ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット   作:あらびきバナナ

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どうにかして11月7日に間に合わせたいので最大限書きたいことを書きつつ最短ルートで行きます。間の話とかは与太話的にそのうち書く予定


祝福の行方

季節は流れて12月、こっちに囚われて一年を越して2年目へのカウントダウンが始まった。寝たきりで人間がどれだけ生きていけるかは分からないけど色んな意味でタイムリミットが迫ってる

 

アスナ曰く、今年の前半頃までは攻略に対するやる気も高くて常に新しいプレイヤーが参加を申し出てたらしい。でも時間が経つにつれてその人数は減り今となってはほとんどが既存メンバーで進められているとか

 

もちろんそれ自体は悪いことじゃないと思う、連携の練度やコミュニケーションの問題も起こりずらいだろうし。ただその分1度瓦解しちゃえば人数も減り士気も落ちる…そうなったらもうきっと誰もこの世界を攻略をしなくなる

 

いたとしても少人数長持ちはしないだろうし…なにより今も既にいるこの世界に永住しようとする派閥が増長するだろうし。もちろんそういう人たちの考えも分からなくもない、現実に戻って学校行ったり仕事をするくらいなら…って思うのも

 

たしかに…

 

「現実に帰ったら…私はどうするんだろ…」

 

「ん?何の話?」

 

「クリアしたあとの話よ」

 

と横から覗いてきたレーテに返事をして、やってた作業を1度を中断し意識を彼女の方に向ける

 

「あーなるほど…うーん、たしかに私も向こうに帰ってどうするかとか考えてなかったかも!」

 

「これって私たちだけなのかしらね」

 

「他にも結構いると思うよ、リズちゃんとか案外そういうところしっかりしてるしさ」

 

「そうね。あとは…アルゴとか?」

 

「だねー…で、実際ミトちゃんはどうなの?」

 

「え?わたし?」

 

改めて言われるとなんかちゃんと考えちゃうじゃない…まぁでもこれを機会に考えるのもありかな。なんて

 

「…そうね、まぁとりあえずは学歴よね」

 

「わ、結構現実的」

 

「たしかにこっちに来た時はまだ中学生だったけど出る頃には10代の後半…世間一般的には大学に行くか仕事をするか選ぶ時期だしね。たぶんだけど災害支援みたいになにか補助はされるはずだからそれを当てに定時制で勉強しつつ…って感じね」

 

「うぅ…やめようよ、こっちでまで勉強の話なんてぇ」

 

「あら、貴女勉強苦手なタイプ?」

 

「別に苦手なわけじゃないけど、好き好んでそんな話はしたくないかな」

 

「たしかに、私も真面目に考えたから出てきただけで現実的な話。多分私、戻ってすぐやることと言えばこっちにいる間に出たゲームやるとかだし」

 

もう一年以上もこっちにいるんだし、いくつも大作ゲームが出てるに違いない。そういう意味では向こうに戻るのは楽しみかも…まぁそれ以上に世の中についていけるかが不安でもあるけど

 

「まぁ無事に帰れたらだけど」

 

「帰れるよミトちゃんは、私が保証する」

 

「なんなのよその自信は…」

 

「女の勘かな?」

 

「はいはい…」

 

まぁでもなんだかんだこの子の言うことは毎回当たってるのよね…本当にあるのかしらね、勘って

 

ん?アルゴから連絡?

 

「ん?どうしたの?」

 

「アルゴからメッセがね……え」

 

「なんて来たのー?…蘇生、アイテム?」

 

アルゴからメッセージはこう

 

『組成アイテムなるものの情報を手に入れた

49層で待ってるヨ』

 

「…どうするの、ミトちゃん?」

 

そんなの決まってるでしょ…ユナやサチ、黒猫団のみんな。全員だろうが1人だろうがもし救えるのなら…帰ってきてくれるなら私は

 

今ある最高の武器と防具、これまでの経験…私の全てに変えてでもやり遂げなきゃ

 

「行ってくる」

 

「私がそう簡単に見送ると思う?一緒に行くに決まってるじゃん」

 

「…言うと思った、ほらこれ」

 

「ん?これなに?」

 

「貴女用の防具、何かあった時のために作っておいたの」

 

「っ〜〜〜!!ミトちゃーん!!!!」

 

「わっちょっ!くっつかないで!危ないでしょ!?」

 

