ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット   作:あらびきバナナ

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1ヶ月ぶり、ですかね?お久しぶりですね

1ヶ月空いた理由についてですが…えー、何を書こうか迷っていたら気付いたらこんなに時間が経っちゃってたんですねぇ。馬鹿ですねぇ(自虐)

まぁあの、今回も頑張って書いたんで読んでくれたら嬉しいです


貴女の隣に立ちたくて

アルゴとよりを戻した翌日。私は彼女と一緒にアインクラッド第1層、はじまりの街の噴水の前に来ていた。正直、アルゴに言われるがままついてきたからなにか目的がある訳でもないけど

 

「で、なんでここに連れてきたの?」

 

「まぁ息抜きってやつダナ、前線にいても息が詰まるだけダロ?」

 

「そうかもね…」

 

とは言ったもののこの街に来るとこのゲームが始まった初日を思い出すからあんまり息抜きにはならないけど…とは思ったけどせっかく気を使ってくれたんだしそのことは言わなくてもいいかな

 

「…あの日」

 

「ン?」

 

「あの日…私がアスナを街から連れ出さなかったらどうなってたのかしら…」

 

いやそもそもアスナに初日に出会うことも無くひとりで先に進んでたら…私とアスナはどうなってたのかな。ふとそんなことを思った

 

「んー、オレっちの勝手な考えにはなるんだが。多分どこかでミーちゃんとアーちゃんは再開してたと思うぞ」

 

「…どうして?」

 

「アーちゃんの性格的にこの街でただ解放を待つなんてことしないダロ?」

 

「…そうね、あの子負けず嫌いだからね」

 

「ダロ?だから…そこまでミーちゃんが気負うこともないんじゃないカ?」

 

「さぁ、どうなのかしらね」

 

結局のところそれも架空の話だし、現実は私がアスナを街から連れ出して危ない目に合わせたんだ。その事に対して責任はやっぱり感じてしまうんだ

 

そんなことを考えながら空を見上げる、あの人同じように澄んだ色をした綺麗な空。この世界の太陽もいつものように空を漂っている

 

そんな空の向こうには2層の地表が…そのずっと上の方では今もきっとアスナは最前線で戦ってるだろう。少なくともいつまでの悩み続けてる私とは違って、誰かのためになるようなことをしてるに違いない

 

…いつか私もあの娘の隣に立ちたい、彼女を支えて戦えるような。そんな強い人間に私はなりたい

 

そのためにもまずは…ちゃんと話さないと、私がしてしまったことを。背負わなきゃならない罪を、私があんなことをしてしまったことをアスナにも受け入れて貰えたら…いいな

 

「なんかリフレッシュのつもりが気付いたらちょっと重い話になっちまったナ」

 

「そうね…でもありがとう。おかげで色々と考えがまとまった気がする」

 

「そうか?ならいいケド」

 

それにたとえ拒絶されたとしても…もう失うものなんてない。その時にはきっぱりとあの娘のことは諦めよう…どちらにしろそれで私はやっと、1歩進めることになるはずだから

 

「…それにしてもどうやって会えばいいのかしらね」

 

「やっぱりオイラが連絡を取り付けようカ?」

 

「そうね…やっぱりそれしかないのかしらね」

 

ギルドの本拠地は一応知ってはいるけど行ってもいるか分からないし、門前払いされる可能性すらある。はぁ…アニメみたいに偶然どこかで会うみたいなイベントはないのかしらね…

 

「…とりあえず前線の街に戻りましょうか、もしかしたら偶然会えるかもしれないし。それでも今日中に会えなかったらお願いするわ」

 

「りょーかい!じゃあ戻るカ」

 

アルゴの返事と共に転移門の方向へと歩き出す。心做しか前線という言葉を口にしてから周りからの視線が少しばかり痛い気がする。その感情が嫉妬か嫌悪なのかは分かりかねるけど

 

