書きたい事書いたので続かないかも?
静寂が支配する教会。
義手に義足、全ての武装を点検し終わった男は立ち上がる。
「行くのですね」
牧師は笑みを絶やさずに男の背後に立った。
「あなたはある意味未来予知とも呼べる行動を取る。昔、君の独断専行によって彼ら兄妹は救われました。ジュン君、君は何を知っているのですか?」
常に笑顔を貼り付けた牧師の顔が、今は不気味な無表情へと変わる。その様子に、ジュンは振り返る様子を見せずに扉へと向かった。
「私は……俺はこれから起こる事をなんとかしたいだけだ」
そう言って腕を牧師に向けて伸ばす。
表面は人の肌と全く同じ見た目と肌触りをしている義手が開くと、そこから無数の小さな銃口が覗いた。
パーン、と軽い音が鳴れば牧師の顔が柘榴の様に弾ける。牧師の身体は血を噴き出しながらも倒れた。
「アンタの思い通りにはさせない。必ず、原作通りの
扉を蹴破り外に出る。
ここから先に進めば、今までの様には生きていけないとジュンは何処となく感じていた。
転生してからの歳月を思い出す。
意地悪でぶっきらぼうで、そのくせ自分以外には礼儀正しい幼馴染との思い出。
なんだかんだと楽しかった。
悪魔による命の危険とは隣り合わせだったが、ジュンにとっては間違いなく幸せな日々だったのだ。
そんな日々も今日で終わる。
「さよならだ、アスモデウス。感謝はしているがやっぱりアンタは正真正銘の悪魔だったよ」
絆されそうになる心を引き締める。
牧師と呼ばれた男はジュンにとっては親代わりだった。それはシャロンにとっても同じだ。
自我のない捨て子であったジュンを拾ったのも牧師。しかし、ジュンが親のいない家無しとなったのも悪魔憑きによる悪魔災害の原因によって親が死んだからだ。
一方、シャロンは星天教会を信仰する親に寄贈された。彼女の親は、悪魔災害に遭い心が壊れた被害者であった。その拠り所とした、心の隙間に漬け込んだのが牧師の誘い。父も母も心から酔心し、娘を悪魔と戦わせる為の兵器として教会に売り渡したのだ。
この二つの事項、元凶は元を辿れば全て牧師──アスモデウスに帰結する。
それを理解しているジュンは決して心を開こうとはしなかった。
でも、人の心とは脆いものだ。どんなに頑なな覚悟も時間と共に摩耗する。
食卓を囲む団欒の日々。
笑顔で散歩する何気ない時間。
悪夢にうなされる眠れない夜。
牧師は時に厳しく、時に優しく、ジュンを導いてくれた。原作でいうシュウにとってのマイルズの様に。
情が湧くのを自覚しながらも、想いを振り切る様にジュンは前に進んだ。
「ありがとう」
ジュンはアスモデウスの分体に伝えた訳ではなかった──星天教会の牧師と言う存在に、父親に、礼を伝えたのだ。例えそれが偽物であったとしてもジュンにとっては愛する家族だったのだから。
ジュンは歩きながら少しだけ、泣いた。
◆
緒方シュウは、今謂れのない罪を突きつけられていた。
ベイロンシティの離れ島。
かつてオルゴニウム採石場として発展してしていた場所の地下に、史料として載っていた悪魔が封じられている。
それを知り、シュウは愛する妹を自宅兼事務所に残し、単身こんな辺鄙な島までわざわざやって来ていた。
そんな時、一人のシスターに呼び止められた。
「お前が緒方シュウだな?」
突然名前を呼ばれて振り返るシュウ。しかし、眼前に迫った拳を反射的に避ければ、先ほどまで自分が居た場所にクレーターが出来ていた。
(なんですか、なんですかぁ! どこのバーサーカーが突っ込んで来やがった!?)
