音夜「らしいな、結構待った方だぜ」
海音「だよねぇ、颯馬と道真の章が終わるまでどんだけ時間経ったと思ったら」
音夜「ああ、この話は俺と海音、それと颯馬達との邂逅を描いた物語だ」
海音「私がどうやって音夜と出会い、どうやって力を手に入れたのかはこのお話を見れば分かります」
音夜「それじゃあ五線の章 ナーゴ交響曲が始まるぜ」
海音&音夜「それでは、どうぞ!」
協奏Ⅰ 月の下で
和風喫茶「草凪」___________
海音「ふぅ..........お客さんは全員帰ったね、そろそろ店じまいしようか」
音夜「ああ、そうだな」
私、東雲海音と私の式神である音夜は客が帰ったのを見計らって店じまいを始める
今日は颯馬と凪ちゃんが出張、沙羅さんが生徒会の手伝いだったので今日は二人でお店を回していた
海音「.........なんだかんだで、音夜との付き合いも長くなったよねー」
海音は食器を洗いながら机を拭いている音夜に話し掛ける
音夜「だな、お前と出会って一年とちょっと、だよな?」
海音「そうだね」
音夜「そこらのそこそこ強いモブレベルだったお前がよくここまで強くなったもんだ。いろんな意味で」
海音「音夜のお陰だよ、音夜がいたお陰で変わることができたんだから」
私は音夜に向かって明るく笑った
そして目を瞑り、音夜との出会いを思い出す
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私は、大手財閥の家に産まれた
父はその大手財閥の総帥で、母は総帥の秘書だった
父は厳格な人だった
海音の父「いいか海音、お前は一歩引いて男を立てる女であれ」
海音の母「海音、しっかり教養を積んで殿方を支えられるようにしてくださいね」
母も、昔ながらの考えの持ち主だった
海音(なんでこんな風に縛られなきゃいけないのかな........)
私は小学校三年生の頃からずっとそう思っていた
海音(...................こんな縛られた生活嫌だな........)
そんなことを思いながら迎えに来たリムジンに乗り、帰路に着く
そんな毎日を中学二年生の一学期まで過ごしていた
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時が過ぎて過ぎて中学一年生頃______
私は中学二年生の一学期頃からスキラー数値が上昇したことにより、神庭女子藝術高校中等部のリリィになることにした
親は割りとあっさり認めてくれた、多分教育の一環に丁度いい、とでも思ったのだろう
そして月頃に神庭女子藝術高等学校の寮にすることが決まり、私はその準備をしていた
海音(.............荷物はこれでよし、と)
私は必要なものを全て鞄の中に入れ、契約したCHARM、クリューサーオールを立て掛けている棚の隣に置く
海音(確か、ガーデンには深夜の電車で行くって言ってたよね.......名古屋から東京は遠いし、昔は新幹線があったらけど、今は運行してないし.........今日は早く寝よう)
海音は昼の間に寝て、夜に起きて深夜に電車に乗って東京に行くつもりだった
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深夜____________
私は電車を乗り継いで東京に着いた
そしてその後、東京から列車を乗り換えて荻窪に向かっていた
その時_________
ドォォォォオオォォォン!!
海音「きゃあっ!!?」
電車が大きく揺れる
なんと電車が線路を外れて脱線してしまったのだ
電車は大きな音を立てて横転した
海音「っ..........いたた............」
私は奇跡的に軽傷で済んで、クリューサオールで窓ガラスを叩き割って外に出る
海音(なんで脱線を........線路の不備とかそう言うのはないはずなのに..........)
しかしその数秒後、その理由を理解することになる
外にはヒュージ一団がいた、しかもミドル級やスモール級のヒュージばかりだったが、その後ろにはラージ級のヒュージもいた
海音「っ、ヒュージ.........!」
私はクリューサーオールを起動して、横転した電車の陰に隠れて臨戦態勢に入る
海音(でも..........ここにはまだ一般人もいる.......!怖い.........でもここは私が守らなきゃ.......!)
