GOD EATER~神喰らう者達の軌跡~   作:冬刀

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何とか今年中に仕上がった…

皆さんお久しぶりです。
RBのPVでタツミさんが喋っててテンションが上がった作者です。

2になってからタツミさんが落ちやすくなったと感じたのは自分だけで無いはずだ。


第十二話 豹変

ロシアでの戦いの後、ロシア支部では倒れた人達の追悼会を行い悲しみに包まれた。特に、ロシア支部第一部隊隊長のリリア・プーベルさんの死には多くの人が悲しみにくれ、暫くその場を動かなかった。他にも新人研修で来ていた新人が何人も戦場で倒れていった。私達の班には一人もいなかったが、エリックさんの所は一人殺られたらしく、何時ものように華麗に振る舞う姿の中に悲しみの感情が渦巻いているように見えた。

 

 

――余談だが、レオン君は体を酷使したことによる全身筋肉痛と右足の複合骨折で全治一ヶ月の大怪我を負った。骨折から一ヶ月で戦場に舞い戻るゴッドイーターの回復力は本当対したものだと思う。

 

 

そのロシア合宿から帰ってきて早二週間。私がゴッドイーターになって約四ヶ月が過ぎたある日。私達はある一つの事件に遭遇する。

 

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「これで外部居住区に侵入してきたアラガミは最後だな」

 

先程討伐したヴァジュラテイルのコアを抜き取ったタツミさんがそういいながら此方に合流してきた。

 

「そうみたいですね。アラガミの反応も無いですからこれで終了です」

 

「良し、なら帰るか。シリアも二人だけで防衛戦なんて疲れたろ」

 

「他の人が皆出払っていたんですからしょうがないですよ。それに敵の数も少なかったですし勉強にもなりましたから」

 

今回はヴァジュラテイルとオウガテイル数体からの防衛戦だったので何とかなった。余り障害物の無い場所で戦う討伐戦と違って入り組んだ道で戦うことの多い防衛戦は討伐戦とはまた違った戦い方が必要になる。だからこそ討伐戦より絶対数の少ない防衛戦の数をこなせるに越したことは無い。

 

「そっか。だが今回は目の前の敵に集中しすぎたな。もう少し周りに気を配らないと殺られるぜ」

 

 

「そうですか…善処します」

 

「応。精進しろよ。新入り」

 

「なんか偉そうですね。取り敢えず一発殴っていいですか?」

 

「何でだよ⁈ ってか実際俺は偉いんだぜ?」

 

「フフッ。冗談ですよ。タツミさんが偉くて強いことはもう知ってます」

 

こんな風に先輩神機使いと話しているなんて入隊当初の自分からは想像も出来なかった。これもタツミさんのお陰だ。タツミさんは凄いし尊敬してる。アナグラの殆どの人間が一番尊敬してるのは多分リンドウさんだけど私はタツミさんを一番尊敬してる。それ位強い、私の目標。それがタツミさん。だからタツミさんが偉くて強いことはよく知ってる。まぁ本人の前ではこんなこと絶対口にしないけどね。

 

そんなことを考えながらアナグラに戻ると空気がいつもと違うことに気付く。この数ヶ月何度か経験したこの空気は多分、誰かが殉職したのだろう。しかしこの空気は私が経験したどれよりも暗い空気を放っていた。それだけ手練れの神機使いが殉職したということなのだろうか。

私は胸が締め付けられるような痛みを感じながらそう思った。やっぱり誰かが殉職するのは慣れるものでは無い。

とそこで近くで会話していた神機使いの人達の会話からこの空気の原因がもたらされた。

 

「殉職したのって秋人隊長達だろ」

 

「あぁ。惜しい人が亡くなっちまったな。『優秀な神機使い程早く死ぬ』ってのは信じたく無いが事実なのかね」

 

秋人隊長。第四部隊の隊長で優秀な偵察兵だった人だ。確か今日秋人隊長と一緒に任務に行ったのは裕理副隊長とエリックさん。あと一人は…

 

