ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット 作:あらびきバナナ
オリジナル要素を取り入れながら大して生かせずそのまま投稿する二次創作者の風上にも置けない作品、ここにあり
「はぁ…はぁ……」
12月31日、大晦日。時刻は午前四時
昨日の夜からずっとレベル上げをしていたから若干体調が悪い
でも今日だけはどうにか持って私の身体っ!!
ピコンッ
「!?…びっくりした」
ただのメッセか、相手はアルゴか…!!もしかして!!
『1万コルでウィンドフルーレを譲れるけど、どうする?』
!!『買うに決まってるじゃない、すぐそっちに行くから待ってて』っと
で、アルゴの居場所は…5層の主街区ね。ちょうどいい急がないとっ…!!
確かに私のしたことは許させることじゃない、けど、だからって!!助けない理由にはならない!!
「っ!!」
目の前に敵が…!?あーもうこういう時に限って出てくるのなんなの!!
「邪魔っ!!」
パリンッ!!
『モアー』で1発、大したことないわね。とにかく急がないと!!
アルゴからの情報だとボス戦は15時から、あと残り11時間。それまでにウィンドフルーレをMAXまで強化してさらにそれを製錬してシバルリックレイピアに転換、さらにそこから現状の限界まで強化して…
正直無謀以外の何物でもないのは分かってる、でももしあの黒いのの言ってることが本当なら私にはこのくらいのことをしなきゃならない責任がある!!
「見えた!!転移門!!」
5層の街は…そうだカルルイン!!このままの勢いでアルゴの元まで向かう!!
「転移カルルイン!!」
瞬間青い光に包まれる。数秒後、今度は遺跡モチーフの街、カルルインに到着。アルゴの位置は…上層部の商店街ね
この街はしっかりと道路が舗装されてるから助かるわ
「あ、おーい!!ミーちゃーん!!」
いた!!アルゴ!!
「はぁ、はぁ…アルゴ、武器は?」
「あるヨその前に…ちょっと休んだらどうダ?」
「残念だけどそのつもりはないわ…早く渡しなさい」
「ダメだ、せめて15分ここで休むんだ、いやって言うなら。この武器は売れないゾ」
「くっ…はぁ、もう分かったわよ。休むから」
「おう!!物分りのいい娘は好きダゾ!!」
「全く…」
しょうがないからお店の席に着く、するとすぐにお店のメニューのポップアップが出てきたら。時間もないからとりあえず飲み物だけでいいか
「で、なんで急にレイピアが欲しいって言ってきたんダ?しかもあんな深夜に」
「…色々あるのよ、というかあの娘と繋がってるんだから知ってるでしょ?」
「にゃはっはっー、流石にバレちゃったカ!!まぁな知ってるは知ってるヨ、でもミーちゃんの口から聞きたいなーオレっち」
見透かされてるって言うか、見通されてるというか、この人と話してる限りは隠し事は出来なさそう…
いや、むしろそういう空気を作って相手から情報を抜き取る魂胆か?やっぱり底がしれないわねこの人
「…今回のことが終わったら教えるわ」
「アイヨー、っと注文が来たな。ミーちゃん、それだけでいいのカ?」
「えぇ、時間が無いからね。」
「そんなんじゃ体力つかないゾ、ほらお肉あげるから」
「いや別に」
「ほらほら遠慮すんなっテ!!」
「…どうも」
仕方なしにお肉をひとつ貰った、ちゃんとしたご飯はアスナとニアミスした時以来かな。柔らかいなぁ
肉汁も溢れ出て…んんー
「美味しい…」
「そりゃ良かった…モグモグ、うん変わらない美味しさダナ」
「そうね」
「これが仮想世界のいい点だよナ、料理の味は基本同じ」
「まぁその分人によっては薄く感じたり濃く感じたりするんでしょうけど」
この世界の料理の味は基本システム依存、つまり何回食べようが全く同じ味がするわけで。でも、だからこそ、その分味気ない気もする
チキンを1本食べ終わる頃にはお皿にあったたくさんのチキンが全て無くなっていた…アルゴって結構大食い?
