超人転生   作:塩ようかん

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 遅れてしまい申し訳ございません。少し先の展開に悩みまして、試行錯誤しながらの投稿となりました


14話 訓練開始

 

「ホシカワ、協議の結果だが君の意見が通ることになった。明日から訓練施設で君の訓練に入る予定だが構わないか? 身体に問題は無いだろうか?」

 

 私がウルトラマンエースの名誉を守るべく『戦士として戦いたい』と言う無茶な要望をしてから体感時間で3日。大破状態から修理されたこの身体を動かすにも慣れてきて気晴らしにでも簡単なストレッチでも始めていた時、再び私が過ごす部屋を訪れたゾフィー隊長は唐突にそんな事を告げてきた

 

『はい、分かりましたゾフィー隊長。改めて私の身勝手な提案を採用してくださりありがとうございます。身体も慣れてきましたので何の問題もありません』

 

 その唐突さに数秒程、私はフリーズをしてしまったが咄嗟に部屋に常設される事になった会話用モニターを作動させると、出来るだけ素早くかつ決して誤字などにならないように注意して文章を入力した

 

「(まさか、こんなに早く話が動くなんて……光の国の対応は素早いですね本当……。地球でのぐだぐだしているお役所仕事とは大違いです。……しかし、これは好都合と考えるべきですね)」

 

 と、言うのも私はどうにも光の国に来て以来、どうにも光の国に来れたと言う興奮と歓喜で必要以上にあがってしまう事が多く、不格好な姿ばかりを晒してしまっている

 

「(ここは偶然に助けられたのが大半だとしてもエースキラーを打倒出来た実力をしっかりと見せて少しは見返さないと……。さっそく明日に備えて準備しなくてはいけませんね……)」

 

 内心でそう考えながら私はゾフィー隊長を見送った後、明日の準備とばかりに体操を始めるのであった

 

 

 そして現在、宇宙警備隊のトレーニングルーム

 

『──────!!』

 

「ホシカワ? まだ、やれるか?」

 

 私は片ひざを突き、未だに衝撃で激しく揺れる視界の中、呆然とした様子で私に気づかう声をかけくれているゾフィー隊長の声を聞いていた

 

「(……私は昔からゾフィーが昭和シリーズでの活躍がイマイチとは言え弱いウルトラマンだとは考えていませんでした。何せ敗北した相手はいずれも他の弟達をも打ち破った相手ですし……何より隊長の役職に付いている以上、弱いなどありえません。ですが……ですが……それでも……!)」

 

『……………………!』

 

「そうか……まだ、か。ならば、かかってくるといい……!」

 

 私が頷く形で返事をして構えながら立ち上がるとゾフィー隊長はそう言うと再び両腕をだらりと垂らす。そう、訓練とは言え私と対峙する最中、ゾフィー隊長は身構えすらしていないのだ。それなのに

 

「蹴りに勢いが無い! まだ踏み込みが甘いぞホシカワ!」

 

『!!』

 

 駆け出すのと同時にその勢いのまま私が放ったミドル気味の右蹴りはそれに容易く反応してゾフィー隊長の左手で容易く受け止められ、弾かれる。その勢いで私は自分の勢いで崩れるように真横へと倒れてしまった

 

「(スピードには自信が無かったので力を頼りに放った一撃なんですが……それをこんなに簡単に受け止めるなんて……!)」

 

 逸る気持ちを押さえながら宇宙警備隊の訓練所に案内して貰った最中、開口一番にゾフィー隊長が『まずは改めて君の実力を間近で見て確かめさせてくれ』と提案し、私がそれを受け入れる形で光線技の使用禁止を前提とした実戦的練習が始まって既に私の体感時間で30分が経過しようとしていた

 

「(武術を少しかじった程度の私が最初から勝利出来る等は考えてはいませんでしたが……まさか一撃すら当てられないなんて……!)」

 

 だがそれでも尚、私がどんな攻撃を仕掛けようがゾフィー隊長はそれを殆どその場から動かないまま容易く捌き、碌に反撃の動きすらしていないのにも拘らず私は何度も何度も地面へと倒されていた

 

「(これが……ウルトラの父に直接実力を見出だされた宇宙警備隊隊長の実力と言うものですか……本当、『聞くと見るとは大違い』とは良く言ったものですね……)」

 

 しかし、そもそもの話で言えば訓練を申し出たのは他ならぬ私自身だ。いくらゾフィー隊長と私の実力差が分かったとしてもここで容易く降参するのは私が許せない

 

『──────!!』

 

 私は左手を地面に突いて一気に腕に力を込めて立ち上がるとその勢いでゾフィー隊長へと距離を詰め、今度は威力を度外視しスピードにだけに特化したパンチを右、左、右と三度、打ち込む

 

「ふっ……!」

 

 当然のように拳は全てゾフィー隊長に見切られ、繰り返しのように難なく弾かれる。が私の狙いはそれでは無い

 

『ムゥゥゥ…………!!』

 