「ッ!!」

 

「あ、おいシリアどこ行くんだ!」

 

そこまで思考が追いついた途端私はタツミさんの声を振り切って区間移動用エレベーターに乗り込む。

 

カノンだ。

 

今日秋人隊長達の班だったあと一人はカノン。私の同期にして幾つもの戦場を共にした私の親友だ。

エレベーターが新人区画に到着する。扉が完全に開き切る前に飛び出しカノンの部屋がある方向に向かう。

カノンの部屋の近くまで行くと、一人の神機使いを見つけた。

 

「エリックさん‼」

 

「…あぁ、シリア君か。うん。丁度いい所にきてくれた。悪いがカノン君をよろしく頼むよ。全く華麗では無い今の僕では役不足みたいだ」

 

カノンの部屋の前にいたエリックさんからはいつもの華麗さは微塵も感じられず、ただ疲れた表情だった。

私はそのエリックさんに掛ける言葉が見つからずその背中をただ見送ることしか出来なかった。

 

「そうだ、カノンは」

 

丁度エリックさんが見えなくなった頃私は当初の目的を思い出してカノンの部屋の扉の前に立ち、ドアをノックした。

 

「カノン? シリアだよ。大丈夫?」

 

「…シリアちゃんですか。大丈夫です。暫く一人にしてもらえれば」

 

そう言うカノンの声は覇気がなくて心配になった私は更に声をかける。

 

「秋人隊長達が亡くなったんだよね。確かに同じチームだったのかも知れ無いけどカノンがそこまで気に病む必要は無いんじゃないかな?」

 

「…」

 

「でもカノンが気に病むのなら私に話してみない? それだけで気持ちが楽になると思うよ」

 

「…」

 

声を掛けて見てもカノンは何も反応を示さない。だが、暫くするとポツポツと私に心の内を話してくれた。

 

「今回の任務は難しいものじゃ無かったんです。コンゴウの討伐と周囲の偵察。特に大型の反応も無かったので経験を積ませる意味でも私に同行要請がかかったんです。そして実際コンゴウを討伐し終えて周囲を偵察してもアラガミ反応もなく私達はアナグラに帰ることにしたんです。ですが…」

 

カノンはそこで言い淀んだがその先を口にした。

 

「突然レーダーにも、私達の索敵にも引っかからなかったテスカポリトカが出現したんです」

 

テスカポリトカ。第二種接触禁止アラガミでクアトリガ神属の禁忌種だ。そいつがレーダーにも索敵にも引っかからなかった? そんなことあり得るものか。第一足音の大きいあのアラガミの接近に気づかないようでは極東の偵察班を任せられる筈が無い。

だがその疑問はカノンの言葉で解消された。

 

「榊博士が言うには丁度霧散したオラクル細胞が集まってテスカポリトカになったときに偶然私達が通過したのではないか。と言うことでした。アラガミ発生の前兆を見落とした私達のミスですね」

 

アラガミが生成される現場近くに居合わせるだけでも稀なのにそれがよりにもよって第二種接触禁止アラガミだった。そんなとても低い確率の場面に遭遇してしまったとは、

 

「でもそれはしょうがないじゃない。だってアラガミ発生の前兆なんて分かりにくいものだって前榊博士が言ってたし」

 

「違うんです。私がちょっと恐怖したのは突然現れたテスカトリポカにじゃないんです。秋人隊長と裕理副隊長は私のすぐ目の前でやられたんです。それを見てしまって私は腰を抜かしちゃいましてね。正直もうダメかと思いました。でも、エリックさんが私を担いで逃げてくれたお陰でなんとか帰ってくることができたんです」

 

カノンと一緒に任務に行った神機使いが全員生還した訳では無い。この数ヶ月の間でも何度か同行者が殉職したことはある。でもそれは班を二つに分けた時や十分な距離が空いていた時に限定されていて人がアラガミに殺られる場面を間近で見たことは私の記憶上無かった。

だからこそ、人が目の前でアラガミに殺された時の恐怖が襲ってきているのだろうか?

