到着したクマサン商会のロッカーにて、二人はそれぞれの作業着に着替える。
ホウズキは黒色で、メジロは初期のオレンジ色だ。
「一応、サーモンランを始める前にステージ内の方角について説明しておく。サーモンランのステージは四方を海に囲まれているわけだが、四方のうち一方向だけシャケが湧いてこない方角があるのは分かるね?」
「イクラコンテナが寄ってる方角っスよね?」
「その通りだ。なんとなく感覚で理解しているとは思うけど、大抵のアルバイターはその方角を後ろと呼ぶ。これを基準に、私たちはステージの各方面を右、左、正面と分ける事が多い。オオモノシャケの場所の共有とかの連携には、この方角をよく使うから覚えておくといい」
「はいっス」
メジロがそう返事をしたのを確認すると、ホウズキはクマサン商会の受付に進み、プライベートバイトの設定を行っていく。
(そうだな……ステージは寄せる動きが特に重要になる広大なシェケナダムがいいだろう。私もついていく事だし、キケン度はたつじん+2相当の120%程度にしておこうか)
「よし、設定はこんなものでいいだろう。準備はできてるかい?」
「いつでもオッケーっスよ!」
「それでは、プライベートバイトを始めるとしよう」
そうして、ホウズキとメジロの二人はシェケナダムへとヘリコプターで運ばれていく。
二人だという事を除けば、いつも通りのサーモンランの始まりだ。
ちなみに、二人ともブキはスタンダードなスプラシューターを使用している。
少し時間が経ったところで、早速Wave1が開幕した。
「ふむ、右方の海岸にテッパンとダイバーが湧いたみたいだね。どう動くべきかな?」
「どっちも寄せたいオオモノシャケっスから……コンテナ近くで待機するっス」
「いい判断だ。おかげで、ダイバーがこちらに寄ってきてくれたようだ」
コンテナ付近に、円状にシャケのインクが広がる。
ダイバーによる攻撃の前兆だ。
この円の内部を、二人はすぐさま塗りつぶしていく。
すると、ダイバーはあえなくその敵インクに突っ込んでいき、大ダメージを負ってその場をビチビチと飛び跳ね始めた。
そこに、二人は容赦なくとどめを刺して、発生した金イクラを近くのコンテナに納品していく。
続くテッパンもコンテナ近くまで誘導して倒し、金イクラを納品することに成功した。
順調な滑り出しだ。
しかし、こうしている間にも次のオオモノシャケは湧きだしている。
カタパッドのマルチミサイルとタワーのハイパープレッサーが、二人を狙い始めた。
「ハイプレの方向からして、左奥の海岸にタワーがいるみたいだね。カタパッドも一緒に湧いたようだ」
「すぐに倒しに行くっス。痛っ、いたたたた!」
ハイパープレッサーに撃たれつつも、メジロとホウズキはオオモノシャケを倒しに向かう。
周囲のザコシャケを処理しつつ、カタパッドにボムを投げ入れ、タワーの鍋を打ち抜くのだ。
致し方ないとはいえ、海岸で倒してしまったので、コンテナに持ち帰れた金イクラの数は二個である。
「さて、次は正面の桟橋からだね。バグダンがこっちの方に向かってきているのと、奥の方にテッキュウが見える。早速、ご自慢の鉄球をこっちに飛ばしているみたいだ」
「テッキュウを倒しに行きたいっスけど、バクダンが邪魔になるっスね……。さっさとバグダンを倒して、奥のテッキュウも倒すしかなさそうっス」
「うん。スプラシューターのような短射程武器の場合は、その選択がベストだろう。まずは何より、デスのリスクを排除すべきだ」
バクダンはできれば寄せたい相手だが、奥のテッキュウを倒すためにも、メジロはこのような選択をとった。
リッターなどの遠距離武器があれば、遠距離からテッキュウのみを倒すという選択肢もあったかもしれないが、ホウズキの言うように、今はこれがベストだろう。
その後も、二人は順調にサーモンランを進行し、無事にWave1を終わらせた。
続くWave2と最終waveも、彼らはあっさりと攻略してしまったようだ。
「おぉ。なんだか、驚くほど簡単にクリア出来ちゃいましたね」
「念のため言っておくが、私は手を抜いていたぞ。つまり、今回のサーモンランがクリア出来たのは君の実力に他ならない。座学の内容を実戦でしっかり生かせたな」
「うっス。リーダーのおかげっス!」
帰りのヘリの中で、ホウズキとメジロはそんな会話をする。
成長を実感して、メジロは見るからに嬉しそうだ。
「また評価が詰まったり、何か分からない事があったりしたら私のところに来るといい。サーモンランが知識が大事なバイトだ。知識さえあれば、技量がなくともクリアできる場面は多い。良きアルバイターを目指したまえ」
「はいっス。またいつかお世話になるっス」
「ああ、またいつかな」
そうして、ヘリから降りた二人はクマサン商会のロビーでそのまま解散した。
メジロはすぐに、バンカラ街の喧騒の中へと帰って行ったが、ホウズキはまだ商会のロビーにいる。
「さてと、私はもう少しバイトをしてから帰るとしよう。より多くのシャケを倒すために」
そう独り言を呟いて、額の傷を軽く触ってから、ホウズキはクマサン商会の受付へと向かった。
スプラ3をやってたら書きたくなった。
評判がよかったら続きます。