するような、そんな感じだった。

 

 が、アスナはそんな疑問より、まずやらなければならないことがあると思った。それはこの場所からの脱出だ。

脱出しなければ、捕まったままでいれば、かなりマズイ状況なのをアスナは思い出し、逃げなければと考えたのだ。

 

 

「……とりあえず、脱出しないと……」

 

 

 さらに、この場を脱出し、ネギを助けなければと考えた。

また、このまま捕まったままでは、まずいことになると思ったのである。

 

 あのビフォアと言う男は、自分をほしがる連中に自分を手渡すと言っていたのをアスナは思い出していた。

 

 それは多分であるが、20年前大戦で魔法世界を消し去ろうとした組織のことだと考察したのだ。

そんな連中に自分が渡れば、またあの時と同じことになるだろう。

 

 そうなれば、さらに迷惑をかけてしまうとアスナは思考し、なんとしてでも抜け出さなければともがいたのだった。

 

 

「……駄目……。まったく動かない……」

 

 

 それでもどうしようもないこともある。

アスナは必死に力を入れ、鎖を砕こうとするも一ミリとも体が動かせなかったのだ。

 

 もはやこれまでなのだろうか。

あのビフォアと言う男にすき放題されっぱなしで、ここで終わってしまうのだろうか。アスナはそう思うと悔しくてしかたが無かった。

 

 

「……だけど、諦めちゃだめ……。絶対に負けない……」

 

 

 それでも、諦めない。ここで負けてはならない。

アスナはそう考え、再び奮起した。

 

 確かにあのビフォアと言う男は強い。

あの覇王の攻撃を無傷で済ませたというのは、事実のようだ。

 

 それでもここで終わるわけにはいかない。

このまま負けを認めたくはない。アスナはそう強く想い、再び四肢に力を入れたのだ。

 

 

「……こんなところで負けるもんですか……! 絶対に脱出してやるんだから!」

 

 

 アスナはこんな場所で屈したくないと思った。

そこでなんとしてでもこの鎖を解き、脱出すると誓い、強い意思を見せたのだ。

この程度、なんてことないと、心からそう思ったのである。

 

 そして再び鎖を引き剥がそうと、全身に力を入れて右腕を動かそうと試みた。

どちらかの腕さえ自由になれば、何とか咸卦法が使えそうだと考えたからだ。

 

 そうやってアスナは何度も、何度も、何度も右腕の鎖を千切ろうと、ひたすらに力を入れて引っ張ろうとしていた。

それでも鎖はびくともせず、逆にアスナの右腕からは、鎖を引き抜こうと力を入れたせいで、血が滴っていたのだった。

 

 それほどまでに、アスナは右腕に力を入れていたのである。

そんな右腕の痛みをも我慢し、アスナは力を緩めることはしなかった。

 

 そう何度も右腕の束縛を解こうとしているところに、遠くから音が聞こえた。それは牢屋の扉の奥からだった。

 

 牢屋の扉は分厚く作られているせいか、音はとても小さかったが、確かに何か音がしたのだ。

アスナはそれを聞いて右腕に力を入れるのをやめて、その扉の方を何だろうと見たのである。

 

 そして、突如扉はまるで豆腐のように切り裂かれ、ばらばらと床に散らばったのだった。

 

 

「…………あ……!」

 

 

 散らばった扉の奥で、人影が光に照らされていた。

また、その人影の後ろには機械らしきものが、鋭利な刃物で切り裂かれたように切り刻まれ、転がっていたのだ。

 

 そして、その人影は一歩、また一歩とアスナへ近づいて行った。

そこで牢屋へと入った人影は、扉の逆光から遠ざかったことで、その姿をゆっくりと現していったのだ。

 

 牢屋の天井から入るかすかな光に照らされたその姿は、黒い礼服に黒いマント、それに銀色に輝く鉄の仮面。

それはアスナが良く知る人物だった。

 

 

「もう少し早く来る予定だったが、遅れてしまった、すまない」

 

 

 それはメトゥーナトだった。

ビフォアの罠に嵌り、麻帆良を救うことが出来なかった男。

 

 アスナが消えた2週間、どこで何をしていたかはわからない。

だが、メトゥーナトはアスナを救うため、ここへやってきたのだ。

 

 そこでメトゥーナトはアスナを見て仮面をはずし、その顔をアスナへ見せて安心させたのである。

 

 

「……パパ……」

 

「今その拘束を解こう。少し待っていてくれ」

 

 

