こんばんは、わたあめぷりんです。
今回はかなり暗いお話になっているのでご注意ぐださい。
香澄が家の鍵を忘れ、帰れなくなったため、家に招待することにしたが、問題は山積みである。
まず、布団がひとつしかないこと、女物の着替えがないこと、一人暮らしとはあまり知られたくなかったなどがあるが、あのまま香澄を1人で残して帰る訳にも行かなかったので、そのまま家まで連れてきた。
「お邪魔しまーす」
「どうぞ上がって」
「ここが双葉のお家かぁ〜男の子の家で2人きりなんて、初めてだから、ちょっとドキドキする・・・・・・」
「女の子と二人きりでお泊まりなんて、俺も初めてだよ」
・・・・・・しばらく沈黙が続き、何か話題はないかと思い探っていると、香澄からついにある質問が来る。
「双葉ってなんで1人暮らしを初めたの?」
「っ!」
あまり触れられたくのない事だった。
だが、ずっと隠しておくのも無理がある話だ、せっかくの機会だし、話しておこう。
「ごめん!嫌だったら大丈夫だよ!」
俺が苦い顔をしたため、香澄は不味いと思ったのだろうか、話さなくてもいいと言うが、
「ううん、香澄だったらいいよ・・・・・・俺の昔の話をするね」
2年前、俺が中学3年生の冬の話だ。
帰り道、ニ"ャ”ー、と猫のすごい鳴き声が聞こえ、何かあったのかと、声のする方に行ってみると、クラスの奴らが集団で猫をいじめて遊んでいるのを見つけた。
それを見かけた俺は考えより先に行動に移っていた。
「何やってんねんお前ら!」
「あ?何?なんか文句あんのか?」
「お前荒川やん?何お前?正義のヒーロー気取り?」
「別に正義のヒーロー気取ってる訳やないねんけど、こんなしょうもないことしてるお前らより、よっぽどいいことしてる自信があるわ」
思ったことを正直に言うと、その場にいたアホ共は皆イラついた顔をしていた。
「っ!ほんま気持ち悪っ、せっかくええとこやったのに、なんか冷めたわ、おい、帰るぞ!」
と、リーダー格の男が言うと、皆そいつに続いてその場を後にする。
アホ共が、どっかへ言ったのを確認し、さっきまで虐められていた猫の元へと近づいた。
「もう大丈夫やで」
「シャア"ァァァ!」
しかしさっきまでいじめられていたせいか、完全に怖がっていて、差し伸べた俺の手を払い除ける様にして、どこかへと走り去って行ってしまった。
「痛った〜・・・・・・もうあんなアホに捕まるなよ」
と言い、大分時間を食ってしまったので、俺も家へと向けて足を進める。
その翌日からいじめが始まった。
いじめの内容最初のうちは物を隠される、クラスのグループからハブられるなどの軽いものだったのだが、時間が経つにつれて、内容は次第にエスカレートしていった。
酷い時は暴力なんてのは当たり前で、しまいめには、物が壊されたりもした。
しかし、そんなものを気にしていては、こっちの身が持たないし、もうあと数ヶ月の仲なので、どうでもよかった。
そんな時事件が起こった。
奴らはあの時の猫を見つけ出して来て、カゴの中に入れて俺の前へと連れてきた。
そしてあることを告げてきたのだ。
「猫が大事なら、今日の放課後、近所の河川敷まで来い」
「は!?何いってんねん!お前!!ふざけんなや!!」
「そうそう!その顔!!その顔を期待しててん!!」
訳の分からないことだけを言い、過ぎ去ろうとする。
あまりにも訳が分からず、後を追いかけて問い詰めようとしたが・・・・・・
「おい、俺の言うたんは、放課後や、約束守れんのやったらこの猫しらんで」
「クソ野郎が・・・・・・」
今すぐ追いかけたかったが、今は奴らの言うことを聞いておいた方が良さそうなので、放課後まで待つ。
そして放課後になり、指定された河川敷に向かうと、先に奴らは到着していた。
「遅いぞ!」
「それは悪かったな、んで?ちゃんと来たし、その猫渡してくれるんやんな?」
「は?渡すわけないやんww」
と彼等は言う。当然そのまま渡してくれるとは思っていなかったので、最悪力づくで取り返すことになると思った。
「てか、荒川?なんでこの猫ためにそんなに必死なん?」
「さあ、なんとなく?特に理由なんてないわ、強いて言うなら気分?」
「あっそ、でどうやってこいつ助けだす気なん?」
「さぁ?どうやったら返してくれるん?」
「そやなぁ?向こうの岸まで行って、ここまで戻って来れたら、かな?まぁこの時期に川に入るなんて、寒くて出来んやろけどww」
と言って来るが、上等だ、やってやるさ・・・・・・幸い、この川はそんなに深い場所ではないので、溺れることはないだろう。
「ってほんまに入りやがったぞ!あいつあほやろw」
「うわー!アホやアホがおるw」
アホにアホと言われるのはいい気がしないが、やっている事は完全にアホだ。
見ず知らずの猫のために、真冬の川に入っているのだ。
「コラー!!川に入って何してる!!」
その後も順調に泳ぎ続けていた時、大きな声が聞こえて、今度はなんだと思ったら、近くを通りかかった人が、川遊びをするなとブチギレていた。
「やべぇ!逃げんぞ」
「おい!置いてくなや!」
アホ共はそのまま逃げていき、俺は川に残されたままだ。
さっさと、陸地に上がり、カゴに入れられたままの猫を解放して、ブチギレてる人にお説教を受けて、帰るとしますか。
と思った時に、俺は足がつってしまい、泳ぐことができなくなった。
「痛っ!やべっ!助けっ!」
そのまま俺は水の中へと吸い込まれ死を悟り、意識を手放した。
次に俺が目を覚ましたのは、病院のベッドだった。
(あれ、ここどこや?今何時やろ?)
