世界の守護者 作:匿名だよっ
イビルアイが持っていた情報は、非常に良い情報であった。如何やら、王都で〈ゲヘナの炎〉を使用した存在はデミウルゴスでは無いらしい。恐らくだが、デミウルゴスは配下の魔将たちだろう。
確か、ガチャで当たるレアな傭兵モンスターであった筈だ。通常は80レベルまでしか呼び出せない傭兵だが、課金で引いた当たりには、80レベルを超えた存在を傭兵として召喚出来るらしい。
全くもって、プレイヤーたちはずるい存在だ。そんな存在をポンポンと生み出せる彼らに苛立つも、どうにかする対応策を考える。傭兵モンスター如きに
(まあ、カルマ値が低い90レベル以下の存在など、
そうだ。確かに80レベル以上の強さを持つ存在を、ポンポンと生み出せる能力はチートだ。しかし、私の強さもまたチートだ。
しかし、90レベル以下の存在を、例えカルマ値が低いと言う条件が付いているとは言え、中位の
それに、そもそもの事だが、私の対プレイヤー戦闘の本番は
それらの魔法を全て使った私の本体には、例え八欲王と、八欲王と同じ力を持ったギルド:アインズ・ウール・ゴウンに所属するたっち・みー全てを相手取ったとしても、何の問題なく倒す事が出来るだろう。
「私こそが、この世界を守るのだ」
改めて決心した私は、大虐殺が起きる王国対帝国の戦争の日まで、黄金鎧を操り、自身の監視場所の巡回を始めた——
◇
帝都に襲来したドラゴンとダークエルフを見て、この世界もまた原作と同じように、アインズは魔導国建国を行うようだ。
今回、私はアインズが超位魔法を詠唱している内に、襲撃をかけようと考えている。仮にあの魔法を放たれた場合、邪魔な敵兵を増やす事になる。
あんなものが五体も作られた場合、流石にルベドとマーレを突破する事は出来ないだろう。いや、出来るには出来るが、その場合〈滅魂の吐息〉と同じ効果を持つ光線を放つ必要性がある。
確実に私が彼の仲間を消した存在だと、彼らに宣伝する事になる。今は決して、その情報を与えてはいけない筈だ。私の事は、ちょっと魔法が使える戦士だと判断して貰わねばならないのだ。
さて、襲撃をかけるにあたって、亡き母が残してくれた
もちろん、黄金鎧にアイテムを持たせる訳ではない。その
【ギャラルホルン】で生み出される天使は、アインズでさえ全力で戦う必要性のある、
超位魔法を詠唱している暇はなく、本気モードのアインズ様で天使を迎え撃たなければならないだろう。また、ルベドの力量も測る事が出来る。ルベド以上の力を持つらしい、あれらと戦う事も考えると、ルベドの力を正確に測る必要がある。
他にも、アインズ様のみが使えるモモンガ玉の能力も、出来れば確認したい。対竜の効果も持つ
「地震か...」
全く、高位の位階魔法は災害級の魔法ばかりだ。それに、地割れを起こせるほどの地震を起こしたにも関わらず、術者付近のみと言う都合の良い魔法だ。
竜が持つ魔法的感覚でその魔法を知覚する。もう少し時間が経てば、帝国兵が動員され、戦争の準備整う筈だ。私はその時まで、ゆっくりと待つ事にしよう。
戦争が始まる。王国兵もエ・ランテルに集合しており、明日には戦争が始まるらしい。力量を完全に把握し、出来れば一度殺せるように、戦場となるカッツェ平野を高高度から偵察する。
アインズは確か、要塞の場所から出てくる筈だ。また、その横に【強欲と無欲】を装備したマーレがおり、太陽に重なるようにルベドがいた筈だ。
それらは見えないものの、
その後は私は、帝国の拠点に転移で一度帰還し、明日の戦争にて仕掛ける案を、改めて脳内シュミレーションする。自己強化の
それによって、万全の状態で奴らに襲撃をかける事が出来る。いや、そうしなければ、鎧に込めた魂が少な過ぎて負けてしまう。私本体とは違い、黄金鎧に込められる魂は