「えっへへ〜」

 

なんとなく予想してたけどこうなるのは、暑苦しい

 

まぁ、嫌ではないんだけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で2人で来たってわけ、カ」

 

「えぇまあ…迷惑だった?」

 

「いや別ニ、むしろ戦力は多い方が助かるからナ。というわけでレーちゃんもちゃんと働いてくれヨ」

 

「もちのろんだよ!」

 

49層の小さな街、100層もあるアインクラッドの中間地点手前の層。その特性や例の5の倍数層はボスがひときは強い法則も相まって攻略当時はここでレベル上げをするプレイヤーや宿泊するプレイヤーも多かったのよね

 

でも最近じゃ店の少なさや上層でいいレベリングスポットが見つかった事で人がほとんど寄り付かなかった場所。なのに今日は少しばかり人が多い、その理由は恐らく

 

「こんな世界でクリスマスツリーって」

 

「まぁそういうなッテ、実際の戦場でもクリスマスは休戦になったりするんだからサ」

 

「いつの話よ…で、本当なの例の件」

 

「おそらくナ、オイラが手に入れた情報はこのイブの日に35層の迷いの森に限定ボスが出るってのとそのドロップアイテムが『死んだプレイヤーを蘇生するなにか』ってだけダ。実物があるわけでもナイ」

 

「でもそれを私たちに話すってことは少なからず信ぴょう性はあるってことでしょ?」

 

「ま、いつもの私ならそういうことになるヨナ」

 

「そうよね…」

 

試す価値はある、そんな情報が落ちるほどのものだし仮に蘇生アイテムじゃないにしてもそれに準ずるなにかなのは間違いない。例えばHPが全損しても1度だけある程度体力のある状態まで回復してくれるアイテムとか。問題は場所ね

 

「迷いの森ってあれよね、軍が1度遭難したっていう」

 

「そこダヨ、でも安心していいゾ。今回はオイラ謹製迷いの森完全攻略マップを渡してやる」

 

「乗った、幾ら?」

 

「いや今回はお代はいいヨ、情報も不確かだしナ」

 

「そうじゃあ…「ただ」?」

 

「ちゃんと生きて帰ってこい、それが今回の対価ダ」

 

「…随分安い対価ね」

 

「かもな…でも何よりも価値あるダロ?」

 

「かもね…どうしたのレーテ?」

 

「別に、ふたりが仲良さそうに話してたからって嫉妬してないし」

 

「はいはい、構ってあげられなくて悪かったわね」

 

「うーん……許す!」

 

いや軽っ、相変わらずこの子の頭の中が分からないわ…まぁ助かるっちゃ助かるんだけどさ。心配にはなるけど

 

「それはどーも、じゃあアルゴ。またあとで」

 

「あぁ2人とも気をつけてナー」

 

「またねーアルゴさーん」

 

「…転移『迷いの森前』」

 

ゲートをくぐるとさっきまでの賑わってた場所から一転、殺伐とした空気が街中に漂ってるのを感じた。理由はもちろん…攻略組、トップギルドの連中だ

 

解放軍、血盟騎士団…他にも攻略に参加する時に見るような連中ばかり。なるほどこいつらもどこかから噂を聞きつけたってわけか

 

「ね、ねぇミトちゃん…どうする?」

 

「そうね…遠回りになるけど反対側から出て森に入りましょう。絡まれたら面倒だし…」

 

「りょうかい、いこっか」

 

別に集団のために行動することは悪いことじゃない、けど行き過ぎるとそれはただの自己満足。現に中間層や下層では一時期攻略集団による横暴もあったわけだし…今回だってなにか部外者に圧かけてる可能性もなきにしもあらず

 

もっともその辺の話も最近は聞かないからどっちかっていうと派閥同士の権力争いの面が強いのかもしれない。さっきもいがみあってたし

 

「あーいうの、なくなったらいいのにね」

 

「無理ねそういうものだもの。集団ってのはいつだって」

 

「そういうもんかー…はぁ」

 

「…まぁ、期待する価値はあるかもね」

 

「え?」

 

「この世界では常に命の危険が目の前にある…そんな極限環境にいればそんなことも、なんてね」

 

「だね、その方がいいよ」

 

でも理想は理想…きっと現実はもっと醜くてつまらないものを見せてくる。いつだってそう

 

