超人転生   作:塩ようかん

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第五話 彼等の言葉

 

「(ぐ……う……当たったのは……胸……! くっ……またもや原作通りですか……!!)」

 

 エメリウム光線が直撃した瞬間、熱を感じたかと思えば私の身体は宙を舞い、地面へと叩き付けられる。つい先程、空中でエースキラーの蹴りを受けて叩き付けられた時よりも感じる衝撃は遥かに大きく、この鉄の身体からもあちこちが軋んだり壊れたりする音が聞こえた

 

「(十分に分かっていたつもりでしたが……どうやら、それでも認識が甘かったです……! やはりエースキラーは強い!)」

 

 痛みを感じないことを良いことに不格好な形ながらも身体を無理矢理起こして立ち上がり、更なる追撃を恐れて身構える

 

『……………………』

 

 一方でエースキラーはと言うと、私に機械独特の無機質な視線を向けながら、ゆっくりと土埃を落としながら立ちあがろうとしていた。その身体には私の必死の攻撃的の成果かダメージを負っていたものの、いずれもその傷は浅くエースキラーの行動に支障が出るとは思えない

 

「(あれだけ全力でリードを維持しようとしても、一撃で崩されるなんて……やはりエースキラーにエースロボットで勝とうと言うのは無茶なのですか……?)」

 

 構えながら懸命に頭を捻って状況を打開すべく良い考えを捻り出そうとするが焦りと緊張が邪魔をして思考が空回りしてしまい、まるで良い考えが浮かばずに動く事が出来ず、結果として私は棒立ちのままの状態になってしまう

 

 

『………………』

 

 

「(……!? ぐっ……!?)」

 

 そして当然、そんな隙をエースキラーがみずみず逃す筈もなく私が僅かに視線を反らした瞬間、エースキラーは瞬時に体勢を低くしたかと思えば地面を蹴り、プールの飛び込み台から選手が水面に飛び込むかのように身体を真っ直ぐにし、両手を頭の上へと伸ばすとロケットのような勢いで私に向かって突っ込んできた

 

 

「(ぐあっ……!! うっ……がはっ……!)」

 

 何度もプレイしたゲームでもエースキラーが似たような動きをしていたのを見る機会があった為に、どうにか反応して直撃は避けたが、いかんせん私自身の戦闘経験が少ないのが災いして尻餅をついてしまい、その瞬間に着地したエースキラーの肘撃ちが私の顔面に直撃し、それに怯んだ直後、更に膝蹴りが胸に直撃し私は再び大地へと倒れてしまう

 

『ハハハハハハ……! 少しは抵抗はしたが、やはりここまでか! さぁ、エースキラー! そろそろトドメを刺してやれ!』

 

 そんな私の様子を見て、機嫌を良くしたのかヤプールの笑い声が響き、それに応えるようにじわりじわりとエースキラーが私に向かって近付いて来ていた

 

「(くっ……うっ……ここまで……なのですか……?)」

 

 そんなエースキラーを前に私は尻餅を搗いた体勢のまま、じりじりと後退りをする。

 

 私は自分自身の限界を省みない出過ぎた無茶のせいで死に、理由も分からぬままエースロボットとして転生して闇雲に再び死にたくない一心で知識をフルに使って戦い続けていた。だがしかし、ここに来て再び無情な現状に心が折れる気配を感じ始めていた

 

「(折角、転生したのに何も為さないまま……訳も分からないままに……筋書きを変えられずに僕は……)」

 

 一旦、そう考えてしまうと今、まさにエースキラーが迫り、私にトドメを刺さんと近付いて来ているのにも拘らず途端に身体が動かなくなってきた。否、何故そもそも私はただの人間の頃とは勝手があまりにも違うエースロボットのこの身体を今まで当然のように扱えたのだろうか。だったら、私がこうして何も出来ずにやられるなんてそれは当然の摂理で──

 

『大切なのは最後まで諦めず、立ち向かう事だ』

 

「(え…………?)」

 

 そうして正に諦める寸前、走馬灯なのか私の頭に一つの言葉が甦ってきた。この言葉は……私が生前に聞いた……

 

『例え僅かな希望でも、勝利を信じて戦う事だ』

 

 そうだ……例え転生しようが、この言葉を……映画館で涙を流しながら聞いた、彼等の言葉を私が忘れる訳がない

 

『信じる心、その心の強さが不可能を可能にする!』

 

 現実がどうにもならないのは確か。たが、それをウルトラマンが……私がどうしようも無いくらい憧れたヒーロー達が見ている前で無様に諦めている姿など見せられる筈もない

 

『それが、ウルトラマンだ』

 