さて、食べ終わったことだし
「そろそろ行きたいんだけど、いいかしら?」
「んー、15分経ってないけどまぁいいか…はいよ、ウィンドフルーレだゾ」
「どうも、はいお金」
「まいどー、じゃまたなー」
「またよろしく」
「アイヨー、今後ともご贔屓にー。にっしっしっ」
そう言ってアルゴは街の奥へと消えていった…さてここからは完全に時間との勝負、どこまでウィンドフルーレを強化出来るか
素材アイテムは1層と2層のがメインね…ん?これ、ここ2週間で集めたものばかりじゃない
そうとなれば話は早い、急いで工房エリアに行かないと
時刻は14時頃、ほんの少しだけ上げてた武器鍛冶スキルをテキトーな素材を使ってレベルを上げてアスナのためのレイピアを製作し続けること数時間
まず大元の素材であるウィンドフルーレを心材っていう状態にするのも大変なのに、それを40回も打たなきゃいけないとか…しかもそこからまた限界まで強化するていう…まぁこれもアスナのためになるならなんてことないかな
そんなこんなどうにか現状作れる中で最高級のシバルリックレイピアが完成した。必要な素材のほとんどが今までに集めた素材でまかなえたけど、スキルがまだ弱いのに自分でやったから時間は結構ギリギリ
今は5層の迷宮区に最も近い宿屋で少しばかり休息を取っている、始まるのはおよそ30分。急げば15分で着くからまだここを出る必要はない。
本当は寝たい気持ちもあるけど多分寝坊しかねないからやめておく
「…はぁ」
許してもらえるか分からない…でもやるしかない。それは分かってる
でも心の奥ではまた自分を苦しめようとする自分を責めてる、怖い。怖いに決まってる、でもやるしかない、ここまで来て逃げたら昨日あそこまで来てくれたアスナに申し訳が立たない
自分の武器のメンテも終わった、防具も現状用意出来る1番いいのを揃えた。あとアスナのレイピアも
あとは…私がやるだけ
誰かのためとかじゃない。自分のために、アスナを助けたい、守りたいっていう自分のためにやるだけのことはやる。それだけだ
「…ねむ」
ダメだ、流石にちょっと眠いや…少しだけ、10分だけ、寝よう
〜〜〜〜〜〜〜
『だから、もう関わらないで』
!?待ってアスナ!私は…
〜〜〜〜〜〜〜
「っ!?……夢、か」
少なくとも昨日会った感じじゃそんなこと言うはずないのにこの夢を見るのは…やっぱり私から私自身への当てつけ?
まぁ悪夢なんてそんなものか
…そういえば今何時?!
14時50分…やば!!完全に寝坊した!!というか寝坊したのなんて初めてなんだけど!?
ふぅ…落ち着け、とにかく冷静に…
まず私がすべきことはダンジョンに潜ってボス部屋に行くこと、そしてアスナに武器を渡してボスを倒すこと
そうと決まったら急がないとね
少し寝たおかげで身体が軽くなっててすごい走りやすい、もしかしたら寝たのは正解だったかもね
っと、敵がポップした、しかも三体!?あーもう!!めんどくさい!!
「はっ!はっ!はぁぁぁ!!」
大鎌ソードスキルの内のひとつ『アンク・モアー』で3連続で撃破!!やっぱり連撃系のスキルは扱いやすくて助かるわね
そんなこんな色々ありつつもどうにか迷宮区に到着。この層の迷宮は確か迷路になってたから時間がかかるのよね
あー、なんでほんとに遅刻なんてしたんだろう。あの時少しでも気を緩めた自分を叩きたくなるわ。でもそんなことを考えても仕方ない、急いでボス部屋に向かわないと
というかやっぱり道が分かりずらい、一応ヒントはあるけどダンジョン全体が暗いせいでそのヒントすら見えずらくなってる
でもこっちはベータテスト経験者、こんなの余裕だっての!!
そんな感じで紆余曲折ありつつどうにかボス部屋前までやってこれた。はぁ、ボス戦は1層の時以来、ものすごく緊張するけど
ここまで来たんだやってやる、何があっても
…で、ベータの時はここら辺で扉があったはずなんだけど…まさかここからベータと違うなんて。それにその代わりであろう階段の先はなんか暗いし…
ん?あれは…足?それにまるで歯みたいな…まさか!?
どうなってるのよ今回のボスは!?
