ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット   作:あらびきバナナ

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誰も望まないゲームスタート

 

 

2022年11月6日、日曜日。17時30分

 

私とアスナは突如起きた強制転移によりはじまりの街のメイン広場にいた

 

恐らくだけど…ログアウト不能バグに関するアナウンスなんだろうな

 

それにしてもやっぱり人が多い、ベータの時は1000人しかいなかったけど今は1万人もいるからそう感じるんだろうな

 

「ミト…」

 

「アスナ、大丈夫?」

 

「うん。私たち帰れるよね?」

 

「…えぇ、きっとすぐに」

 

…嘘をついてしまった、本当はすぐになんて確証はないけど。アスナを安心させるためにもとりあえずはそう言ってみた

 

今言うことじゃないけど今の私の姿にアスナがくっついてるとなんか私が怪しい人だと思われないかな?ほんと今言うことじゃないんだけど

 

「ねぇミトあそこ、なにかない?」

 

「何処?」

 

「上だって、ほら」

 

アスナの指さしてる方を見てみると確かに赤いなにかが浮かんでる…あれは…!!

 

「どうなってるの!?」

 

「なになになに!!助けてミト!!

 

「ちょっアスナ!?」

 

怖いのは分かるけどさすがにそこまで抱きつかれると動きずらいというか恥ずかしいというか…

 

なんて考えてたら空1面真っ赤になっちゃった…たかがバグのアナウンスのためにこんな凝った演出する必要あるの?

 

…え?なんか空から血みたいのが垂れてきたんだけど…このゲームゴア表現ないんじゃ

 

ん?なんか人の形?というかローブみたいなってく…あれはゲームマスター?やっぱり思うんだけどこんな凝った演出必要あるのかな?

 

私はないと思う

 

「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ」

「私の名前は茅場晶彦、今やこの世界をコントロール出来る唯一の存在だ」

 

「茅場晶彦って?」

 

「ナーヴギアとSAOを作った人、まぁ天才ってやつね」

 

「諸君らの多くは既にメニューの欄からログアウトボタンが消失していることに気付いていると思う。しかしそれはバグではなく本来の仕様だ、繰り返すそれはソードアート・オンライン本来の仕様だ」

 

仕様?そんなふざけたことが仕様?冗談きついわね

 

「また外部的要因による強制ログアウトも不可能だ、それらの行為が行われた瞬間諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される」

 

は?破壊?それって…死ぬってこと

 

「その警告を無視してナーヴギアを外そうとした結果既に213人のプレイヤーがソードアート・オンライン及び現実世界から永久退場している」

 

「ミト…」

 

「アスナ、大丈夫?」

 

「…ちょっと怖いかな」

 

「奇遇ね…私もよ」

 

というかこんな状況で怖がらない方がおかしい、だって場合によっては死ぬ可能性があるんだから。怖がって当然

 

「しかし安心して欲しい、既に各メディアを通じてこのことは報道されている。つまり諸君らがこれから先外的要因によって世界から退場することは限りなくゼロに近い。その点については安心してゲーム攻略に専念してもらいたい」

 

誰がこんな状況でゲームなんてするもんですか、普通にあんたが逮捕されて開放されるまで待つのが最善策でしょ

 

「諸君らがこの世界から出る方法、それはただ1つ。この城、浮遊城アインクラッドの第100層に待ち受けるボスを撃破することだ」

「しかし十分に留意して欲しいことが一つだけある、今後このゲームにおける蘇生手段は一切機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される」

 

…ってことはつまりここで死ねば、現実でも死ぬってこと…嘘。えっ?これゲームじゃないの?なのにどうしてこんなことに…

 

「最後に私からささやかなプレゼントを送った、アイテムストレージを確認してくれ」

 

プレゼント?こんな状況で誰が…でもなんかみんな確認してるし一応…これは手鏡?なんでこんなものを

 

とりあえず具象化してみよう

 

「っきゃっ!?」

 

「アスナ!!…っ!!」

 

またしても私とアスナ、それに周りにいたプレイヤーも青い光に包まれた。一体何が起きてるの…

 

あれ、今回は直ぐに終わった…そうだっ!!

 

「アスナ!!大丈夫?」

 

「うん…って深澄!?」

 

「だからミトだって…」

 

「だって!!ほら!!」

 

いや鏡を見せられても…って!?

 

「なんで現実の私に…」

 

なんでなんでなんで、この数分で分からないことが多すぎる。それを一言でまとめるなら、一体なぜ茅場はこんなことを?ってところに尽きるかな

 

「諸君らは"何故"と思っているだろう、何故ナーヴギア及びソードアート・オンラインの開発者である茅場晶彦はこんなことをしたのか、と」

「しかし私がこんなことをする目的はなどは無い、この状況この世界こそが私、茅場晶彦が目的としていた状況だ…そしてそれは今を持って達成された」

「…長くはなったが、以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君、健闘を」

 

茅場がそう言い終わった瞬間、空は元のように夕焼けを写しだした

 

どうしよう…でも私が怖がってる場合じゃない。何も知らない世界に閉じ込められたアスナの方が怖いはず

 

私がしっかりしなきゃ、考えろ。これからどうするべきだ

 

とりあえず茅場の逮捕を期待するにしてもどれくらい時間がかかるか分からない。それなら最低限この世界で暮らせるようレベル上げとお金を集めなきゃいけない

 

…なんか騒がしいな、慌ててみんなどこに…!?まさかこの辺りで狩りを!?

 

そんなことになったらこの辺りの敵はほとんど居なくなって、レベル上げもままならなくなる…とにかく行くしかない!!