私は深呼吸をして心を落ち着かせた後、
海音「やぁぁぁぁっ!!」
クリューサーオールをシューティングモードにしてヒュージに近づきながら弾丸を放つ
ヒュージは弾丸を受けて怯む
海音「はぁっ!やぁっ!」
その隙をついて近づいて、ヒュージを一心不乱に滅多斬りにする
私は一人でスモール級、ミドル級ヒュージを十数体倒すが、流石に体力の限界が来ていた
そこに
ドゴォッ!
ラージ級ヒュージが突進してきて、避けることも出来ず、クリューサーオールで防ぐが、私は耐えきれずに思い切り吹き飛ばされる
海音(うう..........痛い................!)
私は脱線した列車に勢いよく体をぶつけてしまい、少なくないダメ
ージを負っていた
ヒュージから光弾を放つのが目に入る
海音(ああ、終わりだ...........もっと..........じゃなくてもう少し........自由に生きたかっただけなのに.......)
私は心の中に残っていた未練を残しながら静かに眼を閉じる
そして次の瞬間、
「TACTICAL SLASH」
何者かが割り込んできて光弾をそのままミドル級ヒュージに弾き返してミドル級ヒュージを倒す
海音「...................えっ..........?」
ヒュージの断末魔を聞いた私は恐る恐る目を開くと、そこには黒基調に所々黄緑色の装飾がある服を纏った少年が立っていた
??「ったくこんなとこでも暴れてんのか、小懲りねぇ奴らだなぁ」
その少年は三日月型の両刃刀を肩に乗せながらため息を吐く
そこに仲間をやられたヒュージが奇声を上げながら迫ってくるが、何処からか矢が飛んできてそれはヒュージを貫通し、絶命させる
矢が飛んできた方向には、肩が出る和服を着て弓矢を構えた少女がいて、彼女は少年の元に駆け寄る
??「颯馬、ここには一般人が大勢います。急いで決着をつけましょう」
颯馬「そうだね、凪は列車から人を助けた後、怪我人は回復させて。ここは俺がやる」
凪「はい、ご武運を」
颯馬「............さて、と。おいヒュージ共、俺が相手だ。相手にとっちゃ不足ねぇだろ」
颯馬と呼ばれた少年は懐から緑色の狸の紋章が描かれたコアを嵌めた機械を腰に装着し、そして黒い手裏剣が付いた黄緑色のバックルのようなものを取り出し、右側に装填する
すると、颯馬の右側に緑色とマゼンタ色で手裏剣に「NENJA」と描かれたロゴが現れた
颯馬は腕を交差して伸ばし、両手首を合わせて回転させた後、両腕をそれぞれ上下左右反対方向に伸ばしきり、
颯馬「変身」
颯馬はクナイを引っ張って手裏剣を回転させる
緑色の手裏剣がロゴに当たって緑色の鎧を白いアーマーが引っ張り、黒いスーツを身に纏った颯馬に装着させる
「NINJA READY..........FIGHT」
颯馬はさっきの両刃刀を取り出し、ヒュージの群れに突っ込む
凪は狸の戦士に変身した颯馬を見送り、海音の方に駆け寄る
凪「そこの方、一人でよく頑張りましたね」
凪という少女は私の体にある傷の部分にお札をペタペタと数枚貼る
凪「じっとしててください。治癒の力よ、傷つきし者の傷を癒せ。風見流退魔術肆ノ型、清水の時雨」
凪が術を詠唱した後、雨が降ってきてそれと同時に雨が降る
すると傷がみるみるうちに治っていく
海音「っ、傷が.........治ってる.......!」
私は立ち上がろうとするが、
凪「安静にしててください、貴方の場合はまだ痛みまで引いた訳ではありませんから」
と私の両肩を掴んで座らせる
海音「でも.......あの子が.......!」
凪「大丈夫ですよ。私の主......いえ、私の夫はかなり強いんですよ?」
海音「お、夫............?」
その子はふふっと笑みを浮かべ、私は何言ってるのこの子?と困惑する
凪「コホン..........とにかくよく見ててください、私の契約主の戦いを。私は列車にいる人達を助けるので」
海音(契約主.........?なんのこと........?)
