めっちゃありがたいです。
トレセン学園です
トレセン学園に入学して早数日。
本格化が早いウマ娘達は6月にある選抜レースのために練習を始めている次第。
私とルナはまだなので一応練習は控えめに。
本格化前に強い練習してもね、ってこと、無事是名バ。
練習指導は教官がしてくれる。
本格化前のウマ娘の指導だったり、トレーナーがついてないウマ娘の指導をする人である。
とまぁ、選抜レースまであっという間に過ぎ去っていった。
バタバタしててあんまりルナと遊ぶ時間が無かったのが悲しい話。
さて選抜レース、ここからトレーナーが未来のG1ウマ娘をスカウトしたりするのである。
ちなみに私は好奇心で登録してある、無論本格化は来てないので力試し。
本格化も来てないのに出場すんなとか言われそうであるが、ルナがok出したので大丈夫。
虎の威を借りる狐ってことである、我ながらクズだな。
「ノヴェ、今日の選抜レースはあんまり無理はしないでくれよ」
「勿論、ルナに心配されるようなことにはならないよ」
「…そうか、ならいいんだが…」
「…ルナ、あの時から時間は結構経ってるし、ケガも完治したから気にしなくていいんだって」
「…いや、それは…私が私を許せないんだ…」
そういえば、小学校に入学してすぐぐらいに、骨折したことがあった。
理由としては、ルナに誘われ公園でかけっこをしてたら負荷がかかり過ぎたのか、バキッといっちゃって。
まぁ、バキッっといっちゃったのがルナの隣で、トップスピードでいっちゃって、何とか顔面だけはと思って手をついたら腕もいっちゃって、そのまま十数m…あとから聞けば、血だらけだったらしい、そりゃルナも…ね。
そんなことがあってから、ルナは私に対して過保護になったけど。
…いや、もとより少し依存気味だったのがちょっと悪化したのかな?
今でもあの時のことを夢に見るらしい、その時は私の布団に潜り込んで。
ルナは私をぎゅって抱きしめるんだよね、それがすごく可愛くて。
…ルナが可愛いのはまた今度話すとして、今日は選抜レース。
しっかり準備運動しなきゃね、二度と怪我はしたくない、ルナに心配をかけさせたくない。
「…なぁ、ノヴァ」
「なぁに?ルナ」
「…いや、何でもない、無事に帰ってきてくれ」
「…言われなくても、勿論」
───
今日はノヴァが選抜レースを走ることになった、記念すべき日…かな。
…今日、あの時のことを夢で見てしまった。
あの時、私が、私がノヴァを誘ってさえいなければ…
あの時、私がもっと早く…人を呼んでいれば…
…怖い、ノヴァを失うのが、すごく、怖い。
私の親友、愛する人、その人を失うのが、怖い。
私が悪いと、私のせいだと、彼女に言った。
彼女は否定した、彼女はそっと私を抱きしめてくれた。
私が悪夢を見た時だって、優しく、暖かく私を抱きしめてくれる。
…私は、彼女のことが好きで、愛している。
その感情を勘違いと決めつけるには、些か時間が経ちすぎてしまって。
意識し始めて、自分がウマ娘で、且つ彼女の親友であることに幸福を覚えた。
…そろそろ、彼女にこの気持ちを伝えて良いのかもしれない。
もう隠すのが難しくなってきてしまった、ならいっそ、気持ちを伝えてしまえばいい。
それで彼女に嫌われる…ことがあっても、私は満足できる。
私の
『さぁ、今年もやってまいりましたこの季節、選抜レースが始まります』
私達が入学して初めて行われる選抜レース。
本来であれば本格化…所謂「あ、なんかいきなりタイムが早くなった」みたいなことがあってから登録をする。
だけど、ノヴァは「腕試し」のために選抜レースへ出走する。
本格化もまだ来ていない段階で。
勿論私は反対したが、ノヴァが強く懇願するので渋々私も了承した。
…いや、別に上目遣いのノヴァが可愛くて許可したとかではないぞ、うん。
そんなノヴァが走るレースは右回りの芝1600m…所謂マイル戦。
第一レースだから芝は荒れてない、絶好の良馬場だな。
選抜レースというだけあって、周りにはトレーナーが結構な数いる。
この中でノヴァに目をつけているトレーナーはどれほど居るのか。
『ゲームイン終わって…スタート!おっと一人で遅れました!5番ノヴァーナが出遅れです!』
ノヴァは周りよりワンテンポ、ツーテンポほど遅れてスタートを切った。
まだ本格化前だというのにノヴァは先頭集団へ食らいつかんという迫力で走る。
…まて、本格化前なのに、そんな走ったら!
『ノヴァーナ出遅れ取り返そうとぐんぐんスピードを上げます、これは掛かっているのでしょうか?まもなく三コーナーカーブに差し掛かりまして先頭は!おっと一人転倒!転倒しました!ノヴァーナ転倒!大丈夫でしょうか、先頭は…』
彼女が転倒した。
考えるより先に体が動いていた。
あの時よりも!速くなっているんだ!どうして周りのトレーナーは動かないんだ!
早くしないとノヴァーナが!ノヴァーナが!!
