八狐「神楽、何か疲れてる?」
神楽「いや、体力的には全然余裕なんけどよ、ちょっと精神的にな..............」
八狐「あー、番外編とか、何か目茶苦茶な目に遭ってたもんね」
神楽「................そういうことよ」
八狐「.................お疲れ様、神楽はよく頑張ってるよ」
神楽「.............サンキューな、それじゃどうぞ」
八狐(何か急に適当になってる..........)
神楽「はぁー、やっと午前の仕事終わったー」
神楽は仕事が終わり、食堂で休息を取っていた
そこに
夢結「神楽」
神楽は名前を呼ばれ、後ろを振り返ると、そこに梨璃のシュッツエンゲルである白井夢結が立っていた
因みに夢結も神楽と会って以来、勝手に名前呼び、さらには呼び捨てになっている
夢結「前、いいかしら」
神楽「どうぞ」
夢結は神楽の反対側の椅子に座る
神楽「どうかましたか?」
夢結「貴方、祀から聞いたのだけれど、レギオン複数加入の権利を得たのよね?」
神楽「はい、そうっすけど。あっ、ひょっとして.........」
夢結「まさか、梨璃が作ろうとしている無条件に入るつもりじゃないでしょうね?」
夢結の鋭い視線が神楽に向けられる
神楽「............何でンなこと聞くんですか?」
夢結「貴方のような、誰にでも優しい、それに極度の職業病のことだから気になるわよ。それに______」
しれっと神楽のことをディスった夢結(無意識)
神楽「自分の出した課題を簡単にクリアさせたくないと」
夢結「..............相変わらずの洞察力ね。その通りよ」
夢結は少し微笑するとため息をつく
神楽「やっぱり当たりか」
神楽は夢結の目をじっと見る、まるで何か奥のモノを見ているかのように
神楽「でも、流石に夢結様の試練に助力をするのはあれかなーって思って九人きっちり揃ったら入るって約束しました、それに、俺が入ることで特に問題はないと思いますが」
夢結「......................そうね。私が言いたかったのは、入るのはいいのだけど、梨璃をあまり甘やかさないように、と言いたかっただけよ」
神楽「....................最初からそれだけ言えば良かったのでは?」
少しポンコツな面が出た夢結にツッコミを入れる神楽
夢結「気にしないでちょうだい。それでは、ごきげんよう」
夢結が神楽に向かって挨拶すると、その場からいなくなる
神楽(............ほんと、たまにポンコツなとこ出るよな、夢結様は)
八狐「神楽も大変だね」
神楽の御札の中からいたずらっぽく笑っている八狐が出てきた
神楽「ああ、もうなんかなんでこうなったか分からんわ」
八狐「神楽が優しすぎるからでしょ。敵に対しては容赦は一切しないのに」
神楽「シチュエーションが違いすぎるだろ。それはそれ、これはこれだ」
八狐「そこが神楽の良いところであって悪いところだからね。将来、詐欺師に化かされるよ?」
神楽「その程度を見破る洞察力があるから安心しろ」
神楽と八狐は顔を見合わせると、笑う
神楽「どうした?俺の顔に何か付いてるか?」
八狐「いーや、ただ契約してたのが神楽で良かったなーって。ていうか、神楽も笑ってるじゃん」
神楽「別に、さっきの言葉をそのまま返すよ」
この二人はマジでお似合いのカップルかのようにイチャコラしてる
神楽「おっ、そろそろ仕事開始だ。八狐、商店街まで行くぞ」
八狐「うん!」
神楽と八狐は、百合ヶ丘を出て仕事に向かった
_______________
百合ヶ丘女学院の庭_________
神楽「zzzzzzz.................」
神楽は仕事と戦いの疲れで庭で昼寝していた
そこに______
ミリアム「おお、神楽か。珍しいな、こんなところで寝とるとは」
神楽に話しかけてきたのはミリアム・v・グロピウス、ドイツから百合ヶ丘に来たリリィで、工廠科の一年生であり、よくCHARMの整備の手伝いをする仲である
神楽「んぁ...............ミリアムさんか。よぉ」
神楽が起き上がる
ミリアム「隣、座ってよいか?」
神楽「おお、いいぜ」
ミリアムが神楽の隣に座る
神楽「最近はどうだ?俺が手伝う必要は無くなったか?」
ミリアム「いや、その逆じゃ。この前CHARMの整備終わったと思ったら、今度は汐里がCHARMを派手にぶっ壊してな」
神楽「あー、あのCHARM破壊常習犯」