 例えこの身体がヤプールがウルトラ兄弟への精神攻撃の為に作られたウルトラマンエースを模しただけの偽物だとしても、私の中身が単にウルトラマンに憧れた人間だとしても、それが途中で投げていい理由には決してならない

 

「(そうでしょう? ウルトラマン……。だったら私は……たとえどんなに無様でもやられた振りをしてでも……あがいてみせる!)」

 

「ゼェェ……ヤァァ!!」

 

 その覚悟を決めた瞬間、私に向かってナイフを振り下ろそうとしていたエースキラーのがら空きの胸部に向かって全力で両足で蹴りつけた

 

『………………!』

 

『何……!?』

 

 突然の一撃にエースキラーは録に受ける事も出来ず、振りかぶったナイフを取り落としながら大きく吹き飛ばされ背中から倒れ、ヤプールが動じる声が聞こえたが、そんな事を気にしている場合ではない。ぎこちないロボットの動きで、出来得る限りのスピードで両腕にエネルギーを溜めると構え、ロボットメタリウム光線を放とうと試みる

 

『…………』

 

 それに対してエースキラーはまるで動じた様子もなく、正に機械の如くスムーズな動きで両腕を胸の前に水平に置き、エネルギーを溜めて私に狙いを定める。ヤプールの指示でエースキラーは私を仕留めにかかっていた

 

 

 結果として私とエースキラー。両者が西部劇のガンマンの決闘のように対面し、互いにエネルギーを蓄積させる形となり、私の脳内に妙な緊張が走り

 

「(よし……!)」

 

 先にエネルギー充填を終え、ロボットメタリウム光線を放ったのは私だった。放った光線は全く違わず未だにエネルギー充填を続けるエースキラーの上半身に直撃した

 

『………………』

 

 が、エースキラーは全くの無傷でそれを耐えきると私に向かって右腕を突き出し一瞬遅れてエネルギー充填を終えたとっておき、M87光線を放とうとし

 

「ゼッッ…………!」

 

 

『………………!』

 

 その直後、猛烈な勢いで走り出し、エースキラーに向かってタックルしてくる私に僅かに動じ、僅かに光線を構える姿勢がぶれる

 

 それこそが私の狙いだった

 

「(エースキラーに最初に放ったのはエネルギーの2割! 残りの全てはここにぶつける!!)」

 

 僅かに見せたエースキラーの隙、一秒にも満たない僅かな時間の間、M87光線が私に向けて撃たれるコンマ一秒でも早く私はエースキラーに組み付いた

 

「(これを逃せば間違いなく私はエースキラーのM87光線で吹き飛ばされる! 絶対に……外しません!)」

 

 エネルギーが収束されているせいかエースキラーの右腕に近付くだけで熱を感じたが、それに負けてはいられない。十字に組んだ腕を無理矢理エースキラーの腕に押し付け、私に残る全てのエネルギーを腕に集め、ロボットメタリウム光線としてエースキラーの右腕へと発射した

 

 

『!!!!!!』

 

 ロボットメタリウム光線が直撃した瞬間、エースキラーは何とか私を振り払おうと空いている左腕で私を滅多打ちにし始め、衝撃と共に私の装甲の一部が割れ、大地へと落ちる音が聞こえた

 

「ゼッッ……!!」

 

 が、それでも私は光線の発射を止めずに全力で撃ち続け……次の瞬間、エースキラーの右腕が大きく膨張した

 

『……………………!』

 

「(うぐっ……!)」

 

 その瞬間、発射寸前だったエネルギーが私のロボットメタリウム光線で無理に暴発される形となり、放とうとしていたのが銀河最強とも言われるM87だったせいか有り余るエネルギーはエースキラーの右腕を軽々と吹き飛ばすだけでは収まらず、叫べないエースキラーの断末魔の叫びにも聞こえる破壊音と共にエースキラーを内部から破壊し続け、ついにエースキラーは上半身から大爆発を起こして崩れ落ちた

 

「(や……やった! 私が……エースキラーに……勝った!!)」 

 

 それを確認した瞬間、私は思わず自身のダメージをも忘れて立ち上がり、喜びのままにぐっと拳を天に突きだし

 

『な、な、なんだとぉぉぉぉぉぉっっ!? そんな馬鹿なっ!?』

 

 

「(あ………………)」

 

 直後、激しく動揺したヤプールの叫びで興奮し過ぎた頭が一気に落ち着きを取り戻した




 と、言うわけで半ばプロローグにも似ているVSエースキラー。決着とさせていただきます。ここからが真の『超人転生』の物語の始まりとも言えますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします
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