 

「私は自分を保てなくなっちゃったんです。助けてくれたエリックさんにお礼言わずに部屋に篭って心配掛けて。シリアちゃんにはあんなこと言ったのに。これじゃあダメですね」

 

「そんなことないよ。カノンはそれでも神機使いを辞めようとは思ってないんでしょ? 声を聞けば何となくわかる。だったかいいじゃない弱音くらい吐いたって」

 

段々声が沈んでいくカノンに諭すようにそう言うと私は踵を返してエントランスへ向かうべく足を向ける。

が、その直後部屋の中からカノンの声がしたので一度足を止める。

 

「明日にはちゃんと任務に出ますから。それまで一人にしてください」

 

「了解。ふふっ。なんだかあの時と全く逆になっちゃったわね」

 

「そう言えばそうですね。なら私も明日には立ち直らないといけませんね」

 

「そうね。もしこなかったらカノンの部屋の扉をノックし続けてあげる」

 

それだけ言って私は今度こそエントランスに向けて足を動かした。

 

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翌日エントランス

 

いつもより早めにエントランスに行くと、そこにはタツミさんとレオン君、エリックさんが居た。

 

「やあシリア君。カノンの件はどうなったかな?」

 

エントランスに降りた私を見つけたエリックさんがそう聞いてきた。どうやらタツミさんとレオン君も同じ理由で此処にいるらしく私の答えを待っていた。

 

「私の時と同じです。結局はカノン次第ってところです」

 

「なら大丈夫だと思うぜ? 隊長としてカノンのことは見てたけど結構芯が強い印象を受けたからな」

 

「俺もタツミさんに賛成。教官としてカノンのことは見てたが性格は弱気だが戦場に立てば覚悟のある目をしてたからな」

 

「僕も信じているさ。なんたって華麗なる僕が助けたんだ。カノン君も華麗に戻ってくるに違いない」

 

「私も。昨日話した感じだとカノンは大丈夫だと思います」

 

そこまで言って私達は顔を見合わせて少し口元を緩めた。結局全員カノンが戻ってくることを信じてるみたいだ。

とそこでエレベーターが止まる音がして中からいつもと余り変わらないカノンが出てきた。

ここにいる全員の代表として私が話し掛ける。

 

「どうだった? 昨日はきちんと気持ちの整理がついた?」

 

「シリアちゃん。うん。前にシリアちゃんに言った通りもう諦めちゃいましたから。大丈夫です」

 

「そっか。なら今から一緒に任務に出よう」

 

「はい。でもその前に、エリックさん。昨日は助けてくれてありがとうございます。お陰で生き残ることが出来ました」

 

「気にすることは無い。華麗なる僕は当然のことをしたまでだからね」

 

そう言って頭を下げるカノンをみてエリックさんはよくやる前髪を払う仕草をしてからそう答えた。

 

「よし。話が纏まったなら早速任務に出るぞ。メンバーは俺、エリック、シリア、カノンの四人だ」

 

「「「はい‼」」」

 

タツミさんの号令で任務に出ることも決定したので全員で神機保管庫に向かった後、装甲車がある車庫まで向かう。そこで療養中のレオン君に別れを告げて私達はタツミさんが運転する装甲車で今回の任務地である贖罪の街に向かった。

 

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贖罪の街

 

今回タツミさんがとってきた任務はコンゴウ二体の討伐。このメンバーなら余裕でクリア出来る内容だった。カノンがどうなるか心配だから何かあっても良い様に簡単な任務を選んだのだろう。

作戦としては片方のコンゴウを速攻で倒して戦闘音に釣られてた二体目を狩る事になっている。

 

「さて、前方にコンゴウを発見した。カノン行けるか?」

 

タツミさんが今一度確認を取るとカノンは大きく頷いた。

 

「よし。なら行くぞ」

 