しかし、そんな程度の力しかない黄金鎧とは言え、上位の中でもさらに上位のプレイヤーでなければ、真正面からぶつかりあって負ける事はない。
◇
戦争が始まる。その為、私は黄金鎧で予め込めていた魂を消費していき、自己強化の
そして次に、【ギャラルホルン】を使用して、
突如、両軍の中間地点に現れた謎の黄金鎧と天使4体。明らかに異様なその存在に、アインズは警戒している筈だ。超位魔法を詠唱中であったにも関わらず、その詠唱を止め、隣にいた
なるほど、原作とは違い、ダークエルフの護衛を二人に増やしたようだ。また、太陽に被さる様にアインズの護衛をしていたルベドらしき存在がこちらに襲いかかってくる。
私は取り敢えず、ルベドに二体、ダークエルフ二人に一体ずつ天使を割り振る。そして、私自身はアインズに向かって一直線に襲撃を開始した。しかし、そう簡単に王への道は切り拓けない様だ。
こちらに襲いかかってくる
私は手を頭の上に持っていき、腰を軽く弓なりにしならせ、勢いよく手を振り落とす。突如、原子爆弾を落としたような爆発を引き起こし、襲いかかって来た
「なんだと!?」
一撃で倒す事は不可能な
アインズは槍を避けたものの、ハンマーにはぶつかった。〈光衣〉を使っている事で、ノックバックしたアインズは要塞の方へ吹き飛ばされる。
「ちっ、〈
「...」
確か今の魔法は——前者の魔法は殴打無効、後者の魔法は刺突無効であった筈だ。そしてその魔法は第十位階である為、MPの消費が激しい筈だ。
「〈
このアンデッドは知っている。我が兄が操る白金鎧と戦っていたアンデッドだ。しかし、そんな存在は邪魔なだけで、私が殺すべき存在はアインズである。
早々に片付けるべく、剣を振りかぶって上段から攻撃する。受け止められるものの、背後から操った斧でこのアンデッドのHPを削る。また、槍をアンデッドの肩に突き刺す事で、さらにHPを削る。
アインズの目が光ったと思うと、
人間では不可能な回避で
剣ごと
「...っ!? 〈
襲い掛かる雷を回避する事なくアインズに襲い掛かった私は、上段からの剣の攻撃でアインズのHPを削る。
更なる追撃を加える為、槍とハンマーを操り攻撃するも、〈
「貴方は一体何者だ!?」
「何もしていない存在...いや、盗賊を倒していた者たちをいきなり消す外道が...貴様と話す予定は無い」
「待て待て、本当に何を言っているんだ?」
本当に何を言っているのだろうか?
そう思っている筈だ。今の私は、シャルティアとセバス・チャン、ソリュシャンをいきなり殺した存在の親玉—— アインズをそう勘違いしている存在だ。
鉄色の鎧は捜索中の存在、黄金鎧はその捜索中の存在がアインズであると勘違いしている存在、嘘で彼らの情報網を攪乱しているのだ。
私は剣を振りかぶり、ユグドラシル史上最強のスキルの一つを使用する。
「さらばだ、〈
しかし、突如割り込んできた黒騎士にその攻撃を受け止められる。確かこの鎧は、アルベドだろうか?
なるほど、鎧にダメージを受け流すスキルを使用したのだろう。しかし、それがどうしたというのか?
私が用いたスキルは連発こそ出来ないないものの、ある程度時間が経てば、再度の使用が可能だ。視界外から首に向かって襲い掛かってくる剣をスキルで防ぐ。
「〈次元断層〉」
そして私は、攻撃を仕掛けて来た存在に斧と槍、ハンマーで攻撃を仕掛け行動を制限する。また、目の前のアルベドに対しては、足を前に踏み込んで使用するユグドラシル由来のスキルを使用して、後方に吹き飛ばす。
次に、先程攻撃を仕掛けて来た存在、コキュートスに対しての攻撃を開始する。それにしても、まさかこの様な事になるとは思ってもいなかった。情報を探る為、自身を囮にしていたのではなかったのか?