 そうメトゥーナトは言うと、すぐさまアスナを縛る鎖を剣で切り裂いた。

すると鎖は紙切れのようにちぎれ、アスナは自由となったのだ。

 

 アスナは自由になったことを体感し、メトゥーナトの顔を見上げ感激していた。

そして、感極まって、少しだけ涙を見せて下のである。

 

 

「パパぁ……!」

 

「こうなる前に来る予定だったんだが、すまなかった……」

 

 

 アスナは感極ってメトゥーナトに泣きついていた。

そんなアスナにメトゥーナトは、優しく抱きしめ頭を撫でていた。

 

 そして、遅くなったことを悔やんだ声で謝りながら、アスナとの再会を喜んでいた。

 

 

「……でも、何で私の場所がわかったの……?」

 

「ずっと言ってなかったが、その髪飾りには特殊な術が施されている。その術はアスナの位置がわかるというものなんだ」

 

 

 アスナはメトゥーナトに会えて喜んだが、自分の場所がなぜわかったのか、ふと疑問に感じたのだ。

そこでメトゥーナトは、その疑問に静かに答えていた。

 

 その理由はアスナが髪を縛るために使っていた髪飾りだった。

 

 この髪飾りはメトゥーナトがアスナにあげたものであり、そこには術が施されていたのである。

それはメトゥーナトがアスナの居る位置を知ることが出来る、特殊な術だったのだ。

それによりアスナの位置をメトゥーナトは知ることが出来たと言う訳だった。

 

 

 また、メトゥーナトはアスナを含む複数の子たちが、あのビフォアの罠にはまって、どこかへ飛ばされたと考えた。

 

 しかし、アスナの反応が消えたのはおかしいと考え、飛ばされたのは場所ではなく時間なのではないかと考察したのである。

 

 何せメトゥーナトもビフォアの罠で、同じような現象を受けて無効化されたのだ。

そう考えても不思議ではないのである。

 

 そして、ずっとアスナの位置が特定出来る時を待ち、ようやく反応がわかったところでメトゥーナトが動き、アスナを救出しに来たということだったのだ。

 

 

「知らなかった……」

 

「教えなくても問題ないと思っていたからな……。そして会えてよかった。二週間ぶりだな」

 

「…………? ああ、そっちは二週間ぶりになるんだっけ……」

 

 

 メトゥーナトはアスナに久々にあったかのような態度で接してきたことに、アスナは妙な感覚を覚えたようだ。

 

 なぜならメトゥーナトは二週間後の未来のメトゥーナトであり、アスナに会うのは二週間ぶりと言うことになるからだ。

アスナはそのことに気づき、そういえばそうだったと涙を手でぬぐいながら思ったのである。

 

 と言うのも、アスナはメトゥーナトと別れて一日しかたっていないので、そう思ってしまうのも仕方の無いことだったのだ。

 

 

「その右腕の血は……」

 

「鎖を千切ろうとして、怪我したみたい」

 

 

 メトゥーナトはアスナの右腕が、血で真っ赤に染まっていることに気がついた。

それをアスナに質問すると、アスナは何てこと無い様子でそれを答えていたのだ。

 

 そこでメトゥーナトは、懐から一つの小瓶を取り出した。

あの皇帝印の薬である。

 

 

「これを飲むといい。怪我を治してくれる」

 

「ありがとう……」

 

 

 アスナはそれを受け取ると、すぐさま蓋を開けて飲み干した。

なんというラッパ飲み、一気飲みだろうか。そしてアスナがその薬を飲み終わると、右腕の怪我はスッと消えて治ったのである。

 

 そこでアスナは瓶をメトゥーナトへ渡すと、メトゥーナトは再びその空の瓶を懐へとしまったのである。

 

 

「さて、隣にネギ君が居るようだし、助け出して脱出するとしよう」

 

「うん……!」

 

 

 メトゥーナトはアスナの右腕が癒えたのを確認すると、脱出しようとアスナへと話した。

さらにアスナが予想したとおり、ネギは隣の部屋で捕まっていることも伝えたのだ。

 

 だからネギを助け出し、この場を脱出しようとメトゥーナトはアスナへ話していた。

 

 アスナはその話を聞いて、元気よく返事をしたのだ。

メトゥーナトと会ったことで、鬱屈した感情は吹き飛んだようだ。

 

 そして、二人は切り裂かれた扉から牢屋を出て、隣の牢屋で同じく捕まったネギを助け出すべく、その牢屋の扉を開いたのだ。

 

 

「ネギ!」

 

