ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット   作:あらびきバナナ

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別の道、それでも前へ

夢というのは、その人の記憶に整理をつけるために脳が眠ってる間に記憶のタンクの中のゴミ掃除をしてる時に見る今までの記憶の混ざった幻想

 

まれにそこにその時の精神状態や環境によって全く知らいないものまで混じってくる。それが世にいう予知夢だったりすると私は思う

 

だから私の見る夢は…明日奈のことを覚えていたいという想いと、そんなこと忘れて前に進むべきだっていう深層心理からなるものだと思う…違うかな?

 

まぁとにかく私があの夢を見続けるのは…多分だけど、明日奈と仲直りしたいっていうのとさっさと忘れて…楽になりたいっていう想いの

 

いや、考えるのはやめておこう

 

辛くなるだけだし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年12月10日金曜日、17時43分。クエストのためにフィールドを捜索中

 

明日にしてもいい気がするけど、何かをやり残したまま寝ると落ち着かないのは分かってるのし。それにしてもベータの時にこんなクエストあったかな?

 

ほとんどのクエストをプレイしてきたつもりだったけど見落としてたのかな?まぁランダム発生のものに関しては完全な運だから元々あった可能性もあるけど

 

確かSAOのサーバーって自分でバグを対処したり季節とかに合わせてクエストも自動で作成できるみたいだし、やったことの無いクエストがあっても当然かも

 

マップだとこの辺にいるはずなんだけど…それっぽい人どころかNPCの人気すらない。もしかしてこの下にダンジョンでもあるのかな

 

「…あれ?これって」

 

赤いブローチ…!?まさか!!

 

「ねぇ、嘘嘘やめて…お願いだから……うそ

 

最悪…お母さんが死んでんじゃん…ブローチを拾ったら案の定クエストの進捗が達成されるし…なんで

 

はぁ…こんなのどうやって報告しろって言うのよ…とりあえず村に戻らないと。戻って…クエストが終わったらもう帰ろう、帰って寝よう

 

それから10分。村に戻ってきた。だけど、あの時の女の子が居ない…一体どこに

 

「騎士さま」

 

「えっ?はいなにか?」

 

「これを…」

 

これは…手紙?中身は…

 

『きしのおねえさんへ

わたしもおかあさんをさがしにいきます。すれちがいになるとおもうのでこのてがみをかきました

ありがとう』

 

…ってクエストが更新されてる…「少女を探せ」…か

 

エリアはさっきと同じ、しかも制限時間付き!?とりあえず急がないと!!

 

ってこんな時に敵!?

 

「っ邪魔!!」

 

あいにく攻撃力が上がってたおかげで一撃で倒せた…っ!?

 

「なんでこんなに…」

 

眼前には"あの時"と同じように大量の敵が押し寄せてくる、よくカーソルを見るとクエスト目標のマークが

 

どうしてもいつもいつもこのゲームは…私の邪魔をするの…

 

「…でも」

 

もう逃げない、アスナにしてしまったことと同じ轍を踏まないためにも。あの日決めたんだから

 

そのためなら私は…アスナへの償いのためなら…どんなことだって

 

やってやる…!!

 

悪夢なんて振り払ってやるっ!!

 

「はっ!!…おらぁ!!」

 

攻撃を弾いてソードスキルを当てる、そんな単調な作業をひたすら繰り返す

 

途中攻撃がかすることもあったが隙を見て回復してひたすら前に進んだ、絶対にあの子供を守るんだ。私が守るんだ…!!

 

がっ…!!」

 

ちっ…モロに攻撃を食らっちゃった。体力は…まだ黄色、余裕はあるしこのまま行く!!

 

「くっ…どけぇ!!

 

囲まれた状態で連続でソードスキルを放ったおかげか一気に周りの敵を薙ぎ払えた。今度こそあの子…あの娘(ルビ アスナ)を救える!!

 

「お、おねえさん」

 

「ッ!!待っててね、私が助けに行くから!!

 

近寄ってきた敵を蹴飛ばしてソードスキルで追撃。硬直を無理やりキャンセルしてソードスキルでさらに追い討ちをかける

 

「はっ、はぁっ!!うりゃあ!!」

 

あと少しで…あと少しで助けられる!!

 

パリンッ

 

「えっ…」

 

嘘…なんで…どうして…

 

うわぁぁあぁぁああァ!?!!?あぁぁあぁぁあっ!!