少なくとも、ここに残ってる人達からすれば私たちみたいなのはこんなとこに居ないで前線で戦えって思われてそうなのは分かる。それが唯一の希望なわけだし

 

「あ!ミトちゃん発見!!」

 

「レーテ…どうしてここに」

 

「ミトちゃんに会いたかったから」

 

「またそうやって…まぁいいけど」

 

ほんと、1年前ではこんな状況考えもしなかった。いやいちばんはそりゃゲームの中に囚われてることなんだけど…私がこんなに色んな人と関わるようになるなんて思ってもみなかった

 

アルゴもレーテもリズもユナも…今の私にとっては欠けてはならない重要な存在になってる。みんなにとっても私がそういう存在になれたらいいなって

 

そんなことを思いながら私ははじまりの街を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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転移も終わって場所は現在の最前線の街、先程までの雰囲気と違ってこっちはなんだか一発即発と言わんばかりのピリついた空気って感じ

 

「んで来たはいいケド、探す方法とか考えてるのカ?」

 

「…ない」

 

「なんて言うか、ミトちゃんも結構直情型だよね」

 

「貴女にだけは言われたくない」

 

「えー、アルゴちゃんもそう思うよね?」

 

「いやオレっちからしたらどっちもどっちダゾ」

 

アルゴの呆れたような声で吐き出されたそんな言葉、いや私としてはこの娘と同じように扱われるのはちょっと納得いかないんだけど。まぁここでいちいちつっかかってたらそれこそ墓穴を掘るようなものだし黙っておこう

 

まぁやっぱりというか、やっぱり偶然会えるなんてあるわけないわよね。そもそもの考えが甘かった…やっぱりアルゴに頼んで連絡してもらうしか…

 

「そういえばさ、2人は何をしようとしてるの?」

 

「あっそういえば説明してなかったっけ、私の友達を探してるの。ほらあの件で連絡取れなくなっちゃったから…」

 

「あーなるほど…じゃあさっそく探しに行こう!」

 

「いや、何処によ」

 

「最前線のダンジョン!レッツゴー!」

 

いつも通りというかなんというか…私の話も聞かずに真っ直ぐ街の外へと歩き出すレーテ

 

「…さすがにあの娘と同じ扱いはやめて欲しいんだけど」

 

少なくとも私は人の話聞くし

 

「さっきも言ったけど、オイラから見たらどっちもどっちダゾ?」

 

「いやさすがに…はぁ、もういいや」

 

「ソウカソウカー、で追いかけるか?」

 

「追いかけるしかないわよね、選択肢がないって言うのもあるけど……ほら」

 

そういい私が指をさしたのは…遠くでこっちに向かって大手を振って私達をこまねていているレーテ…なんか、言動も含めてあの娘って犬みたい

 

「ま、それもそーか。じゃあ行くカ」

 

「そうね」

 

まぁその…多分私だけじゃその行動力や発想は絶対出てこないからその点ではレーテには助けて貰ってはいる。本人には絶対言わないけど、絶対調子に乗るしもっとやかましくなりそうだから

 

「遅いよー2人ともー、何か話してたの?」

 

「別に大したことは話してないわよ、ほらダンジョン行くんでしょ」

 

「怪しい…まぁいいけど。じゃあ早く行こっか!」

 

誰かと共闘するのはいつぶりだろうか…いやもしかしたらそこまで久しぶりじゃないかもしれない。ココ最近の出来事が濃すぎてよく分からなくなってるかも

 

そんなことを考えながらフィールド…戦闘エリアに出た。戦闘エリアとは言ったけどこの層はダンジョンがあちこちに点在しててフィールドはそこに行くための移動手段でしかない、だから周りにほとんど敵モブもいないから警戒する必要も無い

 

強いていえばPK集団に警戒する必要はあるけどそんなことこんな昼間に起きるわけ…いやあるわね。私なんてそれこそ格好の的じゃない、あいつらに敵討ちとかいう考えがあるのかは知らないけど狙われる可能性は充分あるじゃない…一応警戒しておきましょう

 