 

「アスナ行くよ!!」

 

「行くってどこに」

 

「外よ、このままだと他の人にお金も経験値根こそぎ取られてまともに生活出来なくなるそうなる前にほかの街に行かないと行けないの」

 

「で、でも…」

 

…そうだよね、やっぱりアスナも怖いよね。でもやっぱりお金はいるし…

 

「アスナ、残りのお金いくらある?」

 

「えっと…500ちょっとならあったと思う」

 

それならあそこの宿ならほとんどの人が知らないだろうし、行けるはず

 

「…うん、分かった。じゃあ今日は宿に泊まろう」

 

「えっ、いいの?」

 

「本当なら急ぎたいけどここで急いで躓いたら本末転倒だし…何より私も少し怖いし」

 

「そっか…じゃあその宿に案内してもらおうかな」

 

「ただし明日は外に出るわよ…じゃないと宿にも泊まれないしご飯も食べれなくなっちゃうからね」

 

「…分かった」

 

怖さで手が少しばかり震えてるけど無理やり押さえ込んでアスナの手を握る

 

「大丈夫、アスナは私が守るから。私のゲームの腕、知ってるでしょ」

 

「うん」

 

「じゃあ行きましょうか」

 

これから先、色々不安なこともあるけど。とりあえずの目標はアスナを守ることって所かな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかこういう宿、雰囲気あっていいね」

 

「そうね…」

 

とりあえず当初の予定を変更して宿の部屋を取ったけど…やっぱり今後のことを考えると…早めに説明しておいた方がいいかな

 

「アスナ、寝る前に少しいい?」

 

「うんいいよ、なに?」

 

「…まずそもそもの話、アスナはあの話をどこまで信じる?」

 

「えっと、そうだな…他に分かることもないししばらくはゲームをクリアするしかここから出る方法はないのかなぁって思う」

 

「そっか…私は少なくとも半年は出られないと思ってる」

 

「え…そんなに…」

 

「これでも少なめの見積もりよ…いくら計画的にやったと言えど警察が全力を出してくれれば半年ぐらい茅場も捕まるだろうし、そうなれば私達が近い内に開放されるのも間違いない…けど」

 

「けど?」

 

「もし茅場がそれまでに捕まらないなら…多分だけどクリアに向けて動いた方がいいと思う」

 

「そっか…そう、だよね…」

 

それにもっと酷い結末を迎える可能性すらある、私達がこっちにいる間向こうにある私たちの身体は一切動かない、そうなると日に日に筋力は落ちてるし点滴などの栄養を得る手段が何もなければ数日のうちに死ぬ。さすがにここまでの大事になってるからそれは無いだろうけど

 

それに…私の家みたいに家族関係が冷めきってる家なら、未来を悲観した家族に動かないうちに殺される可能性すらある

 

そうはならないといいけど…

 

「ごめんね…アスナ。私が誘ったせいでこんな目に合わせちゃって…」

 

「ミト…そんなこと言わないで、それにこうなったのはミトのせいじゃ」

 

「それでも…ごめん、本当にごめん…」

 

自分のあまりの不甲斐なさに涙が… あぁ、私ってなんでいつもこうなんだろう…

 

「ミト、こっち見て」

 

「えっ…わっ、アスナどうしたの?」

 

え、なんか両頬を押えられてる…なんだろう…

 

「私はミトのことなんて恨んでなんてないから、もう謝らないで」

 

「でも…私のせいで…」

 

「…じゃあこうしよう、そこまで責任を感じてくれてるなら。私を強くして、この世界で生き残れるように」

 

「…いいの?」

 

「まだ少し怖いけど…何もしないよりはなにかをしてる方が落ち着くし。だからもう泣かないで」

 

「…うん、ありがとねアスナ。大丈夫、アスナは私が守るから」

 

…なんかしんみりしちゃった。でもそろそろ寝ようかな…あ、その前に

 

「そうだアスナ、これ」

 

「え…なにこれ」

 

「パーティーって言って…まぁゲーム内での友達の証拠みたいな?」

 

「ふふっ、変なのこんなことしなくてもちゃんと友達なのに」

 

「これも醍醐味のひとつだから」

 

「そっか、はいこれでいいのかな?」

 

「うん、これで私達はパーティーメンバー。よろしくねアスナ」

 

「うん、よろしくね。ミト」

 

今日のうちにやっておくことはこのくらいかな、今日はとりあえず早く寝て明日は朝イチで街を出てアスナにレクチャーにして

 

とりあえずはこのくらいかな、あとは明日考えよう

 

「じゃあ私はそっちのベットで寝るから、おやす…どうしたのアスナ?」

 

なんか服の裾掴まれてる

 

「そ、その…怖いから同じベットで寝ない?お願いっ」

 

えぇ…まぁ私も怖いけどさぁ。あーそんな顔で見ないでよ…しょうがないなぁ

 

「…分かった、じゃあ寝ましょ」

 

「えへへ、ありがとミト」

 

「はいはい、じゃ今度こそおや…アスナ?」

 

「…このくらいいいでしょ?」

 

ちょ、なんかアスナに後ろから抱きつかれてるんですけど!?これじゃあむしろ寝られないんですけど!!

 

「ねぇ、ミトからも抱き締めて?」

 

「…アスナ?さすがに甘えん坊過ぎない?」

 

「お願い、少しだけでもいいから…」

 

そうだよね、アスナ。強がってるけどやっぱり怖いんだよね…はぁ、今日だけか

 

「…少しだけよ」

 

「えへへ、ありがと。おやすみ」

 

「ん、おやすみ」

 

…はぁ、私も疲れてたのかな…もう、眠いや

 

 

 

 

 

ちなみにこの日はいつもより深く眠れたんだけど、それがただ単に疲れてたのかアスナと寝たことによる安心感なのかは正直分からなかった

 

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