背後で戦う天使たちの体力も残り4割をきっている。特に、ルベドの強さは想定以上に強かったらしい。なるほど、ルベドの強さは八欲王と同格たるたっち・みー以上というのは本当という事だ。
とはいえ、
唯一不満な点があるとすれば、アインズが原作で見せる事がなかった魔法、スキルを見せてくれなかった事くらいだ。やはり、警戒心が非常に高いプレイヤーは危険だ。
ついでに襲い掛かってきたアルベドとコキュートスを相手にしながら、私はそのような事を色々と考えていた。
それにしても、直接的に相手取っているアルベドとコキュートスは、なかなか危険だ。特に、コキュートスの猛攻とアルベドの硬さは危険だと思える。
彼らの攻撃を全て受け流し、反撃をする事も可能であった。ふむ...そろそろ撤退するべきだろう。スキルの再使用が出来る事を知覚し、私は強力な攻撃を加えて逃走しようと考えた。
「〈次元断層〉」
スキルを使用したコキュートスの攻撃を無効化し、私は剣を上に振りかぶった。私が何をするのか?
それが分かったアルベドはスキルを使用して防御を固め、アインズは二人にバフ魔法をかける。なるほど、流石にこの一撃で殺す事は不可能か...
「〈
超弩級攻撃を放った後、私は空に飛ぶ。
「最後に聞きたい、貴方が先程言っていた者は私ではない! 詳しく聞かせていただきたいが...無理なのだろう?」
「信用性がないからな」
アインズの問い掛けを切り捨て、私は〈世界移動〉を使用した。
◇
帝国——ではなく、本拠地ではないものの、こんな辺境の地ではない場所に帰還した私は、帝国にいる本体の体で目を覚ます。次に仕掛けるタイミングは、聖王国を侵攻したマッチポンプの魔王——ヤルダバオト討伐の為、行動し始めるアインズだろうか?
その前に、帝国の皇帝が法国との密談中に現れたアインズにビビり、属国化する事は防ぐべきだろう。法国は対アインズ・ウール・ゴウンに使える存在だ。
そのような事に悩みながら、私は一先ず休む事にした。流石に疲労したのだ。目を瞑り、ゆっくりと休む事にした——
◇
魔導国を建国したアインズは、原作と同じように、冒険者を得るべく帝国からの引き抜きを考えた。一方、帝国は法国と密談する為、密談場所をコロシアムに指定しようとした...その時——
「少し待ち給え」
「っ...! 何者だ!」
「その場所には、素直にこの帝城を勧める。魔法学院やコロシアム、冒険者ギルドは勧めない」
「待——」
「私は警告したぞ、では、健闘を祈る」
この行動によって、帝国が魔導国の属国となる事はなかった。法国と裏で同盟を組めたのかは不明だが、法国が魔導国に包囲される可能性が低いのは良い事だ。
◇
そして遂に、マッチポンプ劇場となる聖王国に悪魔に率いられた悪魔たちが侵攻をし始めた。私は問答無用と言わんばかりに、ヤルダバオトを名乗る存在を黄金鎧で抹殺した。
もちろん、純粋な戦士として襲撃した為、〈滅魂の吐息〉光線を使用する事はなかった。
さて、何故私がヤルダバオトを抹殺したのか?
