ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット   作:あらびきバナナ

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向かう先は暗いまま

 

2022年12月3日、10時30分

 

ボスの攻略に向かうため迷宮区に向けて歩いている

 

いくら現状で最強のメンバーと言えど初のボス攻略ということもあってか誰も無駄話をすることなくただひたすらに前に向かって歩いてる

 

それにしても本当に男しかいないのね。まぁ1ヶ月プレイしててアスナとユナしか女子を見てないから上位の数十人しか集まってないこのメンバーの中じゃ私1人いるだけまだマシなのかも

 

っと、こんなことを考えてる場合じゃない。今のうちにボス戦の復習をしておこう

 

私たちのパーティーの役割は基本ボスを囲んでターゲットを分散すること。ボスの武器は前半は斧と小盾、後半はタノワール、曲刀カテゴリの武器ね

 

斧のソードスキルは水平斬りの『クリーブ』と斜め斬り下しの『ディバイド』、突進からの縦斬りの『スプリット』、さらに『グリーブ』の2連撃バージョンの『ダブルクリーブ』後半の曲刀のソードスキルは突進技の『リーバー』と水平斬りの『カーム』、それと上段と下段の2連撃の『ダブルムーン』

 

でもこの感じベータと全く同じだから他の武器を使ってくる可能性も考慮しておいた方が良さそうね

 

とりあえずはそのくらいかな

 

…今考えることじゃないけど、とてつもなくラーメンが食べたい。こっちに来て1ヶ月、ほとんどの食事は格安の堅パンで済ませてるからなぁ

 

あー、こってりした豚骨醤油ラーメンが食べたい。ニンニクとネギマシマシで食べたい…そもそもこの世界にラーメンはあるのかな。少なくともベータで行けた9層までの間にはなかったよね

 

それでもまだ10分の1だしどっかにあると信じたいわね。じゃなかったら何がなんでも現実に戻っていち早くラーメンを食べたい

 

…待てよ?自分で作ればいいのでは?確か料理スキルってのもあるしそれを伸ばせば…いやいやダメね。こんなリソースの限られた世界で料理スキルなんかにスキル枠を割くわけには…まぁ?将来取るスキルがなくなったら…考えなくも無いかもしれないわね

 

「…はっ!?」

 

また話が逸れちゃった…ダメね、集中しないと

 

下手したら本当に命を落としかねないんだから

 

「すぅー…はぁ…すぅー…はぁ」

 

私なら出来る、私なら勝てる。むしろここで死ぬ訳にはいかないんだ。いつかアスナに会ってしっかり謝ってあの娘を現実に返すまでは死ぬ訳にはいかない

 

だから、私は勝つんだ。勝って次の層に進むんだ…ッ!!

 

「それじゃあみんな、勝とうぜ」

 

アスナをこの世界から解放するために!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スイッチっ!!」

 

「はぁっ!!」

 

昨日の巨体の人の弾きに合わせて大鎌ソードスキルのひとつ『モアー』を放った

 

大鎌スキルの特徴のひとつは判定がかなり長いこと、それを利用して自分で体を回転しながら放つことで2連撃にも3連撃にも出来るとこ

 

どうして他の武器より振りが遅いけど、これがあるからやめられない

 

「えっと…エギルさん?ありがとうございます」

 

「あぁ合ってるよ。そっちこそやるじゃねぇか」

 

「どうも」

 

私の攻撃でボスの体力も赤色になった、そしたら今度は曲刀になるから今度はそっちのセオリーに合わせてやるだけ。今の感じだと大して苦戦することも無く倒せそうね

 

「そろそろ赤ゲージだ、気合い入れて行くぞ!!」

 

「「「おぉ!!」」」

 

こういうノリはなんというか女子校にいる身としては新鮮ね。私は参加しなかったけど

 

ん?なんでディアベルは1人で突っ込んでるんの?ここは囲んでターゲット分散がセオリーのはず…それにあのボスの武器…あれは!?刀!?なんで!!

 

やっぱりベータの時から仕様が変わってた!!それにあのソードスキル、ベータの時の…

 

「ダメっ!!全力で後ろに逃げて!!」

 

私の位置からして救出は困難、とにかく私だけでも避けないと…今!!

 

「はっ!!」

 

私は避けれだけど、ディアベルは…

 

「あっ…」

 

この距離、間に合わないっ…!!