「カノン君。ミスをしても僕が華麗にアシストしてあげよう。だから尻込みせずに行きたまえ」

 

真っ先に飛び出していくタツミさんを私たちはまだ追わない。

タツミさんは足音を立てずにコンゴウの背後に回り込む。そのまま広場にある段差を使ってコンゴウの頭上を飛び越えて顔面に強烈な一撃をお見舞いした。それに合して私もコンゴウの胴体にレーザーを撃ち込む。

いきなりの攻撃と衝撃に耐えかねてコンゴウが苦悶の声を上げて蹲る。

私達が動かなかったのはこの強襲を成功させるためだ。聴覚の優れたコンゴウに接近しても気付かれないだけの技量をまだ私たち三人は持っていない。いや、出来る神機使いの方が少数派で大多数の神機使いはそんなこと出来ないだろう。

 

タツミさんが一撃を加えたので私たちも攻撃に参加する。私はその場から動かずレーザーを使いコンゴウの胴体を容赦なく撃ち抜く。コンゴウの胴体はとっても軟らかいのでいつも助かってます。

とそんなこと考えている間も引き金を引く手を止めなかったからか、見るとコンゴウは既にかなり弱っていて顔面、胴体、尻尾のオラクル細胞の結合が弱く結合崩壊が狙える場所が全て破壊されていた。

縦横無尽にコンゴウを切りつけるタツミさんや顔面に向かって容赦なくモルターを打ち込むエリックさん。そしてカノンもいつもと変わらない様子で胴体に放射を打ち込む。それに対してコンゴウは反撃を試みるが、何分狙いがタツミさんなのが悪い。すべての攻撃を躱され、カウンターを受ける姿は集団リンチに必死の抵抗をしているいじめられっこみたいでなんだか同情を誘う。

 

「そろそろ二体目が登場する頃だ。皆、さっさと片付けるぞ」

 

時計を見ると交戦開始から既に四分が経過していた。確かにそろそろ二体目が出てきてもおかしくない。私は取り敢えず背後を警戒する。背後から来られた時、近くに誰も居ない分反応が遅れれば私が危険だからね。

背後を警戒しながらコンゴウを観察するともう虫の息でタツミさんが尻尾を切り払った所でようやく生き絶えた。

 

「ふぅ~。取り敢えず一体終わりましたね」

 

「だが二体目もすぐ近くにいる筈だ。警戒を怠るなよ」

 

とタツミさんが言ったところで獣の叫び声が聞こえた。

--背後を警戒してたのに気付かなかった⁈

私が急いで振り返るもそこにはさっきの叫び声の主は居なかった。

 

「シリア、上だ‼」

 

が、タツミさんの声を聞いて上を見上げると、真横の崖の上にコンゴウが出現した。

しまった。上は警戒してなかったから気付けなかった。

コンゴウが私を押し潰さんと崖の上からプレス攻撃を仕掛けてきたが、咄嗟に横っ飛びをする事で何とか直撃は回避する。だが風圧で体制が崩れた所に飛んできたフック攻撃を回避できず広場の反対側の崖まで飛ばされた。

 

「カハッ」

 

崖に叩きつけられた拍子に肺の空気が締め出される。

そのままコンゴウは私に追撃をかけるようにエアブロウの体制を取る。

 

「「「シリア(君)(ちゃん)‼」」」

 

タツミさん達が此方に駆け付けてくれるが、戦線が広がってしまっていた所為でコンゴウの攻撃に間に合いそうにない。

私は背中の痛みと全身の苦痛に耐えながら銃口をコンゴウに向けて引き金を引く。

銃口から発射された弾はコンゴウの顔面に当たり炸裂する。

 

オリジナルバレット<フラッシュ>

 

スタングレネードより効果は薄いが、それでも敵の視界を奪い、隙を作るには十分だ。

そして隙さえ作れば、

 

「斬‼」

 

「華麗に散りたまえ‼」

 

タツミさん達がどうにかしてくれる。

 

「シリアちゃん‼ 大丈夫ですか⁈」

 

