change.   作:にゃんさん

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BLEACH良すぎて...(語彙力)


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「総帥~!どこにいるのですか~!?」

 

 ああ、平和だ。

 叫び続けるパッチの怒号と、相も変わらず姿が無い彼女。

 こんなんでも尸魂界の警備は成り立ってしまっているのだから、平和過ぎて困ってしまう。

 

「今日こそ流魂街へ視察に行きますよ~!って.....」

 

 少しばかりクシャクシャになった紙切れが目に入る。

 悲しいことに、彼女の机に紙があることは珍しい。

 

《パッチくんがこれを見る頃には私は現地に着いているだろう》

 

「そ、総帥...!!」

 

 ああ、今日は雪だろうか。

 外はカンカンに太陽が照りつけているが、彼女が仕事するなら天気なんて気にしないさ。

 何年振り、いや何十年か分からない。上司へ尊敬の意を感じたのは。

 

 やらないけれどやれば出来る人。

 憎たらしいことだが彼女はそういう人だ。

 若干涙目になっている自分に呆れつつ、まだ続く紙切れの文章に焦点を当てる。

 

《なあに、心配しなくていいよ。パッチくんはゆっくり書類でも捌いていてくれ》

 

 

 私が現世から帰ってくるまで

 

 

「...は?」

 

 

 申し訳程度にゆがんだ紙切れ。

 よく目を凝らせば、現世からの部分を書き直している。

 消した跡が、遊んでくると見えてしまった自分が罪深い。

 

「.....総帥の、、バカヤローー!!!」

 

 ああ、今日も平和だ。

 

 

 

 

 

「良いんですか~?八軒君そろそろ本気で怒りますよ~?」

「心配ないさ、アイツは私に甘いのだ」

 

 瀞霊廷とは打って変わって、まぶしい洋服を着こなした若者、ガラス張りで立ち並ぶ店、久方ぶりに訪れた現世を飲み仲間の彼女、乱菊と歩く。

 つい先日、京楽から聞いた話だが、なかなか良い酒を取り扱っている店があると聞いた。酒と聞いて黙ってない我々がわざわざ出向くのだから、イマイチだった暁には八番隊隊首室に特大赤火砲の花火が打ちあがるだろう。

 

「茜さん茜さん!このお洋服超可愛くないですか~?!」

「服?さあ、着れればなんでもいい」

「もう、せっかく遊びに来たんですから寄り道しましょうよ~!」

「いいから酒だ酒」

 

***

 

 ズカズカと歩いていく小さな背中。ウチの隊長よりも小さい華奢な彼女。

 ダボッとしたパーカー一枚に身を包み、フードで顔を隠している。

 本当は一人で来たかったんだろうけど、前に未成年が酒を買うんじゃないとしこたま怒られた話を聞いたことがあったっけ。それでも、保護者役として私を選んでくれたことは素直に嬉しかったりする。

 

「茜さ~ん、そんなに急がなくてもお酒は逃げませんよ~」

「早いに越したことは無い。パッチくんの説教が若干早く終わるかもしれない」

 

 ズルい心を捨て切れられない見た目は子ども、本当はめちゃめちゃ年長者な茜さん。私たちが知り合ったのは随分前になるけど、京楽隊長が言うには昔はもっと無邪気で子供らしかったそうだ。勿論その昔っていうのは、死神の世界の単位になる。達観した、大人びた、いくらでも言いようはあるけれど、どうにもそうじゃないみたい。

 昔の茜さんの話、私は全然知らないんだなあ。

 

「私、茜さんの馴れ初め聞きたいなあ~」

「はあ?ふっ、私が酔ったら聞けるかもしれないぞ?」

「ええ、そんなあ~。一生無いじゃないですか!」

「さあね、私ももう年だから」

 

 そんな童顔で年寄り臭いことを。周りから見た彼女は、新しいおもちゃを買ってもらえる子供に見えているだろう。

 

 今にも消えるように笑うアナタを心から笑わせたかった。

 まったく泥酔しないアナタをつまらないと思ったことは無い。それでも、弱い自分を見せない心の現れなのかと思うと寂しかった。なんで私の周りの上司は難しく生きようとしてしまうのか。

 

「乱菊」

「?どうしました?」

 

 私としたことが珍しく感傷的になっていた。気付けば私に合わせるようにゆっくり歩き始める茜さんが隣に居て、懐かしむように、寂しそうに呟いた。

 

「大切なものが無くなると、本当に胸に穴が開くんだよ」

 

 虚みたいにな。

 

「茜さん、、年寄り臭い」

「悪かったな、一応経験談だ。大切なものを取りこぼすと一生後悔するぞって話」

「ふ~ん、もしかして、失恋?」

「さあね」

 

 またそうやってはぐらかす。

 でも聞いた私が言うことじゃないけど、茜さんが寂しそうにするのは見たくないなあ。

 

「ねえ、茜さん茜さん!霊術院生の頃の武勇伝とか聞かせてくださいよ~!」

「碌なもん無いからなあ」

 

 明るい話題に変えたと思った私は、それが茜さんの傷口を広げていることに気付かなかった。

 

 

 

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