そう疑問に思うだろう。しかし、逆に考えて欲しい。聖王国にて、確実にアインズを殺す事ができるのか、と。普通に考えて、先のように割り込まれ、アインズを殺す事は出来なくなるだろう。
また、聖王国がアインズ側についてしまうと、魔導国を逆に包囲する作戦が破綻してしまう。アンデッドが支配する国家など、聖王国が認めるわけがない。確実に包囲網を組まれる筈だ。
アインズを殺せるタイミングを逃す事にもなったものの、ヤルダバオトを名乗る傭兵モンスターの排除は、確実に戦力を減らせる事につながった。これからも、地道に戦力を削っていこう。
あれ?
もしかして、滅国の魔女編は起きない?
襲撃されていない聖王国への援助物資を魔導国が出す訳もなく、支援物資がないのであれば、支援物資を強奪した馬鹿貴族によって戦争は起きない。
魔導国の対王国戦略は、民衆に望まれる形での介入であった筈だ。そのような事が起きる事は、何があろうとも阻止するべきだ。
ふむ...一体どうすべきなのか?
ああ、そうだ——あっちがマッチポンプするのであれば、こちらもまたマッチポンプをすれば良いのだ。
あの馬鹿貴族に魔導国の国旗を踏み躙らせ、アインズを激怒させれば良いのだ。そうすれば、アインズは原作通り、王国に住む住民を片っ端から虐殺する筈だ。
結果的に、魔導国と我が兄が住む評議国の国境は接する事になる。対魔導国包囲網の完成であり、あの兄もアインズ抹殺マンとなる。非常に良い選択だ。
早速私は鉄色の鎧を操り、認識阻害のアイテムを持って、あの馬鹿貴族の元に移動した。飢えに苦しむ領民の為、魔導国に援助をして貰えば良いのではないか、と持ちかけたのである。
また、その援助を他の貴族にも勧め、親魔導国派閥を作り、その派閥を率いてはどうだ、とも言った。もちろん、援助物資は無限にある訳ではなく、援助先が増えるにあたって、援助物資も少なくなるだろう。
魔導国に近いところに領地があるあの馬鹿貴族は、領内を通る魔導国商人からそれらの荷物を収奪し、アインズの機嫌を損なう可能性があるという作戦である。
その日まで、私は休息をとりつつ、監視区域を探り、偶に魔導国を高高度から監視すると言った日々を送っていた。
しかし、魔導国が王国と戦争する気配を見せる事もなく、平和的な時間が流れた。法国もまた、エルフ王を排除したのか、【傾城傾国】を使ったのか不明だが、エルフ国との戦争を終えた。
明らかに、原作と違う展開だ。もしかすると、魔導国は世界征服を辞めたのか?
そう不安に思っていた時、馬鹿貴族がやってくれた。あの馬鹿貴族は、しっかりと魔導国の国旗を踏み躙ったようで、魔導国は王国に宣戦を布告し、虐殺を開始した。
◇
私は今、王都近郊にある森林にて、我が兄が操る白金鎧と密談をしていた。
「シャルル、君もまた魔導王を殺すのかい?」
「その通りです、アガネイア殿」
シャルル・ビービー、リク・アガネイア、何故このような偽名を名乗った会話を、このような所でしているのか?
それは、何処で何をされているか不明な為、この鎧で会う時は常に偽名を名乗ろうという提案をしたのだ。また、ツアーが密談場所をここに指定してきたのだ。
「アガネイア殿、貴方は一対一で魔導王を?」
「ああ、護衛している宰相アルベドは、協力して貰っている人物に頼む事にしたんだ」
「そうですか。私が魔導王を殺しても良いのですよ?」
「シャルルは一度、魔導王と戦っているんだろう? 私にも見極めさせてはくれないかい?」
なるほど、一理ある。しかし、彼が戦うアインズは、
また、我が兄がアインズの実力を勘違いする可能性がある。少し粘るか...