とにかく、あそこにいる人たちを助けないと!突っ張り棒の原理でこの鎌を挟めばどうにか…
くっ、全然開かない…こうなったら自力で開くしか…っ!重い…
「…ミト?」
嘘…アスナ…なの
今度こそ…言うんだ、言わなきゃ…自分の、想いを!
「アスナ…私はまだ、自分を許せない…」
「ミト…」
確かに私のしたこと、は到底許されることじゃない…でも、
「でも!だからこそ!私が生きてる限りは…アスナを絶対に死なせない!」
「っ!?」
くっ…どうにか…開け大口ー!
あ、急に力が緩んできた…!?
「アスナ!?」
落下しかけてるアスナをどうにか捕まえて自分のところに抱き寄せて着地。はぁ、良かった
「アスナ、大丈夫?HPは?」
「うん…なんとか」
「そう…立てる?」
本当はこんなことする資格は無いかもしれない、でもしなきゃいけない気がしてアスナに手を差し出す。その手をアスナは優しく取って立ち上がった
「なら…まだ戦えるね」
「ッ!?うんっ!」
「そうだ…これ昨日のお詫び」
「これは…」
「私が自分で打った武器よ」
「これミトが作ったの!?」
「えぇ、私が昨日折っちゃったから。ほんとごめん」
「いいの…ありがとう、大切にするね」
「そう、じゃあ戻りましょうか」
「うんっ!あ、待って!」
「なによ、急がないと」
「あれ、やろ」
くっ…あれってあれのことよね…はぁ提案された以上断れないし…仕方ないか
カチンッ
私の鎌とアスナのレイピアが音を出した、それはあの日より少しだけ心地よく聞こえた気がする
というかこのボス部屋…全然見たことないんだけど。まさかここまで変更されてるとは…
「黒いの、ボスの変更点は」
「黒いのって…ボスの紋章は常に動き回ってて地面の線を踏んだ時に出てくる手とか足にランダムで出現する」
「なるほどねぇ」
それなら…私のあの技が使えかも。試してみる価値は充分にある
「あ、こっちに紋章が!」
!!とにかく急がないと!
この距離なら…いける!
「はぁぁぁ…はっ!」
ガキンッ!
ソードスキル『チェーン・ジ・ヨルムンガンド』、この鎖鎌専用のソードスキルで遠くの敵の急所にも確実に当てることができる、ある種のチートスキルね
しっかり当たって良かった、そしたら
「みんな聞いて!出来るだけ密集させて手と足を出現させて!紋章を見つけ次第報告、それを私が叩く!」
「「「おぉ!」」」
その後はひたすら手と足を出現させながら紋章を叩く作業、たまに足から出る衝撃波を避けることがあったけど大したことはない
そしてついに
「赤ゲージね。ミトは平気?」
「なんとか…そっちは?」
「もちろん、最後まで頑張ろ!」
「えぇ」
天井を見るとさっきから手とか足が出る時にあったエフェクトが全体を覆っている、そしてそこから巨人が
なるほど、ようやく本体が出てくるってことか
「よし、最後の1本全力で行くぞ!」
「「「おぉ!」」」
ほんと好きねそういうの、私は相変わらずやらないけど
とりあえず私の役目は…様子を見つつあの急所を攻撃する事ね。と言ってもさすがにあそこまでは届かないわよねぇ…いや試したことないからなんとも言えないんだけど
って!?まずいアルゴが!
「届っ…け!」
鎖鎌はぐんぐん伸びてボスの側頭部を直撃、大きくよろめいたおかげでアルゴが攻撃を受けずに済んだ
ふぅ…どうにかなってよかった
ん?あの腕…もしかして登れる。もし行けるならラストアタック取れるのでは?それなら行くしかないでしょ
うわっ、結構傾斜がきついかも…でも登らないと
「っ!?ちょっ!!」
上から叩きつけるとか反則でしょ!あ、また落ちる…
「ミト!!」
…訳には行かない!もう私は間違えたくない!あの時と同じようにはならない!
「はっっ!」
お願い引っかかって…っ!!
ガチンッ!
よしっ引っかかった!あとはターザンの要領で上まで行って…今!