シュウは銃口をシスターに向ける。
この銃は悪魔にも効果を発揮する特別性だ。
元カノ、夕桐アヤノと共に所属していた
人に向けるには些か過剰な武器と知りながら、目の前のアスファルトをも砕く化物ゴリラを悪魔と同等の怪物と判断しての事だった。
「誰だか知りませんが、美人がこんな暴力振るっちゃいけませんことよ」
シスターは苛ついた様に舌打ちをした。
シュウは思った。あれ、なんか選択間違えた?、と。
「昨日の午前中、パチンコ店で半日を使い財布の中身を全て溶かす」
なぜかシュウの冷や汗が止まらない。
「そして午後から情報提供者の一般人女性と密会。その後、夜までひたすらホテルで男女の行為に耽る」
そしてダラダラと流れ出る汗は、次第に足元まで流れ落ち地面を濡らす。
「挙句の果てにその後、その女から金を借りて夜の街で散財」
シュウは堪らず駆け出した。
もう全速力で走った。
ヤバい。
このままこの女の話を聞いていてはヤバいと本能的に理解した。
「こんなクズが私の『運命の相手』だと? ふざけるのも大概にしろよジュン!!」
咽喉の奥から搾り出す様な怒声だった。
シュウは運命の相手? と疑問に感じたが今は背後から凄まじい速度で追いかけて来る化物を振り切るのに精一杯だった。
「私の好きなタイプの男は! 誠実で純情で、女の肌を少しでも見ようものなら顔を赤らめて目を逸らす様な、真面目に生きているのに器用に生ききれず、笑う時は不器用な笑みを頑張って作る様な、そんな男が好きなんだ!!」
(誰のことだよ!)
とシュウは思うと同時にこのゴリラシスター、好きな男がいるな。そして同時に片思いだな、と理解した。
「なのにこんな……こんなゴミ屑に長年の恋路が邪魔されていると言うのか!!」
叫びながら強烈なラリアットがシュウの首を直撃した。その時に感じた一瞬の柔らかさを楽しんだ後に、地面に一気に叩きつけられてシュウは堪らず口から血が漏れた。
全身の痛みで立ち上がれないシュウを見下ろし、拳を握りしめる。
(死ぬ! このままじゃ俺、ここで死ぬ!)
「死ね。お前の様な屑、ここで死ね。疾く死ね。清く死ね。神もそれを望んでおられる」
「ストップ! ストップ! お願いします! 話を聞いて下さい!」
大の男がみっともなく土下座していた。
顔だけは美男子のシュウがやってもギリギリ見放されてしまう程度には惨めだった。
「黙れ三下。お前と話すと私が穢れる。いや、世界が汚れる。懺悔なら地獄で閻魔に聞いてもらうんだな」
「シスターさんがそんなんでいいと思ってんの!? 懺悔を聞くのもお仕事でしょ!? ちゃんと仕事して下さいよ!」
どの口が言っているのだろうか。
そんなシュウの戯言を聞いているのか聞いていないのか、
「助けてくれジュン!」
ピタリとシャロンの腕が止まる。
「……なぜ、お前がジュンを知っている?」
腕を振り上げたまま静かに問いかける。
恐る恐る目を開けたシュウは光明を見つけたとばかりに説明を始めた。
「佐藤ジュンは俺の、俺達にとっての恩人であり友だちだ」
原作主人公と
◇
やっとやって来ましたベイロンシティ!
いやぁ、ここに来るのも久しぶりですね。
オルゴニウムを求めて沢山の国が支援しているだけあって賑わっていますなぁ。
そんな街中を抜けて、小さなマンションに入る。
『イサム&シュウ事務所』
インターホンを鳴らして待ち人を待つ。
「はーい」
小鳥の様な可愛らしい声が中から聞こえて来た。
「どちら様で……ジュンお兄ちゃん!!」
小柄で黒髪の美少女が俺の腰に抱きついて来る。
あゝ、ロリコンになっちゃう〜。
「久しぶりだな。元気にしてたか」
「うん! ジュンお兄ちゃんも久しぶり!」
スリスリと俺のお腹に頬擦りをしているのは、緒方カンナ。シュウ君の妹であり、アスモデウスと人間のハーフのハイブリット悪魔だ。彼女がアスモデウス現界の鍵であり扉だ。ぶっちゃけ彼女を殺してしまえばアスモデウスの計画も頓挫する。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん〜」
でも、こんな可愛い娘をコロコロしちゃう訳にもいかんよなぁ。
「か、カンナちゃん。その人はどちら様?」
続けて登場したのはスーツ姿がエッな夕桐アヤノさんだ。
「初めましてになる。星天教会日本支部にて神父見習いをしている佐藤ジュンだ。なにぶん孤児だった身だ、言葉遣いが荒いのは勘弁願う」
ふっ、ここで一気に距離を詰めてフレンドリーさをアピールだ。流石俺、コミュ力が高すぎる。
「えっと、あっ、どうも初めまして」
あれ?
