ブルペンは今日も平和です。   作:通りすがりの猫好き

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今回は早く書けたな、ヨシ!


#10 part3

「試合は現在ブルーバーズが志村選手のタイムリーツーベースで2点を先制して4回の表、2対0、先発の那須選手が相変わらずの安定感でお送りしておりますブルペン放送局。えーまぁ、本日も、ね。那須さんは流石といったところだと思いますが。お前の出番無さそうだぞ熱田」

 

 

 

「っるっせーな分かっとるわんな事。不思議なんだけど、久里(ひさと)さん(※本名、那須久里)ってあんま炎上するイメージねーよな。別に直球が早いわけでも必殺の決め球があるわけでもないのに」

 

 

 

「そりゃ別にスピードガンを競うコンテストじゃないし。よく言われるでしょ、『投手は総合力』って。那須さんは影薄いけど曲がりなりにも投手大国のウチの開幕投手だから。細かく丁寧に四隅に投げられるのがあの人の良さってわけですよ皆さん。あんまり影薄いとか言わないであげてくださいね。可哀想ですから」

 

 

 

「言い出したのテメーだろうが」

 

 

 

「まぁいいじゃん過去の事は別に」

 

 

 

「数秒前じゃねーか!」

 

 

 

「えー、まぁそんな事を口にしたところでですね。次の質問参りましょうカモン! はい、ではペンネーム『X』さんから頂きましたこちらの質問。『黒鵜座選手、ゲストの方どうもこんばんは。私は今度球場に試合を見に行く予定なのですが、誰に注目して見るのが良いでしょうか。プロ野球選手ならではの観点で教えてください』、という事ですね。んーまぁ確かに! 誰に注目するかって結構大事ですよね。実際球場に足を運んでいただいても目移りしている内にあっという間に試合が終わっちゃいますから。ウチなんかは特に」

 

 

 

「やっぱり見てもらうべきは投手だろ! 守りの基本、誰もが注目するスター! そして俺!」

 

 

 

 自信満々に胸を張る熱田に対し、黒鵜座は嘲笑を含んだ息を吐く。

 

 

 

「いや何? そこまで考えてたの? そりゃ投手って注目も集まるけどさ。ダメだった時辛いよ? だから僕はあんまりおススメはしないな。それにさ」

 

 

 

「それに?」

 

 

 

「大体お前が出てくる時ってあんまりプレッシャーじゃないビハインドか大量差じゃん?」

 

 

 

「だから俺は先発志望だからな!! 決める時はバシッと決めるから!」

 

 

 

「あぁそう、まぁ期待しとくよ。少しだけな。……で何の話でしたっけ。あぁそうそう、誰に注目するのがいいかって話でしたよね。んーじゃあまぁ自球団と他球団、それぞれ一人ずつくらい代表を挙げていきましょうか。すいませんパネルとペンもらえますか」

 

 

 

 スタッフが持ってきた四つのまっさらなパネルとペンを二人が受け取ると、それぞれ筆を走らせていく。そうして書くこと数分後。

 

 

 

「書けた? んじゃあ発表していきますか……。まず自球団の選手からですね。せーのっ、ドン!!」

 

 

 

 黒鵜座と熱田がパネルをひっくり返す。黒鵜座のパネルには『武留』、そして熱田のパネルには珍妙なイラスト、具体的に言えば小学生の書く似顔絵のような髪をした謎の男の顔と共に『北 駿一郎(きた しゅんいちろう)』と書かれている。

 

 

 

「はい、というわけでですね。僕が選んだのが武留選手で、熱田が選んだのが北……え、あの聞いていい? 何これ。誰? 北君の親父さん?」

 

 

 

「あ? 何でんな回りくどいもん書くんだよ。北本人に決まってんだろ」

 

 

 

「いや北君こんなんじゃねぇよ! 禿げてっし! つーか鼻ねーじゃん! どこ向いてるか全然分かんねーし! …………はぁ、お前画伯の才能あるよ。悪い意味で。あれだな、そういう番組に出られるといいな。これをきっかけに」

 

 

 

「おい、何故そんな同情したような視線を送るんだ」

 

 

 

「まぁいいや、で、何で北君を選んだの? 大体想像はつくけど」

 

 

 

「そりゃあ勿論ボールの速さよ! まだ21なのに160km/h投げれるからなあいつ! そんでもって鋭く落ちるスプリット、あれを投げられちゃあ打者はもうきりきり舞いよ!」

 

 

 

 熱田はまるで自分の事かのように鼻高々と語り出す。その表情からは子供さながらの無邪気さを感じさせられるものだった。

 

 

 

「ふーんなるほどねぇ。やっぱ『滑川チルドレン』(※#6 part2参照)同士通じるものがあるって感じかねぇ。実際どうなの、仲良いの?」

 

 

 

「おう! あいつにスプリットの握りをアドバイスしたのは俺だからな!」

 

 

 

「あーそう。じゃ抜かれてんじゃん。大丈夫?」

 

 

 

「へっ、俺にはチェンジアップもスライダーもあるからな! 別に……別に抜かれてとか、そういうのねーし。全然平気だし」

 

 

 

 熱田の声が少しづつすぼんでいく。割と本人もそういう所は気にしていたらしい。言うんじゃなかったかな、と黒鵜座が熱田から視線を逸らした。

 

 

 

 熱田は割と繊細な人間だ。不遜な態度を取っているように思えて、実は周りの人間の目を気にしやすい。故にドラフト一位で入団した焦りもあるのだろう。そういう所が一人前の投手として独り立ちできない理由なのかもしれない。

 

 

 

「あー、今のはこっちが悪かったよ。いいんじゃねーのお前はお前で。三振取れるのがお前の魅力だし」

 

 

 

「ふん、俺より奪三振率高いお前にはそれを言われたくねーな」

 

 

 

「んだと人がせっかく励ましてやろうってのに。もういいや、話進めましょ。僕が注目してほしいのは武留選手ですね。理由、肩が強いから。以上」

 

 

 

「もっと話広げろよ。会話のキャッチボール下手くそか」

 

 

 

「つってもそれくらいしか……、あーそうかキャッチボールね。キャッチボールとか見るといいと思いますよ。軌道が違いますから。他の野手の人ってこう、ボールが多少山なりの軌道を描くものなんですけど。彼はそうじゃなくてかなり真っ直ぐなんですよ。低く落ちづらい軌道で相手のグラブを正確に捉える。ああいうの見てたらやっぱ元投手なんだなって思わされますね」

 

 

 

「速球なら」

 

 

 

「速球なら負けてないとか言うなよ熱田。面倒だから。おっと、そろそろCMのお時間ですね。というわけでもう半分は次に回しましょう。それでは一旦さようなら!」




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