 拳が全て弾かれた瞬間、私は足に踏ん張りを入れ、全力全開のタックルをゾフィー隊長へと繰り出す。出そうと思っても声が出ない口からは自然とそんな声が発されていた

 

「………………っ!」

 

 流石にそのタックルはゾフィー隊長でも回避する事は間に合わなかったらしく私の一撃は正面から炸裂し、僅かにゾフィー隊長の声が溢れる

 

『………………!!』

 

 が、効果が見られたのはそれだけだ。渾身の力でタックルしたのにも拘らずまるで鉄の塊にでもぶつかったようにゾフィー隊長の身体はその場から半歩たりとも動かない。文字通り、鋼鉄の如き筋肉で止められてしまったのだ

 

『…………………』

 

「……そうか。ここまでか? ホシカワ」

 

 それを理解した瞬間、私はタックルの体勢を止めてゾフィー隊長から離れると構えを解き、降参の意思を示す。散々思い付く攻撃を行い、その上であの一撃でも通用しない以上、私に現状として最早取れる手段は無かった。故に降参するしか手立てが無かったのだ

 

「よしホシカワ。君の現状の実力は把握した。これを基点として鍛えていこうじゃあないか」

 

「(必死に努力してもこれとは……やはり私は元のエースが持つ技やオタクとしての知識に頼りすぎている……これでは戦士になるには先は長そうですね……)」

 

 差し出されるゾフィー隊長の手を握りながら私はそう考えるのであった

 

 

「ゾフィー兄さん。彼……ホシカワの戦いぶりはどうでしたか?」

 

 ホシカワの初訓練が終了し、科学技術局まで彼を見送った後ゾフィーは背中から声をかけられた

 

「あぁ、やはりお前もホシカワの事が気になるのか? ジャック」

 

 ゾフィーが振り向けばそこにはジャックがしっかりと立ち視線を向けていた。よく見てみればほんの僅かにその肩は上下しており、つい先程まで鍛練をしていた事が見てとれた。エースキラーの事件でエネルギーを奪われたのにも拘らず今やすっかり体調は回復しているようだった

 

「ええ、あの時、ホシカワは真っ先に私を救いだしてくれましたからね。やはり個人的にも彼の事は気になって……」

 

 と、そこまで言ってからジャックは『まぁ、もっとも』と言って言葉を区切る

 

「私よりもあいつの方がずっとホシカワの事は気にしているでしょうが……」  

 

 そう言うとジャックは小さく苦笑し、ゾフィーもそれに釣られるように

 

「まぁ無理もない。何せエースにとってはホシカワは鏡写しのように己に似た姿をしている上に自分が今、守っている地球人の魂が込められている。気にかけない方がおかしいだろう。……後で私の方からエースにホシカワの様子を伝えておこう」

 

 そうホシカワの事は関わりがあるウルトラ兄弟全員が当然のように特に気にかけていたが、その中でもエースは頭一つ抜けてホシカワの事を気にかけ、タイミングこそ合わずに顔を合わせる事は叶わなかったが地球に戻らなくてはいけないギリギリのタイミングまで接触をしようと試み、しまいには『時間に余裕があればいいので』と念を押してまで兄達にホシカワの様子を伝えように頼んだ程だった

 

「……さて、ホシカワの様子だったな。今日の訓練の様子は映像に記録してある。今、見せよう」

 

 と、そこでゾフィーは一旦、エースに関する話を止めると空中にディスプレイを展開させホシカワとの格闘訓練の様子を捉えた映像を映し出す

 

「……なるほど、格闘技の経験があると言う話は本当のようですね。多少甘さはありますが光る物を感じられます。これくらいの実力があるのならば、あの勇敢な戦い方にも納得が出来ます」

 

 その戦いを僅かでも逃さぬよう注意しながら見ていたジャックはそう言う。宇宙警備隊支部長でありウルトラ道場の先生を両立している彼の目から見た忖度無い意見だった

 

「そうか……私も彼に才能は感じてはいたがお前が言うならば間違いないだろう。きっとホシカワは修行をこなせば立派な戦士になりえるだろう。それこそ、我等と共に戦えるまでに……な」

 

 ゾフィーはそう言うと満足そうに頷く。実際の所、ゾフィー自身にも外見こそ弟に酷似していてもその魂は紛れもなく地球人。と、言うホシカワの訓練に当たるにいたって迷いや不安を感じない訳では無かった

 

 が、実際にホシカワ本人と訓練を行い、その実力を改めて目で見て体験した事でその不安は杞憂だったのだと実感させられていたのだ

 

「……あれほどの実力があって決して驕らない高潔な精神を持っている地球人。エースを安心させる為にも彼がある程度まで成長しきる、それまではしっかりと見て鍛え上げなくてはな……」

 

「それは確かに……でしたら、ゾフィー兄さん。提案なんですがその訓練……」

 

 その言葉を聞くとジャックは納得したように頷き

 

「是非、私にも手伝わせては貰えないでしょうか? あぁ勿論、ホシカワの同意は事前に取ってからの話なのですが……」

 

 唐突にそんな提案をゾフィーへと持ち掛けて来たのであった

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