GOD EATER~神喰らう者達の軌跡~   作:冬刀

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お久しぶりです。先ずは更新が遅くなった事への謝罪を。
一年ほど開けての投稿と、こいつやる気あるのか?と疑われそうな体たらくを披露してしまったダメな作者です。
やる気はあるけど他の用事にかまけてしまうダメな作者をお許しください…

いや本当、何故一年開けているのに投稿し続けているんでしょうね?


第二十話 合宿②

初任務の次の日。連携を確認するためにまた簡単な任務に向かうことになりました。

 

「――ということで、前衛は私が勤めるのでエンバーミングさんとフェデリコ君は遊撃を担当してください」

 

任務地に向かう道中、アリサからそのような配置が指示された。確かに遠近両用の新型神機なら下手に前後衛を固定しないで遊撃という形でフリーにさせておくほうが戦略的にも正しいんだろうけど、状況判断が重要になるし大丈夫なんだろうか?

と私の疑問を察したわけではないだろうけど、アリサから少し補足が入る。

 

「新型で遊撃というのは旧型より出来る事が多い分、状況判断能力が問われます。失敗してもフォローしますので、ここでしっかり学んでいって下さい」

 

「了解しました」

 

「は、はい。頑張ります!」

 

不安そうだった二人の表情に僅かに明るさが戻る。アリサの説明や口調から失敗が許されないわけでは無いとわかり安心したんだろう。連携を確認しきれていないパーティで初めてのポジションを行うことは不安がかなり強いはずだから。

やっぱりアリサは新型にはいい先輩だと思う。後輩の精神状況にもしっかり気を配っているし。後は旧型に対する偏見をなくして貰えれば言うことなしなんだけど…まぁ、それは私がこの合宿中証明できればいいな。旧型も伊達じゃないってことを。

 

―――――

―――

 

所変わって極東の『贖罪の街』にどことなく雰囲気が似ているエリア。そこで討伐対象であるオウガテイル3体を相手にしつつ私たちは連携の確認を行っていた。

 

連携の確認を兼ねているから攻撃が少し遠慮がちにはなっているけど、そもそもオウガテイルの討伐なんて一人でやるのがデフォルトの極東支部とは違い4人で討伐しているから危ない場面などある訳がないと考えてしまうのは私が極東支部に毒された証拠なのだろうか? 出撃前にすれ違った新人の班はオウガテイル2体の討伐に緊張した面持ちで向かっていったし、極東から出て他の支部の人と一緒にいると改めて極東支部の異常性を目の当たりにするなぁ。

私の感傷この位にしては期待の新型さん達に目を向けてみると、レクティーちゃんは正直遊撃として期待以上の成果を挙げてくれている。レクティアちゃんのスタイルは手数で押して圧倒するのではなく、味方の隙を埋めるサポート主体のスタイルみたい。積極的に前に出てダメージを稼ぐアリサを拙いながらしっかりフォロー出来ている。うん、彼女は将来有望だ。フェデリコ君も悪くはないのだけれど視線が定まってなくて、緊張しているのか戦場が怖いのかは判らないけれど、もう少し自信を持って欲しいかな。彼は今後の伸びしろに期待かな?

アリサとレクティーちゃんがしっかりタゲを取ってくれているから私も頭の片隅位で別の思考をするくらいの余裕が生まれているし、その分戦場をよく見渡せる。

フム、三体とも弱ってきているけど、一番右の個体が一番元気かな。逃げられる前に叩いておいた方がいいかも。

 

 

「レクティーちゃん。他はアリサとフェデリコ君に任せて一番右の敵を集中的に倒しましょう。その子だけまだ余力があるみたい」

 

「了解です。目標を一番右手のオウガテイルに変更しますね」

 