神楽が入っているレギオンの一つ、水夕会の副将、六角汐里は優しい性格の割にはCHARMの使い勝手が悪く、工廠科からは問題児扱いされている。それ故______
ミリアム「また頼まれてくれんか?」
工廠科の面々は神楽に修理を依頼するのである
神楽「了解。汐里さんのCHARMの修理は任せな」
ミリアム「お主の何でも屋は仕事が早いから助かるわ」
神楽「ハッ、そりゃどーも」
ミリアム「それはそうと、わしは入るレギオンを決めたぞ」
神楽「へぇー、そいつは面白い。何処のレギオンだよ?」
神楽はその話が気になり、ミリアムに聞く
ミリアム「梨璃のところじゃ」
神楽「へぇー梨璃さんのとこ............え?」
神楽が一瞬間を空けて、びっくりした顔でミリアムの方を見る
神楽「マジすか...............」
ミリアム「神楽も、九人揃ったら入るんじゃろ?」
神楽「ああ、夢結様の課題の邪魔をするわけにもいかねぇしな」
神楽がそっと目を瞑る
神楽「今度梨璃さんに会った時伝えといてくれ。頑張れって」
ミリアム「おお、分かった」
神楽「じゃあ、俺また仕事だからまたな」
神楽が起き上がると歩き出す
_______________
スパ太郎「~~♪」
神楽はノートパソコンの隣に置いてあるスパ太郎、もといスパイダーフォンを手に取り
神楽「?誰からだ?」
神楽「!.............へぇ、こいつぁ珍しい電話主だな」
神楽の口元にフッと笑みが浮かぶ
神楽が応答ボタンを押す
神楽「もしもし、どうかしたか?神琳さん」
神琳「もしもし神楽さん。今、暇でしたりしませんか?」
神楽に電話を掛けてきたのは郭神琳。百合ヶ丘女学院の一年生で幼稚舎の頃から百合ヶ丘にいる生え抜きのリリィであり、神楽が百合ヶ丘に入った時はよく話し掛けてくれた人だ
神楽「?今暇だけど、何か依頼か?」
神琳「はい、神楽さんにお願いがありまして」
神楽「?分かった、どうすりゃいい?」
神琳「あっ、その前に今から送る場所に来てください。あとそれと、八狐さんもご一緒に」
神楽「..............分かった。すぐ行く」
神楽はスパイダーフォンの通話を切る
八狐「?神楽、どうかしたの?」
神楽「八狐、ちょっと神琳さんからの頼み事だ、お前にも来て欲しいって」
八狐「へぇー、珍しいね。分かった」
神楽は外に出ると、ブーストライカーを召喚し、八狐と一緒に乗ると、神琳に指定された場所に向かう
__________________
神楽は神琳に指定されたエリアに到着した
神楽「ここか..............おっ、いたいた。おーい!」
神楽と八狐は神琳を見つけると、その方向に走る
神琳「これは神楽さんに八狐さん、ごきげんよう」
神琳は神楽に挨拶をする
神楽「待たせたな。そんでもって、どうした?」
神琳「実は____________」
__________________
神楽「なるほど、王雨嘉さんが一流のリリィであるということを証明するために、俺と八狐に証人、さらに俺には、力を使って欲しいと」
神琳「はい」
神琳が頷く
八狐「でも、それならもう一人くらい証人って必要じゃない?」
神琳「その必要はありません、雨嘉さんのいる所に梨璃さんがいますから」
神楽「なるほどな、それで、何の力を使えばいい?」
神琳「確か三狐陰陽術の一つには、複数の分身を作り出すことが出来る術があるとお聞きしました」
八狐「あー、第参術、陽炎のこと?そういえば神琳さんに一回言ったね。まさかとは思うけど.............」
神琳「はい、的になってください」
神楽「.......................言うと思った」
神楽が分かってたとばかりにハァ、とため息をつく
神琳「少し待っていて下さい」
神琳は携帯電話を取り出すと、雨嘉に電話をする
神琳「雨嘉さん、此処が分かる?」
雨嘉「うん」
電話から雨嘉の声が聞こえる
神琳「そこから、分身した神楽さんをお撃ちなさい」
神琳から雨嘉へ出した試練、それは神楽を撃つことだった
雨嘉「えっ.....!?」
神琳「訓練弾なら大丈夫よ」
雨嘉「そんな訳.................」
神琳「装填数は十発、きちんと狙えたら私からは何も申しません」
神琳が電話を切ろうとしたとき、
神楽「神琳さん、ちょっと変わってくれ」
神楽が電話を切るのを止める
神琳「?はい、どうぞ」
神楽は神琳から電話を受け取る
