超人転生   作:塩ようかん

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 遅れましたが投稿です。何とか今年中にもう一話は投稿したいですね……。それと改めまして誤字報告いつもありがとうございます


九話 一先ずの決着。そして……

 

「ガッ……! ギ…………!」

 

 メタリウム光線とスペシウム光線。同時に放たれた二つの光線の直撃を受けたバキシムはウルトラブレスレットで切断されず残された右腕で懸命に防ごうとしたものの、やがて耐えられずに光に飲まれ……

 

「………………!!」

 

 最後に声にならぬ叫びをあげるとバキシムは崩れ落ち、直後に炎と共に大爆発を起こしてバキシムは砕け散った

 

「ハァッ!」

 

 それを確認するとエースは手にウルトラスラッシュを形成するとゾフィー、ウルトラマン、セブンを捉え、十字架に繋ぐ鎖を切断する

 

「くっ……!」

 

「はぁ……はぁ……」

 

「助かったぞエース……」

 

 鎖から解放されると三人はふらつきながらも、それぞれ自力で着地をして、ゆっくりと立ち上がり始め次々とエースに礼を言う。幸いな事に三人ともに弱ってるとは言え、まだ自力で動ける程のエネルギーは残されていたらしい。

 

「ふぅ……。ジャック兄さんよくご無事で! ところで……どうやってあの状況から脱出を?」

 

 それを見て少しばかり安堵するとエースは先程まで自身の隣に立ち、息を整えるウルトラマンジャックへと呼び掛けた。

 捕らえられた兄達を助けるべく地球と宇宙と言う途方もなく離れた距離からのウルトラタッチをしてまで急いで駆け付けたエースではあったが、一人だけとは言えジャックが既に脱出を果たし、自身が以前遭遇したバキシムと激突しているのは完全な想定外の事態でしか無く、疑問を感じずにはいられなかった

 

「──エース。俺が、こうして動けているのは俺だけの力だけでは無い『彼』のおかげだ」

 

 

 そんなエースの言葉にジャックはほんの少しだけ悩むように首を傾げるとそうエースに告げる。そう、この状況はジャックとてあまりにも想定外。いや、そもそも今この場にいる誰もがまるで想定してはいない状況にあったのだ

 

「『彼』? ですか?」

 

「あぁ『彼』が俺を救出してくれたんだ」

 

 エースがそう聞き返すと、ジャックは兄弟達が捕らわれた鎖の近くで僅かも動かず、黒煙を上げて倒れている一つの人型をしたロボットを負傷した友人を慈しむようにそっと抱き上げ、助け起こした

 

「…………!? これは……俺に似ている!?」

 

 当初はそれが何なのかは分からなかったエースではあったがジャックが抱き上げた事によってその外見が明らかになった事で、その自分を模して作ったとしか思えない姿に驚愕する。事実、首や腰、そして四肢部分に取り付けられた金色の金属パーツと切断された右腕部分から覗くコードさえ無ければエース本人でさえ鏡を見ているような錯覚に陥っていたと思える程に彼の姿は酷似していたのだ

 

「ジャック兄さん! これは……いや彼は一体!?」

 

「……元はと言えばヤプールが新たなる生物兵器の実験用に見ての通りお前を模して作ったらしい。尤も、そこから先はヤプールにとっても全くの想定外だったようだが……くっ……!」

 

「ゾフィー兄さん!」

 

 当然とも言えるエースの疑問に答えたのはゾフィーだった。M87光線が宇宙最強と呼ばれる故に奪われたエネルギーが他の兄弟より多かったのか、その両肩をウルトラマンとセブンに支えられながらも歩き二人の元へと歩み寄ってきた

 

「ヤプールは私達からエネルギーを奪い、エースキラーと言う私達の技を使うロボット怪獣を作り上げ、そこで倒れている彼……仮にエースロボットと言うべき存在を、性能テスト用として戦わせていたのだ」

 

「成る程……」

 

 疲労したゾフィーに代わってウルトラマンが話す内容にエースは頷く。性能を試すついでに自分に酷似した姿のロボットを使い、平和を守るための筈の兄達の技で倒すことで衰弱していた兄達の精神をも攻撃する。実にヤプールらしい陰湿な考えではあるとは思ったが、そこまではまだエースには理解出来た

 

「だが、そこで想定外が起きた。実験台のエースロボットが私達の光線技を駆使するエースキラーを相手に立ち向かい……。そして倒して見せた」

 

「は…………?」

 

 だからこそ次の瞬間、発せられた言葉がまるで理解できずにエースは無意識のうちに呆けたような声をあげて聞き返してしまった

 

