地球は今現在、かつてない危機に襲われていた
地獄星人ヒッポリト星人による宣戦布告とウルトラマンエースの引き渡し、それに真っ向からウルトラマンエースがそしてエースの危機にウルトラ兄弟が現れ、ヒッポリト星人に立ち向かったものの結果は全員がヒッポリト星人によってタール像にされた全滅と言う最悪の結果
市民がヒッポリト星人への降伏を要求する中、地球を防衛するTACは誇りを掛けて刺し違えてでもヒッポリト星人を倒す覚悟で勝負を挑み、細胞破壊銃を手にし果敢な攻撃でヒッポリトカプセルを破壊し、町中に巨大な自身の姿を見せていた幻影のトリックを暴くことには成功した
が、しかし、その点が地球人を侮っていたヒッポリト星人を激怒させ、一転してTACは炎に囲まれ窮地を迎えていた
そうして今、正に命運が尽きるかと思われていた瞬間
「ぐっぐわああああああぁぁっっ!?」
それは突然の事だった。上空から轟音が響いたかと思えばヒッポリト星人が悲鳴と共に大きく吹き飛ばされ、周囲に振動と共に激しい土煙が巻き起こったのだ
「あ、あれは………?」
激しい土煙は迫っていた炎をも吹き飛ばし、豪快に鎮火された炎の残り火が燻る中、土煙の中にヒッポリト星人を吹き飛ばした物の巨大な人型のシルエットが膝を突いているのが見え、そこでTACの竜隊長は土煙の人物がヒッポリト星人に知覚されぬはるか上空から重力に任せてフライングボディプレスを行ってヒッポリト星人を吹き飛ばした事を悟り
「なっ…………!?」
次の瞬間、土煙が風に吹かれた事で竜隊長は思わず目を見開いた。何故なら、その姿は間違いようも無く
「ウルトラマンエース……!?」
彼等がよく知る、人類を守護し続けていてくれた光の超人の姿だったからだ
◆
「(ど、どうにか間に合いましたか……! それにTACの方々も無事で良かった……!)」
膝を突いて立ち上がりつつ、私はTACのメンバーの一先ずの無事を確認して安堵する
「(原作ではウルトラの父が移動にも使っていた緑色の球体から放つ光でヒッポリト星人を怯ませつつ炎を消し飛ばしてたので私も私なりに炎を消せるような激しい一撃を振るって見ましたが……一先ずは成功ですかね。と、なると次は……)」
そこまでを確認すると私は改めて目の前、怒りを込めた目つきで私を睨み付けながら立ち上がろうとするヒッポリト星人へと視線を向ける
「……貴様、何者だ?」
ヒッポリト星人は私を睨み付けながらそう告げる。あと一歩でTACを壊滅出来た所で私の妨害にあったのだ。怒りは当然であり、ヒッポリト星人と戦う前から充分に予測出来ることだった
「(うっ………!)」
しかし、現状と言うのはそう簡単に想定通りに動くものでは無い
ヒッポリト星人から今、正に私に向けられるのは以前に戦ったエースキラー、そしてバキシムとは全く異なる明確な悪意が込められた殺気。当然ではあるがゾフィーを中心としたウルトラ兄弟との訓練ではついぞ感じる事が無かったその感覚が私に襲いかかってきていたのだ
「(かと言ってここで怯んでいる訳には行かないんです………!)」
『ゼッ………!』
しかし既に私はヒッポリト星人の前に立っている。覚悟もしっかりと決めていた筈だ。だからこそ私はヒッポリト星人が身構える始めるより早く一歩を踏み出し、ヒッポリト星人の胸を狙い飛び蹴りを放った
「調子に乗るな!」
が、ヒッポリト星人は私の動きを容易く見切ると蹴りが命中するより早く腕で私をはたき落とし、私は自分が飛び込んだ速さのまま背中から落下し、衝撃のまま地面を二度、三度とでんぐり返しの要領で転がる
「その姿がどう言うつもりかは知らんが………お前はウルトラマンエースではない! エースは私が倒したのだ!」
苛立ちのままヒッポリト星人が私を見下しながら叫ぶ
「お前は姿だけ似せた単なる不細工な偽も……ぐあぁっ!?」
「(そんな事………態々、言われなくても最初から分かっていますしわきまえてますよ……)」
ヒッポリト星人の頭部から伸びた目立つ角に倒れた体勢のままパンチレーザーを打ち込みながら私は心の中で呟いた
「(でもこの身体が本物じゃないからって諦めたり自分を必要以上に卑下したりはしたくない……ですっ……)」
「貴様! 調子に……ぐぅっ………!?」
ヒッポリト星人の頭部で爆発が起こり僅かに怯んだ瞬間、私は体勢を起こしながらローキックを放ち、ヒッポリト星人に落ち着く暇を与えない
転生して以来、本番訓練問わずに有利な戦いなど一つも無かったのだが、今回もまた圧倒的に私が劣勢なヒッポリト星人との戦い中、私にはか細いながらも一つの勝算があった
「(間違いなくこの時点でヒッポリト星人もそれなりに疲弊している筈……最初にエースと戦った時やセブンを相手取った時よりは全力を出そうとしても出し切れない筈……!)」
そうヒッポリト星人は確かに奇襲がメインとは言えエースから始めてゾフィー、ウルトラマンを同時に倒し、ジャックを完封し唯一残ったセブンでさえも正面から圧し、疲労していたとは言えウルトラの父もエネルギー切れに追い込んだ。それは紛れもない真実なのだが、ウルトラの父のカラータイマーでエースが復活すると一転して一度は完封したエース相手に殆ど反撃も出来ず、あっと言う間に追い込まれ、エースのメタリウム光線で敗北している。これもまた紛れもない真実だ
これには様々な意見があり『ウルトラの父のカラータイマーに残っていたエネルギーが疲労していてもエースの物より強力だった』、『ウルトラの父が死亡した事でエースが怒りに燃えて普段より力が出た』等の説を生前ではネット等で見たことがある
その2つの意見も確かに納得出来る説ではある。しかしそれでも私は後のタイラントとウルトラ6兄弟の戦いから見られる傾向からして『連戦によるヒッポリト星人のスタミナ切れ』説を強く押していた
自分が突発的にだが実戦を経験し、更にウルトラ兄弟との模擬戦を通じてよりはっきりと理解できた事ではあるが例え奇襲とは言え戦闘には神経を消耗するものだ。それも相手は戦闘に慣れたウルトラ兄弟。奇襲を成功させたとは言え待ち構えていたヒッポリト星人は現在、体力に加え精神を全快の状態から大きく消耗しているだろう。………と、私は分析している
「………っ! いい加減にしろ!!」
当然、ヒッポリト星人相手にこんな程度の連続攻撃で押し切れる筈もない。起き上がり始めた私に反撃とばかりに鋭く右手の一撃を打ち込んで来た
『ゼッ………!!』
どうにかそのタイミングを見切り、掛け声と共に胸の前で両腕をクロスする事でガードし、想像以上に重い一撃に私の体勢が若干ブレたが、どうにかその攻撃を受け止める事に成功した
「(ギリギリですが………見切れます……! これなら………!)」
無我夢中でヒッポリト星人と戦いながら、間違えてもTACに被害を出さないようにも意識しながら私は再び拳を振り上げるのであった