そして、
神楽「もしもし、王雨嘉さんか?」
雨嘉に話し掛ける
雨嘉「は、はい」
神楽「初めまして、か。俺は上泉神楽。さっき神琳さんが言った通り、俺が的だ。けど、俺を撃つのに一切の躊躇をすんな」
雨嘉「で、でも..................」
神楽「俺が大丈夫って言ったら大丈夫、四の五の言わず撃てよ。俺の言葉を信じてくれ、俺はそれだけ伝えたかった。じゃあな」
神楽が電話を切る
神楽「それじゃ、始めますか」
神楽は御札を取り出し、九枚取り出し、空に投げる
それは無造作にバラバラに配置される
神楽「影は無限に広がり、それはまた変化する、三狐陰陽術第参術陽炎」
神楽は術を詠唱すると、御札は神楽と同じ姿をした分身となる
神楽「さぁ、何時でも掛かってこい、雨嘉さん」
一方その頃、別のエリア______
そこでは梨璃と雨嘉が話していた
雨嘉「.............どうして」
雨嘉は戸惑っていた
梨璃「雨嘉さん、猫が好きなの?」
雨嘉「えっ?」
梨璃が雨嘉の携帯電話に付いている猫のキーホルダーを見る
雨嘉「う、うん」
梨璃「可愛いねー、この子」
雨嘉「.............うん。これ、持っててくれる?」
梨璃「えっ?うん」
梨璃に携帯電話を預ける雨嘉
_______________
神楽「俺を撃つのに一切の躊躇をすんな」
神楽「俺が大丈夫って言ったら大丈夫」
神楽「俺の言葉を信じてくれ」
雨嘉の脳裏には、さっきの神楽の言葉が過る
雨嘉は心の中で、覚悟を決めていた
雨嘉(私は.................神楽さんを信じる!)
雨嘉は自分のCHARMアステリオンをシューティングモードにすると、レアスキル「天の秤目」を発動する
その頃、神楽達のいるエリア______
神楽(確か、神琳さんの話だと雨嘉さんのレアスキルは「天の秤目」、遠く離れたものも、寸分の誤差なく把握できる、スナイパーにはもってこいのレアスキル.......まぁ、少なくとも、陽炎を使わせた時点で神琳さんのもう一つの思惑があるんだろ?)
一方、八狐も同じことを考えていた、そして二人とも同じ結論に至った
神楽&八狐(もしかして...........神楽(俺)の分身の中に紛れている神楽(俺)を十発の中で見破れるかどうかも試してる........?)
神楽は神琳の方を向く
神琳はニコリと笑い、口パクで「バレましたか」とバツが悪そうに笑った
神楽もあきれ笑いし、口パクで「後で覚えとけよ」と冗談で言った
神楽は、雨嘉達がいる方向に向く
神楽「おっ、あいつ覚悟決めたか.......よし、来い!」
神楽は遠眼で雨嘉がやる気になったのを確認すると、口許に笑みを浮かべ、待ち構える
神琳(撃ちなさい。雨嘉さん。撃ってあなたが一人前のリリィであることを証明しなさい!)
雨嘉がアステリオンの引き金を引き、訓練弾を発射する
訓練弾は神楽の左後方にいる分身に直撃し、分身は消滅する
雨嘉(神楽さんが十人...........あの中に本物の神楽さんが、なら少しでも違うところを探せば.........)
雨嘉は天の秤目で神楽の特徴を見る
どれも一見本物のように見えるが、しかし分身はその術名の如く陽炎、ボロは多少生じる
無論神楽もそのことは十分承知であるので.............
神楽(もし俺に弾が当たったとしても、分身と位置を交換して、後でどのくらいで当たったかを伝えればいい)
と少しだけずるい手を使っている
雨嘉(弾が..........逸れる)
雨嘉は銃口の角度を変えると、二発目を放つ
神楽の分身に当たり、分身は再び消滅する
三、四発放って分身に当てて五発目の次の瞬間_____
神楽の目の前に弾丸が迫ってくる
神楽「おっと、三狐陰陽術第捌術、物体転送!」
神楽と神楽の分身の立ち位置が入れ替わり、神楽の分身に弾が当たり、分身は消滅する
神楽(へぇー、思ってたより見破るの早かったな。でも、俺は無事だ。後五発頑張れ!)
その後四発とも、神楽のいる所に撃たれた(全部分身でガードベントした)
神楽(雨嘉さん、すげぇやるな........だったら最後、一つ試させてもらうか)
神楽はマグナムバックルとシールドバックルを取り出す
そして、左腕に付いているスマートレイザーウォッチに翳す
「PARTIAL REINFORCEMENT MAGNUM」
「PARTIAL REINFORCEMENT SHIELD 」
雨嘉(これで最後......!)