カノンが私の元へ駆け付けてくれるが、コンゴウの攻撃をまともに食らってしまった私は上手く体を動かす事が出来ない。

 

「シリアちゃん! しっかりしてください‼」

 

「カノン! シリアにリンクエイドしてやれ‼ それで大丈夫な筈だ!」

 

カノンが返事が無い私の肩を揺すりながら呼び掛けてくる。その顔は何だか切羽詰まった表情をしていて多分昨日の光景がフラッシュバックしてるんだろう。

私は意識もあるからタツミさんの言うとおりリンクエイドして貰えれば戦線に復帰出来そうなのだが、カノンはそれすらも忘れている辺りかなり動揺しているのだろう。

しかし私も意識があるといっても朦朧としてきた。恐らくバイタルが低い状態が長く続いた為だろう。

ここで私が気を失っても死ぬことはないだろうが、それではカノンに心配をかけてしまう。なんとかカノンの心配だけでも解かないと、

そう思った私は重い口を動かして言葉を発する。

 

「カ・・ン。・・・は・・・・・だから。しん・・・し・・・・で」

 

「シリアちゃん! しっかりしてください‼ 嫌ですよ。シリアちゃんまで居なくなっちゃうなんて‼」

 

そうじゃない。私は大丈夫だから。そう伝えようとしても体が思い通りに動いてくれない。

体が重い。うまく喋ることができない。意識が霞んできた。

 

―――――プツン

 

私は意識が途切れる直線何かが切れる音を聞いた気がした。

 

―――――

―――

 

「エリック‼ 遠慮はいらねぇさっさとこいつを倒すぞ!」

 

「わかっているさ! シリア君たちのためにこの僕が華麗に決めて見せよう‼」

 

「カノン! シリアにリンクエイドしてやれ‼ それで大丈夫な筈だ!」

 

エリックと一言言葉を交わした後に後ろにいるカノンに指示を出すがまだシリアの名前を呼び続けている。

多分昨日の映像がフラッシュバックしてんだろうな。ならさっさとこいつを倒してシリアを回復してやれば万事解決だろう。俺とエリックならコンゴウくらい楽に片せるからな。

俺はカノン達に意識を向けつつコンゴウを狩る。

 

「シリアちゃん! しっかりしてください‼ 嫌ですよ。シリアちゃんまで居なくなっちゃうなんて‼」

 

バイタルが危険域にある状態が続いたからかシリアの意識が朦朧としてきたんだろう。

そうなるとちょっと危険な状態になりうるのでコンゴウへの攻撃速度を上げようとすると、

 

――――プツン

 

俺は何かが切れるような音を聞いた気がした。それと同時に後ろからカノンの声が聞こえなくなる。それと同時に響く後ろからの足音。

そこまで理解した途端、俺の中の嫌な予感が警鐘を鳴らす。早くここから離れるべきだと。

俺はその本能に従い大きく右側に飛んだ。

 

――――そしてその直後俺がさっきまで居た場所をモルターが通過していった。

 

前方でエリックとコンゴウの悲鳴が聞こえる。そこ声を聞きつつもモルターを撃ったであろう人物に視線を向けると、

 

「射線上に入るなって私を言わなかったっけ」

 

とても良い笑顔を浮かべたカノンが普段からは想像もつかないドスの聞いた声でそう言った。

 

「いや誰だよお前‼」

 

戦闘中にも関わらず思わず叫んでしまった。本当に誰だよ。よくわからないが変わりすぎだろ。

だがカノンはそんな俺を無視してコンゴウに近づき放射を放つ。射線上にエリックがいるにも関わらず。

 

「ほらほらその程度なの? あなたって」

 

取り敢えずカノンは放置。誤射を食らったエリックを助けにいく。

 

「カノン君はどうしたと言うのだ。華麗なる僕が見えてないのだろうか」

 

「いや、分かんねぇ。でも取り敢えずエリックはカノンのサポートをしてくれ。シリアのとこには俺が行く」

 