逃げれないようにオウガテイルの足元に銃撃を行って足を止め、その隙にレクティーちゃんがステップの速度を乗せた袈裟切りで胴体を斜めに薙ぎ払う。それによって怯んだところに逆袈裟、横一文字と斬撃を繰り出しオウガテイルに体勢を立て直す時間を与えずに攻め立てる。苦し紛れに繰り出された尻尾の一撃は私の銃撃で反らして、そこに生まれた隙に全身の力を乗せた切り上げをお見舞いしていく。

私はあくまで深追いはせずにケアに努める。例えば、オウガテイルが体勢を崩さずに攻撃に移ろうとした時や無理やり尻尾から針を飛ばそうとした時。それらの瞬間に足元で爆発を起こしてみたり、麻痺弾で一瞬の硬直を作ってみたり。

伊達に一年間極東で嫌と言うほどオウガテイルを討伐してきたわけじゃない。経験不足の私でもレクティーちゃんのフォローに回れるし、力になれる。オウガテイルにタジタジになっていた去年が懐かしいです。

そのまま特に危ない場面もなくオウガテイルを討伐し終えると、向こうの方が早く終わっていたらしく、アリサがフェデリコ君とミーティングをしている最中だった。

こちらで一体受け持っている間に二人で二体を仕留めたみたいだ。弱っていたとはいえオウガテイル二体の前に出て怯みもしないとは、激戦区と言われているロシア支部でもこの光景は日常茶飯事なのかもしれない。取りあえず合流の為に二人に近づくと、今はフェデリコ君の動きに対しての意見をアリサが言っている場面みたいだ。

 

「もう少し思い切りよく動くことは出来ないんですか?」

 

「す、済みません。もし先輩に誤射してしまうと危ないので...」

 

「あなたの射撃精度は中々高いものがあります。だから不安がらずに撃っても私に当たることはありません。多少の誤射はしょうがないですし、そもそも誤射が多い人が戦場に出れるわけがないですから。そんな人は戦場に出して貰えずにずっと射撃場に籠っています」

 

ごめんねアリサ、うちではその誤射率がとても高い新人が今も戦場に出ているんだよ。

 

「アリサ、こっちも討伐完了したよ」

 

「了解です。お疲れさまでした。それでは皆さん帰投準備をお願いします」

 

アリサはそう返すとフェデリコ君との反省会を切り上げてレクティーちゃんの方へと進む。どうやらレクティーちゃんとも反省会をするらしい。戦場で反省会ってのは少し緊張感が足りない気がする。それとも作戦範囲内に急にアラガミが出現するのは極東の特色なのだろうか? 何にしても気は抜かずに行きましょうか。

 

「フェデリコ君。あまり落ち込まなくても大丈夫だよ? アリサの言ったことは間違いじゃないけど、それでも最初の内は仲間が戦っている後ろから銃撃するのは怖いよね。今回みたいな小型だと的が小さいから特に」

 

「そうですね…正直怖いです。アリサ先輩もかなり動いてますから誤射してしまうかも、と考えると踏ん切りがつかないです」

 

「そっか。私も最初はそうだった。特に私達スナイパーは他の銃身より遠距離から攻撃することが多いし、弾は貫通性能が高いから敵の後ろにいる仲間のことも気にしないといけない。うん、悩む気持ちはわかるよ」

 

「シリア先輩はどうやって克服を?」

 

私は同意するように頷くとフェデリコ君が少し控えめな感じに聞いてきた。

 

「うーん。アラガミと相対する恐怖を知ったからかな」

 

「アラガミの恐怖ですか?」

 

「そう。初陣でね、前衛が居ない状態でオウガテイルを相手取ったことがあるんだけどすごい怖かったんだ。死ぬかと思った。で、前衛の人はこんな敵の懐に飛び込んでいるんだって思った。すごいと思ったよ。私には無理だから。そんな怖いところに仲間は身を置いているって知った。誤射するのは怖いけど、私が誤射の恐怖で引き金を引けなかったことで仲間が倒れちゃうかもしれない。あの場所はそんな場所。だから引き金を引くようになった。例え外れてもアラガミの注意は引けるし陽動にもなる。私が作ったその隙に仲間が活路を開いてくれる。そう思うようになったの」

