…変じゃ無いですよね?
突然のグボログボロの乱入事件から戻ってきた私達は任務で負った傷や疲れがあった。それを見たレオン君が今日の訓練を終了して部屋に帰るように指示を出してくれたので私達は取り敢えず自室に戻った。私は先に戻ってたカノンと今日の訓練の様子などの出来事を話て過ごした。
そんないつもと変わらない日常から一夜明けた日、私はサイレンの音で目を覚ました。
『緊急事態発生。ゴットイーターの皆さんは至急講堂にお集まりください。繰り返しますーー』
それを聞いて私とカノンは素早く身だしなみを調えて部屋を出た。するとほぼ同時に隣の部屋のドアが開き中からエリックさんが出てきた。
「エリックさんこれは、」
「どんな状況かはまだ解らないが華麗では無い事態になっているのは間違いないだろうね。とにかく講堂に急ごう。詳しい状況はそこで聞くことかできるだろうからね」
エリックさんと一緒に講堂に行くとそこにはまだレオン君を含む数人のゴットイーターしか集まっていなかった。どうやら私達はかなり行動が早かったらしい。
「レオン君‼ これは一体」
「シリア、それに他の皆も。詳しいことは俺にも解らないが研修中の新人も駆り出すってことはかなりヤバい状況だとみて間違いないだろう」
レオン君の話を聞いて私はより気を引き締めることにした。どんな事態だったとしても動揺し無いために。
その後10分程で全ての神機使いが集まったようで壇上からロシア支部支部長のアロノフ支部長が今回の招集の訳を説明しだした。
「朝早くからの招集にも関わらず集まってくれたこと感謝する。時間が惜しいので早速本題に入らせてもらうが、先程アラガミレーダーがロシア支部南東にアラガミの大群を捉えた。その数約70体。幸い大群の殆どは小型アラガミで構成されていて中、大型種の数は10体程だ。さらに今は新人合宿で多くの神機使いがロシア支部にいる。これなら希望はある」
アロノフ支部長の言葉に講堂内にざわめきが起こる。70体ものアラガミの大群。極東でも経験したことの無い数に現実味がわかず私は暫し呆然としていた。
「静粛に願いたい。今回の作戦を説明する。先ず新人合宿に来た新人達とロシア支部の神機使いが共闘し小型アラガミを引きつけこれを倒してもらう。その間に新人合宿に来た教官達とロシア支部第一、二、三部隊が中、大型種の殲滅に当たってくれ。ここまでで何か質問のあるものはいるか」
その問いには誰も手を挙げない。それを質問無しと受け取ってアロノフ支部長が作戦の詳細を発表しようとしたところ舞台袖の方から女性が血相を変えてアロノフ支部長に駆け寄り何かを耳打ちした。
それは良い知らせでは無いらしくアロノフ支部長の表情は険しいものになっていく。そして女性が舞台袖にはけたあとアロノフ支部長はその知らせを私達に伝えた。
「皆さん。先程の大群の中心に、周りに大型種数体を従えた群れのボスの様なアラガミの存在を確認しました。このアラガミを倒せば群れはちりじりになりアラガミを殲滅し易くなるでしょう」
それ自体は良い知らせだ。実際多くの神機使いが表情を柔らかくした。固まられると複数を相手どらなければならないため分断されるのは良いことだ。なのに支部長の顔色が優れないのはそのボスに原因があるのか、取り巻きの大型種に問題があるのか。
などと考えて支部長を見据えるとその口から答えがでた。
「但し、そのボスは第一種接触禁止アラガミ<スサノオ>だ」
その言葉に私達は凍り付く。
<スサノオ>
神機使い殺しの異名を持つ第一種接触禁止アラガミであり、その討伐数は限りなく少なく並以上の神機使いをも倒すその強さは異常だ。スサノオを討伐する際には各支部のエース級を集めた討伐隊を編成するのが基本らしい。
・・・まぁ極東に私が入隊してから一度だけ発見された時は極東支部のメンバーだけで討伐していたが、あれは極東が激戦区で戦力が集中していたから出来た芸当だ。
「この戦いは恐らくこのスサノオを討伐するまで終わらないだろう。また、周りの大型種にも人を派遣しなければならないためこのスサノオとの戦闘に割ける人員は三名が限界だ」
普通各支部のエース級を四人集めて討伐するスサノオを三人で討伐しなければならない。その事実が講堂内の空気を重くする。ハッキリ言って状況はかなり厳しい。そもそもスサノオと対峙出来るほどの神機使いがこの場に三人もいるかも解らない。
何故なら合宿の教官にエース級を派遣する事など滅多に無いからだ。当たり前だ。もし合宿中に非常事態に陥った時エースがい無いのはかなりキツイからだ。
「スサノオの討伐にはロシア支部から二人の人員を出せる。あと一人、スサノオ討伐戦に加わってくれるゴットイーターは居ないだろうか? 出来ればスサノオとの交戦経験がある事が望ましいのだが」
アロノフ支部長の言葉で皆自然に私達極東支部のゴットイーターが集まる場所に目を向ける。
いや、正確には極東支部から教官として派遣されたレオン君を見ているのだろう。この中でスサノオと交戦経験がありそうなのはレオン君くらいだから。
「俺が行きましょう。つい最近極東で出現したスサノオの討伐にも参加しましたから。因みに他のメンバーは誰ですか」
「極東支部の星村レオン君だね。協力感謝する。他の二人は第一部隊隊長のリリア・プーベルと副隊長の如月秋菜だ」
それ以外はさっきの作戦通りだが、第一部隊の隊長と副隊長、レオン君が抜けた分大型種の相手が不足してしまったためエリックさんなどの合宿に来たメンバーの中でも腕利きの神機使いが数名大型種討伐に移ることになった。
私達第九班からは誰も大型種討伐にいかなかったので当時の小型アラガミ戦のチーム編成はこのまま行くことになった。まだ連携に不安があるが知らない人と組むよりかはマシだろう。
「以上で終了だ。作戦開始は今から三時間後の10:30とする。ゴットイーター諸君。君たちの働きに期待している」
最後にそう締めくくってアロノフ支部長は舞台袖に消えていった。
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会議から約三時間後、作戦開始が間近に迫った今私達は出撃ゲート付近でそれぞれが戦場に向かうための準備をしていた。
私達極東支部の面々は全員一箇所に固まって決起集会の様なものを開いていた。
「エリックさん。無理はしないで下さいね」
「大丈夫。華麗なる神機使いである僕が負けるわけ無いだろう。それに僕には必ず戻ってくることを誓って極東に残してきた妹がいるからね。それよりシリアくん達の方こそ必ず生きて帰ってきたまえよ」
「大丈夫です。私もシリアちゃんも絶対に生きて戻ってますから。それより私はレオン君が心配です。第一種接触禁止アラガミとの戦いなんて大丈夫でしょうか?」
「俺はそんな柔じゃ無いぜ。絶対生きて帰ってきてやる。だからお前達はお前達の仕事をしっかりこなせ」
そこまで言い合って私達の間に沈黙が流れる。その間私達は誰とも無く円陣を組み始めた。そしてレオン君が号令を掛ける。
「この戦いは総力戦だ。雑魚相手でも気を抜くな。一人のミスは俺たち全員の命を危険に晒す。それだけは覚えておけよ・・・よし、お前ら‼ 全員生き残ってまたこの場所で再開するぞ‼」
一度私達を見回した後レオン君はそう言って締めた。それに対して私達も力強く返事をする。
「「「はい‼」」」
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