私は何が何だかさっぱり分からなくて、その少女の後ろ姿を見送ることしか出来なかった
凪「葉を運ぶ息吹よ、その力で野分を巻き起こせ。風見流退魔術拾壱ノ型、緑龍神風」
少女は自身の周りに普通の台風よりは小さい緑色の竜巻を複数生成した後、次々に列車を持ち上げて線路の上に乗せる
そして列車を線路の上に乗せ負えた後、中に入って避難誘導をしていた
一方、狸の仮面を被り、緑色の鎖帷子と昔の足軽の鎧を掛け合わせたような装甲を身に纏った颯馬は、次々とヒュージを切り刻んでいた
颯馬「ふっ!はぁっ!」
颯馬は流れるような足捌きでヒュージの攻撃を軽々と避けて、すれ違い様にヒュージを細切れにする
颯馬「遅いなノロマ」
颯馬は地面に小さな球体を叩きつけ、爆発させる
海音「っ、煙玉.......!?」
そしてヒュージが颯馬の姿を探しているその瞬間に、
颯馬「................知ってる?警戒する時は後ろもちゃんと警戒しなきゃ駄目ってこと」
颯馬は後ろから次々とヒュージの死骸を増やしていく
そして、ミドル級、スモール級ヒュージは全て片付いた
颯馬「ふぃー.......!おっと」
颯馬は両刃刀を分離した短刀二本に付着したヒュージの体液を払った次の瞬間、ラージ級ヒュージが颯馬に向けて横薙ぎに攻撃を繰り出す
しかし、それを難なく跳んで避けて、そしてストッと地面に着地する
颯馬「あっ、そういえばいたな........じゃあ、締めの一芸食らわせてやるよ」
颯馬はクナイを引っ張って手裏剣を回転させる
「NINJA STRIKE 」
颯馬「はぁぁっ!!」
颯馬はヒュージに向けて駆け寄った後、ヒュージの一撃を分身することによって回避し、跳躍し、そのまま片足に収束されたエネルギーを跳び後ろ回し蹴りでヒュージに叩き込む
そしてラージ級ヒュージの体を貫いて、一人に戻った颯馬は地面に着地する
颯馬は静かに変身解除して、元の私服姿に戻る
颯馬「ふぅ............おい、そこのあんた」
海音「えっ.........私?」
颯馬は私に近づいて話し掛けてくる
颯馬「お前リリィだろ?一応言って置くけど俺はお前らリリィを助けたくて戦った訳じゃない。今あったことは全部忘れろ。分かったな」
海音「っ.......は、はい.........」
彼からとんでもない殺意を察して、私は思わず首を縦に降った
それを確認した颯馬は、いつの間に後ろに控えていた凪とさっさとその場から走り去った
この戦いは夜空に綺麗に輝いている満月の下で起きた、十数分の出来事だったが一瞬にも感じた
海音(助けてくれたのは嬉しかったけど..........ちょっと怖かった........)
その時の颯馬の背中を見ながら、さっきの颯馬の雰囲気に対する恐怖を覚えた
その後、救援に来た近くのガーデンからリリィや防衛軍が来て乗客は保護され、乗客は死傷者はいなかった(恐らく凪が治した)
だが容態が急変するのを防ぐため、私を含めた乗客達ここ数日は最寄りの駅にあるホテルで過ごすことになったのだった
そしてその数日後、列車の運転も無事に復旧したことで、私は電車に乗り、神庭女子藝術高校に向かうのだった
そこでの出会いをまだ知らずに______
次回、「協奏Ⅱ 二度目の邂逅」
神楽の上級生に対する呼び方を何にするか
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○○様
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〇〇先輩