『フハハハハハハハハハハハ!! いいぞバキシム! そのままエースロボットを木っ端微塵にしてしまえ!』
私が防戦一方になっている状況に気を良くしたのかヤプールは先程の怒りも何処へやら、私を嘲る高笑いでバキシムへと更なる攻撃を命じ、それに応じるようにバキシムが放つミサイルも次第に苛烈さを増し、次第に私もミサイルを避けきれず何発かが当たり始めていた
「(とにかく……! このままでは反撃も何も無く、ミサイルの餌食です! 何とか手を打たなくては……!)」
私に直撃寸前だった一発のミサイルをどうにか前転する事で回避しながら私はすかさず両足で大地を蹴り飛ばし空中へと飛び上がる事でミサイルの嵐から一時的に逃れる
『バカめ! それで逃れたつもりか!!』
が、当然バキシムもヤプールの指示がある以上、その程度の行動で攻撃出来なくなる筈もなく、飛び上がった私に向かって容赦なく連続してミサイルが発射される。が、ここまでは私の計算内だ
「(確かに空中に飛び上がれば後は重力に引かれて落ちるだけで隙だらけ……普通なら間違いなくそうです。ですが……!)」
ミサイルがいよいよ眼前まで迫ったのを確認すると、私は身体を大地と平行な方向に体勢を入れ替え。両足の裏に力を込め、両腕を頭の前に伸ばす
「ゼッ…………!」
次の瞬間、私は重力から解放されて空を飛行し、一気にバキシムへと距離を詰める。当然、跳躍で上昇していた身体の向きを無理に変えたことでスピードは落ちたが、それが逆にミサイルが着弾するタイミングを狂わせ、私が飛行で移動を始めたすぐ後になって背後で発射された二発のミサイルが互いに激突し、爆発する音が響いた
「トゥゥアァァァ!!」
「クワァッ!?」
そのまま私は一気に加速すると自然と漏れ出た声と共に両腕をクロスさせバキシムの首に向かって全体重と加速を付けた両腕でのチョップを仕掛ける。その一撃は、うまい具合にミサイル発射の僅かな隙を突くことが出来たらしく、バキシムは私のチョップを受けると悲鳴のような声を上げてそのままバランスを崩して地面へと倒れる
「(今だっ! ここのチャンスは逃さない!)」
こんな決定的なチャンスを逃す訳にはいかない。即座に私はバキシムにまたがり変則的なマウントポジションを取るとバキシムの顔に向かい力を込めて拳のラッシュをぶつける。いかに頑丈な相手であれ流石にウルトラ戦士クラスの超パワーで殴られれば間違いなく怯むはずだった。そう、普通なら
ズダダダダダ!!
「(うぐっ…………!? しまっ……)」
私の拳のラッシュ最中、次なる一撃を打ち込むために腕を引いたのほんの僅かな隙間を狙いバキシムの鼻からミサイルが発射されると、それは意図返しのように回避が遅れた私の顔面へと直撃し、不安定な体勢で馬乗りになっていた私はその衝撃で受け身をする暇も無くひっくり返ってしまった
「(……がはっ! ぐっ……!! があっ……!!)」
何とか手を突いて立ち上がろうと試みた私ではあったが、ミサイルを受けた場所が顔面だった事が災いし、私の視界を白煙が覆いつくして周囲の索敵が困難になっている隙に立ち上がったバキシムの蹴りが起き上がりかけていた私の腹を蹴り飛ばし、サッカーボールのように私の身体を吹き飛ばす。更に追撃はそれだけでは終わらず起き上がれない私に更にバキシムの蹴りが連続して追撃し続けてきた
バキッ……!ミシッ……
バキシムの体重七万八千トンで繰り出さされる蹴りは、一蹴り当てる度に四万五千トンの
「(脱出……しなくては……!)」
事実、ミサイルの連撃から脱出出来たかと思った途端に今度は格闘で連続攻撃を受けているこの状況はただでさえ損傷が大きい現状は危機的であり、猶予はまるで無い
「(ここは……これで……!)」