あぁ、ノヴァーナ…大丈夫か…じゃない…
「早く!誰か救急車を!」
「ル…ドルフ…」
「ノヴァ!あんまりしゃべるな!」
「…ご、めんね…」
彼女の脚は本来曲がるはずない所から曲がり、尚且つその骨は皮膚を突き破って、周りのターフがどんどん赤色に染まる。骨折の時の応急処置を思い出すが、患部を固定する板が見つからず、今は緊急事態だと自分に言い聞かせトレーナーから新聞紙を奪った。包帯は運良く持っていたのでそれで固定した。ガーゼは持っていなかったのでかなり柔らかいハンカチで代用することにした。
一刻を争う事になると本能が叫んでいる。
本来であれば救急隊員の到着を待つべきなのだが、それをしている暇などありそうにもない。
トレセンの近くにウマ娘御用達の病院があったのを思い出した。
「…ノヴァ!ちょっと痛いだろうが、我慢してくれ!あとで何をしてもいいから!!」
彼女に謝りつつ、患部をできるだけ動かさない体勢で彼女を抱え、そのままダッシュで病院へ向かった。
運良く道は開けていたのでそこから飛び出した。
後で怒られようが、どうでもいい。
彼女が無事で居てくれることが何よりなんだ!
病院へ着いた時、誰が連絡したかは分からないがすぐに手術をしてくれることになった。
用意されていた担架へ彼女を乗せて、見送った。
まだ安心はできないと、待合室の椅子で自問自答する。
自責の念に駆られる、彼女を怪我させたのは?彼女を走ることを許可させたのは?
全て自分だった。
彼女にまだ想いも伝えてない。
彼女にまだ愛を表現出来ていない。
無事に、また走れるようになってくれ。
何時間経ったか、たづなさんが来た。
何も言わずに、私と同じく待っていた。
ここへ来た扉では無い方の扉が開く。
駆け寄って問いただしたい気持ちを抑え、口が開かれるのを待った。
「シンボリルドルフさんですな?」
「…はい、そうです、が…」
「貴方が早めに連れてきたお陰で、助かりました、応急処置は少し乱雑でしたが、頭が回らない状態と考えると完璧な処置です」
「…そうです、か…ノヴェ…ノヴェーラさんは…また、走れ、ます…か?」
「…回復力にもよりますが、早くて2.3年、長くて…」
「…そう、ですか…」
「…ノヴェーラさんは今は安静状態です、病室へと今は向かいましたので…ルドルフさん、ノヴェーラさんと話をするのでしたら病室へ向かって下さい」
「…はい」
そこから医者に説明をされた気がするが、私はノヴェにどう接すれば良いのかをずっと考えていたから、何も聞こえなかった。
ノヴェは私を許してくれるだろうか?嫌われることになったら…私は…
「シンボリルドルフさん」
「…はい?」
「言いたいことは沢山ありますが、一人の命が助かったことに免じて無罪放免とします…ただ、一つだけお願いが…ノヴェーラさんの所へ向かって下さい」
「…っ…はい、わかり…ました」
…たづなさんに、申し訳ない…なぁ…
ノヴェ…私を…許してくれるか…?
───
いってて…ん?ここどこ…?
ルナは…?ルナ…あ、居た!
「る、な…」
「…ノヴェ!?ノヴェ!わかるか!?」
「うん…な、んと…か」
「あぁ…よかった…わ、たし…レヴェが、起きなかったら…って…」
「…私は、大丈、夫だから…ルナ、ナースコール…押して…」
「…あぁ、そういえば、そうだったな…レヴェ、あとで大事な話があるんだけど…」
「…ん、わかった」
ルナは言い終わるとナースコールを押した。
すぐに看護師さんとかが来た。
話によるとなんかすんごい日付寝てたっぽい。
数日数週間とか、道理で細い身体がさらに細くなってる訳ね。
お医者さんはなんか色々言ってたけど起きたばっかりだから頭が回ってない、後でルナが教えてくれる筈だからいいや。
一通り何か言うと、お医者さんは部屋を出ていった。
暫く無言の時間が続いて、目が覚めた。
冷静になってルナを見てみると、げっそりとまでは行かないがかなり痩せている、医者も心配な表情で説明していた気がする。
「…ルナ、また迷惑かけてごめんね」
「違う…私が…私がノヴェをレースに出さなきゃ…」
「…ルナのせいじゃないって」
「私の…せいでっ…ノヴェが…っいなくなっちゃったら、どうしようって…思って…!」
「…ルドルフ、こっち向いて」
「…ノヴェ?」
「いいから、早く」
「…うん…」
ルドルフを抱きしめる。
「ノ…ヴェ…?」
「ルドルフ、君が自分のことを傷つけるのはさ、私も見てられないんだ」
「…?」
「それで…ルナは、私の中で…すっごく、大事な存在で…」
「…うん」
「いつの間にか、ルナのことを大好きになってて…」
「…ノヴェ」
「だからさ、ルナは…自分を傷つけるの、やめてほしい…かな…」
「…わかっ、た」
「…なら、よし」
「…ノヴェ、私からも、ちょっと言いたいことがあるんだ」
「なぁに?ルナ…」
「その…私も…私も、ノヴェのことが…大好きなんだ」
「うん」
「…それこそ、愛しているくらいに…」
「…うん」
「…ノヴェ、少し、我儘を言ってもいいか?」
「…もちろん」
「私の…私のパートナーとして、これからをずっと支えては…くれないだろうか?」
「もちろん!」
ルドルフに告白されたけど、これからも変わらない、だっていつもイチャついてるし。
でも、両親になんて報告すればいいんだろうか。
「…ノヴェ、その…キ、キス…してもいいだろうか?」
「…いいよ、ルドルフ」
ルナの少しばかりの恥じらいと決意を含んだ顔が色っぽくて。
見惚れて、ルドルフの熱いキスに溺れかけた。
関係進みすぎだろ、っていうツッコミはご都合主義タグにしてください。
僕は悪くない、ただノヴェとルドルフの甘々絡みを見たいだけなんだ。