オリジナルアニメ特有の情報の少なさからオリジナル要素強めです。
どうしてアプリ配信前に書いたんですか!
古ぼけた教会に一人の男子がいた。
ボロ布で全身を見に纏い、頭からはフケが落ちる。もう見た目から一発で浮浪者と分かる雰囲気を醸し出す子どもが、黒い
「ようこそ星天教会へ。今日も迷える仔羊が迷い込んだようですね」
男は大袈裟に手を広げ、優しく深い声を出す。その声は人を落ち着かせ、人を陥れる魔力が宿っていた。
少年は男を見る事なくただ目の前の出来事を眺める。
「今日は二人。一人は孤児、一人は寄贈、と……素晴らしい!」
少年はいつの間にか隣にいた少女に気がつく。少女は如何にも高価な服を着て、身綺麗に整えられていた。それは服だけではなく、少女自身もまだあどけない年齢とはいえ美を体現した容姿をしていた。
「嗚呼、神に感謝を。そしてこの出会いに、この子ども達に祝福を」
これが、少年が転生して初めての自我が目覚めた瞬間であった。
そして月日は流れ──星天教会日本支部の片隅で男女が睨み合う。
女が動く。
瞬間的に距離を詰め、その華奢な見た目からは想像できない威力の正拳突きは、男が居た地面に容易くクレーターを作る。
男は避ける合間にて、素人目からは見えない死角からの蹴りを横薙ぎに振るうが受け止められ、簡単に組み敷かれた。
「本気を出せジュン。手を抜くなと言ったのはお前だろう」
「……私は本気だ」
「嘘をつくな。お前に私と同等の実力があるのは他ならぬ私が一番知っている」
終始不敵に唇を吊り上げて挑発してくる女に男は内心悪態をつく。
(お前に勝てる訳ないだろ、良い加減にしろ!)
身体を解放された男は距離を取り、再び女と睨み合う。
「お前が勝てば、この体を好きにしていいのだぞ」
女は修道服のスカート部分を持ち上げる。普段は隠されていた魅惑的な脚が露わになる。スリットからわざとはみ出させた脚は、太腿部分まで包む白い靴下に包まれていた。そこから繋がるガーターの線を辿れば、連鎖的にその奥に目がいきそうになる。
男なら誰もが魅了される女の美貌を前に、男は咄嗟に顔を背けて顔を赤らめさせた。
「……女性がその様な言葉、容易く口にするものではない」
「お前だから言っている」
男は構えを解いて溜息を吐く。
「だから何度も言ってるだろ。私の予言では」
「私には『運命の相手』がいる、だろ?」
「……そうだ。私の予言が外れた事あったか?」
男は度々、予言めいた言を呟く事があった。それは彼の特殊能力なのか、はたまた後天的に開花した才能なのか──実際の所は完全に、完璧に、純然たる、純度百パーセントの勘なのだが……それは予言が当たりに当たってしまった結果の残る現実。周囲の人間が知る由もない事実であった。
「確かに無い。だが、私はオガタ・シュウなどと言った男は知らん」
「だから──」
「それにだ! 私は未来出会うかも知れない男などよりも……佐藤ジュン、お前が欲しい」
金髪を肩下まで伸ばしたシスターの女──シャロン・ホーリーグレイルの言葉に、男は肩を落とし項垂れた。
◆
話をしよう。あれは今から16……いや、18年前だったか。まあいい。私にとってはつい昨日の……だああああああ!
もういい!
もういいよ!
この現実逃避、何回やってると思ってんだ!
おっす、俺佐藤ジュン。
転生者やってます。
気がついたら星天教会とか言うバカくそ胡散臭い宗教団体でこき使われてました。
この宗教団体、表では普通のボランティア活動を営んでいる変な集団で済むんだけど、裏ではなんと悪魔とかいう化物を退治している、世界でも最大級のエクソシスト集団なんだゾ。
ここまで説明して察しがついたと思うんだけど、この世界は所謂アニメの中の世界。
『Engage Kiss』
女癖の悪いチャラクズ男、緒方シュウ君を主人公とした、それは大層危険でバイオレンスで昼ドラじみた内容のアニメだ。
パソコンの前で、複数人の女性を侍らす主人公を見てバカだなぁ〜m9(^Д^)プギャーなどと馬鹿にしていたのを思い出せる。
まぁ、彼にも理由があってだね。自身の家族を殺した犯人──悪魔が起こした過去の事件の真相を追う為に手段を選ばず活動した結果、複数人の女性と関係を持つことになるんだけど……だからと言って、むやみやたらにベッドの上を主戦場にするこたあないと思うんです。彼も半分好きでやってたみたいだし、それも本物の悪魔と悪魔合体!(意味深)をした親父の血をしっかりと継いでる訳だね☆
そこで!
疑問に思った方もいらっしゃるのでないでしょうか。
悪魔が出てきたぐらいで『Engage Kiss』の世界だとは限らんだろダボが、と。
しかし、機嫌良さそうに俺の肩に寄りかかり義手を磨いている女──シャロンと出会った事で確信に至った訳だ。
この暴力ゴリラシスター。何を隠そう
シュウ君の祖先が封印していた悪魔を退治しようと協力関係になる二人。しかし、シュウ君は悪魔を解放して利用する為にシャロンを裏切るつもりで一緒に行動していたのだ。まぁ、シャロンはシャロンで悪魔の事を知ったシュウ君を始末しようとするからお互い様なんだけどね。お互い利用しあう関係みたいだが……情が無かった訳じゃない(ベッドシーン有り)印象がある(更にゴムに麻酔薬を仕込むヤバい奴)。
そんなシャロン、まだシュウ君と出会ってはいないみたいなのだ。ベイロンシティへと向かうのはいつになるのか、もうそろそろだと思うんだけどなぁ。
「おや、相変わらず仲がよろしいことです」
後ろで腕を組み、人好きそうな笑顔を浮かべて近づいてきたのは俺らを保護してくれている、この教会のトップ。
「牧師、冗談はよしてくれ」
「冗談ではありませんよジュン君。君達の結婚式には是非我が教会で祝言を挙げて下さいね」
「もう、やめて下さいよぉ牧師様ぁ」
シャロン、頼むから照れ隠しに俺の腕を握り潰さないでくれよ?
流石の悪魔の死骸から作った特別製とはいえシャロンの握力だと一溜まりもないんだからね?
「これは失礼。今回、シャロンには任務に就いてほしいのですよ」
牧師はそう言ってシャロンに一枚の写真を渡した。
「シャロン・ホーリーグレイル、この人物と接触して彼の祖先が封じているとされた悪魔の討伐を任ずる。やり方はあなたに任せます。よろしいですね?」
シャロンは写真を持ったまま固まってしまった。それもそうだ。その写真には俺が腐るほど言い聞かせたシャロンの『運命の人』──緒方シュウ、その人が写っていたのだから。
こうして物語は動き出す。
彼は知らない。
彼がこの世界に転生して来た影響で、原作とは限りなく近い世界ではあるが、確実に違う世界になってしまっている事を。
そして、その違いが事態を大きく悪化させてしまっている事を。
思い付いたら続くかも?