ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット 作:あらびきバナナ
12月28日 13時30分
「はぁぁぁ!!」
キィィィン!!キィィィン!!
ギャアァァァァ!!!!!!
ソードスキル『デュアルモアー』でモンスターを倒した、ドロップアイテムは…ぼちぼちかな
正直大したことないけど、ないならないで困るから貰っておいて損は無いはず
気付けばもう年末かぁ…ほんと色々あったな。明日奈と初詣に行ったり、プールに行ったり…それでこのゲームに誘って明日奈を殺しかけて、それを見捨てて挙句の果てには謝れないまま…
「はぁ…どうして私ってこうなんだろう」
間違えたのは私だ、逃げたのも私だ、それは分かってる。でもそれでも…いや、悪いのは私だ。誰かを責めることも誰かのせいにすることも出来ない
その償いが終わるまでは私のこの暗い人生は続くんだと思う
あ、あそこの敵狙ってたやつだ
「さて、もうひと頑張り」
あいつになら短い方がいいかもしれないわね
今使ってる鎌は変形出来るちょっと変わったもので、今までの長い状態の大鎌状態と短い状態で取り回しがしやすい手鎌状態で使える
さらに専用のソードスキルを使うことで中に仕込まれてる鎖が伸びていわゆる鎖鎌として使える。手に入れたばかりだけど場面に応じて使い分けられるのはいいと思う
大鎌を手鎌に変えてっと…よし追いついた
「はぁぁぁぁっ!!」
ザシュッッ!!
「ちっ…」
倒しきれなかったか…!!こいつ赤ゲージになると面倒臭いんだよなぁ
それなら1回避けて…ここっ!!
「せりゃあっ!!」
ザシュッ!!
キュウゥゥゥ!!
どうにか倒せたか…素材は、おっこれはレアなやつじゃん。ラッキー
時間的にはまだ余裕あるかな。とりあえず日が暮れるまで続けよう、その後は宿に戻って…
何個か防具でも作ろうかな
「痛っ」
裁縫スキルを使ってたら針で指を刺しちゃった
別に痛くはないんだけどつい反射的にそう口に出しちゃった。更にはそういう感覚とかもこのゲームには実装されてないはずなのに指先に若干違和感がある
「思い込みで人は死ぬ」って言う言葉があるように人の思い込みっていうのは想像以上にすごいものでやろうと思えば動きを制限したり出来るとか
それを利用したのがいわゆる催眠だとか。そんなことを考えながらもしっかりと手順通りに縫っていく
ある程度縫うと急に素材が光り出す。これがアイテムが完成した合図、全部縫わなくてもいいのはこの世界の数少ないいい所かも知れない
「っと出来たみたいね」
防御力はそれ相応かな。あとは付属効果だけど…斬撃耐性レベル2と猛毒耐性レベル1か。うん、雑魚ね。でもあと何個か作れば確率的にもいいのが出来るはずだし
こうやって作業に没頭してると自然に何かを考えることが増えてくる。例えば…そうあの日のこととか
なんで私はあんなことをしたのか…自分が死ぬのが怖いから
なんで謝らなかったのか…もし許して貰えなかった時が怖いから
なんであの娘が私のそばにいないのか…何かあった時裏切る人間のそばになんか来るわけないから
取り乱すでも悩むわけでもなく考えればすぐに分かる事だ、それなのに前までの私と来たらすぐに取り乱して考えるのをやめて…
ほんとバカもいい所だった
ならどうするべきか、他人に迷惑をかけないようにするにはどうしたらいいのか。そして自分がこれ以上傷つかないようにするにはどうすればいいのか
誰とも関わらなければ誰かが死ぬこともないし私が傷付くこともない
これが私なりの、この世界の生き方
「っと2個目か」
今回の装備は…防御力も高いしSTG補正も高い、だけど装備レベルが若干足りない。まぁまた素材集めしてる時にレベルが上がったら着ればいいか
今の裁縫スキルの熟練度は250、300までいけばある程度の防具が作れるようになるからそうすれば防具屋でも開いて、あとはゲームがクリアされるまでどっかの街でひっそり暮らせる
ピコンッ
ん?メッセージ?ユナから
『久しぶりー♪ミトさんは元気かな?もうすぐ大晦日だね。大晦日と言えば31日の夜にはじまりの街でニューイヤーパーティーをやるんだけど、そこで私が歌うからミトさんにも来て欲しいって思って連絡したんだ!!返事待ってまーす♪』
ニューイヤーパーティー、か。正直あんまりの気は進まないけど…『気が向いたら行くわ』っと
