颯馬「俺は凪と契約した時の特権である願いを一つだけ叶えられる権利を使って、和風喫茶「草凪」を開店し、店は大繁盛していました」
凪「そんな中、今日も今日とて店を営業しながらヒュージ狩りをしていたら______」
颯馬「俺の姉ちゃん、草薙沙羅と会ってしまう」
凪「本編はどうなるでしょうか!?」
颯馬「それでは、どうぞ!」
颯馬と沙羅が相対する
沙羅「よかった.......!よかったぁ.......!やっと逢えた........!体調は平気?今までどうしてたの?本当に心配し_____」
沙羅が颯馬に近づこうとする、しかし
颯馬「..........................別人です、離れてください」
颯馬は踵を返すと、草凪に帰ろうと歩く
沙羅「えっ....................?」
沙羅は颯馬から放たれた言葉に硬直してしまう
沙羅「ちょっと待ってよ!なんで避けようとするの?私の顔を忘れた訳じゃないよね!?」
颯馬の言葉に納得できない沙羅は颯馬に駆け寄ると、颯馬の腕を掴む
颯馬「...............人違いですよ、その人はどんな人かは知りませんが、俺は貴女とは関係ない人間です」
颯馬の中には目の前にいるのは姉、ではなく神庭のリリィという認識で映っていた
沙羅「..........ずっと探してたんだよ?半年間ずっと .........まだ大切な家族が生きてるって信じてきて.............」
颯馬「................離せよ」
沙羅「なのになんでまた何処かに「離せって言ってんだろ!!」!?」
颯馬は沙羅を強く睨み、沙羅はいきなり大声を出した颯馬に怯んで手の力を緩めてしまう
颯馬「っ.....................!!」
颯馬は無理矢理沙羅の腕を引き剥がすと、走って逃げる
沙羅「あっ、颯馬!」
沙羅は追いかけようとするが、何故か足がすくんで動かない
沙羅「.........颯......馬......う、ううっ.......!」
沙羅は座り込むと、そのまま泣いてしまった
和風喫茶 草凪_________
颯馬「..............................」
颯馬はふらふらした足取りで草凪のドアを開けると、自室に入って布団に籠る
颯馬「はぁ........はぁ..............」
颯馬は過呼吸気味で、何とか落ち着こうと呼吸を整える
しかし、
颯馬「.........................!!」
颯馬の頭の中に、家族が目の前で死んだ光景が呼び起こされる
颯馬「っ、あああああああああ!!!!」
颯馬は布団に籠ると、大声を上げて泣く
凪「...........颯馬...........」
凪は扉越しに颯馬の慟哭を聞くと、手に胸を当てて悲しげな顔をする
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翌日_________
颯馬「いらっしゃいませ」
颯馬は店で接客をしながら料理を作っていた
凪(.............颯馬、目に隈が出来てる.........)
颯馬「そちらの席に座ってください。只今料理をお持ちしますので」
大学生「あー凪ちゃん、シュガートーストとコーヒーを一つ」
大学生っぽい男性が凪に注文内容を伝える
凪「はい、分かりました。颯馬!シュガートーストとコーヒーの注文入りました!」
凪は注文内容を颯馬に伝えたが、その颯馬は何処か上の空という感じだった
凪「颯馬!どうしたんですか、注文入りましたよ!」
凪が颯馬の肩を揺さぶる
颯馬「はっ、ごめん凪。ミートソースパスタとなんだっけ?」
凪「違います、シュガートーストとコーヒーです」
颯馬「あっ、ごめん........すぐ作る」
凪「すみません、お客様。料理少々時間がかかるかもしれません」
大学生「いいのいいの、颯馬くんだってたまにボーッとすることくらいあるだろ。いくらでも待つぜ」
凪「ありがとうございます」
お婆ちゃん「すみません、注文いいですか?」
凪「はい!」
颯馬と凪はなんだかんだで少しトラブルがありながらもせっせと動いて閉店まで働いていた
そして同じようなミスが数日間続いてしまうのだった
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数日後_________
沙羅はというと_________
沙羅は数日間部屋で寝込んでいた
??「大丈夫ですか?沙羅さん」
