ソードアート・オンライン 憂きし心のメヌエット 作:あらびきバナナ
2022年11月7日、月曜日。10時15分
朝早く起きた私たちははじまりの街から少しばかり離れたフィールドにやってきた。理由はもちろんアスナに戦闘方法をレクチャーするため
さすがというか基礎の部分に関しては口だけで教えてもすぐにある程度戦えるようになった
問題はソードスキルの方なんだけど…なんか上手くいかないのよね
んー、どうやって教えたものか
「なんか違うんだよね…ミトはどうやってるの?」
「そうね、なんて言うのかな…ソードスキルはあくまでシステムアシストの側面が強いのよ。だからその動き任せにするんじゃなくて。よっと」
そうだ、試しに投擲スキルを使ってみよ
「自分でモーションに合わせて体を動かせば…はっ!!」
ズキュンッ!!
私の投げた短剣は近くを飛んでいた蜂型のモンスターに命中、やったね
「こんな感じで威力もスピードも上がるの…さっきまでのアスナはどうしてもシステムアシストに頼ってた側面があるから次はその辺を意識してみるといいと思うよ」
「分かった、やってみる」
まぁこのくらい教えればあの娘なら上手く出来るてじょ
「ふぅ…はあぁぁぁぁ!!」
バァァアン!!
え…すご。アスナ、ほんとに初心者?一応ベータの時にかなり上まで行ってたから言うけどその頃にいたレイピア使いよりはるかに速いんだけど
えっこの娘、すご
「やった!!倒せたよミト!!」
「えぇ、やるわね」
「えへへ」
あーもー!!可愛いなぁこの娘は!!
「あ、そういえばなんでこんなに街から離れたところで戦うの?街に近い方が色々と便利じゃない?」
「そうね、でもアスナみたいに考える人ってこのゲームにどれぐらいいると思う?」
「…たくさんいるよね、きっとみんな危険は犯したくないだろうし」
「そう、みんなそう考えるのよ。でもモンスターの湧く数にも上限がある、だから既に街の近くは既に複数人でローテーションを組んで狩場を独占してるプレイヤーがたくさんいるだろうから」
「こういう離れたところじゃないと、効率が悪いってこと?」
「そういうこと」
「さすが、ミトはなんでも知ってるんだね」
「こういうのを調べるのも」
「醍醐味のひとつなんでしょ?」
「ッ…えぇ、そうね」
なんか恥ずかしい…モノマネされるってこういう気分なのかな
まぁ普段のMMOなら同じ場所で待機してもいいけど、今回は状況が状況だから何が起こるかわからない。それこそ些細ないざこざから下手したらPVPに発展するなんてことも
だけどここでアスナをビビらせても意味ないからそのことは黙っておこう
あ、あそこに敵の群れがいる
「じゃあ今度はあいつらを倒しにいきましょうか、今日中にもう少しレベルをあげておきたいし」
「了解っ」
正直、うまくやっていけるか心配だったけどアスナとならなんか出来そうな気がする
2022年11月17日…多分木曜日。11時22分
今日も今日とてフィールドに出てレベル上げをしに来た。今は休憩がてら食事をとってる
「このパン…そんなに美味しくないね」
「…まぁ、1番安いやつだし。しょうがないわね」
先日少し無駄使いしちゃったせいで今日の軽食は1番安い堅パンなのよね、実際味がいいわけでもなにかバフがかかるわけでもないから食べる意味はないんだけど、まぁそこは気分の問題だよね
それに満腹中枢は満たしておかないと現実の体にも大変なことになるかもしれない
「ねぇミトこの後はどうする?」
「そうね…」
今のレベルは私が6、アスナが5。この辺のダンジョンくらいなら余裕を持って攻略出来ると思う、
確かここから北に少し行ったところにダンジョンがあったはずだからそこに挑戦するのもありかな
「アスナはまだ余裕ある?」
「うん、まだまだ元気だよ」
「それなら近くにダンジョンがあるからそこにいきましょ」
「うん、分かったよ」
「じゃあそろそろいきましょうか」
「あ、待ってミト!!」
「なに?何かあった?」
「あれやろう、あれ!!」
「えぇ…」
アスナが言うあれ、は先日アスナが考案した私達の合図みたいなもののことだと思う。正直小っ恥ずかしいから私はあんまりやりたくないんだけど…
こんな笑顔で言われたら、ねぇ?
「…はい、いいよ」
「やった!!」
カチンッ
アスナのレイピアが私の鎌に当たる…ほんとこれのどこがいいのか分からないけどアスナが少しでも楽しんでくれるなら…まぁいいかな
「じゃあ行こっか!!」
「えぇ、いきましょう」
アスナは最初こそ怖がっていたけど最近は現実にいた時みたいに笑顔が増えてきたから良かった
正直私はまだ怖いけど、アスナに心配はかけたくないからね!!
「どれも空いちゃってるね」
「そうね」
北の洞窟に来て数十分、この洞窟には序盤にしては多い量の宝箱があると思って来たけど予想通りというかほとんど空いちゃってる
「まぁ…よっと、ゲーム開始から2週間はじまりの街からも近いから多分宝箱なんて残ってないだろうね」
「…ミトってさ、足癖悪いよね」
「えっ!?何いきなり」
「ゲーセンであった時も足で私の道を塞いだり、普段もあぐらかいてるし。今も宝箱蹴飛ばしたし」
「…そうなの?あんまり自覚ないんだけど」
「うん、少なくとも普通の女の子は宝箱は蹴飛ばさないと思う」
「えぇ…」
私足癖悪かったんだ、今まで誰にも言われたことなかったから気づかなかった。でもアスナがああやって言うってことはやっぱりは変なのかな
…ちょっとは意識して直してみようかな
「あ!!あそこに空いてない宝箱があるよ!!」
「ちょっ、待ってアスナ」
「えっどうして」
「その宝箱明らかに怪しいし。トラップかもしれない」
「トラップ?」
「そ、まぁ一概にトラップと言っても種類は沢山あって開けたら矢が飛んできたり敵がPOPしたり知らないところに飛ばされたり宝箱自体がモンスターだったり…」
「えぇ!!怖い…」
「そんな怖がるものでもないわよ。でもそれなら鍵開けスキルっていう宝箱を安全に開けるスキルを手に入れるまではむやみやたらに宝箱は開けない事ね」
「うん分かった」
まぁゲームによってはそれ以上の鬼畜宝箱は沢山あるけど、即死魔法打ってくるやつとかブリッジしながら迫ってくるやつとか
「それにしてもミトって本当このゲームに詳しいよね、今のも予習ってやつ?」
「予習…っていうのもあるけどほとんどは他のゲームの知識とかも入ってるわね。まぁこのゲームに詳しいのはだいたい一ヶ月前にやってたベータテストのおかげかな」
「ベータ?それが予習って言ってたヤツ?」
「そ、まぁお試しみたいなものね。私がこのゲームに詳しいのはそれのおかげ」
「へぇそういうのもあるんだね」
そういえば、あの時扉を開けたあいつは今のこの世界にいるのかな。もしいるのであれば会ってみたいものだけど
少なくとも私は全然見た目が違うから気付かれないだろうし、私も背中を見ただけだから見ても分からないから会っても分からないけど
「」
「!?ミト、叫び声が!!」
「えぇ、見に行きましょ」
「了解!!」
…なんだろうすごく嫌な予感がする
けど今はそんなこと気にしてる場合じゃない。声のした方へ急がないと