「…そういえば、いまどこが最前線なのか知ってるのレーテ」

 

「いいや知らないよ…えっ、ミトちゃん知らないの?」

 

「知らないわよ最近はそれどころじゃなかったし」

 

うん、やっぱり私も直情型だったかもしれない。現にレーテが知ってると信じて疑わなかったし

 

「…教えてやろうカ?」

 

「…お願い」

 

後で情報量ふんだくられるかもしれなけど、まぁ大した金額じゃないだろうしその事には目を瞑っておこう

 

「じゃ案内してやるからついてきナー!」

 

「はーい!!」

 

「ほんと元気よねレーテは…」

 

その元気さは鬱陶しいけど…そうね、たまにはいいかもしれないわね。そのおかげで励みになってることもほんの少しはあるし、本当にほんの少しだけど

 

そこから歩くこと十数分、特に何事もなく私達は現状の最前線のダンジョンまでやってきた。やってきたはいいんだが…

 

入口で陣取る統一感のある服装のプレイヤーが数人、その前で陣取るこれまたそれぞれ統一感のある団体が2つ…なるほど、まるで寡占状態ね

 

ひとつは間違いなくアスナの所属する血盟騎士団、残りは旧DKB…たしか今は聖龍連合って名前の所と…最後のグループは私の知らないところね、初めて見たかも

 

しかもあれね、私の知らない団体はあれ寡占に協力してるってよりは抗議してるようにも見えるわね。まだこのゲームにもまともなやつがいたのね

 

「まぁMMOなんてこんなものよね…」

 

「そーダナ、ここまで露骨なのは初めて見たが」

 

「ん?これって何かを待ってる感じなの?」

 

「待ってるって言うか…狩場を複数団体で独占してるって感じね。名目が攻略なだけに邪魔しずらいってのもおまけでね」

 

「ふぅん、そっかぁ」

 

まぁでもここに血盟騎士団がいるってことはアスナがいる可能性もあるってわけで…

 

「で、どうするんダー?ミーちゃん」

 

「…そうね私はここで待つわ」

 

「そっか、それならオレっち達は邪魔になるだろうから帰ろうカナ。行くぞレーちゃん」

 

「えぇ…まぁ仕方ないか。それじゃあミトちゃん!またね!」

 

「えぇ、2人とも色々ありがとう」

 

「いいのいいの〜!友達でしょ私達!」

 

「そうだゾ!友達なんだからこれくらいトーゼンってヤツだ」

 

「そ、じゃあ…また明日って言っておこうかしら」

 

その言葉に対してアルゴとレーテはただ笑ってみせて、その場を後にした。その2人をミトは見えなくなるまで見つめていた

 

そうよねここからは私が自分一人でやらなきゃいけないことだものね、誰かに頼らず自分の言葉でちゃんとアスナに伝えないと

 

たとえそれが最後の会話になるにしても

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ダンジョンの手前で待ち続けることおよそ20分、何やら動きがあったので遠くから様子を伺うことにした。そこでは私の知らない例の団体がついには一触即発の空気感になっていた

 

さすがに最前線のギルドということもあり決して剣に手を置くことすらせずただ淡々と自身達の行いを正当化しようとする血盟騎士団と、剣に手をかけ武力で押さえつけようとする聖龍連合

 

聖龍連合は名前が変わってからこういう行動があからさまに目立つようになったわね、特に情報は無いけど前からリーダーが変わったのは間違いない。ここまで言動が違うとなれば上から一新された可能性が充分ある

 

まぁ解放軍の後釜に人数だけで成り上がった連中なんてそんなものよね

 

「ほんと…くだらない」

 

命がかかってるんだから必死になるのは分かる、でもそんな時こそ冷静になってちゃんと話し合うべきだと思うんだけど…

 

あれ…あの素性が分からない団体のひとりがこっちに気づいた。あれなんかこっちに来てない?え、なんの用?