口が引き攣っていて、ちょっと引かれている気がする。パーフェクトコミニケーションだった筈なのになぜだ。やっぱりシュウ君以外の男には無闇に近づかない様にしているんだろうか。一途だねぇ〜。
そんなことよりもだ。今日は遊びに来たんじゃないんだ。これからの事をシュウ君に相談しに来たんだ。
「シュウはどこにいる」
「げっ、ゴミいちゃんは外に出かけてから帰って来てないよ」
一気に機嫌が急転降下するカンナちゃん。実の兄をゴミて……ひどくない?
「どうせ女遊びかギャンブルでもしてるんだよ」
「あのバカ……」
切なそうに呟くアヤノさん。
やっぱ好きなんすねぇ!
大丈夫、シュウ君もアヤノさんの事未だにきっと好きだよ。メイビー。
「そんなことよりも中に入ってよ。お兄ちゃんのいろんな話を聞かせてよ」
カンナちゃんが俺の腕を引っ張るが、優しく解いて俺はマンションを飛び降りる。
「お兄ちゃん!」
咄嗟の行動に驚いている様だがそんな場合じゃない。
──D災害(悪魔災害)
このベイロンシティでは一般市民には隠蔽されている事件──悪魔災害が頻発する。
それはアスモデウスが引き起こしているのと同時に
アニメでも終盤という事もあり、カンナちゃんが目覚めた後は街中に悪魔が実体化していた。そんなアニメでも終盤になってやっと倒せていたB〜A級の悪魔が、今のベイロンシティでは頻繁に現れてしまうのだ。
まぁ、そんな時の為に俺がいるわけなんだけどね。
俺は両腕を、推定BBBランク相当の悪魔に向ける。
警察もPMCも間に合わない。
ここは俺が気張るしかない訳っしょ。
「下がりなさい! ここは私が」
「夕桐殿の方が下がっていろ。君一人では相手にするには無理筋が過ぎる」
一呼吸置いて、悪魔が俺達に気づいて特攻してくる。奴め、俺達がどんな攻撃をしても効かないと考えているのだろう。
「それにだ」
俺の両腕の義手から無数の射口が飛び出す。
「──
一斉に飛び出す弾丸。
その全てが悪魔に無数の風穴を開けた。
ミンチよりヒデェや!
義手からプシューっと煙が噴き出た。義手に装填された弾丸を撃ち尽くして、オーバーヒートした証だった。やべっ、この状態になるとシャロンに怒られるんだった。
「……凄い」
銃口が義手の中へと仕舞われる。
「夕桐殿、悪魔の死体の回収は任せてもいいか」
「え、ええ。大丈夫よ」
原作改変。
俺も転生者として、緒方家族を救おうと幼いながらも努力した事があった。
しかし、出来たのはシュウ君とカンナちゃんを助ける程度。結局、イサムさんやアスモデウスと成り代わられるサユリさんを助ける事は出来なかったのだ。
しかも、その代償として四肢を無くしてしまったし……。
ま、思いの外義手も義足も使い易いし武器にもなるしで結果オーライだよね。
「お兄ちゃん!」
さてさて、心配で涙を浮かべているカンナちゃんを宥めるとしますかね。
結局、俺はシュウ君が
佐藤ジュン
転生オリ主。戦闘は義手と義足のパワーに頼りっぱなしの雑魚。
シャロン・ホーリーグレイル
拗らせ純潔シスター。長年の恋愛感情を拗らせてしまっているゴリラ。
緒方カンナ
事件当日にジュンに助けられて以来ジュンにご執心の原作ラスボス。ヤンデレ気味。
緒方シュウ
妹がそばに居たおかけで少しだけ精神的に余裕がある。それ以外は原作とほぼ変わらず。
夕桐アヤノ
唯一原作と変わらないヒロイン。
キサラ
やっと登場した原作メインヒロイン。