「アガネイア殿、私の方が確実に倒す事が出来ますよ?」
「未来を考えると、私も彼の実力を知っている方が良い筈だ」
「なるほど、では、一対二で戦うのはどうですか?」
「そうなると、魔導国軍本隊を率いている存在が此方に来る可能性がある」
確かに、一対一であるからこそ、彼らは実験をする筈だ。殺されるとなった場合、実験を止め撤退など、何かに振り切る筈だと考えられる。
「まあ良い、ではアガネイア殿、よろしくお願いします」
「ありがとう、ではシャルル。魔導国軍本隊を率いている存在を頼めるかい?」
「了解した。ではな、アガネイア殿」
私は王都にあるボロ屋に転移し、恐らくという予想はあるが、インベリアに転移する予定のイビルアイに逢いに行く。戦力としての価値は無いが、彼女の知識を奪われるわけにはいかない。
仮に奪われた場合、私が勘違いしている事を勘違いさせる為に、嘘を言ったのだ。
イビルアイに会う為に冒険者組合へと歩いていたが、途中彼女たちが怪しい家周辺にいる事を知覚する。
(原作でも、法国の特殊部隊である漆黒聖典自らが青の薔薇と朱の雫を勧誘していたか。なるほど、ここだったのか...)
不法侵入だが、私はその怪しい家に侵入する。そして、複数にいる部屋の前にまで辿り着いた私は、ノックもせずに部屋に入る。
当たり前の事だが、密談中の部屋にいきなり完全武装の怪しい男が入ってきた場合、戦闘態勢に入るのは当たり前の事だろう。
「貴様、何者だ」
「慌てるな、そもそも私はあの魔導国の者では無い。それにしても...漆黒聖典に青の薔薇、朱の雫か...まあ良い。貴様らに用は無い」
「なんだと? では、何の用だ?」
「イビルアイ、君を奴ら捕らえられる訳にはいかない。無理矢理であろうが、私は本拠地に君を連行する」
いきなりの事で、青の薔薇に動揺が走る。目の前にいる黄金鎧は一体何者なのか?
「本当に何者だ?」
「今の私の名は、シャルル・ビービーという」
「今の、ねぇ」
「先に宣告するが、君たちで私を倒す事は不可能だ。漆黒聖典の第一席次やそれに匹敵する者であったとしても...な...」
「っ...!?」
それに匹敵する者とは、番外席次たるアンティリーネ・ヘラン・フーシェ...我らとの盟約に反する存在だ。その存在がバレているなど、漆黒聖典からすればすぐさま暗殺したい存在だろう。
「安心しろ、そもそも私は悪く無いと考えているからね。子供に罪はない。さて、君たちには警告する。さっさとこの王都から消え失せろ。全力では無いものの、ある程度の力を使う為、王都であろうがなんだろうが、奴らを殺す為に破壊し尽くすことになる」
「ほう? お前はアイツらとやり合おうってか?」
「ああ、協力者が魔導王と宰相アルベドを消すと言っていたからね。私は本軍を殲滅し、指揮官たるNPCを殺害する」
「待て、いや、待って貰おう。えぬぴーしー? 奴らは我らが神と同郷のものだというのか?」
法国は、アインズ・ウール・ゴウンの事をプレイヤー及びそのNPCだとは思っていなかったのか?
本当に愚かな馬鹿どもだ。いや、ご先祖様のプレイヤーに愚かだと言いたい。何故、危険なギルドくらい教えておかなかったのか?