「大丈夫だったか?」

 

「あ、アスナさん! それと来史渡さん……!?」

 

 

 ネギは突然開いた扉に驚き、さらにその奥に立つ二人の人物を見て驚嘆の表情をしていた。

なんとアスナとメトゥーナトが扉を開き、入ってきたのである。

 

 ネギは二人がやってきたことに驚きながらも、アスナの無事を確認できて安心していたのだった。

 

 

「ここから脱出しよう。多分君の仲間もここへ向かってきているはずだ」

 

「わかりました。……でも来史渡さんがどうしてここに……?」

 

 

 メトゥーナトは時間が無いようなそぶりで、ネギにすぐさま脱出することを話していた。

アスナと同じように二週間前に居なくなった子たちは、この時間帯に飛ばされたのだとメトゥーナトは予測していた。

 

 だからこの時間帯へやって来たクラスメイトたちも、ここへ急いでいるだろうとメトゥーナトは考え、急いだ方が良いと思ったのだ。

 

 また、ネギはメトゥーナトが助けに来たことを嬉しく思いながらも、なぜこの場に居るのか少し疑問に思っていた。

 

 

「難しいことではない。アスナを助けに来た」

 

「そうでしたか……」

 

「いいから早く出ましょ!」

 

 

 ネギのその質問に、メトゥーナトは簡潔に答えた。

その短い言葉の中には、娘として育ててきたアスナを助けるのは当然だという意味もこめられていた。

 

 それをネギが察せたかはわからないが、その答えに満足した様子だった。

横にいたアスナはここからさっさと脱出したいのか、そんな二人をせかしていたのだ。

 

 

「そうだな……。しかしわんさか来たぞ……!」

 

「これも、全部ロボですか!?」

 

「みたいね……」

 

 

 そして牢屋から三人が出ると、その入り口付近に大量のロボが迫ってきていたのだ。

今回は人型ではなく四足のロボであり、腕は無く片目に装備されたレーザーで攻撃するような設計だった。

 

 

「二人とも、これを渡しておこう」

 

「これは……!」

 

「これが無いとね……!」

 

 

 そこでメトゥーナトはアスナとネギへ、あるものを渡した。

ネギには杖代わりの腕輪と超からの手紙、そしてカシオペアを、アスナには仮契約カードを返したのだ。

 

 それを受け取ったネギはすぐさま腕にはめ、いつでも攻撃できるようにしたのである。

加えてアスナも仮契約カードを使い、巨大な剣の形のハマノツルギを呼び出した。

 

 

「私が先導するとしよう。後ろに続いてくれ」

 

「はい!」

 

「わかった!」

 

 

 するとメトゥーナトも腰から剣を出し、そのロボへと横一線に振り払った。

なんとそれでその場に迫ってきたロボが、一瞬にして二つに分断されたのだ。

 

 その剣圧から放たれた風の刃のみで、メトゥーナトはロボ集団を切り伏せて見せたのである。

 

 

「さあ進もう」

 

「すごい……」

 

「いつ見ても強いわね……」

 

 

 そのメトゥーナトの一閃を見た二人は、ものすごいものを見たような表情で驚いていた。

たった一撃でロボの集団を全て切り裂いてしまったのだ。

驚かない方が無理だろう。

 

 ネギはこれこそが、父であるナギと共に戦った紅き翼の一員の実力なのかと感服し、アスナも久々に見たメトゥーナトの実力に、本当に強いと思った様子だった。

 

 そして三人はここを脱出すべく移動を開始したが、やはり先ほどのロボが上の階からぞろぞろとやってきたのである。

 

 

「やはり我々を逃がさないつもりか……」

 

「ゴキブリみたい……」

 

「数が多いですね……」

 

 

 上からやって来たロボは、壁や天井などにも張り付き、大量にやってきていた。

その数は階段や床を埋めるほどで、天井も壁もそのロボが密集して銀色に光っていたのだ。

 

 なんとまあおぞましい光景だろうか。アスナはその光景をゴキブリのようだと称していた。

 

 だが、それは間違えでは無いだろう。

銀色に光るボディーをうごめかせ、大量の数ではいよる姿は、まさにゴキブリそのものだったのだ。

 

 

「だが、数で何とかなると思ったら間違えだな……!」

 

 

 しかし、メトゥーナトを数で圧倒することは出来ない。

やはり先ほどのように、高速で剣を振り回し、そこで発生する剣圧にてロボを分断していくのだ。

 