目を覚ましたあとは自分に何が起きているか?分からない。なぜ自分はたすかったのだろうか?一体誰が助けてくれたのだろうか?
思考をフル回転させるが分からないことが多すぎたので1回考えるのをやめ、とりあえず立ち上がろうとしたが思うように立ち上がる事でが出来ず、ベッドから転げ落ちた。
その音で看護師さん達が駆けつけて来て、一時は大騒動になった。
その後は、警察が来て、事情を聞かれたりとか、色々と大変だった。
そして衝撃の事実が、俺は1ヶ月近く入院していたらしい。
1ヶ月、たった1ヶ月だが、リハビリの事などを考えると、もう、入試には間に合わず、俺は高校生活を送ることができなくなってしまった。
入院生活が続き、全て失ってしまったかのように思え、人生全てが嫌になり、消えてしまいたくなった。
そんな時、なんとなく病室の窓を見てみると、そこから見える景色から、トクン、トクン、トクン、トクン、トクン――。と心地よい音が聞こえた。
その音を例えるなら星のコドウだ、その音を聞いた時に、俺はまだ生きたい!消えたくなんてない!そう思えた。
数ヶ月のリハビリを経て、特に後遺症もなく、普段通りの生活を送れるようになった俺は、バイトをして過ごしていた。
そんなある日、スマホで高校について検索していると、あるニュースが目に止まった。
花咲川女子学園来年度から共学へ!
なんとなくその記事を開き、学内の風景を見ている内に、俺はここに行きたい!と思った。
しかも場所は東京と、新しく生活を送るにはもってこいの場所だった。
俺はその日の夜に両親に話をする。
「お父さん、お母さんお願いがあるんやけど・・・・・・」
「「どうしたん?」」
「俺、行きたい高校見つけてん」
と言い、花女の記事を見せる。
「なんでここに行きたいんや?」
と、父親に理由を聞かれ、俺はなぜ花女に行きたいのか、自分の思いを正直にこたえる。
「俺は、ここに行って、初めての土地での生活や、新しくなる学校で、新しい自分をスタートさせたい!」
「いいんやない?せっかく人生で1度きりの高校生活なんだから、ちゃんと行きたい理由があるなら」
「せやな、よし!双葉、頑張れよ!」
「えー!ええん!?」
自分で行きたいと言っておいてなんだが、こんなに簡単にOKを貰えるとは思っていなかった。
「ええよ、お前が行きたいって決めたんやろ?」
「いや、せやけど、言い出しといてこんなこと言うのもアレやけど、お金とかも結構かかるし、ほんまに大丈夫なん!?」
「あーその辺は大丈夫、お前をいじめてた奴らの親からたらふくお金渡されてるから、その金使ったら、多分大学までは余裕で行けるで!」
「待って!それ初耳なんやけど!」
「あっ!せやせや、双葉元女子高に通うんやから、もしハーレムとか作れたら、お母さんに紹介してなぁ〜」
「おっ!双葉ハーレムか!ええなぁお前幸せもんやな!」
「いや!せっかくええ話で終わりそうやったのに、台無しや!」
そんな感じで、花咲川学園を受験して、合格したあとは、一人暮らしをスタートし、今に至る。
「てな感じで一人暮らしすることになったんだ。ごめんね俺のみっともない話を長いことしちゃって・・・・・・元いじめられっ子だったなんて、ダサくて引いちゃったよね」
香澄に俺が一人暮らしするまでに至った経緯について話をしたが、あまり面白いものでもなく、むしろいじめられていた男のダサい話だ。
「香澄・・・・・・!?どうして泣いているの!?ごめん!こんなつまらない話しちゃって!!」
「ダサくない!」
「うわっ!」
香澄が急に大きな声をあげたのでびっくりして、変な声がでる。
「ダサくない!ダサくない!ダサくない!双葉はダサくなんてない!」
「か・・・・・・香澄?」
「双葉はすごいかっこいいよ!猫ちゃんのために一生懸命頑張ったことも、自分の事をちゃんと決めて行動するところもかっこいいもん!」
「あ、ありがとう香澄」
「うん、辛い話してくれてありがとう、双葉」
と言って俺に抱きついて頭を撫でてくれる香澄・・・・・・
すごく癒されるので、もう少しこのままでいたい。
「私は、きっとポピパのみんなも、今の話を聞いて、双葉の事をダサいとか、みっともないとか思わないよ。だから自分のことをそんな風に思わないで、双葉はすっごいかっこいいよ!」
「ありがとう香澄、ごめんもう少しこのままでもいい?」
「うん!好きなだけいてもいいよ」
「ありがとう、もう大丈夫、せっかくのお泊まり会だし、暗い話はこれで終わりにして、楽しいことしよっか」
香澄に慰められ、気分が落ち着いた所で、俺は香澄にお礼をいい、楽しいことをしようと提案する。
「あ、じゃあさ、さっき買ってきたお菓子でも一緒に食べよ!」
「いいね!せっかくだし何か見る?」
「ほ、ホラーはおやすみしたいかな・・・・・・」
「OK、じゃあア〇プラで適当なのつけるからちょっと待ってて」
さっきまでは暗い話だったがこれからは楽しい時間が始まる。