 

「なぁあんた、もしかしてここのダンジョンを攻略しに来たのか?」

 

「え…あー、まぁそんなところよ」

 

「やっぱりか。あ、俺風林火山ってギルドでリーダーやってるクラインってんだ、よろしくな!」

 

「…ミトよ、今はソロよ」

 

「おう!よろしくなミト!」

 

まぁ悪い人ではないんだろうけど…なんて言うか、ちょっと馴れ馴れしいわね。別に嫌ってわけじゃないけど

 

「そうだ!これもなんかの縁だ、あんたもあそこでダンジョンを独占してる奴らに文句を言ってやってくれ!」

 

「いや私は別に、ちょっと押さないでよ!」

 

「まぁまぁそう言わずに頼むよ!あの傲慢な奴らもミトちゃんみたいな子から言ってやった方が言うこと聞いてくれるかもしれないしな!」

 

「なによそれ…!」

 

あーもう面倒なことになっちゃった…こんなことなら血盟騎士団の奴らがここを通るまで大人しく待ってれば良かった

 

「おいお前ら!ソロの女の子も待ってるんだ!分かったらダンジョンを独占するなんて傲慢なことやめて俺たちにも平等に使わせろ!ほらミトちゃんからも言ってやってくれ!」

 

「えぇ…」

 

あーもう、めちゃくちゃ注目浴びちゃってるし。何も言わないわけにわいけない状況になっちゃった…はぁ…何か、何か言わないと

 

「あー…えっと……」

 

「ちょっと待て、お前。ミトというネームなのか?」

 

「え?そうだけど…」

 

何か言おうと考えてたら急に血盟騎士団の団員だと思われるやつが話しかけて来た。というか近い!

 

「そうか…そこのお前、今すぐ副団長を呼んでこい。探してた人が見つかったって伝えれば来てくれるはずだ」

 

「いやあのアスナを呼んでくれるのは嬉しいんだけど…とりあえず離れて、流石に近い」

 

「おっと、失敬した…」

 

というかこの人ごついわね、装備のせいもあるのかもしれないけどおおよそ常人のそれじゃない体型をしてるわ。まぁもっともベータ時代にあんなアバターを使ってた私が言えることじゃないけど

 

「ゴドフリー!ミトが来たってほんとう!?」

 

「はっ、こちらに」

 

「あ、アスナ…その…ごめ」

 

ミトが謝罪をしようとした次の瞬間、アスナはその言葉を待たずに強く抱き締めた

 

「ミトぉ…よかったぁ、急にフレンドが解除されたから、私心配でぇ…っ」

 

「…ごめん、本当に…でもちょっと、苦しいから…緩めて欲しいかもっ」

 

「あっ…ごめん、つい」

 

自分があまりにも強い力でミトを抱きしめていたことに気付いて徐々に力を緩めながら離れる、それでもまだ不安なのか未だに両の手を握ったまま。だが、ミトもそれを受け入れ握ってきた手をしっかりと握り返している

 

「その、ごめんなさい…色々と迷惑かけて」

 

「うん…とりあえずその言葉が聞けてよかった……ゴドフリー、今日はここで解散。後のことは貴方に任せるわ」

 

「はっ、承知しました」

 

「行こっかミト、私も話したいこと沢山あるしミトも沢山あるでしょ?」

 

「うん…そうね……」

 

これまで離れていた時間を埋めるように、それでも決して詰めすぎないようにしっかりとミトの手を掴みながら行く先へと先導するアスナ。それとは対称的に、もっと怒られるものだと思っていたミトは想像とのギャップから来る戸惑いと一番の友達だと思っている相手に久しぶりに会えた嬉しさからとても複雑な表情をしていた

 

そんな後ろで残りの残された血盟騎士団メンバーはアスナの命令通りに解散となり、聖龍連合は空いたダンジョンへ向かう。風林火山の面々は目の前で繰り広げられた目まぐるしい展開についていけずしばらく放心したままになってしまったとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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場所は変わって最前線層の主街区、最近攻略組の中で密かに話題になっているレストラン

 

いやここめっちゃ高いところじゃなかったっけ!?しかもここ個室だし!?