 

あ…ディアベルが斬られた。体力がみるみる削られていく

 

とそこに知らない男が駆け寄っていく、ポーションを取り出してディアベルに飲まそうとしたが何故かディアベルはそれを拒絶

 

そのままHPバーが消滅、死んでしまった

 

なんで、なんでなのディアベル!?どうして…私はいつも何も守れないの…

 

でも、ここで取り乱したらまたあの時と同じことになる、考えるのよ。私が今すべきこと、やるべきことは…

 

なっ、雑魚の数まで増えてる!?それなら、体力が低い人を守るのが最優先

 

「はぁぁ!!」

 

『モアー』の攻撃力が上がってたおかげで1発で雑魚のHPが吹き飛んだ、よし。とりあえず一体

 

「速く下がって回復して!!」

 

「でッでもあんた…」

 

いいから早く!!

 

「あ、あぁ!!」

 

私のHPはまだオレンジになったばかり、まだ大したことない

 

って一気に敵がこっち来た!!あぁ!!めんどくさい!!

 

「はっ!!ほっ!!せりゃ!!」

 

合計5体くらいかな、とにかく数が多い1人で相手するにも限界が…って危なっ

 

「くっ!」

 

鎌だからつばぜり合い苦手なのよっ!!って後ろから攻撃が…

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

よかった、細剣使いの人が助けてくれた

 

「えっと、ありが」

 

「…」

 

えっ無視?あれ、この技に外見…まさか

 

「スイッチ!!」

 

「ッ!!了解!!」

 

タイミングを合わせて低軌道横薙ぎのソードスキル『フェラー』で応戦する。こっちはあんまり熟練度上がってなかったけど細剣使いさんがダメージを与えてくれてたおかげでどうにか倒せた

 

というかあの声、技…やっぱり、間違いない

 

「ねぇ!!アスナなの…?」

 

返事は無い、でも間違いない。アスナだ

 

「やっぱり生きて…私、私は…あの日…」

 

なんて言おうか考えていたつもりだったけどいざアスナを目の前にすると上手く喋れない

 

「あの!!ごめ」

 

カチン

 

謝ろうとした瞬間、アスナがこっちに向かってきて"あの合図"をしてきた

 

「このゲームをクリアするんでしょ?」

 

「っ!!」

 

「まだボスは倒れてないだから教えて。どうしたらいいか」

 

「!!えぇ、あのボスの攻撃はベータテストで見たことある」

 

忘れもしない、ラスト1分の時に受けた麻痺攻撃

 

「当たったら麻痺するけどそもそも囲まなきゃ敵は打ってこない」

 

「分かった、ありがと」

 

あ、アスナがまた遠くに…って今はそんな場合じゃない。戦うのに集中しないと…そうだ!!

 

「アスナ!!これ使って!!」

 

あの時渡せなかった『ウィンドフルーレ』、ようやく渡せた。とりあえず今はやれることをやるまで

 

アスナの号令と共に体力のない人達が1度前線を離れた。一瞬私だけで雑魚を相手しなきゃいけなかったけど、どうにかダメージを与えつつ時間を稼いだ

 

徐々に人が戻ってきたし私もボスの方に行こうかな、さすがに2人だけだと無理よね

 

アスナが危ないっ!!

 

「らぁぁぁ!!」

 

「ミトっ!?」

 

くっ、ギリギリで弾いたせいでかすったかな。HPが赤色になっちゃった

 

でもここで逃げたらあの時のにのまえになっちゃう、正直めちゃくちゃ怖いけど、やるしかない!!

 

「はっ!!」

 

ガキンッ!!

 

「はっ!!」

 

ガキンッ!!

 

まずい!!このままじゃ攻撃に当たっちゃう!! でもここで死ぬ訳には…

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

無理やり鎌を持ち替えて放ったソードスキルはボスに受け止められたけど遠くに吹き飛ばすことが出来た。よしっ今のうちに回復して…よしいける!!

 

なんだか知らないけどアスナと一緒にいた男子の横を通ってアスナの元へ向かう!!今度こそ守りきってみせる

 

「せりゃあー!!」

 

ボスの下部に『フェラー』を当てたらボスが転んだ、それに合わせてアスナも『リニアー』で突き上げる

 

ボスの体力はあと少し、アスナと私はスキル後の硬直で動けない。でもこのチャンスを逃すわけにはいかない、残ってるのはあの男子か

 

仕方ないか

 

スイッチ!!

スイッチ!!