秋日「様子を見に来たわよ」
沙羅は少し掛け布団から顔を出す
沙羅「秋日..........藤乃............」
部屋の中に沙羅の同級生の本間秋日、そして石塚藤乃が中に入ってきた
今日も出撃の日だったが、あまりにも颯馬に突き放されたことがショックすぎて部屋に引きこもっているのだ
秋日「どうしたのよ、ここ一週間引きこもって」
沙羅「.............なんでもない」
藤乃「布団にそんな風にくるまっていて何でもないは説得力ないですよ」
藤乃はペットボトルのお茶を開けるとコップに注ぐ
秋日「中に何も入れてないでしょうね?」
藤乃「まさか、私がそんなことするわけないじゃないですか」
秋日「日頃の行いがあれだから言ってるのよ!」
秋日が藤乃にツッコミを入れる
沙羅「..................この前、弟に.......颯馬に会ったんだ」
秋日「えっ、弟に?よかったじゃない。じゃあ何でしょげているのよ?」
沙羅「颯馬が狸の仮面の戦士になって戦ってて........それで戦いが終わった後に声掛けたんだけど、冷たく突き放されて.........」
秋日「っ!?まさか.........御台場迎撃戦の時に一緒に戦った?」
沙羅「うん...............」
藤乃「狸の仮面の戦士?あの最近神庭周辺で噂になっている.........」
沙羅「うん...............」
沙羅は布団にくるまりながら返事を返す
秋日「ねぇ、弟さんの写真って持ってる?」
沙羅「うん........少し前に帰省した時に家族と撮ったのがあるけど、それをどうするの?」
秋日「少し見せてほしいだけよ」
沙羅「.................机の一番上の引き出しにある......」
秋日「ありがとう、沙羅」
秋日は机の一番上の引き出しを開けると、保護フィルムを施されている一枚の写真が丁寧に置かれている
秋日はその写真を見る
秋日「!.........ねぇ沙羅。この沙羅の隣でピースしている子が弟の颯馬くん?」
沙羅「そうだよ..............」
秋日「...............沙羅、今から颯馬くんに会いに行きましょう」
沙羅「えっ.............でもどうやって?場所も分からないんだよ?」
秋日「それは...........「私に任せてください」!」
藤乃がスッ、と手を上げる
藤乃「もういる場所分かりましたから」
沙羅「えっ...........?」
藤乃はスマホを見せる
そこには和風喫茶「草凪」と画面が表示されており、画像が乗っている
そこには颯馬の写真があった
沙羅「そ、颯馬..........!?」
沙羅は驚いた表情で颯馬の写真を凝視する
秋日「私もついていってあげるから、一緒に行きましょう?」
秋日は手を差しのべる
沙羅「.....................うん!」
沙羅は秋日の手を掴むのだった
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その頃 和風喫茶草凪_________
颯馬「はぁ................」
颯馬は一人客があまりいない時間帯の喫茶店のキッチンでため息を着いていた
そしてそのため息は誰もいない空間に響き渡る
凪「颯馬、最近どうしたんですか?何処か体調が良くないのですか?」
颯馬「いや、大丈夫だか「大丈夫じゃないじゃないですか!!」!!?」
颯馬ははぐらかそうとするが、いきなり怒鳴り声を上げた凪に思わず目を見開く
凪が颯馬の服を引っ張って無理矢理顔を近づかせる
凪「だって今日だってずっと辛そうな顔をして..........!この前なんて泣いてたのに大丈夫?冗談を言わないで下さい!一人で抱え込んでないで、私に相談でもして下さいよ!!」
颯馬「な、凪...............」
凪「はっ、すみません。取り乱しました.........」
颯馬と凪の間に暫く沈黙が流れる、流れたのはほんの数十秒だったが、二人にとってはそれは長く感じた
凪「............颯馬、人には一つや二つ言いたくないことはあるかもしれません、私だってそうです。けど、心の中のモヤモヤはこの私に吐き出してください」
颯馬「凪.............」
颯馬は凪の顔を見る、凪の顔は至って真剣な表情だった
颯馬「.............いつも悪いな、世話掛けて」
凪「いいんです、だって私は颯馬の式神ですし、妻ですから」