「はぁぁぁぁ…はっ!」
渾身の力を込めた『チェーン・ザ・ヨルムンガンド』は巨人の脳天を捉えて大きく体力を削った
が、削りきれなかった。くっ…仕方ない
「アスナ!キリト!最後はまかせた!」
「えぇ!」「おう!」
ふふっ息ぴったりね…もしかしたらもうあの娘には私は必要ないのかもね…はぁ……さようならアスナ、これから先もアスナが幸せであることを願うわ
アスナとキリトの攻撃はボスの額をしっかり捉え、体力バーを削りきった
はぁ…疲れた
ボス戦も終わりボス部屋の賑やかさが落ち着いてきた
アスナは…黒いの話してるし今は話しかけない方が良さそうね
「よっミーちゃんオツカレー!」
「あなたもね、アルゴ」
「いやー、それにしてもミーちゃんがあんなに強いなんて思わないかったゾ」
「私も、まさかこんなに活躍できるとは思ってなかったわ」
今回のボスはある種のギミックボス、弱点を叩けば大ダメージが入るタイプだったから急所を狙える私の鎖鎌は相性が良かっただけ
多分普通のボスだったら対して活躍出来なかっただろう…それに今回はアスナを助けられただけで大満足だしそんなことはどうでもいいかな
「で、それはそうとあのスキルについて教えて欲しいんダガ」
「高くつくけどいいの?」
「にゃっはー、ま、その話は後だ。今は」
アルゴがキリトの方向をさす、本人の雰囲気から察するになにか話があるようね
「悪いけどがギルドフラッグがドロップした奴は申し出てくれ」
ギルドフラッグ…ギルドフラッグ……あー、そういえばベータの時の5層ボスもそんなのを落としてたような
確か効果ギルドメンバーのステータス強化だったわね、ギルドに入らない私には縁もゆかりもなかった話だけど…ん?待ってもしかしてアスナたちこのアイテムのために、でもギルドを組んでるアイコンは出てないし
…まさか
って私のところにあるじゃない、ギルドフラッグ
えっと具象化してっと
「ギルドフラッグってこれのこと?」
「っ!?あぁ、それだそれ!」
「…ひとつ聞きたいんだけど、いい?」
「あぁ、いいぞ」
今のこのゲーム内の実情、そしてキリトのお人好しにアスナの優しさその他状況証拠とかを分析すればおのずと今回のことの目的は、これしかないでしょ
「あなた達が今回このボス戦を少人数で強行したのはこのフラッグのため。でも本当の目的はこのフラッグによって起きる争いの阻止…ってことでいいのよね?」
「そうだけど、ミトにそれ教えたっけ?私」
「ちょっと考えれば分かることよ、それに」
「それに?」
「アスナが優しい子だってのは、私がいちばん知ってるから」
「っ…ミト」
「アスナ……そういうことならこれは私が貰っておくわね」
「えっ…ミト、しかしてギルドを作るの?」
「まさか、でもどうせそこの黒いのはこれを渡したらどっちかのギルドと交渉する気でしょ、たとえば両ギルドの合併とかいって」
「なっ!?なんでそれを」
このくらい考えれば思いつく、そしてこの作戦が現状上手くいくはずがないことも分かる。今の両ギルドの排外主義性はそんな程度では収まらないのは目に見えてる
「勘よ。それに私が持ち去ったことにすればあなた達とは違って攻略には支障もないだろうし」
まぁもちろん追われる身になるかもしれないけど、そのことはまぁ…その時に考えればいいかな
「でもそんなことしたらミトが…」
「心配は嬉しいけど、大丈夫。私がやりたいの…少しでも貴女の役に立ちたいの」
「…そっか、分かった」
「アスナ!?」
「キリトくん、いいの…ミト」
「なに?アスナ」
「…また会えるかな」
「もちろん、貴女が私を必要とする時には必ず。言ったでしょ…『私が生きてる限り貴女を死なせない』って」
「うん…じゃあまたねミト。剣、作ってくれてありがと」
「うん。またね、アスナ」
私はまだ、あの日の自分を許せたわけじゃない。でも、もし…これから先アスナが私を必要としてくれることがあるなら
その一瞬だけは自分を許して、アスナのためにまた鎌を取ろう。それが私ミト…ううん、兎沢深澄のこの世界での生き方
『チェーン・ザ・ヨルムンガンド』···鎖鎌専用のソードスキル、鎌の中に仕込まれた鎖が狙った方向に蛇のようにうねりながら伸びていき急所を的確に攻撃出来る