超人転生   作:塩ようかん

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 新作のウルトラマン格闘ゲームを本当に心待ちにしています


第17話 いざ地球へ

 

『なんですって!? もう行ってしまわれたのですか!?』

 

 大急ぎでゾフィー隊長を追い掛け続け、覚え始めた記憶を頼りに光の国の空港へと辿り着いた私は、そこで既にゾフィー達4兄弟がウルトラマンエースを救出すべく地球に向かって旅立った事を知らされた

 

「あ、あぁ、そうだが………。どうしたんだいホシカワ? そんなに取り乱して……」

 

 ちなみに少し困惑しながらも親切にも、その情報を私に教えてくれたのは光の国で修行を続けていたウルトラマンNo.6。ウルトラマンタロウ。2ヶ月以上の訓練の中で既にタロウと顔を合わせる事こそしたが今の今まで大した会話はしていない。こんな状況でさえ無かったらじっくり話したいし、許されるなら握手に加えてサインも貰いたい所だが、非常に残念な事に今は一分一秒を争う時でそんな暇は無い。断腸の思いはあったが、私はそれを堪え早速、タロウに話を切り出した

 

『ウルトラ兄弟に危機が迫っているのです! このままではエースさんだけでは無く兄弟全員がヒッポリト星人に……!』

 

「兄さん達が!? それは本当かいホシカワ!?」

 

 私が話を始めるとタロウは信じがたい言葉に動揺こそすれど疑う様子も見せず私の言葉を信じにかかってくれた。事前に私がこの世界にとって極めてイレギュラーな存在であり、これから先の未来を知ると言う事を知っていたとしても私のような一人の人間に対する高い信頼感には涙が出そうになるが、そんな事は二の次三の次以下だ。気持ちを切り替えて私は話を続け

 

『その上で、ウルトラマンタロウ。貴方を信頼して頼みがあります』

 

『どうか私に大きなエネルギーを補充させた上で地球に行ける様、手配していただけないでしょうか?』

 

 私は早々に我ながら大変な無茶だと思う事をしでかそうとしていた

 

 

「……ホシカワ。君の気持ちは分かった。しかし、それでもあまりに無茶が過ぎる。許可する訳にはいかない」

 

「(うっ……や、やっぱりですか……。ですが………)」

 

 あれから少し経ち、私はタロウ誘導の元、ウルトラの父の前へと連れられ、そこで改めて話をする事になった。勿論、何もかもが知ってる通りに動くとは限らないので、完全にそのままの内容では無く、ウルトラ兄弟に致命的な危機が迫ってる事を

 

『ウルトラの父よ、自分でも無茶を言っている事は良く理解しています。私は最近になってどうにか宇宙空間の飛行とワープを使いこなせるようになったばかりですし………何より未だに実力が未熟だと言う自覚もあります。しかし、それでも今回は譲るわけには行かないのです』

 

 私は緊張を堪え、自身が機械の身体故に精神の動揺で震え等が出ない事に何度目か分からない感謝をしながら、慎重に言葉を頭の中で選び、ウルトラの父で語り始める

 

「(……正直に言えば自分で決めた事ですが……あのヒッポリト星人と戦うなんて怖くて仕方が無いです……)」

 

 この身体になってからの初戦であるエースキラーは強敵とは言え、その原作である第十三の『死刑!ウルトラ5兄弟』を私は何十度も見た事がある上で、購入して以来徹底的にやり込んだゲームの相手だった。それ故にエースキラーの戦闘パターンをある程度まで予測出来てギリギリではあるが何とか戦う事が出来た

 

 

 勿論、エースキラーの時と同様に原作である26話の『全滅! ウルトラ5兄弟』も何度も視聴しているし、ヒッポリト星人が登場した続編であるFighting Evolution 0だってしっかりと隠し要素を含めてクリアした

 

 こうして並べて見れば条件は変わらないように見えるが、それでも今回は明確に違う事がある

 

「(『全滅!ウルトラ5兄弟』を格闘ゲームのミッションとして扱っているゲームは私が生きている間にはありませんでした……! つまりここが私の予測通りゲームとTV原作が半々となった世界として……私の知ってるゲームのヒッポリト星人のようにここのヒッポリト星人が動くとは限らない……!)」

 

 そう、それこそが私がヒッポリト星人を相手取るとして一番恐れる所だった。以前、エースキラーの後に戦いながらも何とか戦えていたバキシムとはレベルが違う。ヒッポリト星人はエースから始まってウルトラ兄弟を不意打ち込みとは言え敗退させた上で、更に救援に来たウルトラの父まで下した文句無しの超強豪宇宙人なのだ

 

 そして当然ながら今の私の実力は訓練を受けたとは言え、当然ながらウルトラ兄弟には遠く及ばない。ヒッポリト星人を相手に持ち得るのは本当に役立つのかは分からない原作とゲームの知識のみ。強みとするには、あまりにも不確かで心許ない武器であった

 

「(しかし………それでも私は………)」

 

 『私は……この短い間ですがゾフィー隊長を始めとしたウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック……つまりはウルトラ兄弟の皆様と交流し私には勿体ない程に手厚く訓練をさせていただきました』

 

 私が初めて出会ってからずっと憧れ続け、自分も彼等のようになりたいと三十年と少しの人生の半分以上を『ヒーローなる』事を目標として努力を続けるまでに私の人生を構築した柱の人。そんな彼等と実際に交流すると言う事、それは何度も何度も繰り返して言っても足りないくらいに夢のような輝ける日々だった

 

『その感謝の気持ちと経験と交流の中で彼等の人柄を知ってしまった以上、私は己が未熟だとしても決して彼等の危機に見て見ぬ振りをする事など出来ないのです。……どうか私に地球に行く許可を与えてください』

 

 その気持ちが恐怖を克服させてくれる。不安で乱れる精神に勇気を与えて落ち着かせてくれる

 

『それが偶然で、しかもヤプール人に作られた偽物とは言えウルトラマンの力を得た上に、この世界の未来を知る私が真にやるべき事だと思うのです』

 

「………………………………」

 

 私が想いの丈、その全てを文章にして伝えるとウルトラの父は腕を組み、じっくりと考え込んでしまった

 

「(やはり無茶な要求でしょうか……)」

 

 勿論、私が言った事に嘘は欠片も無い。しかし、やはりどう控えめに見ても、宇宙警備隊訓練校に入学するしていない私が地球に向かってヒッポリト星人とやり合うと言うのは無茶な話であり、仮に私がウルトラの父の立場であったとしても到底、認可は出来ない。そう、考えてはいたのだが

 

「………分かった。君が地球へ向かう事を許可しよう。エネルギーに関しても私の方で手配する」

 

 ウルトラの父はじっくり悩んだ後、腕組みしたまま絞り出すような声で私に許可を出してくれた

 

「(………!! 通してくれましたか! 流石はウルトラの父……私なんかよりは柔軟な思考が出来ていますね………)」

 

『ありがとうございますウルトラの父』

 

 私がそう、ウルトラの父に感謝の文章を送った。その時だった

 

 

「だがしかし、勿論、何も無しに君を一人で地球に向かわせる訳には行かない」

 

「だから、私もホシカワに同行して地球へと向かおう」

 

「『!?』」

 

 ウルトラの父の口から発せられた衝撃の言葉に私とタロウの驚愕が重なった

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