 

「ね、ねぇアスナ私そんなにお金ないんだけど…」

 

「大丈夫!私が払うから!」

 

「え、いいの?」

 

「もちろんっ!」

 

久しぶりの再会は確かに嬉しい…だけどここまでいつも通りだとむしろ不安になる。自分で言うのもなんだけどかなり酷いことをしたと思うんだけど

 

それなのにここまで何も変わらないともしかしたらアスナは私に興味なんて最初からないんじゃないかなって思っちゃう、もっと怒られたりするかと考えたから。いやこれももしかしたら私のわがままなのかもしれないけど

 

その後、ひと通り注文を済ませてようやく一息つけた…というか

 

「アスナ、なんで隣に座るの…?前空いてるわよ?」

 

「いいじゃん…久しぶりなんだし…」

 

「あ、別に嫌って訳じゃなくて…」

 

「ふふっ冗談だよ、でもせっかく久しぶりにあったから少しでも近くに居たいってのは…本当だよ」

 

「…もう」

 

あーもうなんなのよこの娘はぁ!?この人たらしめ!!

 

「…そろそろ聞いてもいいかな?」

 

「まぁ…それを話に来たわけだし」

 

「そうだよね、じゃあ……あの日、フレンドを解除した日に何があったの?」

 

ついに、この時が来た。いや来てしまった…私は上手く説明出来るだろうか…アスナに私がしてしまったことを受け入れてもらえるだろうか…不安は尽きないけど、ここまで来たんだ。やるしかない

 

もう覚悟は決まってるから…

 

「あの日…私はアルゴの仕事の手伝いでPK集団の調査をしてたの。聞いたことある?」

 

「PK集団…まぁ最低限の知識なら」

 

「なら良かった…それでその日はそいつらのうちのふたりが森で密会するって情報から私はその森でそいつらの話を聴く仕事を請け負ったの…」

 

「あれ?ミトって隠密系のスキル取ってたの?」

 

「今年に入ってからね…」

 

そういえばあの時アルゴから借りたローブ返してない…今度会った時に返さないと

 

「…それで、まぁ話を聞くまでは上手くいってたんだけど撤収する直前に盗み聴きしてるのがバレちゃったの」

 

「え……」

 

「それでその相手と…戦う、ことになって…」

 

「ミト…震えてるの…?」

 

やっぱりだ…あの時のことを思い出そうとすると身体震えてくるし呼吸が苦しくなる。あぁ…やっぱり私は弱いんだ…

 

しかしその瞬間、隣に座っていたアスナがすかさずミトを抱きしめる

 

「大丈夫…ミトが何をしたとしても私は受け入れるから、だからゆっくり話して?」

 

「アスナ…」

 

アスナの優しさに包まれたことで徐々にミトの震えが収まってきた、最初不自然に隣に座ったのももしかしたらこうなることを予期していたのかもしれない。ミトにそう思わせるにはこれらの行動だけで充分だった

 

あぁ…本当に良かった、アスナがいてくれて。この娘がいなかったら私はずっと倒れたままになってたかもしれない…でもこの娘のおかげでようやく私は立つことがまた出来るかもしれない

 

「戦って、それで……私はっ、相手を……殺してしまったの」

 

「…そっか」

 

言ってしまった…もう完全に後戻りはできない。でも後悔はしてない、これでちゃんと自分の罪を自覚できたから

 

「辛かったね、お疲れ様ミト…」

 

「…なんで」

 

「ん?」

 

「なんで、怒らないの?なんで軽蔑しないの?私はっ、人を殺したのよ!それなのになんで貴女はそうやって…!!」

 

「だって、わざとじゃないんでしょ?」

 

「そうだけど!それでも私は……!!」

 

「私は…知ってるから」

 

「え……」

 

抱きしめてる手を緩めるミトが顔を逸らさないようしっかりと抑える。しっかりと目を見合せ、本音を伝える

 