颯馬「つ、妻!?初耳なんですけど.........!!?........まぁ、妻の件は置いといてだな___」
颯馬は凪のいきなりの発言に思わず気が動転するが、気を取り直し、自分の服から凪の手を離させると、自分の心境を語った
凪「なるほど、だからリリィを見た時に嫌悪感や憎悪などが出るということですか」
颯馬「ああ...............」
凪「.................なら、それを一度お姉さんにぶつけてみればどうです?」
颯馬「えっ?」
凪「人という生き物は誰もが、心の内に傷を抱えていたらその心の傷はいつまで経っても取れません。しかし、その傷は何らかの手を取れば時間が掛かるとしても癒えていきます」
颯馬「.............傷..........」
颯馬は自分の心臓に手を置く
凪「そうです、でも颯馬はそれをどうしたいか、それは颯馬次第です。怨みの火にくべて燃やすのもよし、前に進むために捨てるのもよし、一つの記憶として刻むのもよし、幾らでも手段はあります」
颯馬「俺、次第.................」
颯馬は少し黙る
凪「私は、颯馬についていくだけですから」
颯馬「凪............お前が俺の式神でよかったよ」
颯馬は凪の頭を撫で、凪は嬉しそうに微笑む
凪「いえいえ、そんなことよりも来ましたよ」
颯馬「..............だな」
凪が撫でるのを止め、扉の方を凪と共に見る
そこには_________
沙羅「会いに来たよ........颯馬」
颯馬「.............姉ちゃん、それにあんたは.........!」
颯馬は沙羅ともう一人、自分がかつてゲヘナに追われてた少女を預けた紫髪の少女、本間秋日がいることに思わず驚愕する
秋日「ええ、久し振りね」
颯馬「よくここが分かったな.........」
秋日「うちの生徒が調べてくれたのよ」
颯馬「.............立ち話もなんだから座って。ほら、姉ちゃんも」
沙羅「あっ、うん」
凪「こちらにお座り下さい」
沙羅と秋日は凪に席に座る
暫くすると、颯馬が秋日達にコーヒーを用意する
颯馬「どうぞ、コーヒーです」
秋日「えっ、頼んでないんだけど........いいの?」
秋日と沙羅が困惑する
颯馬「はい、俺に会いに来たサービスです」
沙羅「...............ありがとう」
沙羅はミルクとガムシロップを入れ、コーヒーを一口飲む
颯馬と凪は沙羅と秋日の前の席に座る
颯馬「..............ごめん、姉ちゃん。あの時別人とか言って」
沙羅「...............えっ?」
颯馬は沙羅に頭を下げ、沙羅はいきなりの颯馬の謝罪に動揺する
颯馬「俺あの時すごいムシャクシャしてて........CHAR見たら日の出町のことを思い出して、リリィのこともすっげぇ憎んでるからさ、つい..........」
秋日「憎んでる............?」
沙羅「..........................」
沙羅は席を立って颯馬の方に向かうと優しく抱きつく
沙羅「私だってごめんね、颯馬がこんな辛い思いしてたなんて..........あの時気づいてれば良かったよね」
沙羅は落ち着かせるように背中をポン、ポン、と叩く
沙羅「あの日に、何があったの?」
颯馬「................あの時..............」
颯馬は日の出町で起こった出来事を全て何も隠さずに話した
沙羅「それがリリィを恨んでる理由............」
颯馬「ああ、そうだよ」
秋日「................確かにあの惨劇ではヘルヴォルの判断ミスで一般人とリリィに大勢の被害が出たわ」
秋日は静かに、そして淡々と颯馬に言う
颯馬「うっせぇよ..................姉ちゃんならいざ知らず、あんたに何が分かんだよ、当たり前だった普通の生活がいきなり壊れた奴の心が!!」
颯馬は秋日の言葉に激昂し、睨み付ける
沙羅「ちょっと、颯馬!それは............!」
凪「颯馬、それは流石にぶつけすぎです!」
沙羅と凪が颯馬を窘めるが、秋日はいいのよ、と止める
秋日「それを踏まえて貴方、いえ、貴方達に提案があるの」
凪「提案...........というと?」
秋日「神庭女に入って一緒に戦わないかしら?」
颯馬&凪「............................は(えっ)?」