 まるで流れ作業のように、ロボは切り裂かれ、その破壊されたロボで出来た道を三人は通っていくのだった。

 

 しかし、ネギやアスナもただ見ているだけではない。

メトゥーナトのうちもらしを二人は攻撃し、しっかりと確実に敵の数を減らして言ったのだ。

 

 

「もうすぐ魔法使いの支部の区域だ」

 

「魔法使いの支部ですか……?」

 

「ここ、どの辺りなのかしら……」

 

 

 

 そして三人は牢獄エリアから魔法使い支部のエリアへと突入していった。

ネギはその魔法使いの支部と言う言葉に反応を見せていた。

麻帆良は魔法使いの街らしいが、実態をあまりよく知らないからだ。

 

 また、アスナはこの場所が地下だということはわかったようだが、どこの地下なのかがわからず、どこなのだろうかと考えていたのだ。

 

 そんな三人の前を立ちふさがる四つの影があった。

それはネギとアスナを牢屋へ閉じ込めた衛兵だったのである。

 

 

「あれは僕たちを閉じ込めた……!」

 

「もしかして、あれもロボだったりする?!」

 

「……わからないが生命反応はなさそうだ」

 

 

 ネギはその衛兵の姿を見て、自分たちを閉じ込めたことを思い出し身構えていた。

そんなネギの横で、アスナはあの衛兵もロボなのかと考えていたのだ。

 

 なんせ衛兵の姿も一応成人男性であるが、ここまで全部敵がロボだったのだ。

当然こいつもロボなのではないかと、勘ぐるのも仕方の無いことだろう。

 

 さらにメトゥーナトはアスナのその言葉に、あの衛兵からは生命の息吹を感じないと言葉にしていた。

それはつまり、あの衛兵もロボだということだったのだ。

 

 

「来るぞ!」

 

「ロボだとわかれば手加減無用ね!」

 

「負けません!」

 

 

 しかし、この三人をたかがロボ衛兵四体で止めれるはずがなかった。

あっけなく切り裂かれ、破壊されていく衛兵。

または魔法の射手で貫かれ、機能を停止させていった。

 

 どんなに高性能であろうとも、所詮は単純な思考しか出来ないロボ。

この程度の相手など、どうということはないのである。

 

 だが、その四体のロボ衛兵を倒した直後、そこに一人の男性が現れた。

 

 

「フンッ! 逃がすものか!」

 

「ビフォアッ!!」

 

 

 それはやはりビフォアだった。

ビフォアはさらに多くのロボ衛兵を連れて、この場所にやってきたのである。

 

 その姿を見たアスナは、本気で許せないと言う気持ちの叫びを喉から出していたのだった。

そう叫ぶアスナの前に、メトゥーナトが立ちはだかった。

 

 

「随分と我が愛しの娘を可愛がってくれたようだな……」

 

「アルカディア帝国の狗か……。貴様が私を攻撃すれば、どうなるかぐらいわかっているだろう?」

 

 

 メトゥーナトは静かに、しかし重く険しい声を出していた。

その仮面に隠れて見えない目は鋭く、普段見せることの無い怒りを含んだ表情だった。

 

 それはアスナを閉じ込め、随分と鎖で縛り上げてくれたからだ。

だからメトゥーナトはこのビフォアに、とてつもない怒りを感じていたのである。

 

 だと言うのに、ビフォアはそれでも余裕の態度を崩さなかった。

メトゥーナトに自分を攻撃すれば、どうなるかビフォアはわかっていたのだ。

 

 なぜメトゥーナトやギガントがビフォアをいままで倒さなかったのか。

それにはある理由があった。

 

 ビフォアは麻帆良の代表になるまで、必死に隠れて逃げおおせた。

その時にメトゥーナトやギガントがビフォアを倒せればよかったが、そうはいかなかった。

そしてビフォアは麻帆良の代表となり、麻帆良を仕切る存在となってしまった。

 

 また、麻帆良は本国であるメガロメセンブリアとはある程度分離した魔法使いの街だ。

しかし、それでも一応メガロメセンブリアとはつながりがある。

 

 メトゥーナトやギガントはアルカディア帝国の兵士だ。

さらにアルカディア帝国は基本的に中立を保つ国家なのだ。

 

 そのアルカディア帝国の兵士が麻帆良の代表を倒してしまえば、そこで更なる争いが起こる可能性があったのだ。

つまり、ビフォアは今の地位に立つことにより、その身柄を守っていると言うことになると言うわけだった。

 

 

「ふん、わかっている。だから時間稼ぎと行かせて貰おう……!」

 