雨嘉は最後に残っている神楽に最後の一発を放つ
神楽「行くぜぇ........おらっ!」
神楽が訓練弾をマグナムとシールドで強度を強化した足で回し蹴りをした
訓練弾はそのまま雨嘉の方向に飛んでいった
雨嘉「!!」
雨嘉はアステリオンをソードモードにして防いだ
神楽「へぇー、あれを防ぐなんてやっぱやるな」
神楽は思わず感嘆の声を漏らす
それを見た神琳は雨嘉に電話を掛ける
神琳「お見事でした、雨嘉さん」
雨嘉「神琳..........................」
神琳「あなたが優秀なリリィである事は誰の目にも明らかだわ」
梨璃「う~~~、やったーー!!」
神楽「あっ、ちょっと代われ」
神琳「?分かりました」
神楽は神琳から電話を受け取る
神楽「お疲れ様雨嘉さん、射撃スキルがすげぇのはよく分かった。あと観察能力も」
雨嘉「..............え?」
神楽「あんた、五発目から俺にずっと当ててたぞ?」
雨嘉「嘘................」
神楽「いやマジで。あの分身は、俺に当たらないように術を使って場所入れ替わった奴なんだ」
神楽が少しバツの悪そうな顔で笑う
神楽「だから、自信持って梨璃さんのレギオンに入れ。自分の力で実力を証明したからな」
雨嘉「................はい!」
神楽「それじゃ」
神楽は電話を切ると、神琳に渡す
八狐「お疲れ様、最後の弾を蹴った時はびっくりしたよ」
神楽「おお八狐、証人役ご苦労さん。雨嘉さんの実力は分かったろ?」
八狐「うん、あの射撃精度は生半可なものじゃなかった」
八狐も、雨嘉の実力を本物と見ていた
神琳「.........私、雨嘉さんが妬ましかったんです。エリートの家に生まれ、才能にも恵まれて......なのに本人は自信を持てなくて悩んでいるなんて.....何なのよこの子はって腹も立ちませんか?」
八狐「神琳さんは、それで腹を立ててたの?」
神琳「はい。でも、これでスッキリしました」
神楽「............変わらねぇな、相変わらず面倒な奴だ」
神楽は少しだけ呆れたが、その後フッ、と笑った
神琳「はい、よく言われます♪」
神楽&八狐「...............はぁ」
二人揃ってため息をつく
神琳「あっこの際、神楽さんも梨璃さんのレギオンに入りませんか?」
神楽「................俺は梨璃さんのレギオンには九人集まってから入る。梨璃さんとそう約束した」
神琳「そうですか.........なら梨璃さんには何としてもあと二人集めてもらわないといけませんね」
神楽「神琳さんも、そんなに俺が欲しいか?ヒュージ倒す力持ってるだけのただの萬屋店長だぞ?」
神琳「はい、神楽さんの能力は強いですし、私も神楽さんとはこれからも一緒にいたいですから」
神楽「....................照れさせんなよ.........馬鹿.........」
神楽は少し顔を赤くし、神琳に顔を背けて悪態をつく
神楽「...........神琳さん、うちに来いよ。飯作ってやるから」
神琳「ありがとうございます」
八狐(神楽は相変わらず照れ屋さんなんだから...........)
その後、神楽は神琳と一緒に事務所に帰り、神琳にご飯を振る舞って帰らせた
数日後______
神楽はパソコンをいじっていた
神楽「ん?なぁ、八狐。何かDMっぽいの来てんだけど」
八狐「こんな時間に?珍しいね、予約かな?」
神楽「さぁ、取り敢えず開けようぜ」
神楽がパソコンのメール画面を開く
そこには、
「急なメールすみません。でも急なので手短に言います、助けて下さい。今ハイジャックに遭っています、と警察に通報して下さい」
と書かれていた
神楽「................まさかとは思うけど......」
八狐「今日の七時くらいにHP71便がハイジャックされたって聞いたけど......まさかそれかな?」
神楽「DMが七時から数分経ったあとだ。間違いないな」
八狐「ちょっと場所検索しよう」
神楽「ああ」
神楽が素早いタイピングでデータを解析し、飛行機の場所を割り出す
すると、
神楽「............何かこの上なく厄介なとこにいるな」
八狐「え?」
神楽「エリア666、かつて政府の科学研究組織のノアがそこで非人道的な実験を行ってたんだ。ゲヘナ並に」
八狐「とんでもないとこにいるね、どうする?」
神楽「..................行くに決まってんだろ」
八狐「だよね。それじゃ、行こっか」
神楽「ああ」
神楽と八狐は必要な装備だけを持って足早に外に出掛けた
次回、「黎明Ⅴ(番外小噺) 舞い降りた化け狐 前編」、お楽しみに!
神楽の上級生に対する呼び方を何にするか
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○○様
-
〇〇先輩