 

「でも、誤射してしまうと仲間を危険に晒すことになりますよね。バレットが通過した時に感じる違和感は体を硬直させますし、もしそれで仲間がピンチになったらって思うと…」

 

「そこは慣れかな。誤射が怖かったら敵に中てる必要はないよ。外しても威嚇になるから。まずは恐れず引き金を引くこと。それに慣れたら仲間の動きをよく見ること。皆ずっと張り付いているわけじゃないから。攻撃のリズムとか動き方とか。それを見ていれば援護のタイミングが大体つかめる。そうやって自信と命中精度を身につければ連携の切れ間とかにも援護を差し込めるようになる。まぁ、私はまだその域に行けてないけどね」

 

苦笑いと共にフェデリコ君の方を向いてそう話しかける。勿論周囲の警戒はしているけど今はしっかり目を合わせて話した方がいい気がするから。フェデリコ君は新型で適合率も高いだろうからすぐ強くなると思う。でも、心構えがなっていない人ほど早く死んでしまう世界だから。私より強くなるであろうフェデリコ君には私が学んだことをしっかり知って貰いたい。そう思って話しかける。

 

「まずは恐れず引き金を引く、ですか」

 

「それを恐れていると支援すら出来ずにただ見ているだけだから。まぁ、新型の子は近接戦闘が出来るから無理に銃に拘る必要はないかもしれないけど」

 

「いえ、ありがとうございます‼ 先輩の話参考にさせてもらいます」

 

私の願いが届いたのかは判らないけど、フェデリコ君はしっかり私の話を聞いてくれた。何だか弟と話しているような気分になってフッと笑みが零れる。

 

「そっかそっか。将来有望な新型さんに参考にして貰えるなら、私としては光栄の極みです」

 

おどけて右手を水平に伸ばし、左手を胸の前に置いて軽く頭を下げてみる。これはどんな返しが返ってくるのかと少し期待してみても返事が来ない。少し不思議に思って顔を上げてみると、フェデリコ君がそっぽを向いてこちらを見ていなかった。どことなく顔が赤いような気もするし、これは…

 

「二人とも、迎えの車が来ました。帰投しましょう」

 

「は、はい。すぐ向かいます!」

 

アリサの声に反応して気持ち急いで二人の下に向かうフェデリコ君。これはからかおうにも旬を逃してしまったか。アリサに怒られるのもあれだし、私も皆に合流しましょうか。

前を歩く新型三人の背中を少し離れたところから追いかけるようにして輸送車に乗り込んだ私はそこで漸く緊張の糸を切る。帰投準備の段階でだいぶ途切れていた気はするけど、それでも最後まで周囲の警戒は怠っていませんでしたよ?

 

―――――

―――

 

任務から帰投するとエントランスには私たちのようにすでに訓練を終えて帰投したのだろう新人やこの支部の神機使いの人たちがチラホラと見受けられた。

 

「それでは明日もお願いしますね」

 

アリサはそれだけ言って割り当てられた部屋へと戻っていく。同様にレクティーちゃんとフェデリコ君も一言別れの挨拶を済ませてそれぞれエントランスを後にする。部屋に戻ったのか。同じ支部の子達に会いに行ったのか。私は取りあえず自販機で適当な飲み物を二本買って、エントランスの隅にあるベンチで一人落ち込んでいる人影に近づく。

 

「カノン、どうしたの? 元気無さそうだけど」

 

落ち込んでいた人物――カノンは私の声に反応して顔を上げると、ホッとしたような表情になる。

 

「シリアちゃん。いや、初対面の人たちと実戦に出るとですね…その…」

 

「あー、成る程。何となく察した。あの豹変ぶりにみんな戸惑っていたと」

 

「まぁ、そうです。しかも今回も一杯誤射してしまって。皆さんに申し訳なくて」

 

