ココアの先導で入った店はメイド喫茶だった。「お帰りなさいませ、お嬢様!」という元気な接客が五人を迎える。チノはもちろんメイド喫茶に来るのは初めてだったが、それはマヤ・メグも同じらしく、先ほどのティッピーショップに入った時と同じくらいかそれ以上に物珍しげに店内を眺め回している。シャロは「うーん、この店の衣装、着たときの恥ずかしさはうちの店と大して変わらないかも……」とつぶやいていたが。チノ達が案内されたのは普通のテーブル席で、店の内装自体は普通のカフェと大して変わらない。が、店の入り口付近には、<<VIP用個室プランもあります! 料金:時価>>と貼り紙がしてある。いったい個室ではどんなサービスが行われているのだろうかと邪な想像が思わず頭をよぎってしまうチノだった。しばらくして各自が注文したドリンクやケーキがテーブルに運ばれてくる。全員分が出揃ったのを見計らって、ココアが唐突に何やらもったいぶった口上を喋り始めた。
「えー、みなさん、今日は盛大にお集まりいただきましてありがとうございます。本日こうやって、チームラビットハウスの決起集会・兼・第一回作戦会議を開催出来ることをチームリーダーとして大変喜ばしく思います。リゼちゃんと千夜ちゃんは残念ながらこの場にはいませんが、きっと心の中で同じように盛大にお祝いしてくれているでしょう」
ココア以外の四人は、ぽかん、という顔になる。十秒ほど沈黙があった後、各々がぽかん状態から復帰して次々に疑問を口にし始めた。
「ちょちょちょ、いきなりなんなのよ。決起集会とか作戦会議とか、意味が分からないわ」
「チームラビットハウスって何ー? というかリーダーは管理人のチノちゃんじゃないのー?」
「作戦!? 何それ楽しそう! 新しいゲームか!? もったいぶらないで詳しく教えてよ!」
「ココアさん、いつも説明が足らなさ過ぎるんですよ。だいたい今日だって、何で秋葉原に来るのか、ティッピー改造してどうするのか、パーツ屋であんなにたくさん買い物をして何が目的なのか、まるで何も説明してないじゃないですか」
指摘されたココアは、「え?」という顔をする。
「あ、あれ? 説明してなかったっけ? こほん! えー、では改めて説明します。言い忘れてましたが、チームラビットハウスでティッピーコンテストに応募しました。八月三日土曜日に予選大会、翌八月四日に決勝大会。決められたルールの下でお互いのティッピーを競い合わせ雌雄を決する、国内ティッピースト頂点の戦いです。参加するからにはみなさん最高のティッピーを持ち寄り、優勝を目指していきましょう」
「「「「はあ???? ティッピーコンテストオオオオ!!!!????」」」」