 

私たちの掛け声と共に片手剣ソードスキル『ソニックリープ』の構えと共に飛んでくる

 

その技はボスを一刀両断して体力を削りきった

 

ディアベル、やったわよ。ちゃんと勝てたわよ

 

出来ればあなたともこの瞬間を共有したかったけど、安心して。あなたの思いはちゃんと私が背負うから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボス戦が終わって数分、ボス部屋も通常の部屋になりみんなも落ち着き始めた

 

私も体力を万全にし終わった、そしてアスナに話し掛けにいこうとした。その時だった

 

「なんでや!!なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!?」

 

見殺し…?って昨日の会議で騒いでたモヤットボール頭か

 

「見殺しだって?」

 

「せやろがい!!自分はボスの使う技知っとったやろ!!それを会議の時に共有しとればディアベルはんが死ぬこともなかったやろ!!」

 

うーん多分あの技はベータの最後の技と同じやつのはず…もしそうならディアベルはあの技のことも知っていた

 

つまりあれはラストアタックを狙ってセオリーを無視して行動した彼にも問題がある。それに今糾弾されているあの黒いのは関係ないはず

 

なのにどうして彼はそんなことを言うの…?

 

「そうだ!!そいつはきっとベータテストーだ!!自分がボーナスを取るためにその情報をわざと隠してたんだ!!きっと他にも他にも強い武器とか効率のいい狩場とか独占してるに違いない!!それにきっと一緒に行動してる女もグルで俺達を陥れようとしてるんだ!!」

 

「!?」

 

アスナがそんなことする訳ないでしょ!?

 

そうだ!!私が言えばきっと信じて貰えるはず!!

 

「私…わたしは……」

 

声が出ない…私はまた間違えを犯すの…でも、怖い!!アスナ…私はどうしたら…

 

「…ははっ、はーはっはっはっ!!」

 

えっ…何いきなり?あの黒いのどうかしちゃったの?

 

「ベータテスター、俺をそんな連中と一緒にしないでくれ。アイツらのほとんどは大したことの無い雑魚もいいところだよ。あんたらの方がマシなくらいにな」

 

「なっなんやて!?」

 

「俺はベータテストの時に誰も到達してない層まで登った、だから他の奴が知らない技の情報やスキルの入手方法も知ってる。それこそ情報屋なんて比じゃないくらいにな」

 

誰も到達してない…!?まさかあいつ!!ベータの時私達を抜き去ってボス部屋のドアを開けた片手剣使い!!

 

「そ、そんなんズルすぎるやろ!!もうチーターや!!」

 

「ベータのチーター、だからビーターだ!!」

 

「そうだそうだ!!死ねビーター!!」

 

ビーター…ネーミングセンスの欠けらも無いし。しかもこの状況で有力なプレイヤーを省くとはマヌケもいいところ…はぁ

 

「ビーター、いいねそれ。そうだ俺はビーターだ、他の素人テスターと一緒にするな…それじゃあ俺は2層の転移門をアクティベートしておくから着いてくるやつは初見の敵にやられないように気をつけな…せいぜい死ぬ覚悟をしてな」

 

呆れた…なんでここでわざわざヘイトを稼ぐような真似を…いや違うわね

 

あえて自分にヘイトを集めてほかのベータテスターとの協力体制を作らせようとしている可能性も…考えすぎか

 

!!それより今はアスナがフリーだ、話しかけにいこう!!

 

よし、声を掛けるぞ…

 

「アスナ…」

 

「ミト」

 

言うんだ、ちゃんと言ってまた1からやり直そう。言え、言うんだ私!!

 

「アスナ、その…ごめ」

 

「ミト、私彼と行こうと思うの」

 

「えっ…」

 

なんで…?

 

「彼といれば私強くなれる気がするの…」

 

どうして…?

 

「だから彼を追うわ」

 

「…うっ」

 

そう、よね。私なんかといたくないよね。いざという時に逃げちゃうような弱い私なんかより、戦える彼の方がずっと…いいもんね

 

「じゃあ…またね」

 

ははっ、良く考えれば簡単じゃん。ピンチの時に自らの保身に走るような人と一緒になんていてくれるわけが無いじゃない

 

なんで謝ればまた一緒になれるとか考えてたんだろ私…バカだなぁ

 

「…さよならアスナ」

 

さよなら私の人生最高の友達…

 

もう二度と会うことないだろうけど

 

ははっ、ほんと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私って、最悪

 

 

 

 

 

 

 

 

 






少し早いけど、ソードアート・オンライン10周年おめでとうございます!!

俺の人生を変えてくれてありがとう!!
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