ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット 作:あらびきバナナ
「ーー以上で今回のボス戦を終了とする、全員次回以降のボス戦に備えてしっかり休息を取り鍛錬を怠らないように、解散」
そんなヒースクリフの合図と共に数十人のプレイヤーが各々の方向へ歩いてく
時刻はだいたい18時頃、ボス戦を終えて26層の主街区『フェルネオ』に来た
私は特に予定もないしいつもの宿に帰ろうかな…あっ、でも1回アルゴに会わないと行けないんだった
「ミト」
「アスナ、どうかした?」
「ううん特には…今日はありがと、来てくれて」
「いいのよ、あなたの頼みだからね」
「ふふっ、ありがとね…ねぇこの後ご飯でも、どう?」
うっ…すごく魅力的な誘い、だけどこの後アルゴに会う時間を考えるとそんな時間はない…あー、断りたくないけど。断りたくないけど!本当は!
「…ごめんなさい、この後予定があって」
「そっか…なら仕方ないね」
「今日が!都合が悪いだけで!いつもは平気だから!また誘ってね!ね?!」
「わかった!じゃあまたねミト」
「えぇ、また」
…ふぅ、変じゃなかったよね私。アスナと話すのが1ヶ月振りぐらいから内心変なテンションになってたけど、表には出てなかったはず。うん、大丈夫だったと思う。絶対
あ、そういえばあいつのこと聞き忘れた
「…まだなの?」
言われた場所に来て15分くらい、約束の時間もとっくに過ぎてるのに音沙汰が全く無い。さすがにイライラしてきたんだけど…
というかもしかして危険な目にあってるとかじゃ…いや、もしそうならアルゴのことだし連絡の一つや二つ寄越すはずだし
はぁ…なんなのよ…!?
「ひゃっ!!何!?」
「だーれだ?」
…全くこの娘は
「…レーテ、ふざけないで」
「ごめんごめん!ミトちゃん怒らないで〜」
「暑苦しい…」
この娘、私と会って2日目よね?なんか距離感近くない?いや、近すぎでしょいくらなんでも。今もずっと抱きついくるし、なんなのよこの娘は…
「わりぃわりぃ、待たせちゃったなぁミーちゃん…あれ?オレっちお邪魔?」
「違う、そういうのじゃないから……というかこの娘のこと含めて色々聞きたいんだけど」
「分かってるヨ、まぁとりあえず座ろうゼ。ミーちゃんも攻略で疲れてるダロ?」
「…それもそうね、だからレーテは離れて」
「はーい」
ふぅ…やっと一息つける……
「ねぇレーテ」
「何ミトちゃん?」
「なんでわざわざ近寄ってきたの?」
「ミトちゃんの近くにいたいから!」
…うん、もうこの娘はこういう娘だって割り切るしかないわね。もう諦めよう、そうしよう
「うんうん、2人が上手くいってるようで何よりダ」
「うん、そうなの!」「違うから」
「はっはっはー、息もピッタリ!」
「違う!…こんな話しに来たんじゃないの、まずこの娘。なんで私のところに寄越したの?この娘の目的からして適任はアスナでしょ?」
「えー!ミトちゃん私の事嫌なのー!?」
「…まぁそれなりには」
「酷いっ!?うわわぁぁぁぁ…」
そんな分かりやすい嘘泣きされても、机にうなだれながらちらちらこっち見てるし
「…で、なんでなの?」
「ンー?まぁオレっちも最初はアーちゃんに回そうと思ったんダヨ、でもギルドのこともあるしって言われたのと…」
「?言われたのと?」
「…あー、まぁこれはオレっちが言うことじゃないから本人から聞いてくレ」
「そう…」
アスナなりの考えがあるのか…まぁそれなら仕方ないか。この娘の面倒、とりあえずは見てあげようかな
「ぶぅ…」
「ほらレーテ拗ねないで」
「…わかった」
ってなんで腕組んでくるのよ、スキンシップが激しすぎるでしょ。ほんと暑苦しい…
で、次はヒースクリフのことだけど…これ今のレーテに聞かせるのはまずい気がするんだけど。帰ってくれる気もしないし。どうしたものか…うーん
「なぁレーちゃん、ちょっとお使い頼まれてくれネーカ?」
「いいけどー、何するのー?」
「んじゃこの街のショップアイテムを調べてきてくれ。3000コルでどーダ?」
「乗った!行ってくるー!!」
「…さ、これで続きを話せるダロ」
「そうね」
なんというか単純ね、いい意味で。それじゃあさっそく
「まずはヒースクリフのことを聞きたいんだけど」
「あー、それなんだガ…」
「何よ、煮え切らない。さっさと言ったらどうなの?」
「あー、1日中調べはしたんだが何も分からなかったんダヨ」
「…は?いやいや、あなたに限ってそんなこと」
「でも残念ながら本当なんだよ、今回現れるまでどこにいたとか交流のあるプレイヤーとか。何一つ出てこなかった、それどころか顔を知ってるプレイヤーもごく少数だった」
本当に意味がわからない、もしそうならゲームが始まってから5ヶ月ぐらいずっとほとんど誰とも交流せず、しかも今回こんな都合のいいタイミングで現れたの?