颯馬と凪はいきなりの提案に驚きを隠せない、色んな意味で
颯馬「いやいや、俺はリリィを恨んでるって言ったでしょうが」
秋日「颯馬くん達が持っているその力は、ここ神庭やその周辺を守るのに必要なの」
颯馬「でもそれはあくまでリリィという戦力を守るための尖兵って意味だろ?あの時ヘルヴォルがマディックの皆にそう命じたようにな」
秋日「っ...................」
颯馬「別に何一つ間違ってないだろ、あれは変わりねぇ事実なんだからな」
秋日は、日の出町の惨劇を思い出して思わず口を閉じてしまう
颯馬「だったら俺はお断りだ。リリィの為に骨身削って犬死にはもっとごめんだし、そもそも俺は姉ちゃんと話をしたかっただけだからな、そう言う用件ならお断りだ」
秋日「........................」
秋日は黙ってしまうが、
秋日「.............確かにそうよ、颯馬くんの言う通りだわ。あの時リリィはマディックを囮にした。それで日の出町、颯馬くんと沙羅の故郷を壊してしまったわ。それは言い訳も何も出来ない事実よ。でも私はあの学園の方針に嫌気が差して神庭に移って、それでこの町の皆は絶対に守るって決めたのよ!この言葉に裏も表もないわ!!」
颯馬「.................!!」
秋日の啖呵に颯馬は思わず目を見張る、颯馬を見る秋日の目は嘘をついてるようには見えなかった
秋日「それに、神庭には貴方が救ったリリィだっているのよ?」
颯馬「................まさかそんなわ「あの白髪の子」!」
秋日「塩崎鈴夢も、今は神庭で保護されて生活しているわ」
颯馬「マジかよ.......でもそうか.....よかったぁ、無事で」
さっきまで秋日達に悪態を突いていた颯馬は素の状態に戻り、心の底からホッと安心した顔をする
沙羅「それにさ、聞くけどもしリリィを恨んでるなら、なんで鈴夢ちゃんとか他のリリィの皆を助けたの?御台場迎撃戦の時だって私達と戦ってくれたし」
颯馬「うっ...........それは........」
颯馬が口をつぐんでしまう
沙羅「これは颯馬に対する私なりの考えなんだけどさ、一般人だけじゃなくてリリィのことも助けたかったんじゃないかな?」
颯馬「.................!!」
颯馬は顔を上げて、沙羅の目を見る
秋日「貴方がリリィを恨む気持ちは痛いほど分かるわ。でも、今は拾える命を拾うことが明日の人々の笑顔に変わるんじゃないかしら?」
颯馬「.........................」
颯馬は黙ってしまう
そこに、
端末「ウー!ウー!ウー!ウー!」
秋日の端末からヒュージの発生を知らせるアラームが鳴る
秋日「!行くわよ、沙羅!」
沙羅「うん!早く行かなくちゃ!」
秋日と沙羅がCHARMを持って、足早に草凪を出る
そしてそこに取り残される颯馬と凪
凪「...........少しは心の中の靄は晴れました?」
凪は颯馬の肩に手を置いて聞く
颯馬「ああ、今まで大嫌いだったリリィを助けて、不本意だとしてもヒュージに相手に一緒に戦っていた理由がやっと腑に落ちた気がするよ」
凪「そうですか...........」
颯馬の様子に凪はふふっ、と微笑む
颯馬「.............なぁ凪」
凪「何でしょう?」
颯馬「さっき行ったよね?俺について来てくれるって」
凪「はい、式神に二言はありません」
颯馬「じゃあ今からやることに付き合ってくれない?」
凪「............そういうことですか。それが颯馬の答えなら、私は否定しません」
颯馬「そっか、ありがとう。凪」
凪「式神として当然のことです」
颯馬はふっ、と微笑んでスッと凪に拳を突き出すと、凪も笑って颯馬の拳を小突く
颯馬「じゃあ凪、行こう」
凪「はい!」
二人も草凪を出て、何処かに向かうのだった
次回、「見参F 忍びが決めた道」
見参編も最終回です、お楽しみに!
いやぁ、この前でこの小説も一周年か。案外短く感じたなぁ、この一年は。なんだかんだあったけど、皆さんの声援があったからこそ、ここまで来れました。これからも「アサルトリリィー百合ヶ丘の化け狐ー」をよろしくお願いします!
あと一周年記念であまりにも枯渇している日常編を募集します!なんかあまりにも少ないので、是非!
神楽の上級生に対する呼び方を何にするか
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○○様
-
〇〇先輩