「任せたまえ」

 

エリックに作戦を伝えてシリアの元に行く。やはりバイタルの低下による気絶らしくリンクエイドは問題なく行えた。

さて、シリアが目覚めるまで待機だ。見た所コンゴウ相手に苦戦もせずにやれてるようだし。

それにしてもカノンの豹変は何なのか。シリアが気絶した辺りでああなったからそれが関係してるのだろうか。

 

「ん、」

 

「おっ。起きたか。体の調子はどうだ?」

 

「タツミ…さん。はい。大丈夫です」

 

シリアが目を覚ましたので状態を確認するとどうやら大事ないようだ。

そのシリアは周りを見渡して戦場に目線がいったところで固まった。

 

「あそこにいるのってカノンですか?」

 

「あぁ」

 

「双子の妹とかそっくりさんでは無く?」

 

「双子でもそっくりさんでも無い。正真正銘あいつは極東支部第二部隊所属の台場カノンだ」

 

「…何があったんですか?」

 

「多分昨日の事件とシリアの姿が重なったんだろうな。お前たちは仲良かったから」

 

「そう、ですか」

 

シリアはそう言って俯いてしまう。恐らくカノンのトラウマを刺激したと思って落ち込んでいるのだろう。

俺はそんなシリアの頭に手をのせて出来るだけ穏やかに声をかける。

 

「お前は気に掛けすぎだ。もっと楽にしないと持たねぇぞ」

 

「でも…」

 

「もう少し自分に寛容になれって。何でもかんでも自分の責任にするのはシリアの悪い癖だ」

 

「…ゴッドイーターになってからタツミさんに頼りっぱなしです。もっとしっかりしないとダメですね」

 

「そう言うとこを直せって言ってるんだ。何も知らない新兵がその部隊の隊長に頼りっぱなしになるのは当たり前だろ?」

 

『…タツミさん。任務中に何やっているんですか?』

 

そこで突然入ったヒバリちゃんからの無線で俺は無意識に小っ恥ずかしい体制で話し掛けている事に気付いた。

よく見るとシリアの顔に赤みが刺している。どうやらシリアは少し前にこの状況に気づいていたみたいだな。

 

「って、違うんだヒバリちゃん‼ 誤解だ!」

 

『カノンさん達の戦闘が終わったので帰還してください。それとタツミさんが何を言いたいのか解りませんがシリアさんにしつこく迫るのはやめてくださいね。あれ結構迷惑だったんで』

 

それだけ言ってヒバリちゃんは他の班の状況を確認する為に無線を切った。

いつもよりほんの少しだけ不機嫌そうだったのは多少なりとも嫉妬してくれた。って事でいいのかな? そうだったらマジ嬉しいな~。

 

「あっ、シリアちゃん‼ 無事だったんですね‼」

 

「うん。御免ね心配かけちゃって」

 

シリアの無事を喜ぶカノンは…良かった。いつものカノンだ。

となるとさっきの豹変はやはり心に負荷が掛かり過ぎたからなんだろう。今回だけの一時的な作用で次回からは大丈夫だろう。…そうであって欲しい。だってかなり疲れた様子のエリックの服が所々焦げてるから。

これは災難だったな。エリックには同情する…

 

「中々酷い目にあった。華麗な僕が幾度と無く華麗に空を舞ったよ。吹き飛ばされる姿さえも華麗とは。フッ、僕は本当に罪作りな男だな」

 

…いや、もしかしたらこいつにはこれくらいが丁度いいかもしれない。




2070年編で一番やりたかった話が終わりました。
そもそも2070年編を入れたのがちゃん様の人格切り替わりの理由とバースト、2に備えて主要キャラとの面識を持たせる事が目的でしたので。

さてこれで2070年編が終わり、次回からは2071年編になります。
年を越したらこの作品の年も越えます。なんかキリがよくていい感じですね。

それでは皆さん良いお年を

新年にまた会いましょう。
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