蒼星乙女と闇鍋師団邂逅

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星の願い

コツ、コツ、と歩く音が廊下に響き渡る。

目的地に到着する。私は一呼吸入れて部屋の扉を3回ノックし返事を待つ。

「先生だろ?入ってきなよ、私たちの仲じゃないか」

「それでは失礼しますよ。でもよくわかりましたね、私が来たこと」

赤髪の女性は、全てを見透かしたようなそんな笑みのない目で答える。

「先生の足音はわかりやすいからね。なんたって先生は軍人らしさがない、それなりの軍人は足音がしない物さ。」

私は少し苦笑いをして、本題に取り掛かる。

「蒼星准尉、本日付で君は南方征伐軍部隊長を解任し、君には新設される師団へ移って貰う。君との付き合いもここまでだ……。」

彼女は私から視線を外し、爛々と輝く星を見やる。

「先生、南部はの戦況は安定または好転したかい?」

私はその問いに答えることが出来なかった……。私は彼女がどうして今になって、転属命令が下ったのかを知っている。そして、彼女もそれをわかって聞いているのだ。

「先生、そんな顔をしないでくれ。少し意地悪が過ぎた、せっかくの門出なんだ楽しくしようじゃないか。そこの棚の中に1番いいものが入ってるんだ、先生取ってくれないかい?」

そう言い、彼女は棚の方へと目線を向ける。

私は呆れからか、ため息が零れ落ちる。まさか、病室を自分寝室か何かと勘違いしてるんではないだろか彼女は。

「君は重傷者なんだかな……それに私は勤務中だ」

蒼星はからからと笑う。

「そんなことはどうだっていいじゃないか?どうせこの報告が終わったら、今日は上がりだろ?それに、重傷者って言っても先生のおかげで殆ど塞がってる。」

そう言って彼女は、私に酒を次ぐように催促してくるこうなれば彼女は止まらない。

「1杯だけだ……。」

「助かるよ。」

私は2つのグラスにウィスキーを注ぐ、病室内に酒の香りとほのかにフルーツの匂いが広がる。

「手に入れるのに苦労したんだ」

蒼星はなんてない顔で説明してくる。

「さぁ呑もか……」

「あぁ……。」

「「新たな旅立ちに乾杯」」

合わせた訳では無い、なんとなくそう口にしてグラスを傾けた。グラスとグラスが当たる音だけが静寂の夜に響き渡る。

 

コツ、コツ、コツと小気味よくブーツの音を鳴らしながら、長い廊下を歩く。新設さればかりゆうのに施設はボロく汚らしい。

目的の部屋まで着くと私は制服を正しコン、コン、コン、と3度ノックをする。すると奥から、「どうぞ」と入室の許可を得ると同時に扉を開く。

中に入ってみれば肌は病的なまでに色白く、線の細い少女と言っても過言では無い人物が、机の上に重ねられた書類と格闘を広げていた。

彼女と私の視線が重なる、私は敬礼の姿勢を取る。

「貴官が私の新たな上官か、存外可愛らしいのだな。しかし、油断ならない目をしている。地獄を知る目だ、これはなかなかに楽しめそうだ。よろしく頼むよ上官殿」

これが蒼星乙女と白金縁との邂逅で始まりだった。

 


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