超人転生   作:塩ようかん

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 もう少エースキラーとの戦いをしっかり続けるかサクッとやるかで悩んでおります


第四話 持てる知識は全て使う

 

「───────」

 

 

 と、その時だ。大地に倒れたまま何とかして起き上がろうとする私に向かいエースキラーが僅かに軋むような不気味な機械音を発し死神の如く一歩ずつ歩く悠然とした動きで近付いてきた。しかも、先程私の飛び蹴りを受けるために一旦、空になっていた右手には再びY字型のナイフが握られており、再び一歩エースキラーが私に向かって歩んだかと思った瞬間、エースキラーは地面に倒れたままの私を狙いナイフを頭上に振り上げた

 

「(やはり、休ませてはくれませんか……!)」

 

 それを見た瞬間、私は咄嗟に右手を大地に打ち付けるとその勢いで強引に身体を動かして勢いのまま転がる

 

 ガンッッ!!

 

 その瞬き一秒もしない後、エースキラーが振り下ろしたナイフが空気を切り裂いて先程まで私の胴体部があった部分に深々と突き刺さる。反応が僅かでも遅れていれば間違いなくエースロボットになった私のカラータイマー部分からナイフで串刺しにされていただろう。

 今の私はロボットの身体故に本物のウルトラ戦士とは違ってそれだけでは致命傷とはならない可能性はあるし、それがこの圧倒的不利な戦局を変える手段になる可能性も無いとは言い切れない。が、『エースに似てるけど中身はロボットだから大丈夫』なんて理屈も無い逃避じみた楽観的な考えで態々、酔狂でそんな大博打をこの場で試す気になど到底なれない

 

「(そうです、それより今すべきなのは────!!)」

 

 自らの中に湧いて出た思考を振り切り、私は倒れたまま更に二度、三度と右に右へと地面を転がり続けた

 

『─────』

 

 その後を僅かに遅れて、時には私の身体を掠めて火花を飛ばしながらエースキラーのナイフの連撃が迫る。実際、原作通りならばこの後に行われるであろうウルトラマンエースとの戦いでもエースキラーはダウンしたエースに弱点を狙って執拗に追い討ちを仕掛けてくる場面があった。ならばテストとは言え、倒れた私にも即座に追撃を仕掛けてくるのは予測出来た。……予測は出来たのだが、それでもギリギリ回避するのが精一杯だ

 

「(と、お……っ!?)」

 

 と、そんな風に転がって回避を続ける私に向かい、不意打ち気味にナイフが一旦、引き戻されると回避方向を狙ってエースキラーの左手の鉤爪が迫ってきた

 

「ゼッッ……!!」

 

 この距離では回避は最早、無意味。僅かな迷いの後、私が選んだのは私に体重まで乗せて鉤爪を向けてきたエースキラーの右脇腹部分。そこを狙って左足で回し蹴りのような形で全力の一撃を叩き込む。自分でも意識はしなかったが、その瞬間、私の口からは自然とくぐもってこそはいるがウルトラマンエースに良く似た声が発せられていた

 

『────!』

 

 私の一撃が直撃するとエースキラーは上手い具合にバランスを崩して自身の放った攻撃の勢いのまま左へと倒れこんだ

 

「(ここだ! チャンスはここしかない!)」

 

 それをすかさず確認した私は出来る限り素早く立ち上がると、両腕を後ろへと引き寄せる。狙いはただ一つ、エースロボットである私が使える戦力の一つ、ロボットメタリウム光線の発射だ

 

「(うっ……くっ……やはりこんな鈍くしか……!)」

 

 が、先程まで蹴りや回避ではそれなりに動けていたのにも拘らず、私がロボットメタリウム光線を放とうと試みると、光線エネルギーを機械の身体に循環させているせいか動きが矢鱈に鈍くなり錆び付いた工業機器のような速度しか動く事が出来ない

 

「(こんな所はきっちり原作再現してくれなくてもいいんですが……っ! ……! もうエースキラーが!)」

 

 そんなどうしようもないじれったさに焦り始めた最中、ふとエースキラーを見てみれば、既に地面に手をつきながら起き上がり始めていた。間違いなくあと一秒もしないうちにエースキラーから反撃の一撃は飛んでくるだろう

 

「(間に合……えっ!)」

 

 最早、一刻の猶予も無い。身体の感覚で光線がチャージが完了したかと思った瞬間、私はまさに起き上がる直前のエースキラーに向けて虹色に輝くロボットメタリウム光線を放つ

 

 と、その直後にエースキラーは立ち上がったが、開始も防御も既に間に合わず、吸い込まれるようにエースキラーの頭部にロボットメタリウム光線が叩き込まれた。が

 

『──────』

 

 当然のように直撃を受けてもエースキラーは全く怯まない。いや、そもそも爆発すらせずうっすらと表面装甲から白煙が上がったのみだ。そしてエースキラーは力を溜めているのか僅かに腕を動かすとその手を十字に組み──

 