「ミトが優しいことも、ちょっと不器用なことも、前ばっか見て少し回りが見えなくなっちゃうことも、誰よりも周りのことを考えてて気が利くのも…少し寂しがり屋なのも全部知ってるから。だから私はその事でミトを軽蔑したりなんてしない、むしろミトがその事で虐められてたら庇ってあげる」

 

「アスナ……」

 

思ってもみなかった、アスナがこんなに自分のことを思って考えていてくれたなんて。しかもそれをこんな面と向かって言って貰えるなんて…

 

「ミト、泣いて…」

 

「っ!ち、ちが…これは、そういうんじゃなくて…だって、私っ…」

 

再び手を背中に回ししっかりと抱き寄せるアスナ、そしてそれを今回はその行動に答えるように自分も彼女を抱きしめ返すミト

 

その時間はしばらく続き気付けば料理も全て机に料理が出揃っていた。その間、二人の間に会話はなくこれまでの時間を埋めるようにただお互いの仮想の温度を感じあっていた

 

その長く続いた時間にもついに終わりを告げることになった

 

「アスナ…もう大丈夫だから、ありがとう」

 

「そう?少しでもミトが元気になってくれたなら良かった」

 

「えぇ。それはもうとっても元気になったわ……ってもう料理来てるわね」

 

「あっ本当だ。食べよっか、もう冷めちゃってるかもしれないけど」

 

「そうね…あんまり長居するのも良くないし」

 

そのあとは2人の年齢に似合った特に他愛もない話をしながら頼んだ食事を平らげた。2人…特にアスナはその立場からなかなか年齢らしいことも出来ないこともあり久しぶりに心の底から笑っていた

 

気付けば日も暮れて、最初の長居は良くないというミトの言葉も何処へやら。閉店間際まで二人の間に談笑は続いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかこんな時間まで話し込んじゃうなんて…」

 

「たまにはいいじゃん、こういうのも」

 

「…そうかもね」

 

お店から出たあとも2人の話題が尽きることはなく、気付けば今日の残り時間もわずかとなっていた

 

「ねぇアスナ、また私とフレンドになってくれる?」

 

「もちろんっ!でもどうしてそんな改まって言うの?」

 

「その…やっぱりまだ不安で」

 

本人の言葉を聞いたとはいえ未だに不安を拭いきれない、ほんとめんどくさい性格してるわね自分

 

「もー、さっきと言ったでしょ大丈夫だって。ほら申請送ったよ」

 

「…ありがとう。本当に」

 

「当然だよ、友達だもん!」

 

はぁ…ほんと自分が嫌になる。アスナが嘘なんてつくはずないのに、それなのに疑って勝手に落ち込んで…本当に嫌になる。でもこの気持ちも今日の私が勇気を振り絞って全てをさらけ出したからこそ味わうことが出来ていると思えば…まぁ悪くは無いのかなって

 

「そうだ!今度久しぶりに2人で狩りに行かない?」

 

「えぇもちろんいいわよ、予定はそっちに合わせるわ」

 

「やったね!」

 

ほんとこの娘は…言動のいちいちがあざといというかなんというか。ほんと可愛すぎるわよ

 

「じゃあ私の宿あっちだから」

 

「えぇまたねアスナ」

 

「うん…あ、何かあったら今度はすぐ私に連絡してね!絶対だよ!」

 

「ふふっ分かった、そうするわ」

 

「よろしい!じゃあまたね!」

 

なんて言うか…ほんとつい数時間前まで気に病んでた自分が馬鹿としか言いようがないくらいあっさり終わったわね

 

もちろんこれであのことがなかったことになる訳じゃないし忘れていい理由にもならない。ようやく向き合う準備が出来ただけ…でもそれでも、私はもう逃げない。命果てるその時まで私はこの罪を背負い続けるんだ

 

「あら1ヶ月ぶりね」

 

「っ!?…あんたは…っ!」

 

「ふふっそんなに睨まないで。私と貴女の仲でしょ?」

 

