チェンソーマン外典:The AvengeDevil 作:霧屋堂
復讐、報復、雪辱、そればかり考えてきた俺の人生って奴は、この世のどんな奴よりもドス黒く燃え盛っているのだろう───
あの日、あの「銃野郎」のせいで全て失った。
家族、友達、故郷、そこに染み付いた思い出さえ全部跡形もなく吹き飛ばされた。
俺が何をした?家族が何をした?友達も故郷も思い出だって何も悪い事なんて無かったのに全部消し飛ばされる必要なんてあったか?
全てに恨みを抱いた俺は、広い荒野になってしまった故郷で雄叫びを上げた。
それが俺の「復讐者」としての産声だった。
全ては銃野郎への復讐のために、扱えきれもしない武器を片手にその辺の悪魔に襲いかかって殺す。そのせいであちこちに傷ができて、歯を数本、左手の薬指と小指を第2関節まで失った。
それでも止めようという気にはならなかった、この時点で頭のネジなんて数本ぶっ飛んでいたのかもしれない。
そうやって悪魔を殺し続けてたある日、「アイツ」に出会った。
「おいそこのお前ェ…い〜い「復讐心」持ってんじゃねぇか。」
それはドス黒い炎の人型だった。いきなり話しかけられて驚きはしたが、いつも通り殺しに行こうとした、だが、
「まぁ待てよォ…そうやって殺気立ってちゃあまともに交渉も出来ねぇだろ?」
と意味ありげに止められたので、つい
「交渉だと?」
と、聞き返してしまった。
「お、ちょっとは話が通じるみてぇで良かったぜ。じゃあまずは自己紹介だ、オレは「復讐の悪魔」だ、よろしくなぁ。」
復讐と名乗っている割には炎のような見た目をしていることに疑問を持った俺は、
「復讐?炎じゃないのか?」
そう聞いた、すると人型は笑って、
「知ってるかぁ?「復讐」っていうのはよぉ、決まったカタチってのがねぇんだよ、だからオレの姿ってのは不定形で、対面してる奴の復讐心を反映してんだ。」
と説明した。
「俺の復讐心が、その炎って事なのか?」
「そういう事だ、人によっちゃあ泥の塊だったり毒薬だったりナイフだったりと、まぁ本当に色々だ。」
やれやれといった感じで悪魔が首を振る。
「で、その復讐の悪魔が俺になんの交渉をしようって言うんだ?」
悪魔はよくぞ聞いてくれたという感じにこう言った。
「お前ェ…あの銃の奴に復讐してぇんだろう?ただアレに挑むには自分がどんなに力不足かも自分でわかってる…そこで提案なんだがよォお前に力をやるからよぉ…オレをお前の体に住ませてくれねぇか?」
あまりにもぶっ飛んだ交渉内容に、一瞬固まってしまった。
「はぁ?!」
「普通ならこんな破格の契約しねぇんだからありがたく思えよォ?腕の一本二本かるーく──」
「待て待て待て!?一体俺の何が目当てなんだよお前!!?」
「だから言ったじゃねぇかよォ、いい復讐心持ってんじゃねぇかって。」
「それだけなのか…?」
「それだけだぜェ?」
悪魔は決断を急かすように迫ってくる。
「お前のその指とォその歯もついでに治してやるよ、だから良いだろォ?なァ?破格の破格にお釣りまでつけてんだからよォ?」
悩みに悩んだ、だがコイツの力を借りる事でアイツに復讐できるなら構わないと思い、
「……少し癪だがわかった、契約する。」
と言うと、悪魔はその言葉を待っていたとばかりに、
「い〜ぃねぇ!!契約成立だァ!その復讐心の燃え上がる様を間近で見れるならもう何でも良いぜぇ!!」
すると悪魔は口からいきなり体内に入ってきた、熱いし苦いしで不快になる。
「何しやがる!?」
すると数秒後、脳内から直接
『お前と融合するためにはこれしか無かったんだから許せェ…』
と聞こえてきた。ようやく不快感が消えたと同時に、左手と口の中がとても熱くなっているのを感じた。左手を見ると、失っていた指が綺麗に再生している。口の中の感覚からして歯も本当に再生してるらしい。
「はぁ…とんでもないもんと契約しちまったかもしれねぇ。」
あまりにも現実離れしすぎて少々げんなりした。
『ヒャハハ、今更取り消しは無しって奴だぜぇ!!』
「うるせぇよ…ところでお前、俺はお前をどう呼べば良い?『復讐の悪魔』じゃ呼びにくい。」
『そうだなァ…じゃあリヴェンジから「リヴェ」って呼んでくれ。』
「リヴェンジからリヴェか、わかった。」
『そういや聞いて無かったがよぉ、お前の名前は?』
「俺は柄共 弾、呼び方は好きに呼んで構わない。」
『OK!!よろしくなァ ダン!!』
こうして、俺こと柄共 弾とリヴェの復讐の物語が始まった。