「エース!? な、何故だっ……!?」
確かに自分が撃破した筈のウルトラマンエースが復活した姿を見てヒッポリト星人はつい先程まで私に見せていた余裕が一瞬で消し飛び、激しく動揺していた
「(う、うまく……いってくれましたか……)」
ヒッポリト星人の注意がそれてくれた事を確認すると私は脳内を落ち着かせ、ゆっくりと自分の身体を後退させつつ起き上がり始める
そう、光の国を出る際に事前に決め、反対意見を何とか押し切って通して貰った私の作戦。それこそが私自身を囮としてヒッポリト星人と交戦して注意を引き付けている隙にウルトラの父によるウルトラマンエースの復活を行うと言う、単純な戦法だ
確かに私は2ヶ月訓練を精一杯行った。そこで確かに大きくパワーアップを果たしたのもまた事実。が、しかし私が戦おうとしているのは私より遥かに長い時間鍛え上げたウルトラ兄弟達を下したヒッポリト星人。全力でやりあったとしても私の勝機は限りなく薄いのもまた誤魔化しようのない事実。だからこそ私はこの策を選んだのだ
「(勝てなくても生存能力自体は高くなってる筈ですからね。それに私が散々やりこんだFightingevolutionでは紙耐久だったエースロボットも原作ではエースキラーが放ったスペシウム光線やエメリウム光線に耐えきってМ87光線で破壊されたレベルの耐久力を持っていた……ゲームと原作が混じっているこの世界なら出来ると考えて正解でした……)」
そう考えながら私は精神的疲労で呼吸もしてないのに息を吐き出すような仕草を自然と行っていた時だった
「ホシカワ……」
「(うぇひいっ!?)」
全く不意打ち気味に私の方へと視線を向けたエースが私に向き合い、話しかけてきた事で私は脳内で盛大に取り乱した
「こうして君と話せるのは初めてになるが、ずっと言いたかった事を言わせてくれ。ありがとう……ホシカワ」
「兄さん達から君の事情は既に聞いている。君は本来、ごく普通の地球人だと言うのによくゴルゴダ星で兄さん達を守ってくれて……今は兄さん達に加えて地球をも守る為に立ち上がってくれた。……本当に素晴らしい精神を持った戦士だ君は、俺も見習いたいくらいだ」
口を開くなり感謝の言葉を初手に言うかと思えばエースはそう迷うこと無く、私に対してありがたい言葉を投げかけまくれた
「(い、言えない……これじゃあ本当は単なる趣味と主義、それと私個人の意地を通してるだけで、それ程、深い意味なんて無いなんてとても……!)」
せめて一番推しているウルトラマンエースにはこの年代の地球基準だと非常に困難だが私が単なるウルトラシリーズのオタクに過ぎない事を伝えてはおきたかったが、当のエースもまた何か私に多大なる期待をしてくれているようであった
「(嬉しい………確かに感情で言えば嬉しいのは確かなんですが……!!)」
事実、ウルトラマンエースが目の前にいて、しかも私個人を認識した上で戦士として認めて貰えていると言う事実は、ヒーローに憧れて身体を鍛えていた私からすれば感涙しそうな程に嬉しい。正直に言えば、この身体が機械で無ければ興奮と動悸で間違いなく気絶していた自信があるくらいだ
「(激しい戦闘になる事を予測してブレスレット型入力機器を持って来なくて今は、正解でした……今のこの頭じゃあ意味のある文章を作り上げれる気がしません……! だって目の前にいるのは『本物の』ウルトラマンエースで……って、それはともかく……!)」
再度、余計な事を考えそうになる頭を無理矢理に落ち着かせる。まともに言葉を発する事は出来ないとは言え、エースが言葉をかけてくれたのに無言で押し通す等と言う愚行は誰が言おうが認める訳には行かなかった
『トワァ……!』
だからこそ私は出来るだけ早く反応し、この身体でも僅かに発する事が出来るかけ声で敵意を見せず、エースの言葉に『ありがとうございます』と言うようなニュアンスの音を発し、会釈で再度、礼を示す
「(本当なら五体投地でもしたい所ですが今の私の身体はエースと瓜二つ! エースと似た姿でそんな真似はとても出来ません……!)」
だからこそ私は、これ以上下手な行動を起こす前にエースから視線を逸らし、未だに動揺した様子でこちらを見ているヒッポリト星人と向き合う
『テエェーーァァ!!』
それて同時に拳を構え、出来る限り大きく『かかってこいヒッポリト星人!』と言う想いを込めて音を発した
「(正直、さっきまでボロボロだったのにウルトラマンエースが復活した瞬間、勢いづくのは『虎の威を借る狐』みたいで少々、気まずい想いも無くは無いですが………ですが………! って……これは……!?)」
その時だ、ヒッポリト星人から視線を逸らさず、戦闘に支障が出かねない雑念を振り払つていると、突如、私の身体がオーロラのように揺らめく白い光に包まれる。その瞬間、ヒッポリト星人との戦いで装甲に走っていた亀裂が巻き戻しのように元に戻り、両手両足の動きもスムーズになったように感じた
「それで君の身体の損傷は修復出来たはずだ。さぁ、今こそ共に戦おうホシカワ!」
視線を向けてみればエースが私に掌を向け、そこからオーロラ状の光を放出しながらそんな事を言ってくれていた
エースが私を修復してくれた、エースが『共に戦おう』と言ってくれた
ならば私にもう迷いや雑念など、あり得る筈も無かった
「『トワアアアア!!』」
私とウルトラマンエースは全く同じタイミングで叫ぶと真っ直ぐヒッポリト星人へと向かって走り出した
「おのれ……おのれぇ! この死に損ないどもがぁ!」
土煙を上げながら真っ直ぐ向かってくる私達を見て激昂したヒッポリト星人は両腕を向けるとそこからヒッポリトミサイルを連射し始めた
「(まぁ、ヒッポリト星人の立場から見れば当然の怒りなのかもしれません。何せ向こうにとっては完全勝利の一手を打たんとした所で崩されのですから。それもそれがウルトラの父でもなく、
ミサイルは私達すぐ脇を掠め地面と着弾し、その度に爆風と破片が私の足に襲いかかるが私は決して速度を緩めない。横で本物のエースが全く足を止めようとしない以上、私が臆して緩めるなど端から選択には入れていなかった
「(ですが、それはそれとして………)」
「なっ……!?」
流石にあれほどの攻撃の嵐を最高速度で走り抜ける事で突破してくる事を想定していなかったのかヒッポリト星人が一瞬、怯んだその瞬間
「『イヨワァァ……!!』」
「(エースと一緒に戦う以上、全力でぶちのめします!)」
私とエースが同時に腰を落とす形で渾身の右ストレートをヒッポリト星人の腹部に叩き込んだ