「…あんたとそんな仲になった覚えはないんだけど」

 

鴉の羽のようなものを纏ったマント…頭の上に浮かぶ赤いプレイヤーカーソル…マスクをしていて顔は見えないけど間違いない。あの女だ

 

「あら顔が見えなくても私のことを分かってくれるなんて、嬉しい」

 

「分かりたくなかったけどね…それで、なんの用?私早く宿に帰りたいんだけど」

 

「まぁそんなに焦らなくてもいいじゃない久しぶりにあったのだから…あらその目」

 

鴉の女は急にミトへと接近、ミトは応戦しようと背中にある鎌に手を掛けたがその手ごと後ろの壁に押さえ付けられ女にされるがままの状態となった。そして被っていたマスクを取りただじっとミトの目を覗いてきた

 

「…そうもう呪いが解けちゃったのね、残念」

 

「何が言いたいか分からないけど、もう私はまでとは違うの。あんたらなんかの…」

 

瞬間空いている方の手が赤く輝き出す

 

「思い通りにならないわっっよ!!!」

 

「っっ!?」

 

体術ソードスキルのひとつ<閃打>を発動させ、圏内特有のノックバックを利用して女を吹き飛ばした

 

ふぅ…全く薄気味悪い。特にあの笑い方…口が三日月みたいに歪に笑ってるあの顔、一体何を考えてるかわかったもんじゃない

 

「ふふ…ほんと貴女最高。モルテのことを乗り越えてさらに強くなってる、まるでアニメの主人公みたい…そういう子私大好きよ」

 

「それ、褒めてるの?」

 

「もちろん…それでこそ殺りがいがあるってものじゃない?」

 

狂ってるわね、完全に

 

そういえばこの前アルゴに貰った回廊結晶があったはず…これを使えばあの女を牢獄にぶち込めるんじゃ

 

「あら?まさか、私を牢獄にぶち込もうだなんて考えてないわよね?」

 

「…なんの事?」

 

「間が空いたわね…でも残念。その手には乗らないわよっ」

 

「あ!逃げるな!」

 

ミトから逃げるようにして高く飛び上がった女は近くの建物の屋根の上に着地した

 

「っと…私がそんなつまらない終わり方をする訳ないでしょ?私の行動を封じたいならその鎌で私の首を掻き切ることね」

 

「言ったでしょ、あんたの考えには乗るつもりはないわよ」

 

「そう…ならこっちにも考えがあるわ。今日のところはおいとますわ。それじゃあね〜」

 

「ちょっと!……ちっ」

 

今の私じゃこの屋根に飛び乗れないし、どうにか昇ったとしても逃げられてるに決まってる。ほんとあの女は…一体何を考えてるんだか。考えたくもないわね。それでも何かあってからじゃ遅いし念の為アルゴに連絡を入れておきましょう

 

はぁ…いい気分のまま一日を終えたかったのに邪魔するんじゃないわよあの女…次会ったら必ず牢屋にぶち込んでやるんだから

 

「なんかどっと疲れたわね」

 

多分今日はこれ以上何を考えても無駄だしさっさと宿に帰って明日に備えましょ、来週にはまたバザーに参加する予定になってるから防具とかアクセも作らなきゃだし。何より早く自分のお店を持ちたいしね

 

やることが多くて目が回りそうだけど、前よりも前向きになれたぶんいくらか気が楽だ。これ慣れたのもアルゴやレーテ、リズにユナ……そして何よりアスナが私を受け入れてくれたから。みんなの期待に応えたい、そのためなら頑張れる気がする

 

久しぶりにそんな前向きな気持ちになりながらミトは借宿への帰路へと着くのだった

 

 

 

 





さぁて、次はいつになることやら…25日には推してるゲームが発売されるし。26日にはSAOの攻略会議があるし…何より学校の課題が…

まぁできる限り早く投稿するようにします

こんな馬鹿の動向が気になるなら是非Twitterに(ダイマ)
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