「な、に!?」

 

 

 だが、それもこれまでだと、メトゥーナトはビフォアを剣で攻撃したのだ。

ビフォアはとても驚いていたが、すぐさまロボ衛兵を盾にし、それを防御したのである。

 

 

「貴様……!」

 

「どうした? 何を慌てている?」

 

 

 ビフォアはメトゥーナトに攻撃されて、焦りと怒りの叫びを上げていた。

しかし、ビフォアはすぐさま態度を戻し、再び余裕の表情へと戻したのだ。

 

 このメトゥーナトは自分を攻撃する気はなく、ネギたちを逃がしたところで、デメリットはないと思っているからだ。

どうせこの状況を覆すことは出来ないと、高をくくっているからだ。

 

 

「まあいいだろう。どうせ貴様らには何も出来ない。何も変えられないのだからな!」

 

「それを決めるのは貴様ではない。我々だ!」

 

 

 余裕そうにするビフォアの目の前で、メトゥーナトは剣をすばやく振り払い竜巻を発生させたのだった。

 

 その竜巻は膨大な風を天井へと舞い上げ、ビフォアの目をくらませたのである。

ビフォアはたまらずそこから距離を取り、目を瞑って腕を顔に当て、風を防御していたのだ。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 さらにその竜巻は周りのロボを飲み込み、それも天井へと持ち上げたのだ。

そして遠くへと吹き飛ばされたロボは、床や他のロボと衝突することで爆発していったのである。

 

 されど、ビフォアはどうにか建物の柱に捕まったのか、難を逃れた様子だった。

 

 

「行くぞ!」

 

「え!?」

 

「わ!」

 

 

 また、メトゥーナトはアスナとネギを両手で抱え、その場を立ち去った。

突然体を腕で抱えられたアスナは、驚きながらも気恥ずかしさを感じたようで、ほんのり顔を紅色に染めていた。

 

 ネギも突然のことで慌てたが、特に気にしている様子ではなかった。

 

 

「チィ……! 逃がすな!!」

 

 

 さらに今の竜巻でビフォアが目を離した隙に、メトゥーナトとそれに抱えられた二人は、すでに上へと目指していた。

 

 ビフォアはそちらを追うように体を向け、周囲のロボに三人を逃がさないよう命令したのだ。

ロボたちはその命令を聞き、一斉に三人が逃げたと思われる方向へと移動を始めたのだった。

 

 しかしビフォアはそこで三人を追わず、別の場所へと急いで移動して言ったのである。

 

 

 また、ある程度先へ移動したメトゥーナトは、そこで二人を放して再び移動を開始していた。

そして三人は、後ろから追ってくるロボの集団を気にかけながら、脱出のために上へ上へと走っていたのだが、その上の方からも、さらに別のロボ集団が迫ってきており、挟み撃ちとなってしまったのである。

 

 

「しつこい……!」

 

「僕たちを絶対に逃がしたくない見たいですね……」

 

「だが、すべて切り伏せれば問題はない……!」

 

 

 ネギとアスナはこの敵の数を見て、流石に戸惑いを隠せないようだった。

そんな時でもメトゥーナトは、この程度の相手なら気にすることすらないと、さらに敵陣へと切り込んでいったのだ。

 

 進むは前、後ろは放置して目の前の敵だけを倒し、道を切り開いていったのである。

 

 そんな時に再びビフォアが現れたのだ。ビフォアは下の階からショートカットを使ったらしく、三人とほぼ同等の速度でこの階にやってこれたのである。

 

 

「逃がさんぞ!!」

 

「アンタもしつこい!!」

 

 

 ビフォアはなんとしてでも、ネギとアスナを逃がしたくないようだ。

はっきり言えばここで二人を逃がしても、ビフォア自身痛くも痒くもないと思っている。

 

 なおそれでも逃がしたくないのは、一度捕まえた獲物を逃したことで、プライドが傷つけられたと感じたからだ。

だからビフォアは執念でネギたちを追ってきたのだ。

 

 アスナはそんなビフォアに対し、かなりいらだった表情を見せていた。

 

 

「衛兵ども! あの仮面を囲って一斉に攻撃しろ!!」

 

「来るか!」

 

 

 そこでビフォアはメトゥーナトへ、数十体の衛兵ロボをけしかけた。

その圧倒的な数の衛兵ロボが、メトゥーナトを囲ったのである。

 

 メトゥーナトはその行動に一瞬驚いたが、すぐにそのロボを剣で切り裂き破壊し始めたのだった。

 