人が団結するには共通敵が必要。この世界ならそれは茅場晶彦でありこのアインクラッドがそれに当てはまる…だけどそうはなってない。5層のあたりから派閥の利権争いがずっと続いてるのがいい証拠よ

 

…待って?もしかしてPKの奴らの目的ってそれじゃ…非人道的行為を行うことで全体の攻略に対する士気を高めて…いやだとしてもそんなの許されることじゃないわよ。いくら多数の為とはいえ自ら進んで人殺しに手を染めるなんて…絶対駄目

 

はぁ…あいつらの件はまた後で考えるとして今はこの迷いの森を踏破しないと

 

「…相変わらずここ薄気味悪いわよね」

 

「え?ミトちゃんここ来たことあるの?」

 

「前にちょっとね…」

 

忘れもしないあの素材集めの地獄…なによ0.03%って。ソシャゲのガチャじゃないのよ、毎回毎回命を天秤にかけてるのにあんなにしょぼいのよ。あの時ばかりはこの世界に課金システムがないことを恨んだわ

 

「それにしても、街にはあんなに人がいたのにこっちには全然いないね」

 

「たぶん誰かがアイテムを手に入れたところを街で抑えて金と圧力にものを言わせて奪う気なんでしょうね…反吐が出る」

 

「うわぁ、女の子がしちゃいけない言葉遣いしてる〜」

 

「今更でしょ…」

 

自分でも自覚はしてるけどね、らしくない言葉遣いや態度なのは。でもわざわざ直したところでなにか変わるわけでもなさそうだからやる気も起きないっていうか

 

「そろそろ目的の場所よ、用意して」

 

「了解!頑張ろうね!」

 

「あんま肩に力入れなくていいわよ…程よく緊張して程よく落ち着いてるくらいでいいのよ」

 

「分かった!!」

 

「ふふっどうだか…」

 

まぁ別にこの子がやらかすとも思ってないんだけど、やる時はちゃんとやる子だからね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たぶんここ…あんた」

 

なるほど…アルゴが戦力が多い方がいいって言ってた理由がわかったわ。ねぇ、キリト?

 

「…ミトか、悪いけどあのボスは俺が狩る」

 

「ひとりで?バカも休み休み言いなさい…あんたの目的もなんとなくわかるし。もし噂が本当ならあんたにあれは譲るわよ」

 

「そっか。なら好きにしろ…邪魔だけはしないでくれ」

 

「はいはい…」

 

明らか機嫌が悪いわね、おおよそサチ達を助けられる希望が見えてこれまで蓄積された色んな感情が表に出て上手く処理できてないんでしょうね

 

もっともこんな風に偉そうに考えてるけど私も上手く処理できる方じゃないからなんとも言えないんだけど…やっぱり自己嫌悪なのかしらね

 

「ねぇねぇミトちゃん、彼誰?」

 

「キリトよ…聞いたことない?黒の剣士とか」

 

「あー、何かあったのかな?」

 

「私達と似たようなものよ」

 

「そうなんだ…じゃあ仕方ないね、手伝ってあげようか」

 

「そうね…そういうことだけどいい?」

 

「え?あっあぁ…そっちは?」

 

「レーテだよ!よろしくねキリトくん!」

 

「よろしく…」

 

こういう無遠慮に人に踏み込めるのもこの子のいい所…なのかしらね。嫌な人からしたら本当に嫌なタイプな気はするけど、でもなんていうかこの子のそれからは嫌味というか裏を感じないからそこらの似たような奴とは違うと思う。思いたい

 

っと、そんなこと考えてたらもう教えられた時間ね

 

「来るわよ、2人とも」

 

「うん…っ」

 

「あぁ…やるぞ」

 

さっきまで霧で見えなかったところが徐々に見えるようになってきた…それと同時に今回のイベントボスの体力バー、名前、見た目も順にあらわになってきた

 

ふふっ、なるほど…

 

「ゲームから私達へのクリスマスプレゼントってわけね…」

 

「邪魔するなよ」

 

「誰が…」

 

「まぁまぁ2人ともこんな時まで言い合いしないで…」

 

って、あいつもう向かってるし。仕方ないから追いかけるけど …というかなんで私があいつのお守りみたいになってるのよ

 

「あーもう!行くわよレーテ!!」

 

「うん!!」

 

この感じ…やっぱりこの昂る感じは強いヤツとやり合わないと出ないわよね…!ゲーマーの血が騒ぐってもんよ!!