「(い・ま・だあぁぁぁぁぁぁっっ!!)」

 

 その瞬間を狙って私は腕を動かし限界まで意識を研ぎ澄ませながら『第二撃』の準備を試みる

 

 

 この世界に転生してまだ大した時間は過ぎてないから確信こそ出来ないが、当然と言うべきかこの世界は基本は私と言う異物が混ざっても原作の流れは変わっていない。だからこそ私はエースキラーがウルトラ兄弟の光線を放つタイミングや動きをある程度、予測する事が出来た

 

「ゼッ…………!」

 

 エースキラーが構えるより僅かに早く、その動きを予測していた私は既に頭部に両腕を構え終え、自然に口から放たれた掛け声と共に頭部から光線。パンチレーザー……敢えて言うならロボットパンチレーザーとも言うべき技を放った

 

「(よし……! やっぱりロボットメタリウム光線以外の技も放てますね……!!)」

 

 狙いどおりパンチレーザーが放たれた瞬間、私は脳内で僅かにガッツポーズをして歓喜する

 

 確かに私が転生前にしていたファイティングエボリューションではエースロボットが使える技は原作で使用したロボットメタリウム光線だけだった。

 

 だがしかしエースロボットがプレイヤブルキャラとして登場したゲームは一作だけではない。大怪獣バトル等ではエースロボットはエースの代名詞であるギロチン技まで使っているのだ。それが出来て尚且つヤプールはテスト用だとしてもエースロボットの出来にある程度の自信は持っている様子だった。ならばパンチレーザー等の他の技も『この私』が使用できても何等おかしくは無いのでは無いのだろうか? そう考えて挑んだこの第二撃ではあったが目論みは見事に的中していたようだ。

 

『─────!!』

 

 パンチレーザーが今まさにスペシウム光線を放とうとしていたエースキラーの右腕に炸裂した瞬間、小さいながらも爆発が起こり、初めてエースキラーが私の攻撃で怯んだ様子を見せる。そう、このパンチレーザーは威力こそは弱く、似てはいてもセブンのエメリウム光線と違って、これだけで怪獣や超獣を倒した事は無い。が、しかし、メタリウム光線やギロチン技とは違い精密な射撃が出来ると言う利点を持っているのだ。だからこそ私が狙ったのは私がエースキラーの癖を知っていると言う利点を生かしたピンポイント攻撃だ

 

「(そして……まだまだ……!!)」

 

 そしてこの攻撃によって生じた白煙でエースキラーの視界が塞がった瞬間、私は大地を蹴り付け更なる追撃を放つべくエースキラーに向かって全体重を乗せて突撃した

 

『─────!』

 

「(くっ……! うっ…………!)」

 

 が、その一撃は私の想定より早く復帰したエースキラーの両の腕でしっかりと受け止められ、更なる追撃は封じられた。更に、一応、力も込めているのだが一歩、また一歩とエースキラーに力負けして徐々に押しきられ始め、私の体勢は崩れ始め出す

 

「(く……う……こうなったら……!)」

 

 

 このまま正面から勝負し続けても力では勝てない。それに加えて純粋な格闘技術でも私はエースキラーに劣っていて勝ち目が無い。そう判断するが早いが私は危険を承知で一旦、込める腕の力を抜き、体内にエネルギーを溜め込み始めた。当然、その瞬間、エースキラーが一気に力を込めて私を地面に叩き倒した

 

「(ぐっ……うっ……!!)」

 

 

『─────』

 

 私が苦悶で悶える間も無く、エースキラーは馬乗りになりながらでナイフを振り上げ

 

『─────!!』 

 

 その瞬間、私の全身から流れた電撃状のエネルギーが放たれ、馬乗りの形で私に密着していたエースキラーは痙攣するように大きく悶えると、背中から地面に倒れた

 

 そう、私が使ったのはユニタングやフブギララとの戦いでエースが拘束から逃れる為に使用した技『ボディスパーク』だ

 

「(はっきり言えば、こんなマイナーな技までしっかり使えるようになっているとは……ヤプールは結構拘る方なのかもしれませんね……)」

 

 緊張で常に張りつめている心を少しでも落ち着けようと、脳内でそんな事を考えながら私は両手をついて素早く起き上がる。立て続けにエネルギーを消費したせいか身体の動きが少し悪くなった気がしたがそんな事を気にしてはいられない

 

「(連続攻撃は成功してくれた……なら、ここから畳み掛けたい所ですが……)」

 

 はやる心を押さえつつ、私は未だに倒れているエースキラーを見下ろす。先程のボディスパークが効いてくれたのかエースキラーは頭を押さえて悶絶し───

 

「(……いや、違う。あの……構えは……!)」

 

 その動作に私が違和感を感じた瞬間だった

 

「(が……ふっ……!?)」

 

 地面に倒れたままのエースキラーの頭部。そこが一瞬光った瞬間、突如としてエメリウム光線が追撃しようとして隙を晒した私に向けて放たれた

 

 

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