さて改めて作業に…
ピコンッ
今度はなに…あぁ、アルゴか
『この前知りたがってた素材が手に入る場所が分かったゾ、3層の森林エリアにいる鹿型のモンスターからのドロップ品らしいゾ』
あー、あのことか。そういえばそんなことを聞いてみたりしてたわね『どうも』っと
それなら明日からは3層に行って素材集めかな
さてラストもう1回頑張りましょうか
「ん、…ふぁー…眠い」
やっぱり寝よう。疲れたままじゃろくに作業も出来ないだろうし
〜〜〜
『深澄』
『…っ、明日奈…』
『私さ…もう深澄…ううん、兎沢さんに会えない。いや、会いたくない』
『えっ…なんで』
『だって兎沢さんといても楽しくないし…見捨てられたし』
『っ!?』
『だから、もう私には関わらないで』
『待って!明日奈!お願い私の』
〜〜〜
「話を!……またこの夢か」
時間は…寝てからたったの30分しか経ってない。でももう今更寝れないし…仕方ない、作業に戻ろう
12月30日、金曜日
明日は大晦日だけど、ゲームに閉じ込められた私にはそんなこと関係ないから今日も素材集めをしてる
30日とは言ったけどもう時刻は10時42分、もうすぐで31日になる
ということはもうこのゲームに閉じ込められてから2ヶ月か…もう簡単に思い出せるのはSAOでも記憶ばかり、2ヶ月でこうなるんだ、下手したらこのゲームから出た時はどうなってる事か。考えただけで少し怖い気もする
今のペースなら1週間で1層をクリアしてるから、だいたい2年くらいか
…身体はもつのかな。現実の私は寝たきりな訳だし、動かない時間が長ければ長いほど運動能力は衰えるだろうし
出来るだけ早く帰りたいな
さて、そろそろ休憩もやめて素材集めに戻ろうかな、鎌の耐久値はよし、回復薬も充分。さて、行くとしましょう
「よっ、ほっ、はっ」
この森には骨系の防具を作るのに必要な素材を落とす鹿のモンスターがいる、だけどそいつらは索敵能力が非常に高いからこうして木の枝の上を通って探すしかない
あ、いた
この位置なら…
「はぁぁぁぁ!!」
ザシュッ!!
キュュュュゥ…
「わっ…ふぅ、危ない」
木の上から4連撃ソードスキル『ハデス・ドライブ』を放ってモンスターを倒した
思ってたより高かったから着地でふらついたけどダメージはこの前作った落下ダメージ軽減付きのブーツでどうにか出来た
っとそうだそうだ、素材は落ちてるかなぁ…っとあったあった。目標の数まではあと20個ぐらい…今日中には終わらないだろうなぁ
「…わぁ…!!」
なんとなく月のある方を見ると木の間をぬって見える綺麗な三日月が、あー記録結晶買っておけば良かったかも
そしたらお店の壁にその写真を飾って…あー損してるなぁ私
まぁ無いものを後悔しても意味ないか、そしたらまた素材集めに戻らないと…
「よっ、と」
鎌をチェーンモードに切り替えて木の枝に引っ掛けてそれをつたって登る、仮想世界なのに結構握力いるんだなぁ。良かった、レバガチャのために鍛えといて
次の敵は…あっちの方かな
枝をこうして足場にして移動してるとなんとなく忍者になった気分になる
忍者…私には無理ね、そもそも装備が鎌だから
…まぁそんなことはどうでもいいや、今はモンスターを探すのに集中しないと
索敵能力は高いわ、夜限定でしかドロップしない素材があるわ、しかも生息地はこんな視界の悪い森とか…やっぱりどう考えても茅場は性格悪いわね
まぁこんな世界創ってる時点で分かりきってることか…あ、あそこに発見。しかも2体、ラッキー。ここからなら…モアーの方がいいかも
「はぁぁぁ!!」
ザシュッ!!
キュュュュゥ…
1体目!あ、逃げるな!そうだ、ここで鎌を前に刺し入れればっ!
「はぁっ!!」
ザシュッ!
キュゥゥゥ…
2体目も倒せた…ふぅ、こいつ逃げると面倒だからさっさと仕留められて良かった
素材もちゃんと落ちてるしこれなら明日のうちにどうにかなりそうね
時間は11時、か。あともう一体だけ倒したら帰りましょうかね…
「久しぶり…ミト」
「っ!?」
なんで…なんで、貴女がここにいるのよ!
アスナっ…!!
『デュアル・モアー』···単発横薙ぎソードスキル『モアー』の2連撃バージョン。速度、ダメージ共にSTR値に依存
『ハデス・ドライブ』···その場から飛び上がって目標に向かって回転しながら斬りつける4連撃技。硬直長め