「法国の貴様らに良い情報を与えてやろう。アインズ・ウール・ゴウンはユグドラシルの中でも評判の悪い、人間種狩りのギルド名だ」
「人間種狩り!?」
「それと同時に、警告しておこう。仮に、この場にいる者が魔導国の軍門に下った場合——」
「下った場合?」
「法国であれば1500万以上の国民を鏖殺し、冒険者の貴様らであれば、地獄の果てまで追い詰め、その間世話になった国家や団体、全てを鏖殺する」
プレイヤーを殺したい、その気持ちを込めた言葉は、自分でさえ驚く程冷たい声である。皆、目を見開き武器を構えるも、私はそれを無視してイビルアイに近付く。
「さて...イビルアイ、抵抗しないで貰えるかな?」
「何故、私を連れて行く?」
「君は自分の価値を理解していない様だ。正直に言うと、今この瞬間にでも君を消し去りたい程度には、君の事を評価しているよ」
「そうか...その格好、その声、そしてその冷酷な考え方、貴方はウリエ——」
「待て、それ以上は言うな。さて、イビルアイ? 君は来てくれるね?」
悩む様子を見せるが、何やら言いたい事があるらしい。私に近付き、私の耳元で色々と話してくる。
なるほど、青の薔薇のリーダーたるラキュースは原作と同じくこの街に残り、最後まで徹底抗戦をするつもりの様だ。そして、他のメンバーは死ぬとわかっている戦闘はしたく無い、と。
仕方ない——徹底的に殴打し、彼女がイビルアイの洗脳系魔法によって洗脳させる又は気絶させる。それを了承し、私はレベル100違い圧倒的なステータスを用いて、ラキュースを一瞬で気絶させる。
突如暴力を振るった私に対し、漆黒聖典や彼女の叔父たるアズスは武器を抜くが、他の青の薔薇メンバーは武器を抜かない。イビルアイの思惑を察したのだろう。
「イビルアイ、これで来てくれるんだね?」
「ああ、行くとすれば、皆と共にだ」
「了解した。では——」
「待て、貴様...
何と答えるべきなのだろうか?
しかし、今は本当のことを話してやろう。そもそも、今の芸能をする事が可能な存在など、
此度の揺り返しにて来たプレイヤーは、アインズ・ウール・ゴウンであり、神人は法国やエルフの王と少数である。であれば、
「如何にも」
「忌々しい
「何度も助けられておいて、上から目線か? 法国の無能共が...」
「助けられた、ですか...本当に我々を苛立たせますね」
「はぁ〜、本当に無能だな。帝国が、何故魔導国に屈しなかったと思う? アベリオン丘陵にいた亜人種を束ね、聖王国に侵攻したヤルダバオトが突如消滅すると思うのかい? 他にも、竜王国を侵略していた亜人種どもが突如侵攻しなくなったのは何故だと思う?」
そうだ。この馬鹿どもを助ける為に、いろいろと暗躍していた魔導国の足を引っ張り、魔導国の味方となる国の要因を叩き潰すといったように、いろいろと裏で行動していたのだ。
それにも関わらず、例の一つも言わないとは...いや、気が付いていない無能さに苛立つ。
「まあ良い。一つ、良い情報を与えてやろう。冒険者モモンを信用するな。ではこれで...〈世界移動〉」
彼女たちを本拠地では無い場所に転移させ、本体で一応の挨拶をする。
その後、私は以前と同じ様に、黄金鎧で様々な自己強化系
次に、【ギャラルホルン】で天使を召喚し、それらの天使を伴って王国近郊で王国軍を虐殺しようとしている魔導国軍に襲撃を仕掛ける。
「黄金ノ鎧...オマエハ、アノ時ノ戦士カ?」
「...」
コキュートスの問いかけに私は応じず、コキュートスとマーレに向かって天使を二体差し向けた。
原作とは違い、総大将にコキュートス、副官にマーレ、その横にルベドがいた。私はルベドに二体、その二人に天使を一体ずつぶつける。そして私は、魔導国軍を構成している傭兵モンスター集団に対し、私が持つ最強の
その魔法は上位の
イメージは水素爆弾なのだが、この魔法は込めた魂の消費量が異常である。もう一度この鎧でこの魔法を使用する事が不可能なほど、込められた魂が消費するものの、見ての通り、強力な魔法だ。現に今も、一撃でこれだけの軍隊を壊滅させた。