「うむ……驚くのは無理もない。実際にこの目で見た俺自身、未だに信じられないからな」

 

 そのエースの驚きの声に賛同して返したのはセブンだ。歴戦の戦士である彼もまた発した言葉の通り、信じがたい事実に心が追い付いていないのかその口調には若干ではあるが動揺が隠しきれずにおり、その反応に同意するかのようにセブンは一度頷くと更に言葉を続ける

 

「だが、エース。これは紛れもない事実だ。彼……エースロボットは何度倒れても決して諦めずにエースキラーへと挑む闘い方は私達、ウルトラ戦士にも負けない程だったぞ」

 

「そして、勝利した彼は俺を拘束した鎖の一部を断ち切り、バキシムとの連戦で自ら窮地に追い込まれながらもウルトラブレスレットを投げ渡してくれた。その時、俺は確信したんだ。彼は単なる機械では無い、確かに彼からは俺達が守るべき小さく短いながらも輝きを持つ者の知性。……あぁ、間違いない、人間の意思を感じたんだ」

 

「なんですって! 人間の意思!? しかし彼はどう見ても……!」

 

 ジャックの言葉にエースは驚愕のあまり身を乗り出し、飛び上がらんばかりに叫ぶ。たたでさえ信じがたい話を聞かせられている中でもこの話はあまりに予想の遥か先を行っていた

 

「私にもジャックの感じた感覚が思い違いだとは思えない。一先ずゴルゴダ星から出て、彼を光の国で保護してからより詳細に調べてみよう」

 

「……はい、ゾフィー兄さん」

 

 結局としてゾフィーの言葉を切っ掛けに5兄弟は破損したエースロボットを守るように全員で抱え、ゴルゴダ星を脱出したのであった

 

『………………! ……っっっ!! ゴルゴダ星を爆破せよ!!』

 

 尚、ジャックとエースの参戦により再び勝利を確信した状況から突き落とされた事で放心していたヤプールが怒りと羞恥のままゴルゴダ星を爆破したのはその直後の事だった

 

 

「(ここは……何処だ……? 私は……また死んだのか……?)」

 

 暖かい光を全身で感じながら私の意識はゆっくりと覚醒していく。記憶が確かならば私はエースロボットに転生してしまい、死闘の末にどうにかエースキラーを撃破したものの、直後にバキシムをけしかけられて……

 

「(そうだ私はあの時、意識は消えかけていたけどハッキリとこの目で見たんだ……! ウルトラマンエースを……! 私の憧れで『ヒーローになりたい』と思った切っ掛けを……!)」

 

 それを思い返した瞬間だった

 

 薄くしか感じられなかった私の視界が突如として開かれ、同時に鮮明に見知らぬ灰色の天井と私の身体を温かく照らす緑色の光源が一気に飛び込んできた

 

「(仕組みはさっぱり分かりませんが、あの光源、少なくとも私の知るような電気を使った電灯とは違うようですね……)」

 

 意識が戻った事でよく辺りを見渡して見れば私はベッドでは無く作業台のような物の上に寝かされており、周囲には工具らしき未知の機器類や作業用アームらしい機械の腕が私が寝かされている作業台を囲むように置いてあった

 

「(……やはりと、言うべきか……あれらは夢ではありませんでしたか……)」

 

 そして、そんな風に周囲を見渡せば当然ながら私の自身の身体も目に入る事となり、当然のように私の身体は意識を失う前と同じく金属で構成されたエースロボットの身体だった。ただ、一つ違っていたのは

 

「(私の身体がすっかり修理されている……。私を嫌悪していた様子のヤプールがこんな事をするとは思えませんし……一体誰が?)」

 

 そう、間髪入れずに行わされたエースキラーとバキシムの連戦で片腕を失うほど深く損傷した筈の私の身体は損傷した箇所が分からない程に完璧に修復が施され、エースと同じ柄をした赤の銀の金属装甲は輝いて、エースに酷似した私の顔すら見えていた

 

「無事、再起動成功か。その様子だと動作に特に問題はなさそうだな」

 

「(この声は……。 って……そんなまさか!?)」

 

 と、その時、私は声をかけられた事でようやくその場にもう一人、ガラスの向こうから此方を観察している人物に気付き、それを確認した瞬間愕然とさせられる

 

「ようこそ光の国へ。と、言うべきかな『エースロボット』」

 

 そこには光の国、随一の研究機関である宇宙科学技術局に務め、後に地球を訪れる事になるブルー族のウルトラマン。そして時間的に言えば今は光の国を離れている筈の男

 

 ウルトラマンヒカリがそこにいた

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