そういってまた顔を俯いてしまう。私はカノンの隣に座って手に持った缶の片方を差し出す。小さくお礼をいってカノンは中身を一口飲む。私もそれをみて自分用に買った方を開ける。

極東だとカノンの誤射率が高いことは周知の事実だし、誤射しても嫌悪されることは無い。一緒に任務に行くのはそう言う人たちだし、皆カノンの事を気に入ってる人たちばかりだし。

でもここだとそうじゃない。二年目の先輩だし、極東支部所属というネームバリューもあるし過度の期待を抱いている新人の人たちは多いと思う。私の班みたいなところの方が例外なのかも。そんな中でカノンの戦闘を体感したら強い言葉の一つや二つ出てきても可笑しくは無いかも知れない。それで落ち込んでるのかも。

暫しの沈黙が私たちの間に流れる。周りは喧騒に包まれているけど、私にはそれがどこか遠くに聞こえた。そんな声より、隣のカノンが強い存在感を放って私を離さない。そしてその沈黙を破るように私が声を掛ける。

 

「カノンは悪くないっていう風には言わないよ。カノンの誤射率が高いのは事実だし、そこは私も直すべき課題だと思っているから。でも、カノンは直そうと頑張っているからね。極東の人たちは何だかんだ言ってもそこを見ているから一緒に任務に行ってくれるけど、今回の班はそうはいかないよね」

 

私の声は聞こえてるだろうけど反応が無いのはカノン自身自覚している場所なんだろう。ま、私はカノンのいい点もいっぱい知っているから、ここで終わらせないけどね。

 

「だからカノンのいいところもいっぱい見てもらおうよ。リンクエイドの手際とか、回復とか。カノンはそういうサポートが強いんだから。そっちの方も見て貰えるように頑張ろう」

 

「サポートですか?」

 

「うん。まえブレンダンさんが考えてすごく上手く行ったでしょ。あの時は失敗しちゃったけど、それでもカノンの補助は上手だから。そこには自信あるでしょ?」

 

「勿論です。なんたって私は衛生兵ですから。仲間のケアには自信あり、ですよ」

 

「ならそれを見せて行こう。手始めにいつも通り何かお菓子の差し入れでもしない? 厨房は頼めば貸してくれるだろうし。私もカノンのお菓子食べたいし」

 

そういってカノンの手を引いて立ち上がらせる。カノンの目には多少の驚きが含まれていたけど、それが段々と普段の元気を取り戻していく。

 

「…結局シリアちゃんが食べたいだけなんじゃないですか?」

 

「そんなことないよ。カノンに仲直りして欲しいのは本当だし」

 

「でも、そうですね。仲良くなるなら先ずは甘いものです。その後にしっかり謝って許してもらいましょう」

 

「善は急げ。早速作りに行こうよ」

 

そういって近くのゴミ箱に空の缶を入れ、カノンの手を引いてエレベーターに向かう。それにされるがままについてきたカノンは小さく、ギリギリ私に聞こえるような音量で呟いた。

 

「ありがとう、シリアちゃん。お陰で元気が出てきました」

 

「……ん、私は特に何もしてないよ。ただカノンの話し相手になっただけ。だから気にしないで」

 

「ふふ、それでもありがとうって言いたいんですよ。シリアちゃん、いつも助けてくれてありがとう」

 

その言葉を聞いた私はカノンの手を引く速度を早めて、目的の場所に向かう。背後でカノンの小さな笑い声を聞いた気がしたけど、それを聞こえないふりをしてギュッと少しだけ強く手を握る。それに対してカノンも少し強く握ってくれて、それがなんだか恥ずかしいような嬉しいような。

そんな何とも言えない暖かな気持ちに囚われながら私達はエレベーターに乗った。




最近課題である地の文の多さっていうのをどうにか減らそうとしているんですがこれが中々上手くいかない。
地の分と会話文を織り交ぜるのが下手なんですよね
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