「バカナ...」
このような戦闘では、一番弱い弱者から叩き潰す必要性がある。マーレとコキュートスは確か同じ程度の実力であった筈だが、天使を盾に攻撃するのであれば、図体がデカいコキュートスの方が戦いやすい。
戦士にあるまじき行為だが、私は天使と戦うコキュートスの背後から攻撃を開始した。直接的に攻撃する
「取り敢えず、貴様から殺す」
「グゥゥゥゥゥ」
右腕全てを切り裂く。それによって、コキュートスはこちらに向き、私に攻撃を仕掛けてくる。しかし、それは天使に無防備になると言う事でもある。
天使の攻撃をくらい、攻撃速度が緩むコキュートスだが、彼はスキルを用いて速度を上げ、さらにスキルを使用して強力な攻撃を私に仕掛ける。だが、私には例え
「〈次元断層〉、さて——」
今使用した防御手段の対となるスキルを用いるべく、私は剣を上段に振りかぶった。
「先ずは一人目だ——〈
頭から股まで真っ二つにし、コキュートスのHPを削りきる。やはり、八欲王を殺して得たワールドチャピオンの
超弩級攻撃である〈
私はコキュートスを相手していた天使をルベドに追加派遣し、私はマーレを殺すべく彼に襲い掛かった——
◇
私はあの後、マーレを殺す事に成功したものの、最後の強敵たるルベドの排除に失敗した。時間さえあれば、倒す事は可能だった筈だが、二つの要因で失敗した。
一つ目の要因は、援軍に来たアウラとその僕たちが邪魔であった事。二つ目の要因は、時間切れとなった事だ。パワードスーツを着たアズスが時間稼ぎに失敗し、一対一の戦闘が一対二となった為だろう。
「あんた、必ず殺してやるから!」
「...」
心のないNPC如きがと苛立つも、私は待ち合わせしていた森林の場所に転移した。
「アガネイア殿? 魔導王は殺せたのか?」
「いいや、殺さなかったよ。シャルル、譲って貰ったのに申し訳ないね」
「お前は...あの時の黄金鎧か...」
「うん? なるほど、君がアガネイア殿の協力者だったのか。私は彼の知人さ。ああ、君の妹なら殺されないように保護しているよ」
「...ありがとう。助かるよ」
その後、私はツアーやアズスと話し、原作と同じ事を認識出来た。彼らとの会話を終えた後、転移でイビルアイたちと私の本体がいる拠点に転移する。流石に気絶から回復していたらしく、仲間たちと取っ組み合いになっている青の薔薇を見て、私は苦笑いをした。
そうだ——プレイヤーというウイルスなどに侵された存在ではなく、こう言ったこの世界にある普通が良いのだ。
「さて、青の薔薇諸君、本拠地に移動しようか」
「っ...今回はありがとうございました」
「王国は!? 王国はどうなったのですか!?」
「まあ、魔導国軍とその指揮官、副官は殺したが、まあ復活するだろうね。恐らくだが、王国は滅びるだろう」
「そう...ですか...」
やはり、自分が生まれ育った国が滅びると言うのは、悲しいものなのだろうか?
いや、それは当たり前か。嫌な国家であったとしても、自分の母国だ。それに、彼女は自分の国をより良くしようと行動し、悪に抵抗していた者だ。
だが、いつまでもメソメソされては困る。私は彼女に今ある命を大切にするよう言い、共に本拠地に転移した。ラナーを見たラキュースが、目ん玉が飛び出るほど驚いていたものの、彼女たちの追求の目を無視して自室に戻る。
椅子に座り、私は目を瞑った。今回の攻撃によって、ギルド:アインズ・ウール・ゴウンは傭兵モンスターを大量に失い、二人の守護者を生き返らせるべく、金貨十億枚を消費する事になるだろう。
目を開け、手を上に挙げる。私は改めて、あのギルドを完膚無きまで破壊し、プレイヤーたちを完殺する事を決意した。
「今は取り敢えず、前に進もう。戦い続ける事が、奴等に抵抗する事になるのだ」
棚にあるワインをワイングラスに注ぎ、一気に呷った。今は取り敢えず、今回の勝ちを喜ぼう。
今回で終わりです。ありがとうございました。