 

イベントボス、普通のゲームなら死に学びしてより効率よく狩るのが定石で1発クリアなんて普通なら無理よ。でもこの世界ではやらなきゃいけない…そういう世界

 

…やってやろうじゃない。生粋のゲーマー舐めるんじゃないわよ

 

「レーテ!正面でヘイトを貰って!その間に私とあいつが攻撃するから!いくわよキリト!!」

 

「…っ!あぁ!!」

 

不満な顔しつつも分かってるんでしょキリト、こいつを倒すのには誰かの協力がいるって…なんせあんたも相当なゲーマーみたいだし

 

「ミト!スイッチだ!!」

 

「えぇ!喰らえぇぇーー!!」

 

そんなこんな残りの体力ゲージも赤色…こっからが長いのよね。いつだってどんなゲームだって慣れてきた時が1番危険で…

 

「きゃっ…!!」

 

「っ!?レーテ!!」

 

「あはは…ごめんね、ミトちゃん。ちょっとしくじっちゃった…」

 

「謝らなくていいから、早く回復して!」

 

「わかったよぉ…そんなに怒らなくても…」

 

「怒るに決まってるでしょ!死ぬかもしれないのよ!!」

 

「うん…そう、だよね…うぅ」

 

まったく心臓に悪いわよ本当に…危なかっしい

 

「…とりあえず少し休んでて、私は戦いに戻るから」

 

「あーその事なんだけど…」

 

いったいなによ…あーなるほどね

 

「あいつ強すぎでしょ…ほんとにひとりで倒せたんじゃないの?」

 

「みたいだね…私達いらなかった?」

 

「さぁ?もしもなんて、誰にも分からないわよ」

 

それっぽいことを言ってみた、意味は自分でもよくわかってない。たまにはこういうことを言ってみたくなるのよね

 

なんて無駄なことを考えてたら私たちがいない間にイベントボスを討伐したキリトがこっちに歩いてきてた。ってなんかこっちに投げてきた

 

「っと、なによこれ…」

 

えーっとなになにアイテム名は…「命の祝福」、効果は噂とほとんど同じ「1分以内に死んだプレイヤーをその場で蘇生する」。たしかにこの世界においてはとてつもないアイテムね

 

だけど私やレーテ、それにキリトからすれば。ハシゴを外されたような喪失感しかない

 

「目の前で誰かが死んだ時に使ってやってくれ」

 

虚ろな目でそう言われてもねぇ…はぁ

 

「キリト」

 

「…なんだ?」

 

「まさか死のうなんて考えてないわよね?」

 

「っ…」

 

「やっぱり…」

 

そんな気はしてた、あの時のケイタと似たような雰囲気と虚ろな目。そしてこのアイテムの仕様、希望を感じられなくて当然よね

 

「ひとつだけ言っておく、あんたがこれまで頑張ってきたのはあの子のためだけだったの?ほかの誰一人としてあんたにとってはどうでもいい存在なの?…あんたがいなくなることで誰が悲しむか考えなさい」

 

思ったままのことを口に出した。その言葉はくしくも過去の自分にも突き刺さる言葉だった、フレンドを切り誰にも助けを求めずひとりで踏ん張ってたあのころの私に…前までは可能性だったがこれで確信に変わった

 

私がこいつに抱いてる感情はやっぱり同族嫌悪、ひとりでふんばってどうにかしようとしてどうにかなっちゃって周りに誰にもいなくなる。そんな人間同士だから嫌になる、自分を見てるようで

 

「それは…」

 

「いくわよレーテ、ここにいても厄介事に巻き込まれそうだから」

 

「え?いいの?」

 

「いいのよ、これ以上はあいつの考えることよ…それじゃあ"またねキリト"」

 

1歩先、いや半歩先くらいで待ってるから。さっさと追い越してね

 

…それにしても今回の蘇生アイテムといいギルドフラッグといいなんでこうも私の元には面倒なアイテムが集まるのかしらね。いい加減誰かに引き渡したいんだけど

 

 

 






なんか引っ越すことになりました。年内に今の家から出ます

というか来月6話ぐらい出さないとあの目標達成できそうになくて草も生えない
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