 

パリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッパリンッ

 

がむしゃらに振った鎌が敵を一気に蹴散らした…

 

一体私はどうしたら誰かを救うことが出来るの…どうして誰も救うことが出来ないの…

 

どうして…どうして…どうして…どうして、思い通りにならないの…

 

「…はぁ」

 

そんなの決まってるよね、あの日明日奈を見捨てたから。あの日自分の命惜しさに明日奈との約束を破って1人で逃げたから

 

罪に対しての罰。ははっ、考えたら簡単なことじゃない。それは上手くいかないに決まってるわよね

 

それなら私に出来ることはなんだろう…いや、これも分かりきってることか

 

ただひたすら自分の手の届く範囲の人達を助けて助けて助けて…助け続けた先にきっと私の求める贖罪があるに違いない

 

やることは決まった。それをするための力もある…あとはただひたすらに償うだけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月11日。土曜日の12時30分

 

あれから色々考えた

 

どうすればもうあんなことをせずに済むか。どうすれば誰も…いや自分が傷付けずに済むか

 

それは生産職になること

 

そうすれば誰かを傷付けることも…私が傷付くことはない。そうなれば…もう辛い戦いを強いられることもない

 

アスナを守れなかった私にそんな資格があるとは思えない…でも、それでも

 

誰かの役に経ちたい、それにはもうこれしか方法はないと思う

 

「というわけで生産職になりたいんだけど、なにか知らない」

 

「イヤ、という訳ってなにも聞いてないんダケド」

 

私はベータの時は生産職なんてやったことないから取得方法すら知らなかったから、情報屋を名乗っていたアルゴに聞いてみることにした

 

「で、生産職だったナ。とは言っても生産職にも種類があるからナー」

 

「そうね…防具鍛治とかどうかしら?」

 

「アー、それなら500コルでいいゾ」

 

「全く…はい」

 

前回のことでこの人の情報がある程度正しいことは分かったから払ってもいいか

 

「まいどー、防具鍛治なら1層はじまりの街、西側の露店に取るためのクエストがあるからそれをやるとイイ。他にはいいのカ?」

 

「えぇ、じゃあさよなら」

 

「あ、その前にひとつ」

 

「…なに?」

 

早く行きたいんだけど…

 

「とあるプレイヤーがミーちゃんを探してるんだけど、どうすル?」

 

「どうするって?」

 

「ナニ、知られたくないなら黙っておくぜってだけダヨ。もちろんそれ相応の代価は貰うけどナ」

 

「…別に、好きにすれば?」

 

「アイヨー、じゃマタナー」

 

「さようなら」

 

はぁ…やっぱりあの人苦手。なんか見透かされてるっていうか、距離が近いっていうか

 

とにかくやることは分かった、あとは実行に移すだけ

 

生産職か、昔やってたMMOでちょっとだけかじってたけどそこまで楽しくなかったのよね。でも今は楽しむんじゃない、誰かの為になることをしたい。だからなりふり構ってられない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月15日

 

生産職をはじめて数日

 

スキルをとってぼちぼち防具とかアクセサリーを作ってみた。最初の方は失敗ばかりだったけどようやく自分でも納得出来る程度の物が作れた

 

まぁお店を始めるにはまだまだ時間がかかるけど。そうね、あと1ヶ月もすれば出店みたいな感じで始められるかしら

 

っと、新しいやつが出来た

 

「綺麗…」

 

出来たのはネックレス型のアクセサリー装備だった、見た目はまだレベルが低いから大したことないけど装備効果は…

 

「うわぁ…なにこれ」

 

麻痺毒耐性5、ダメージ毒耐性5…効果は1度きりだけど現状多分最高クラスの物ね、取っておこう

 

あらためて生産職をやってみて思ったけど、正直楽しんでる自分がいる。楽しんじゃダメなのに…っと、そんなこと考えてる場合じゃないや。そろそろ夕方になるし、素材を取りにいかないと

 

「…眩しい」

 

フード越しに日差しが目に入った、最近はずっとポンチョのフードを被ってたから久しぶりに日差しをしっかり目に入ってきた

 

…今の私にはこの日差しは眩しすぎる

 

フードを深く被って闇に紛れるように。私は誰にも心配してもらう資格なんてない、ましてや誰かに手を差し伸べてもらうことさえ許されない

 

いや違うな

 

自分が裏切ってしまうのが怖いんだ、頼ってもらったのに、約束したのに。それを裏切ってしまう自分がいちばん憎い

 

だからもう二度と間違えたくないから、私は誰とも関わらない。相手やその仲間、そして何より自分のために

 

1人で、孤独に、償うために

 

…いけない、また考えが変な方向に。今度こそ素材を取りに行かないと

 

そう思いなおして私はなにかから逃げるように1人で走り続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からスケルツォ編になります、お楽しみに
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