そう決断した私は、バキシムに蹴られながらも僅かな隙を突いて頭に手を伸ばし先程もエースキラー相手に放ったパンチレーザーを素早いバキシムの上半身におおよその狙いを付けて放つ。
勿論、正確な狙い等を付けてる暇は無い。理想だけを言えばロボットメタリウム光線でも放つべきなのだろうが、仕方無いとは言えバキシムの攻撃を受け続けながらあの緩慢な動きでエネルギーを溜めるのは無謀を通り越した自殺行為でしか無い
「ギュオォ!?」
そうして私が適当に放ったパンチレーザーはバキシムの胸部に炸裂しバキシムの皮膚を焼いて爆煙が発生すると、バキシムが僅かに怯み、追撃の手が弱まった
「(今ですっ!!)」
その瞬間、私は両手を素早く大地に突いて力を入れて身体を跳ね起こすと、その勢いのままにバキシムの身体に両足で蹴りを叩き込み、その反動で立ち上がると無理矢理バキシムの蹴りの範囲内から逃れ出た
「クォォォ……」
「(うっ…………)」
そうして、どうにか体勢を整えた状態になった事で改めて白煙が燻るバキシムの姿を見てみれば火傷等、私の攻撃で確かにダメージを受けた痕跡こそあるものの、まるで行動に支障を来している様子は無く緑色に輝く目が冷たく私を睨み付けていた
「(この頑丈さ……! 怯ませてから攻撃を仕掛けても一瞬でもこちらが隙を見せれば即座に反撃してくる狂暴性……! 自ら戦ってみて分かりました……やはり超獣とは一般の生物の枠から大きく離れた恐るべき生物兵器です……!)」
無理矢理にでも押し込まなくてはジリ貧に追い込まれて敗北すると判断して仕掛けた私の一転攻勢だったが、状況は大して改善していない。むしろカウンターの一撃とパンチレーザーの発射の為にただでさえ少ないエネルギーを使わされた事を考えるとマイナスとも言えるだろう
「(……こんな状況で、いつまで損傷したこのエースロボットの身体は持ちこたえてくれるでしょうか? 光線技はあと何発放てるのでしょうか……。そもそも行動に支障が出る程に傷んだ身体がいつ不具合を起こすのかも……。っ……駄目です……。気持ちは悲観的になり過ぎず冷静に現実だけを直視して……!)」
意識が戻って以来、息吐く暇もなく緊張と焦りが連続し続けている影響か、今こうしている自分の思考が正常に働いているのかどうかさえ曖昧で頭にどこか霞がかかっているようにも思え、思わず感情のまま叫び出したくさえなって来た。
が、ここで冷静さを失うのは直ちに二回目の死に直結する事が分かっていたので、無理矢理に感情を押さえ付け私はバキシムを睨み付けながら次の一手を模索し続ける
「(ならば……次に私のやるべき事は……!)」
どうにか気持ちを落ち着かせた私は、立ち上がるとバキシムに悟られるよう静かに、しかし確実に右腕に残るエネルギーの大半を集中させ、未だに動かず此方を睨み付けるバキシムと正面から向き合う
そう、私が次に選んだ手段は危険を承知でエネルギーを全て使い尽くす一発で勝負を決める一撃決着だった
「(大丈夫……放てる……。私は何回だってエースとバキシムの戦いはビデオでもDVDでも見てきたんです……タイミングだって分かってます。だから絶対に……!)」
この一撃が決まらなければ私に勝機は無い。だからこそ、私は何度も見た映像を、あの技を繰り返し繰り返し頭の中で再生し──
「………………!」
痺れを切らしたかのようにバキシムが腕を動かし、身体を僅かに前傾姿勢に移行させたその瞬間、私は弾かれたように動いた
「ーーッッ!!」
左腕を肩に平行にしながら左手は耳に添え、右腕はバキシムに向かって真っ直ぐ伸ばしつつ指先は滑らかにアーチを形作りエネルギーを一気に凝縮させノコギリ状の光輝く刃、ウルトラスラッシュをバキシム目掛けて放ち、それと同時にバキシムの鼻と両腕から三発のミサイルが発射され
バッゴオォォォンッッッ!!
次の瞬間、ミサイルと光輪が激突したことで発生した大爆発が私の視界を一瞬にして包み込んだ