まるでゲームのNPC…みたい、じゃない
「ねぇ、特殊なNPCって可能性はないの?」
「あー…つまりあれか?カーディナルシステムによって出てきた高度なAIってことか?」
「まぁそんなところだけど…」
「ないことはないガ…まぁそれも憶測の域を出ないカナ」
うーん、ヒースクリフのことはこれ以上考えても無駄かもしれないわね
そしたら次の話をしようか
「…それで、もうひとつ聞きたいことあるんだけど」
「いいゾー、まだレーちゃんも帰ってこないみたいだし。まぁお金は貰うけどナ」
「でしょうね…ALSの件なんだけど」
「1000…いや、500でいいや。ただの仮説だからナ」
値段からしてほぼ無いに等しいってことね、まぁ払うけど
「まいどー、まぁミーちゃんが聞きたいのはなんでALSが25層のボスに単独で突っ込んで惨敗したかってことダロ?」
「そうね、今日戦った感じ特に苦戦しそうにもなかったし。あんな実力者が揃ったALSが壊滅するとは思えないのよ」
「オイラもそう思って調べてみた…けどまぁ何も分からなかっただけど……ミーちゃん、1層のボス戦覚えてるか」
「えぇ…忘れるわけがない」
ある意味では私の原点だからね、まぁ本当の原点はホルカンの森だけど。はぁ……いやいや、今はその話じゃない。ALSの話をしないと
「そっか…あの時、キー坊…キリトを糾弾したやつ分かるカ?」
「んー…あー、あの白髪の?」
「そうそう。プレイヤーネームはジョーって言うんダガ…5層の時もALSを焚き付けたのはそいつだってキー坊から聞いたから今回もって可能性があるってくらいだ。現に今は行方不明だとカ」
「5層の…てことはPK集団の?」
「恐らく…まぁ結論はいつも通り、分からないってことダ」
「そう、ね」
ここでもPK集団がひとつ噛んできた…ますます怪しさを増す一方ね…でもやらなきゃアスナを護るためにも。私が、私がやらないといけないのよ。あの日の、償いのためにも
さて、他に聞きたいこともないしこの辺にしておこうかな
「…まぁ今回はこんなところね、いつもありがとう」
「はっはー、お安い御用サ!」
さてと、そろそろ帰っ…あれ?そういえばレーテは…
「アールゴ、戻ったよー!はいメモ!」
「おう、レーちゃんサンキューな!じゃ、オイラはこの辺で。じゃーなレーちゃん、明日もよろしくミーちゃん」
「えぇ」「まったねー!」
「じゃあ私も帰りましょうか」
「あ、待ってよミトちゃん!」
いや、別に着いてくる必要ないでしょ?
アルゴと別れて数分、主街区の転移門に向かって歩いてるんだけど…なんでかずっとレーテがついてきてる
「…ねぇレーテ」
「なにミトちゃん」
「なんでついてくるの?」
「え?ダメだった?」
「そういう意味じゃなくて…」
はぁ、そういえばさっき自分で思ったこと思い出した。こういう娘なんだった…うーん、どうやって伝えればいいのかな
「あ、そうだ!さっきアルゴから明日もよろしくって言われてたけど明日なにかあるの?」
「明日?明日は中層と下層のプレイヤー向けのアイテムバザーをするのよ、その主催がアルゴで私もそこに呼ばれてるの」
「えっ!?ミトちゃん生産職も出来るの!!」
「まぁそれなりには…」
「凄い!最前線で戦える力を持っててかつ生産職で他のプレイヤーにも貢献するなんて!!」
「そっ、そう?」
「うん!!」
素直に嬉しい、誰かに褒められるっていうのをあまり経験してこなかったから尚更なのかもしれないけど。顔が暑い…
「あれ?ミトちゃん顔が赤いよ、照れてる?」
「て、照れてない!!もう帰るわよ!」
「えっ!?待ってよミトちゃん!」
「だからなんでついてくるのよ!」
「ついて行きたいから!」
「あーもう!!なんでなのよ!!」
会ってまだ2日だけどこれだけはわかった。これから先私めっちゃくろうするんだろうなぁって
それと…この娘と話してると何となく落ち着くってことくらい。早とちりかもしれないけど雰囲気というかなにかが合うのかもしれない、たぶんだけど
決してレーテに気を許したわけじゃないけどね!ほんと!
薄いですわ、内容が使い回し3回目の麦茶くらい薄いですわ