 

「これしきのことで、わたしを止められるとでも?」

 

「甘いなぁ!!」

 

「これは……!!」

 

 

 だが、倒した直後にすぐ別の衛兵ロボが襲いかかってきた。

なんと破壊しても破壊しても、次々に別のロボがやってくるのである。

 

 この波状攻撃には流石のメトゥーナトもたじたじであり、きりが無い戦いを迫られてしまったのだ。

 

 

「パパ……!」

 

「来史渡さん!?」

 

「わたしにかまうな! 先に行くんだ!!」

 

 

 ネギとアスナはその状態のメトゥーナトを心配して叫んでいた。

メトゥーナトはそんな二人に、自分を気にせず先に逃げろと大きな声で指示していた。

 

 

「二人とも、今道を開く! そしたらすぐに出口へ逃げろ!」

 

 

 そこでメトゥーナトは、二人を逃がすべく出口へと大技を放ったのである。

それは、先ほどの剣圧での衝撃波などとは比べ物にもならないほどの、すさまじい剣技だった。そしてアスナが良く知る、最大の奥義だった。

 

 

「”光の剣”!!」

 

 

 その技は光の剣。剣の刃から放たれる光の刃だ。

その巨大な光の刃は三日月型であり、それに触れる全てのものを切り裂いていく。

そして光の剣が通った後には巨大な亀裂とともに、道が出来ていたのである。

 

 

「来史渡さんはどうするつもりですか!?」

 

「わたしはここで足止めする! 二人で逃げるんだ!」

 

 

 ネギはその光の剣を見て驚きながらも、ならばメトゥーナトはどうするのかを大声で質問すれば、メトゥーナトは、ここで足止めすると答えていた。

 

 完全に大多数のロボに囲まれたメトゥーナトは、ネギたちと共に行くよりも、ここでロボを倒して回った方がよいと考えたのだ。

 

 

「……わかった! 行こう、ネギ先生!」

 

「え? でも……」

 

 

 メトゥーナトの今の言葉に、アスナは強く返答し頷いていた。

しかし、ネギは今のメトゥーナトの答えに微妙に納得できなかったのか、多少戸惑いを感じていたのだ。

 

 

「いえ、わかりました……!」

 

 

 だが、アスナのその表情と、メトゥーナトの視線を見たネギは、そこでそれを納得したようだ。

アスナはメトゥーナトを信頼し、メトゥーナトに強気の表情をしながら笑みを見せていたのだ。

 

 メトゥーナトもアスナを見て、グッドサインを見せながら頷いていたのである。

それを見たネギは、出口へ急ぐアスナを追うようにして、すぐさま移動したのだった。

 

 

「逃がさんぞオ!!」

 

 

 逃げる二人を追うように、ビフォアも走って出口へと動いていた。

さらにその後ろに衛兵ロボが三体ほど着いてきており、確実に二人を捕らえようとしていたのだ。

 

 

「チィ! 奴め……!」

 

 

 そしてネギやアスナが去った後、突然その部屋が暴風で包み込まれ、そこにいたロボは突如として切り裂かれていったのである。

それはやはりメトゥーナトの起こした攻撃だった。

 

 もはや足止めなどという生易しいものでなく、敵を全滅させるための攻撃だったのだ。

 

 それでもロボの数は増え続けており、メトゥーナトをここから動かさんとしていた。

 

 

「わたしをここに縛り付けるつもりか……。そうしたいのならば、全滅覚悟で来るんだな……!」

 

 

 すでにネギもアスナも先に行き、ここには居ない。

ならば、この部屋ごと破壊してもかまわんだろう。

メトゥーナトはそう考え、剣握りなおし、再び構えを取ったのだ。

 

 その直後、すさまじい風の刃がロボの集団を襲い、大量の数のロボたちは、ただ切り裂かれるのみだったのである。

 

 

「二人とも、無事を祈るぞ……」

 

 

 メトゥーナトはロボの集団を圧倒的な戦闘力で切り伏せながら、ネギとアスナを心配していた。

 

 ビフォアがあの二人を、追って行ってしまったのを止められなかったことを悔やみながらも、ならばここに居るロボだけでも全滅させようとしていたのだ。

 

 もはや気づかわなければならないものは存在しない。

だからこそ、全身全霊をもって、このロボの集団を破壊しつくしてやろうと、メトゥーナトは仮面の下の目を鋭く光らせ、さらなる攻撃を仕掛けるのだった。

 

 

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